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街中ダンジョン  作者: フィノ


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248話 プロローグを超えて 挿絵あり

 稼働して数日、死ぬほど忙しい日々が続いている。当初の予想では稼働後のゴタゴタも数日で落ち着くと思っていたが、そんな美味しい話はなく今日も今日とて書類の山に埋もれている。鑑定に関しては神志那、副長として望田、体験者として夏目もいるし本部長を辞退してまでついてきた青山は、悔しいが有能で現場にていいように使いまわしているし、他にも大会には出ていないがそれなりに有名なスィーパーがそれなりの支払いで初心者補助なんかをやってくれている。


 ゆくゆくは警察メインで補助者をやってもらいたいが、残念な事に警察だから強いと言う事もなく、ゲートの中では肩書や権力と言うものはそれこそ役に立たないので、あるアドバンテージとしては武術で有段者と言う面と拳銃の取り扱いを訓練しているくらい。


 流石に一般人に本物の拳銃は渡せないが、スィーパーならゲートの中では好き勝手撃っているし武術も有段者な分イメージしやすいが、対人メインなのでモンスターに置き換えるのは辛い所もある。まぁ、警察の仕事はゲート外で市民を守る事なので準備はしていると聞いているが、それが実を結ぶのはもう少し先かな?今はゲート開通当初補助者をしていた人がメインでその訓練を行っている。


 因みにスィーパーが使う銃はエアーガンや、頑丈さを上げるためにメタルフレームで強化した物。公で出すならマガジンを抜いている事が必須で、その状態でも職質は免れないし剣士の剣に関してはガッツリ銃刀法違反になるので、よほどの事がないと出してはいけない。


「これ追加の書類です。こっちは捺印済みなら持っていきますよ?なんでデータベース管理なのに申請はペーパー対応なんですかねぇ・・・。データを取ったら紙捨てていいはずなのに・・・。」


「手前の山は良いよー、後ろの山はまだ待って!それライセンスの申請書じゃなくて払い下げ依頼と出品管理品のリストだから。」


「クロエさん。現在許可されている以上の出土品を取り扱うにはどこかに申請すれば扱えるのか?という問い合わせが・・・。」


「政府に問い合わる様折り返して。寧ろそれって法改正絡みだからギルド関係なくない?どさくさに紛れて適当に返事しないように気を付けて。」


「クロニャンJAXAから問い合わせにゃ〜。後、負傷者リストとと昨日帰ってない人のリストにゃ。」


「JAXAは置いとくとして、医薬品の補充は最優先!未帰還者は中でキャンプしてるってしといて。少なくとも1ヶ月は死亡判定出せないから!」


「了解!それじゃあまた戻ってお宝の海にダイブにゃー!」


  挿絵(By みてみん)


 禁煙張り紙死すべし!代わりに禁煙パイポやロリポップで凌いでいるが口寂しさと思考力が低下したような気がするのと、微妙な座りの悪さに加え若干のイライラがある。喫煙所に行けば吸ってもいいらしいが、そこも大変混雑しております。


 待ち合わせで吸ってもいいが終わったら雑談せずに場所開けろよ。他の人も待ってるし、人が少なくならないと吸いに行けないんだよ・・・。昨日の今日で物珍しいと言うのは分かるが、テーマパークでもないのでそんなに集まらなくていいよ・・・。食堂で飯も食いたいが雇われコックがゲート内の馬肉と魚を売りにしたとかで、そこは物珍しさから結構食いに来ている人が多い。


 それだけでも頭が痛いのに来る企業人がどうでもいい質問から割と面倒な案件まで持ってくる。そもそも法律があるんだからそれに沿って仕事しろよ!ただ法律に強いスタッフが頭を抱える解釈の違いなんてものもあるので、判断要請案件が上がってくる・・・。俺から政府に投げるにしても一読しないと話し合いにならないので手間がかかる。


「クロエさん、暇じゃないだろうが誰か手空きのスィーパーを借りれんかね?」


「クエストボードに警察協力依頼貼ったらどうです?地域密着型の依頼なら心優しい人が職磨きがてらに引き受けてくれますよ?ゲーム感覚であのボード見てる人多いですし。」


「猫の捜索やら探偵の真似事じゃなく本当の要請なんだが・・・。ひき逃げ犯捜索はクエストボードでいいか?」


「あぁ、ガチなやつですね。ならちょっと連絡してみましょう。」


 LINEで青山に今暇か連絡をするとすぐに既読がつく。初心者スィーパーの補助に回っていたはずだが、新規スィーパー予定者はあまり来なかったのだろうか?まぁ暇なら伊月に貸し出すか。探索者なら犯人も見つけられるだろう。伊月と青山は昨日の時点で顔合わせも済んでいるので、このまま送り出して大丈夫なはず!


