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街中ダンジョン  作者: フィノ


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281話 どっちに転ぶかな? 挿絵あり

 誠に不本意だが情報を叩き付けたくて叩き付けたわけじゃない。勝手にトラブルが歩いてくるんだよ・・・。だって外で猫が喧嘩するだろ?怪我するだろ?普通・・・、そう普通は動物病院に連れて行くか怪我が軽いなら様子見で外に出さないとかだろ?まかり間違っても進化して帰って来るとは思わないだろ!?


「残念ながら手加減してコレです・・・。僭越ながら守りに入ったら老け込むらしいですよ?」


「今なら若返って生き生きと生活できるじゃないですか・・・。」


「同感です。職に就くだけでも年齢を気にせず走り回れる。現に私が木崎君達とゲートを旅しても遅れを取らないんですよ?それだけ能力が底上げされてるんです。今更年齢を出すのはナンセンスと言える。」


 千代田もそれなりの歳だろうがアグレッシブな発言をしてらっしゃる。雄二達と一緒と言う事はランニングから始めてるのかな?走りながらの射撃とか移動的相手は既に職業がら訓練済みとして後は勝手に育っていくだろう。


「なら大丈夫ですよね?個体成長薬・・・。これが大量に出ているようですが原因はこれです。神志那さんと話しましたが鑑定術師、橘さんなら同じ回答が出せると思います。これは人が飲むと有害ですが犬猫が飲むと・・・。」


「人になると?待って下さい!薬は日本のゲートからだけではないんですよね?」


「増田君・・・、誠に遺憾ながらゲートは入口こそ多数あるけど中は同一空間と考えられている。稀にではあるけど他人と出会えるのはそれを示しているし、出土品は多少の傾向こそあれ概ね同じものが出る。それよりもその薬は資源等目録には?」


「記載されていますが目録であって内容は未記載です。知っているでしょう?目録寄越せって言ったら奴等名簿寄越しやがったんですよ!?まぁ、目録と言う言葉的には名簿で間違ってないし検索とかも出来るんで便利ですけどさぁ!」


 詳細表示もお願いするんだった・・・。それをしてくれるならどれだけ助かるか。でも、変なもの作ってるの分かったら胃が痛くて仕方ないような・・・。辞めておこう、どうせ滅ぶなら滅びを知るより突然の方が諦めが付く。手塚版のアッサジの様に命日知りながら穏やかには過ごせないんだよ・・・。どちらかと言えば数増やして各国にばら撒くとか?そっちならまだ認識統一出来そうだけど・・・。


「・・・、それでその獣人?でいいのですかね?隠蔽は出来そうですか?かなり厳しいと思いますが実例が1件だけならどうにか出来ない事もないと思いますが。」


「厳しいと予測します。大分だけでも発見報告が90件、世界的に見るなら無数で、今の所目新しいから保管しているとも考えられます。誤飲で死ぬのは正直、私達は関係ないのでどうでもいいですが問題は誰かが死んだ事による廃棄です。」


「ふむ、神志那さんはそこにいますね?例えばその90本をゲート外で廃棄したとシミュレーションした場合はどうなります?」


「ん〜、最悪は生態系がぶっ壊れる可能性はあるかなぁ〜。まだ全然データないから分からないけど最悪を考えるなら人の寿命は少しづつ減った代わりに成長速度は早くなる。動物の最終形態が人型ならその経過途中も増えるかも。」


 おぉ~、生物学者歓喜!ミッシング・リンクが眼の前で解明できる。調整次第では二足歩行の猫や喋る四つん這いの猫なんてのも出てくるんだろうか?ケモナー歓喜でカオスが産まれそうだが需要自体はどうだろう?犬ならゲートでサポートしてくれるとか?一応知性はあるので後は学習して職に就けるかだな。


  挿絵(By みてみん)


 ソロからペット(獣人)と一緒ならそこそこ需要はありそうだが・・・。悪いやつはペット増やしまくって『俺がご主人様だ稼いで来い!』とゲートに放り込みそう・・・。フェリエットを見ても猫は性格的に勝手に逃げそうだが犬の場合主人の命に従いそうではある。ただ画像の兄ちゃんが黙って従いそうかと言われると普通に下剋上してきそうだよなぁ・・・。それ以前に植物はどうだろう?脳がないから無理判定でいいのかなぁ・・・。


「各国と話し合って使うなとする方がいいですね。回収して保管ないしゲート内で廃棄が妥当でしょう。」


「ソレはいいですが既にいる獣人はどうします?少なくとも海外には犬人はいるようですし、ウチの飼い猫は写真の通りですが・・・。」


「松田さん、海外で既に発生しているならほぼ確実にマーケット化すると推測できます。希少性もさることながら見た目の愛らしさも拍車をかけるでしょう。それに、飲ませて気に入らなければ他の動物にと手を伸ばす事も考えられる。野生化と言うか放逐された時点で・・・。」


