309話 念願の物が手に入るかも
忙しくて短です
「仲良くって、一体何処にアピールする仲良くですか?単純トモォダチネ〜って、言う意味のないものならこちらも考えますよ?この電話をする前に何処かに出て何処かに出ないでは角が立つし、スタンピードの慰霊についても1人で済ませようと話してたんですから。」
「アピール先は海外です。明確な所で言えば共産圏への牽制ですね。」
「共産圏?なんか変な動きありましたっけ?」
「動きと言うほど大きいものではないですが、各国でギルドを作ろうとする動きや獣人に対する情報の早さ。それに過去、貴女のクローンを作ろうと画策していた事など、今一度アピールしておきたいと言う事です。」
「ふむ・・・。話は分からないではないですが、共産圏は人が多いですからね。マンパワーを使ってなにかするなら、あちらほど有利な所はないでしょう。言論統制やらプロパガンダやら事、思想に関するものは好きな様にしてますし。」
「ええ。それと松田さんが交渉権について対面で一度詰めた話がしたいと言っています。何度も東京に来るのは面倒でしょうから、表向きは落成式に参加するとしつつ裏では会談を行おうと言う話です。」
「交渉権ねぇ・・・。はっきり言いますが交渉権はあくまで交渉する権利であって、願いを叶えてもらえるステキ権利ではないですよ?例えば漫画なんかで主人公と神様が交渉して何故か主人公有利に事が運ぶなんて事がありますが、現実的にソーツと交渉しようにも何度も言いますが交渉材料がない。」
漫画やらゲーム、大凡創作物については主人公の意見というのは概ね通る。それはそうでないと物語が進まないし、何よりもその選択が話の肝になる事が多いから。仮に主人公が否定しかされない話があるなら、それはきっと否定した人物の物語なので結果として主人公の意見は通っている。
しかし、現実的な交渉と言うのは妥協点を搜したり互いの利益があったり、なにかそうしなければならない理由と言うものがある。しかし、現時点で言えば人には大きな利益はあるもののソーツにはまったくない。
何せ彼等の要望は掃除する事と奥へ行く事。交渉権とは言わば及第点である人類に対して不明点を教えてくれる勉強の場と捉えるほうがしっくり来る。まぁ、その勉強の場も穏やかとは限らないのだが・・・。
「ええ、その話は分かっています。ただ、それでも要望や意見は多い。話を聞くだけでも聞いてもらえませんか?」
「えぇ〜。聞いたら結果を求めるじゃないですか・・・。決裂しても文句ないなら言うだけ言ってみるって方法も取れますが、それは困るでしょう?別に内容を聞かないわけではないですが、モンスターなくせとか、他の人に権利渡せは無理ですよ?」
モンスターは仕事だから仕事減らせは受け付けないだろうし、この身体を作った奴が他の窓口を用意する事に意味を感じるとは思えない。それに奴等は賢者の存在も知っているし、多分魔女の存在にも気付いてしまった。宇宙で交渉権の返還を求められたが蹴ってしまったし、あの時蹴らずに受け入れたなら交渉の権利は二度となかっただろう。
「本当に権利を譲渡するのは不可能なのですか?」
「交渉権を返還して目先の利益を取るなら多分、1回きりのホームランは打てるかもしれません。しかし、そのホームランは今のホームランで未来ではただのゴロかもしれない。それに、ソーツは譲渡した権利者が死んでも気に留めない。寧ろ喜んで権利消滅を歌うでしょうね。まぁ、それでいいなら誰かに渡しますよ?それこそ獣人でも人でも何ならそのあたりの犬猫にでも。」
「理解しました。では、交渉して欲しい内容と言うものの話だけでも聞いてください。」
「・・・、公に東京に行く気はないんだけどなぁ・・・。」
「・・・。これは独り言ですが、専用の宇宙服とか欲しくありませんか?」
・・・、ピクッ。
「宇宙エレベーターを作るプロジェクトの先にあるのは、ゲート内の祭壇を発見できなかった場合、宇宙空間で呼びかけるのも1つの手ではないかとして進められています。その際当然交渉を行う方を宇宙に上げないといけないですよね?安全性を考慮しつつ橘監査官の様に動ける宇宙服。」
・・・ピクッ!ピクッ!
