303話 染まってきたな 挿絵あり
年度末で短いです
「突然ビームが飛んできたから割れた窓から中を伺う。」
「千尋ちゃんの後ろからこっそり見ます。」
「なら、父さんと俺の会話だな。突然現れた様に見えたがミュータントか?」
「まさか!呼び出しに遅れず更に幸福な上司様の仕事の邪魔をしない様、静かに入ってきました。しゃがんでいたので気付かなかったのでしょうが、それはここに落ちていた上司様の1000円を拾い届ける為です。寧ろ、私より先に到着しているはずの2人はどこですか?幸福で健康な身体の為に私は階段で来たのですが。遅れていると言う事は・・・。」
職務放棄の方向に話を振って2人をZAPしよう。甘いからここまで誰もクローンを減らしてないし、そろそろ減らしてもいい頃合いだろう。まぁ、2人は聞き耳立ててるからここで突入してくるだろうし、話しの流れ的には厚かましさで振ればギリギリ認められると思う。
「到着しましたが司は早かったですね。上司様の時間を不用意に奪ったのですか?それはいけません。幸福な労働を邪魔しては完璧なコンピューター様の指示に逆らう事になります。」
「そうですね、時間は正確に。遅くもなく早くもない時間に到着するのが最適です。それよりどうして昇降装置を使った私達よりもツカサさんは早く到着してるんですか?」
千尋ちゃんはよかったけど加奈子ちゃんの追撃は痛いな。どうやって来たかと聞かれると階段と答えるしかないが、昇降装置よりも早く着けるかと聞かれると厳しいし。なら、厚かましく行こう。
「幸福な労働に勤しむ私は時間を無駄にしない為に毎日走り込み、結果かなり足が早くなりました。その速度で階段を2段飛ばしで登ってくれば昇降装置よりも早くなります。」
「ふむ・・・、私が落としたのは2000円だったと記憶しているが?」
「ええ、確かにその通りです。拾ってあるのでお返しします。」
更に所持金を減らされたか。だが、2000円でこの場をノーダメでやり過ごせるなら安いだろう。それに、息子が介入したならここでグダるのを辞めさせたいと言う意図もある。なら、誰も突っ込もうとしないだろう。
(結城君、ここでプロパガンダって使えるんですか?)
(駄目だよ〜。上司と言うか自分よりも上の人はプロパガンダ効かない。基本的に対等な人に対する能力だからね。それに、上司がコミーじゃなかったら問答無用でこっちが殺される。流石に那由多もそこまでは甘くないだろうしね。)
「確かに受け取った。では今回のミッションを話そう。とある工場に故障したボットがある。受けた報告ではどうやらコンピューター様が狂ってると言う秘密結社ユマニストがこのボットに細工をしたらしい。君達の任務はこのボットの回収か破壊とする。受付で装備品を受領して任務を開始しろ。」
ふむ、オーソドックスな任務だが俺が受けた秘密結社からの任務は建物爆破。つまり工場を消し飛ばせばいい。本筋の任務とリンクするしあまりかき回すなと言う事か。まぁ、ある程度真面目にやるとするか。
「GM、そのボットてみんな知ってると考えていいやつ?」
「ボットはみんな知ってる。形としてはそうだなぁ〜。米国の橘さんみたいな形にしようかな。」
「那由多・・・、それって襲って来るやつだよな!?明らかにオーバースペックで皆殺しできるやつ!」
「落ちつけ千尋。攻略は出来るけど収集がつかないなら強制終了させるだけだ。それに、まだ誰もクローンナンバー増えてないだろ?そこそこ優しいから気楽に行け。さてと、開始しろと言ったけどこれから係を決めてもらう。記録係はボットにしてもらうからなしでいいぞ。」
「なら、後はリーダーとハピネスと清潔係官と装備品係か。先ずはリーダーから決めましょうかねぇ。」
「リーダーって方針決めたりする人でいいんですよね?」
「いいぞ?ただ、パラノイアだとリーダー命令には絶対服従する義務があるから、そこそこ生き残りやすい。まぁ、コレも対抗ロールとかあるから必ず成功でもない。ハピネスは幸福薬って薬でみんなをハッピーにするけど、幸福薬を使われると明らかに死ぬ様な指示でも喜んで従う。清潔係はみんなの清潔度を機械を使って判定するけど、係員本人の自由で検査ができる。因みにやり方は皮膚の採取で汚れてると判定されれば義務違反で殺される。装備品係は持ち物検査ができる。この時不要な物を持ってたり支給品が壊れてると殺される。」
「さ、殺意が高い・・・。その・・・、ツカサさんリーダーやります?」
「私?してもいいけど全員即幸福薬ね。市民、幸福は義務です。ここに来るまでの間に疲れませんでしたか?例えば走ったや転送装置を制御したなど。その状態は幸福ではありません。幸福薬を使い即幸福になりましょう。私はリーダーの任に付き今幸福を感じています。」