「自然繁殖すると?増田君、その推測で行けは既に手の打ちようがなく受け入れるか根絶やしにするしかないと言っている様なモノだが?」


 根絶やしねぇ・・・、無理だろう。先ず動物愛護団体が黙ってないだろうし獣人が知られれば獣人愛護も叫ばれるだろう。人と同じ姿と言うのはそれだけインパクトが強く、親しみやすさがあるゆえに無碍には出来ない。


「前を向いたとして受け入れるしかないと思いますよ?私もフェリエットちゃん見てたらペットを飼って飲ませようかなぁ〜ってな気になりますし。」


 常識人枠の望田も欲しくなっちゃうかぁ・・・。多分こうしてちょっと欲しいとか言う好奇心から増えるんだろうが、この部分に俺は何も言えない。既にウチの飼い猫は猫人に成長しているので持つ者が持たざる者を語る事はできない。


「必要なのはどう付き合っていくかじゃないですか?いなくなる前提は私もナンセンスだと思います。それよりも人が飲んだ場合の危険性を知らせるのが先でしょう。緊急会議でも開いて幅広く情報共有しないと後から突き上げられますよ?」


「一難去ってまた一難、ゲート設置者は私達が嫌いと見える。歓迎されずに会いに行ったんで嫌がらせされてるんじゃありません?」


「代価は渡してるんです。松田さんが思うより私達の付き合いは割とドライですよ、多分ね。」


 あの時会うまで姿は現さないしやりたい事に没頭してたんだからいいだろう?何作ってるか知らないけど、出来れば目録に名前が増えるんだし分からない事はないだろう。まぁ、名前が分かったとしても使えるかは知らないけど。


「はぁ〜、飲むと危ないと言う警告はします。その方向で話すしかないですが、如何せん実例がないので真意を確かめようと動く国はあるでしょう。ただ、我が国としてのスタンスは飲むなで妥結すると思ってください。総理にもそう話します。ただ、獣人の件は直ぐ様公表は出来ませんよ?一旦検査等のデータを取らない事には発表のしようもありませんからね。」


 松田の言う事は最もだ。何がどう作用するか分からないし猫人ハーフとかクォーターが早々に現れないとも限らない。やっぱりラボに預けるのが一番なのかなぁ・・・。しかし、あそこって薬はあっても機材は消えるからってあんまり置いてないし、地元の病院に預ける方が効率的なのかなぁ?残念な事にギルドにも機器は殆ど置いてないし。


「話は分かりました。精密検査についてはどこかいい所を考えます。情報を漏らさない方が良いとなるとギルドに来てくれてる雪城先生か高槻先生が人選としては上がりますけど、なにか注文を付けるとかありますか?政府から派遣するとか。」


「人選する暇なんであるわけ無いでしょう?さっきの今で私だって該当する人物を挙げろと言われれば、高槻先生くらいしか挙げられません。彼以上にゲート関連で詳しい医者も早々いないでしょう。」


 探せばそれなりにいるとは思うけど、彼以上にゲートに詳しい人もいないだろう。最終的に高槻を呼ぶとしてそれまではギルドや家族で分かる範囲でデータ取りするしかないな。


「分かりました、性格は別として物覚えは悪くないので知能くらいなら調べておきましょう。」


「ええ、お願いします。増田君キミも早急にゲートから出て合流してください。現千代田や黒岩さんに大井さん閣僚も集めて緊急対策会議を開く流れになるでしょう。」


「・・・、分かりました。いつの間にかネゴシエーターから使い回されていますが仕方ないでしょう。」


 話が終わって電話を切る。松田達は忙しくなりそうだが、ウチは平常運転で大丈夫だろう。寧ろ他にやるとすれば薬の回収とか?名簿作りつつ一律なんぼでお振れを出して質屋感覚で回収保管とするか。渡した料金を返却すれば返品対応でいいだろうし、仮に政府が使用を許可するなら返さないと荒れる。


 逆に使用禁止・・・、厳しいな。日本で禁止しようとも使える国で使われれば結局帰国した獣人を受け入れる事になる。残念な事に国民が国から減るのは既に容認出来ない時期なのだよ・・・。減った国民=国力減少と結び付いてしまっている。突出した個がいようとも、誰にでも中位へ至る可能性がある以上、流出した国民がそのまま他国で戦力にならないとも限らないしね。