「その方の身体データは分かっていますが、ぶっつけ本番で不備があると、流石に宇宙ではこちらとしても対応出来ないのでシェルター的な容器に入って持ち・・・。」
(ヘイ!魔女!宇宙服貰いに行こうぜ!)
(宇宙服ってあの鎧みたいなやつでしょう?嫌よ。あんな美しくない物着たくもなければ、白の外程度なら貴方は勝手に飛べるでしょう?)
(・・・、は?えっ!俺って宇宙服無しで宇宙うろうろ出来るの!?)
(自身で一度イメージしたでしょう?そもそも呼吸も必要なく不変的に存在する者が、どこで何をしようと変わるわけ無いでしょう?
(いやまぁ・・・、そうなんだが・・・。流石に宇宙服なしで宇宙に出ると人として色々疑われる・・・。)
(いいじゃない、疑いの目も注目の目よ?)
ここでも交渉か・・・。Q.魔女を宇宙服を着る事に同意させるにはどうしたらいいですか?A.納得する材料を出すか、なにか貢物をする。この場合貢物って俺の身体の自由とか魔女の好きな服を着て何日間か過ごすとか?いや、他になにか材料が・・・。
(なぁ、魔女さんや。前に人の精神にきれいな絵を描いていたよな?とても美しくて見て影響されたのか、子供見たらちょっと抱っことかしたくなる。)
(ええ。いい作品でしょう?最近はゲートにも入らないし獣人はそこそこ面白い見ものだったけど、アレも貴女が成した事じゃない。端的に言えば若干暇ね。)
(そんな魔女さんにオファーがあります。)
(貴女から私に?)
(そうそう、俺に絵のセンスはない。だが、美的センスは悪くないと自負している。証拠にモナ・リザよりぃ〜、普通ぅ〜に!魔女の絵が、好き〜〜!)
(その妙なダンスはいいとして、悪い気はしないわね。もっと褒めなさい!私を讃えなさい!さぁ~。)
よし!掴みは取った!記憶にあったモナ・リザの絵を浮かべながら、なれないギャグをダンスしながらやったが、どうやら魔女には賛辞として捉えられたらしい。まぁ、実際あれって普通に画家としては褒め言葉だしな。賢者が笑うか関心するか微妙な顔をしているが、多分関心の方とか?何事にもユーモアは大切である。
どうせなら魔女と賢者でコントでもしてみればいいと思う。毎度真面目な話しかしないから賢者なんて草臥れた子供みたいな姿に・・・。
(いや、君がそうイメージしたからだからね?もっと君の記憶の中にある賢者は老人だったり誠実な大人だったり・・・。)
(ケンタウロスだったりするな。えっ!お前ってそんな堅物が良かったの?遊びもなく、ただ座って本読んで偶に時が満ちるなんて意味深な事をいいながら空気になるやつが。)
(いや、暇は敵だから今でいいよ。それで、魔女に何させる気なの?)
(それは決まってる。服着て着飾るのが好きならその着るものをデザインさせる。自分で自分が着るものをデザインするなら納得するだろ?なぁ、魔女さんや。)
(あら、それは確かに素敵ね。じゃあヒラヒラとして・・・。)
(まぁ待て、自由な発想はすばらしい。だが、人類はお前達と違って制約もあれば出来ない事の方が圧倒的に多い。つまり、不自由があるからその不自由の中でデザインして欲しい。)
(いいわ、乗ってあげる。ただしそれは必ず着る事。分かった?)
(着るのはいいとして、せめて出来たデザインを見せてもらう事は?物理的に不可能な事は・・・。)
(魔法でどうにかなさい?それを出来る程度の性能はもうあるはずよ?)
(分かった、その辺りはデザインを見て考える。)
「運ばれたくないので宇宙服を作りましょう。ただ、デザインは指定させて下さい。それが条件です。」
「デザインですか?作るなら御息女や藤君がデザインする予定ですが、何かあるのですか?」
「込み入った事情とだけ伝えましょう。日程調整がつき次第、そちらの方の話はすすめましょうか。では。」




