290話 やり取り
すいません、忙しくて短いです
ギルドに帰って望田達に話しながらキーボードを打つ。神志那に文章作成を任せようかと思ったが、彼女は彼女で溜まった鑑定品の処理がある。ただ、何がどれくらい出ているかは検索エンジンを作ってもらった時にプログラムを仕込んだらしく、サイトへのアクセス件数や判定機の使用回数で鑑定件数が分かり、そのままグラフなんかに出来るらしい。
機械に仕事させると言ういい例だろう。何年後にどの仕事が無くなるなんで話はよく議論されるが、結局仕事そのものはなくならないし、なくなったらなくなったで新しい仕事が出てくるのでイタチごっこになる。
「ツカサは何時に上がります?一応まとめられるだけまとめて業務の方も進めましたけど。」
「ん?カオリの方は上がるなら上がっていいよ〜。まだこっちはかかるし、何より松田さんとのやりとりがね・・・。」
政治家って腰重かったし動き出したと思ったら常に牛歩で何も決められないイメージがあったけど、スタンピード以来何かあればトップスピードで走っている。まぁ、国民からの突き上げが相当痛いし、他国からも情報寄越せと叫ばれるので仕方ないだろう。頭痛いのは配信内容もゴリッと質問が来るけど解答出来ない事も多い。まぁ、その辺りは無回答で流すが押しかけてくる人もいるんだよね・・・。
なんだよ詐欺師ばりに大使館の方から来ましたって・・・。素直に大使館から来ましたって言えよ!ついでに言えばまた巫女論争が勃発したとかなんとか・・・。交渉出来るのは俺一人、ならば日本人なら巫女だろうし、会うなら巫女服という名の正装が正しいのでは?って、ソーツ斎藤と会うのに服気にするか?究極的に言えばボロをまとっても全裸でも何でもいい。
松田:獣人の件は理解しましたが、国連からの呼び出しは
中々回避が厳しい。
交渉権は人類全体の共有財産権であるとする考えが
他国でも蔓延しています。譲渡不可なら覚悟はして
ください。それに交渉材料が未だあると言う考えも
あります。
クロエ:理解できますが交渉しても材料は今ありません。
祭壇が見つからない以上、先ずは交渉の場を探す
所からです。動力も作り出したりして、一体何を
交渉したいんですかね?
松田:幅広い意見としてはモンスターの排除ないし弱体化。
他で言えば寿命系の薬の増産に、技術交流なんて話も
出ています。彼等の技術が習得出来れば人類は更に
発展するでしょう?
クロエ:学習意欲があるのはいいですけど、下地もなしに
理解は出来ないでしょう?先ずは設計図から。
あれは分類的には教科書らしいので、それを理解
して作る所からでしょう。
私もいくつか設計図を持っていますが、内容を見るに
相当丁寧ですよ?先ずは足場を固めて基礎科学から。
そもそも、交流自体望み薄ですし。
松田:誰しもが心の何処かで分かっているんですよ。
会うなら宇宙、技術はあちらが上、その交渉そのモノも
外野が叫ぼうとも本人同士がやる気がなければ進まない
実際祭壇を探す以外スタートに立てないのでしょう?
クロエ:立てないですね。探すのは数カ年計画、それで
見つかればまだいい方ですよ?底に行くって言うのは
それだけ危険が増すと言う事です。はっきり言って
米国スタンピード、ラスト付近のモンスターが歩き
回っている所を進むんですよ?
松田:理解しています。簡単ではないし何れ辿り着くにしても
遠き道。そう言えば、国連とは関係なく他国でもギルド
を作ろうと言う動きがあります。
内容的には我が国をなぞった様なモノになるみたい
ですね。まぁ、ウチの国から概要を持っていった所が
多数なので、似たような作りになると思いますよ?
クロエ:自国で自己管理ならいいんじゃないですか?
犯罪スィーパーの引き渡し要項とか決めてれば
後はそれに沿って処理すれば楽でしょう?
他国にギルドね。まぁ、管理部門が明確になるのはいいかな?他の国だと軍と警察が音頭を取っていたりしている事が多い。しかし、政府として直接指示している所は少ない。理由としてはスィーパー側が嫌がったからというのが大きい。
戦争の道具になりたくない。殆どのスィーパーの言い分はそれで、個人としての強さを求めていた人間ほどゲートにのめり込みやすいし、全力で叩き潰しても微塵も良心が痛まないのがいいらしい。まぁ、それでも対人戦で力試ししたければ相手を探して同意した後にゲートに入ればいいし、ゲート外で『俺は強いやつと殺り合うのが大好きだ!』なんて寝言を言う奴は、寧ろ雑魚認定される風潮がある。
これはとある世界的に有名格闘家がスィーパーに成った時に言った言葉だが『真に強さを求めるなら潜れ。何も関係なく、己のみで強さを求めると言うなら、御託はいらないただ潜れ。それが渇望する強さへの道だ。』その言葉に仕事としてではなく、最強を目指す人は採算度外視で強さを求め、修行場として潜る人もいる。実際、人よりも強いモンスターと戦って勝ったり負けたりしているのだから、その力で戦争なんてすればヤバい事なんてすぐに分かる。
ただ、偶にギルド宛に果し状を出すのはやめて欲しい。内容は手合わせ願いたいとか、最強が最強に対戦を望むとか・・・。ギルマス=最強じゃないんだよ。まぁ、腕っぷしで選んだりしたので強さそのモノは否定しないが、今の所肉体労働よりデスクワークメインだよ。ただ、他の国のマスター選出も気になるには気になるな。
「取り敢えず松田さんとのチャットはこれでいいかな。青山いるんだろ?何用だ?」
「えぇえぇいますとも!クロエさんより先に休むなんてとんでもない!あっ!コーヒー入れますね〜。アイスのブラックでいいですか?」
「いや、ガムシロ3つ。流石に連日ゴタゴタが続いて疲れた・・・。」
いるとは思ってたけど呼んですぐに扉から入ってくるとは思わなかった。コイツはこいつで休んでいるのだろうか?まぁ、奉公するなら身体は資本で適当に休んでいるだろう。そう言えば、奉公する者も宇宙人だったよな?ソーツとも魔女達とも違う存在なら、何かしら話をすれば分かる事もあるんじゃないか?
「ささっ!どうぞどう。」
「まぁ、お前も座れ。ちょいと聞きたいんだが、奉公する者って1人なの?それとも種族として奉公する者になったの?」
「単位という点で話すなら個人です。そもそも総体を個として作り変えて産み落とした場合高確率で自壊します。方向性が違えばそれだけ分離しようとするらしいです亅