 実際、ゲート出現以降かなり紛争が減った。0ではないがそれこそ、死亡した兵が増える程戦力が開き確実に潰されてしまう。それにガーディアン騒ぎで世界的にテロリストを潰しまわったので、上手く潜伏しない限りはなにかするだけの戦力がない。まぁ、ゲリラ戦法を取られるとそれはそれで厄介なのだが、とある国はプロパガンダとして領土が欲しいならセーフスペースを使えと叫んでいたな。


 どの国の領土でもないゲート内で何をしようと構わないが、勝手に建国したならまた荒れそうではある。まぁ、その場合襲撃されようが外からの増援は望めないので上手くやらないと難しいが・・・、既にギルティタウンがあるので発展次第かなぁ・・・。


「ツカサ、これから私達はどういう方針で行きます?」


「先ずは薬を逆質で買い取る。価格は一律金貨百枚で広く募集をかけてください。政府の方針が決まり次第同額金貨と交換で返品します。」


「分かりました、受付にも電光掲示板でデカデカと流しましょう。あっ!保管期間はいつまでとします?方針出て半年くらいでいいですか?」


「それでお願い。神志那さんはどんどん鑑定依頼くると思うから判定機と増強依頼出すなら伊月さんと柊さんに声かけて。」


「・・・、クロニャンそれはいいけど・・・。仮にだよ?本当に仮にだけど奴隷扱いするって方針になったらどうする?」


 獣人=奴隷か。ナンセンスだな。奴隷として扱った場合今の世代はいい。獣人を増やして繁殖してそういう教育を初めから施したとしても何れ不満が出る。それがまとまって爆発したら構築したシステムは崩壊するし、既に人類はその過程を通り過ぎた。


 サトウキビプランテーションで奴隷がいなくなったらどうやった?回答は崩壊しただ。つまり、報酬も低く過酷な労働を強いればそのツケを必ず払う羽目になる。なら、新しい隣人として接したほうがいい。確かに異種族コミュニケーションだな。これまで対等な立場の異種族と人はまだ接した事がない。


「止めるでしょうね。流れとして可能性はありますが、仮に私が千年後に今を振り返ったとしても止めると回答すると思います。だって、ペットは愛玩動物でそれが人型になったら奴隷にするでは虫が良すぎるでしょう。どちらかと言えば獣人が増えた時の法整備する方が建設的ですよ。」


「了解したにゃ。なら、勝手に草案もまとめようかなぁ。人の法をベースに獣人用の。これだけ間近で観察出来るなら何かしらは作れると思うし。そのうちUPRでも議題に出だすだろうしその時多分呼ばれるのはクロニャンの可能性がある。」


 世界の舞台とか今更だが立ちたくないなぁ・・・。立ちたくないけどウチにもフェリエットがいる以上話は来るだろうなぁ・・・。取り敢えず外で遊んでいる彼女を見ながら今後を考えるとしよう・・・。



ーside リーー



 世界的に集団疎開と言う名のスィーパー化は終了した。本国から今の状況についての情報はなく、テイからも話されない。実際私も父の故郷でまとまって疎開するとして対象の元を離れて数日で帰ってきた。配信の情報が確かなら神志那なる人物が鑑定術師となったのでこの措置は仕方ない。


 ただ、これにより気軽にギルドへ行く事が厳しくなった。他の工作員からの話では神志那なる人物は引きこもり気味で表に出る事が少ないと聞くが、撤退は常に考えていこう。


「今日より任務復帰となる。同士リーこれはささやかながら私の地元として登録されている所の名産でカステラだ。あちらは早期に疎開したなら名簿を作っていなかったので、疎開していなくともバレる事はないだろう。」


「了解している。しかし、疎開後の再会に手土産は必要か?上手く事を運べば対象の家に行く事も可能ではあるが・・・。」


「一応の備えだ。我々としては早期に対象の家に入り込み、君がファーストの家の周りをうろついていてもおかしくないと言う状況にしてもらいたい。」


「それは分かっている。配信を見る限り交渉出来るのはファーストのみと確信した。」


「その通り。祖国からの話では交渉権の譲渡についても知りたいそうだ。早期に親密になる事を要望する。」


「了解した。そう言えば資料によりファーストの家に新たな住人が観測されたと聞くが容姿は?」


「猫耳と尻尾を付けた少女の様だ。幸い君はコスプレ好きとなっている。その線で接触すると良い。」


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― 新着の感想 ―
[一言] スパイ中位さんから獣人って漏れそう
[一言] この世界で大多数になるだろうスィーパーが居るのにソレに劣る通常の生物を奴隷にしてもね 愛玩奴隷はあり得るか 奴隷スィーパーは管理が困難過ぎてあり得ないな 獣人はカワウソとかミンクの類を生み…
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