「伊月さん青山を貸し出すので使って下さい。申請書を書くのを忘れないでくださいね?報酬の支払いは時給、日払い、解決達成型等色々あるので署長に最高額を聞いて予算内で話し合って下さい。」


「分かった。大会参加者を貸してもらえるなら心強い。」


 そう言いながら出ていく伊月と入れ替わりに種類の山がまたやってくる。なんでこんなに書類が多いのか?ギルドがここしかないからさ・・・。増強配置のおかげで受付や施設的な混乱はないが長蛇の列は続いている。公に質問を投げかけられる場所と言うのはそれだけ待ちわびられていたのだろう。


 ギルドの食堂で企業の人と取引するスィーパーも居れば、しきりにスマホを見ている人もいた。ゲートの中に入って金貨を得るのはいいとして、ついでに何かしらの依頼を受けてもバチは当たらない。基本的に企業や個人の依頼はネットで管理されているが、政府が指名依頼制度を突っ込んでいるので、実績積んで顔馴染みになれば指名してもらえるかも。


 それ以外で言えばライセンスカードは氏名と血液型後は登録した県と、他は何回層まで到達したと言う情報くらいしか乗っていない。これも稼働前に一悶着あって職名を乗せた方がいいんじゃないかと言う案や、みんな大好きランク付けした方がいいんじゃないかと言う案もあった。


 そう一悶着あったのだが前提条件として、スィーパーの職は本人にしか分からないと言う問題がある。鑑定師なら分かるのだが、それ以外だと使っているところを見ないと分からないし、イメージ次第ではそれでもわからない。だから、例えば補助者と潜った時に本人が思う職が出なければ嘘を付く可能性がある。いや、可能性ではなく現実的にあった。どこぞの有名な研究者が入ったのだが出たのは剣士、槍師、盾職とガッツリと近接系の職。それを受け入れられなかったものだから嘘をついて調合師を名乗った。


 結果として選んだのは剣士だったが、今はぼちぼち研究の分野で分子結合を切断するのに役立っているとか。しかし、ゲート内の武器が剣だった時点で判明したので大事にならずに済んだが、あのまま嘘をついていたらどうなっていたやら・・・。本人がどんなに職を欲しても必ずしもそれが出るわけではないといういい例だ。


 ランク付けにしても何を持って基準とするのか?それが全く決まらない。ゲームならドラゴンを倒したらSランクやら何かを手に入れたならSランク。或いは依頼をこなせばランクが上がるなんてあるが、仕事としてスィーパーをやる人間からすればモンスターを倒すのがメインではなく依頼品を回収する過程でモンスターを倒しているという方が多い。


 なのでまず何かを倒したから高ランクと言うのは除外された。なら、回収率でランク付けするのかと言われるとモンスターの素材が欲しいのか、出土品が欲しいのかで方向性は変わるし依頼を出すのが個人から企業まで様々なので、手取り早くランクを上げる為に仲間内で依頼を出し合う事が想定される。


 そうでなくともネットで早い者勝ちで依頼を受注していても無闇矢鱈と面倒な条件を付けて嫌厭される事を狙えば、ある程度特定の人に依頼を回す事も出来るし、割高になるが仲間内の指名依頼なら懐も傷まない。そんな詐欺や虚偽が横行するくらいならランク付けをしないほうがマシという結論になった。


 まぁ、非公式でする分には構わないがギルドとしては勝手なランク付けが出た瞬間、ギルド非公認と文章を乗せる事となっている。それに政府のHPでもランク付けしないと発表してるしね。ただ、そうなると依頼を出す側に目安がないと文句が出るが、早い者勝ちでやっているし受注する方は命がかかっているので目をつぶってもらおう。嫌なら私兵でも集めて自分達で賄えばいいよ。


 基本的にギルドは管理はすれど報酬の支払い拒否や、外の法律に照らし合わせた時の犯罪行為にしか介入しない。ゲート内は相変わらず自己責任なので共済組合は作ったが、それよりも多くの死亡保証が欲しいなら自分で保険かけろよ?