「やめよう加奈子。下手すると1人生き残って高得点を叩き出される。」
「そうですね・・・。さっきの話をされると反論挟むのは厳しい気もしますし・・・、なら千尋ちゃんやりますか?」
「いや、私はプロパガンダされたからロールすると断る。指示すると言うのは平等じゃないし、何より第一教会とコミーは敵対してるから加奈子を毎回狙わなくちゃいけなくなる。だから加奈子がリーダーをするといい。結城、サポートいけるだろ?」
「大丈夫だよ〜。流石に司さんみたいに即幸福薬盛る事はないけど・・・。那由多、ここから引っ張り合い開始みたいな感じ?」
「俺は甘くするけどプレイヤー同士でする分には好きにしてくれ。本当ならたどり着くまでにロストするくらい理不尽は詰め込めたけどやらなかっただろ?後、結城達の所は追加オーダーを出す。ミッションが簡単すぎてすぐに攻略されたからな。」
「了解、了解。なら、僕が加奈子を勝利者にして進ぜよう。さてと、リーダーは加奈子として抜くのは装備係員でいいかな?他の2つより楽しめないし。」
「そうだなぁ、私は異論はないけど司さんどっちか希望はありますか?」
「ならハピネスになろうかな?先に言うけど乱発はしないし、本数制限もあるだろ?」
「今回は3本だ。リーダーの指示以外はダイスで成功判定な。」
「そこはルルブ通りか。まぁ、対抗も5以上で成功か?」
「最初はな。不意打ちするならする事に成功率を1ずつ下げる。最終的な不意打ちは7以上で成功だ。」
「分かった。」
「では・・・、装備品受領はいいな。手榴弾2個とレーザー銃だ。コレは特殊な銃で普通に持ってるのと違う。目標を破壊する場合このレーザー銃と手榴弾1つが必要になる。」
(テンポ悪くなるし、ここで秘密結社からの物資貰っていい?)
(う〜ん・・・、父さんにダイス無しで成功判定はだしたくないけど・・・。良いよ。手榴弾1つね。)
「さてと、リーダー決まったしどう分配する?リーダーが全部持つ?」
「いや、ここは壊れても悪いんでリーダーが責任持ってレーザー銃を持ち、残りを2人で持とう。」
「ふむ、幸福で完璧な市民がレーザー銃を壊す可能性があると?」
「なら分配と言う言葉はコミーが使うものではないと?」
「まさか、コミーなら最初からリーダーが持つとは言わない。それに、自然に分配の方に話を進めたけど、普通ならリーダーに任せない?やはり千尋ちゃんは仕事をしたくないと?リーダー、幸福薬の使用許可を。」
「いえ・・・、先ずは幸福薬を全員で使いましょう!」
「ぶっ!」
「マジか・・・。」
「えーと、加奈子?理由は?」
「3本あるならみんなで使えばさっさと仕事に移れますからね。幸福で完璧な仕事をするなら私達も幸福で完璧な状態の方が良いでしょう。幸福ならみんな笑顔で仕事が出来ます。」
「そうか・・・、うん。リーダーに賛成する。完璧で幸福な市民が争うわけはないな。諍いの元を断てば確かにみんなで幸せに仕事が出来る。」
マジかよ・・・、ない訳ではないけど全員でラリって仕事とか・・・。なんだろうな・・・、アヘン窟に放り込まれた気分だ。コミー相手はやはりやりづらい。自身の生き残りより公平性と集団性を使われると言い逃れはしづらいし、何よりきれいな言葉な分反論を挟みづらい。
「分かった、リーダーに従おう。」
「ありがとうございます。とても幸福なことですね。所でその薬って飲んでもいいんですか?注射が怖いので飲み薬でも言いなら飲みます。」
息子に視線が集まるが、どう判断するかな?あえて飲むと言うならそれでミュータント能力が悪食で確定でいいと思うが、ロール出来ませんと言うリアルいいくるめも控えている。飲んだからと言ってそう判断するのは早計かな?
「許可しよう。他の二人は?」
「私は腕に注射するよ。」
千尋ちゃんは観念したか。残基がまだある分、ここで負債を払ってしまえるなら安いという判断だろう。さて、俺はどうしようかな?乱発はしたくないがテレポートに頼らせてもらおう。
「私はお腹で。服の下に入れて注射する。」
(テレポート判定。行き先はポケットで。)
(装備係がいないからやると思った。・・・、判定はクリティカル。バレないし疑われない。ただ、他の二人が疑ったら自己弁護すること。)
「ふぉぉーー!!マジカルクロエちゃん爆誕!マジカルって何?知らないけど超幸福で完ぺきな私はどんな任務でも確実に成功させて見せるでしょう!!さぁ、幸福で完璧な市民達トラブルシューターと言う栄誉の為に死をも恐れず進みましょうーーー!!!」
バレる?振り切れればバレるも何もないんだよ。