 年間で金貨100枚の共済費用払ってればギルドでの治療は基本的に無料扱いなんだしさ。因みに一回の入場から退出までは金貨20枚。円だと大人1万20歳以下5000円である。この場合死亡保障はでないので結構年間で払う人が多い。中には自分で治療出来るからと入らない人もいるが、自己責任なので特に引き止める事はしないな。現時点でだけ言えば物販やら米国からの支払いやらで資金は潤沢だし。


「やることが多い!それぞれの部署に振り分けてもなんでこんなに多いのぉ〜!」


「ここしかギルドがないからですね。クロエ先に昼食行きます?」


「いやぁ〜、お弁当で済ます。物珍しさに食べに行ったらそれだけで神経すり減ったし。」


「一緒に食べましたけど中々来るものがありましたね、あれは。」


「私も他の時間で食べたけどあそこまで注目されるとね。可愛い子は見つけたから話しかけたけど。」


「そう言えば凪夏さんでしたっけ、彼女は来てないんですか?」


「あの時はチケットが完売だったのと、適当に借りたアパートを我が家として紹介してそこを守るように説得したから大丈夫かな?」


「おぉ~、年貢の納めどきかな?」


「まさか、私は困ってる可愛い娘には声をかけないと気がすまないからこのままですよ。凪夏も知った上で浮気黙認してつきまとってますからね。」


 ハーレムってこうやって作るんだな。浮気する宣言しても嫁になりたいと言ってくる人がいる辺り夏目は人誑しの才能が高いのだろう。まぁ、同性なので子供が出来ないとかいうところに引っかかりを覚えるならついてこないだろうし、それを押してついてくるなら純愛・・・、なのかなぁ?


 溢れんばかりの愛をばら撒いてそれを受け取った側がどう考えるかは自由だしなぁ。この人の一番になりたいと言う思考が強い人には向かないだろうが、同性として一緒に生きると言う考えならいいパートナーなのかも。俺としても昔は男女、去年から同性と言う夫婦生活を送っているし、少ないが同性婚の率も増えているのだとか。


 世界的に見ても同性婚を認めている地域は少ないし、三大宗教も同性婚をあまり認めていない。なので新たに認められた国として日本で結婚しようとする外国人も増えてきているのだとか。ただ、国籍取ったりするのがかなりハードルが高いのでどうなることやら。一番成りやすいルートは在日米軍からの日本人と結婚とか?


「私は浮いた話がないので話だけ聞くと不思議な感じですね。恋バナと言うにはちょっと違うし、かと言って男女の駆け引きのようでもありますし。」


「気になるならじっくり話そうか。今晩空いてるなら2人で飲みに行って朝まで語るのもいいだろう。」


「夏目さん下心あるでしょう?」


「無償の善意を家族以外から貰うと気持ち悪いだろう?何事にもギブアンドテイクはつきものさ。まぁ、普通に食事して話すだけでもいい。君も十分にきれいだからね。」


「はいはい、うちの副官を誘惑しない。まだまだ種類の山はあるんですからさっさと片付けましょう。私もちゃっちゃとお弁当食べて仕事に戻りますから。」


 デスクから離れて別のテーブルで弁当を開けるとラップに巻かれた大きいおにぎり4個に唐揚げや卵焼き、サラダに別のタッパにはリンゴが入れられている。おにぎりにはガンバレの文字が海苔で書かれているのが嬉しい。ただ先に食べて悪い気もするので声だけかけとくか。


「2人ともおにぎり1個ずついる?」


「私はもう少ししてからいただきます。夏目さんは?」


「ならひと息入れされてもらおうかな。ホテル飯も悪くないが女性の手作りの方が美味しいだろう?それで、これらは莉菜さんが?」


「米炊いたのは千尋ちゃんかな?昨日も遅かったから息子か息子の彼女かのどちらかだと思うよ。」


「息子さんの彼女か・・・、よく出入りしてるんで?」


「うん?今の所うちによく出入りするとすれば千尋ちゃんか結城君かなぁ。明日から学校始まれば増えるかもしれないけど、息子はその辺りあんまり歓迎してないからどうなるやら。高3で将来決める1個目の分岐だし出来る限り悔いのないようにあの子には決めてもらいたいかな。」


「親の七光りならどこでも入れてくれそうと言うか、寧ろお金出すから来てほしそうですけどね。ファッション業界然り、公務員然り。」


「ファッション・・・、うっ!頭が!嫌な話思い出した。」


「なに頭抱えてるんですか?はい、コレお茶です。」


 望田もPC内のデータチェックが終わったのか、お茶を入れてこちらに来てレの文字が貼られたおにぎりを食べだす。中身は全て違うのか、望田が急いでお茶を飲んでいるので辛子高菜でも入っていたのだろう。


「いや・・・、増田さんから写真を何枚か欲しいと言われてね。あのポスターの時みたいなやつ。」


「えっ!内閣府って今そんなに資金難なんですか!?」


「ポスターで国家予算が賄えたら国として終わってると思うよ?そうじゃなくてセーフスペース内の移動用に目印が欲しいんだって。今って国旗を使ってるけど下手すると領土問題とかうるさそうだからね。」


 どこの土地でもない未開の大地。言葉にするとフロンティアスピリッツが刺激されるが、あるのは静寂と不気味な動植物だけ。取り敢えず危険はないし不気味さに目をつぶれば食べ物も水もある。娯楽はないがネットから離れて1日ぼーっと過ごすには誰にも邪魔されない。ただ、その地にも小さな村が出来だしてるのだとか。日本としては駐屯地とラボだけでその後の開拓どうしようか?と手をこまねいているのだが、他の国人からすれば税金納めなくていい土地で、お金が欲しくなったり娯楽が恋しくなったら外に出ればいいと言う無償のホテル的な考えだとか。


 確かに天候も気温も変わらずゴミもそこら辺に投げ捨てれば勝手に消えて処理してくれるし、家がなくとも寝具さえあればほぼ危険なく眠れる。懐古主義的と言うよりは獣のいない原始時代的な生活で良ければ普通に住める。職業としてスィーパーを選び外と関わりをあまり持ちたくないなら、このスタイルでも十分に生きていける。


 そんな人が集まって中で過ごしたり、旅人のように外から来たスィーパーが何かと何かを交換しているうちに小さな村と呼べるものが出来たらしい。まぁこれはネットニュースで見ただけなので詳細は分からないが、スラムに住むよりは快適だとか。そんな話を聞いたのか日本としても拠点作りを進めたいらしく自衛官がわんさか入っている。そして、出来た拠点同士を結ぶ目標として魔法を込めた写真が欲しいのだとか。


 写真集なりポスターなりを使えばいいのだろうが、元データは消去したし、原本以外からのコピーは劣化して使えないので欲しいそうだが時間がないと先延ばし中。しかも、拠点を結ぶ用なのでバリエーションを多く欲しいそうだ・・・。惹きつける者って道標かなにかなのだろうか?使い方としては間違っているような気もするが、他は囮要員くらいしか思い浮かばない。傾国の美女とか願い下げだしねぇ。扇動する者は使いやすが・・・。


「ギルティタウンですか。私も小耳に挟みましたが割と安全らしいですよ?前提条件として犯罪者の街ですが助け合わないと生活出来ないので逆に治安いいとか。」


「寧ろそっちのほうが初耳なんですけど!?カオリは知ってた?」


「海外の話ですね。私も聞くだけなら聞いてますよ?なんでも収容所もないのにゲートに犯罪者放り込んでたら勝手に作ったみたいな。まぁ、街と言っても建物も少ないので野ざらし集落ですけどね。何か盗んだらまちぐるみで制裁があるとか。」


 進化して行けば普通の街のようになるかもしれないが、今は村社会だな。どこにあるのか、どうやったら行けるのかは分からないが現段階なら近寄らない方がいいようだ。


「ギルドとしてはノータッチだけど警告だけは出しとこうかな。中が自己責任なのはもちろんだけど、情報があるのに警告しないのも悪いし。」


「そうですね、安全確認が取れるまではそれがいいでしょう。」


 飯も食べ終わりまた書類整理。稼働当初よりは減ったけどまだまだ処理するものが多い。今日は定時で帰りたいなぁ・・・。



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 新学年はどことなく浮足立つ。新しい出会いもあれば少ないけど転校していくヤツもいる。3年で転校って受験厳しくない?親の都合だろうけど今この地を離れるのって勿体ないような気もするんだけどなぁ〜。そんな事を考えても始まらない。だから親友の那由多でも登校しながらからかうか。


  挿絵(By みてみん)


「那由多オッスオッス!春休みは楽しんだか?千尋との仲は進展したか?望田さんも増えてハーレム生活してて嬉し恥ずかしハプニングが発生して大人の階段を駆け上ったなんて、お父さん許しませんよ!?」


「女子校に男一人、その辛さを知れ。」


「司さんが女性枠とか・・・、お前は大丈夫か?仮にも父親だぞ?」


「あのな、父親なのは分かってんだよ!でも女物な下着でスカート履いてあの見た目なんだよ!頭がバグるどころの騒ぎじゃねぇ・・・。洗濯物投げ込もうとして、ついでに落ちてた下着拾ったら父さんのとかどうすんだよ・・・。」


「あ〜、どんな形だ?」


「それはこう・・・、って言うかバカ!」


 ノリが良い。手で形を表そうとするところなんかポイントが高いぞ!長年の幼馴染で親友だけど変な所で真面目なこいつはからかいがいがある。そんな僕にも春休みに出会いがあった。ゲートに潜る時に偶然時枝さんと一緒になって冒険したけど、残念な事にあれ以降出会う機会がない。ただ同じ学年で同じ高校に通うはずだから密かに再会を願ってる。


 まぁ出会わなかったらその時はその時だ。クラスが違えばそれだけでも疎遠になるかも知れないし、いろんなグループに顔を出してるけどゲートが出て保護されて以降は付き合うグループ減らしてる。だって誰も彼もが司さんと会いたいとか話を繋いで欲しいとか言ってくるんだぜ?僕としては普通に遊べればいいんだけど、最終的にそこを狙うのならゆっくり離れるようにしてる。


 負い目って言うのかな?うっかりと言うか司さん=ファーストである事を知らなかったから情報をSNSに上げたせいで迷惑をかけたと思うし、なんか政府の人も情報をいじるのに大変だったらしい。らしいというのは僕自身が学生でそこまで深く聞かされていないから。でも、テレビやニュースを見れば分かる。


「そいで?クロエさんの事はどうすんの?去年までは遠い親戚だったけど父親カミングアウトする?」


「いや、卒業まではこの調子でのらりくらりかなぁ・・・。父さんはバラしても隠しても好きなようにしていいって言ってるけど、情報の食い違いが〜とか言ってたしなぁ・・・。」


「そか、なら僕もその方向で話を合わせて進ぜよう。でも千尋が暴走しねぇか?あいつ、落ち着いてるように見えてたまにポンコツだからなぁ。」


「焚き付けたのは父さんと母さんで猪突猛進に突っ走ってるよ・・・。言い方は悪いけど猪突猛進さで俺も助けられてる。多分千尋がいなかったら謎の転校生がダース単位で告白しに来るんじゃないかな?」


「よっ!モテる男は辛いねぇ〜。」


「下心しかない告白はうんざりだ・・・。俺は千尋だけでいい。」


 遠い目をしながら疲れたように那由多の奴が話すけど、うまく立ち回ればハーレム作れるんじゃね?お互い下心ありありで動けば作れそうだけどなぁ・・・。高校生男子の夢、希望、性欲!エロ動画見るよりも実際に相手してもらえるならね?ま、僕は僕で那由多は那由多。僕も彼女欲しいけどどうもチャラく見られてるのかいいとこまで行くけど中々出来ない。いや、相手に踏み込むのが苦手なのかな?表面的にはいくらでも取り繕えるけど、それ以上に踏み込むのはちょっと怖い。


「おはよう2人とも。こっちに越してきて3人での登校は初めてだな。」


「それは暗に僕が邪魔って事かな千尋君。悪い、夫婦の間に水を差すものではって、あいた!」


「恥ずかしい事を言うな結城。・・・、いいぞもっと言え。」


「どっちだよ!」


 こっちに越してきた千尋と合流して土手沿いを歩いて学校へ向う。本当なら自転車の方が早いけど新学年1発目は3人で登校しようと話して歩く事になった。こうして3人で何かをするのも多分今年で最後かなぁ?就職か進学を決めたら放課後も取れる時間は少なくなる。チームでスィーパーとして動けば一緒だろうし、現に卒業した先輩の中にはそんな人もいる。新しい選択肢だけど二人がどう思うかが・・・、いや。千尋は多分嫁1択だから那由多がどう思うかか。


「私は正面から、結城は外堀から。いい役割分担だろう?」


「本人眼の前にしてそれ言う?そこんとこどうなんですかね?那由多さん?わたし、気になります!」


「気にせんでいい。千尋も内も外も埋まってるから変に話を広めない。」


「分かってる冗談だ。」


 そんな馬鹿話をしながら学校に着く。思ったよりもクラスの顔ぶれは変わらず那由多への質問攻めはない。ただ、机に建てられていた『クロエ出張ナウ』の旗が降りてる事と、僕の隣の机に誰も座っていない事が違う事と言えば違う事かな?これはもしかするのかもしれない。HR開始のチャイムが鳴り新しく担任になる先生が教壇に立ち転校生を紹介するとして扉に呼びかける。そこにはあの日見た彼女がいた。メガネでちょっと地味でただ笑うと可愛い彼女が。


「時枝 加奈子です。1年間ですがよろしくお願いします。」 


「席は工藤の横、あの空いている席に座りなさい。それではHRを始めます。」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ~扇動する者は使いやすが・・・。 おそらく誤字か脱字があると思うのですが推測しきれず。
[一言] 青山は時間があれば掲示板の子供や老人の依頼受けてそうだな 剣士で分子結合切れるなら研究者に増える? ランクは下位か中位か以外は意味なさそう
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