241話 車内にて 挿絵あり
仕事始めで短い&遅れました
ギルド風呂を堪能して家に帰り家族でマッタリと過ごす。充実した休みだったが、朝起きて遥からのLINEに不穏なものがあった。青山が会いに来て俺がいない事を伝えるとフラフラとゲート方面に向かったそうだ。彼奴には確実に仕事で数日ホテルにいないと言ったのだが、何を考えているのだろう?奉公出来ない禁断症状とか?まぁ、元々理解もしたくないので人に迷惑をかけなければどうでもいい。
「風呂が命の洗濯なら、シャワーは何になるんだろう?コインランドリーあたりか?」
昨日はギルド風呂に1時間ほど浸かりサウナやらジャグジーも堪能したが、大変気持ちいいのはいい。しかし、あれを求めて人が更に集まらない?善意でやってくれたので文句は言えないのだが、日帰りにしろ泊まり込みにしろゲート内では動かないと死ぬと言っても過言でない程動く。なので汗かいて出てきた先に温泉やらサウナがあれば入るだろ?俺だってゲート籠もった後は代謝がなくとも入りたい。
千代田に増強配置と打診して伊月達が来るとは聞いたが、正確な人数を早めに教えてもらわないとな。流石に1〜2人出して増強ですと言われたら頭を抱える。警察なので定常業務の合間やら人を工面してくれるで文句は言えないが予想通りなら相当並ぶんだよなぁ・・・。いっその事どこかの警備会社に交通整理やら雑踏警備を依頼する?
それだと知らない人が知らない所までウロウロしそうで恐いなぁ・・・。金庫へは通常行けないからいいとして、ギルマスルームもある最上階へは行ける。まぁ、部屋に続く通路に電子ロックがあるので一気に行けるわけではないが、いたずらされても困る。そんな事を考えながら一旦シャワーを止めてシャンプーで頭を洗い出した時に声が・・・。
「父さんまだ〜?」
「今コインランドリーが回りだした。」
「は?なにそれ?」
「こっちの事だ。それよりお前今どこにいる?やけに声が違いが。」
「はほひはいてふ。」
「そうか出るから見てもいいがトラウマと感じるなら見るなよ〜。」
頭を流している間に脱衣所からバタバタ音がするが多分、慌てて口の中を流したりしているのだろう。男の時ならそのまま出ても文句を言われなかったが、この姿だと何を言われるかわからない。家族なので見られたところでという話でもあるのだが、身体の作り上本能的に目が惹きつけられるんだよな・・・。
息子がいなくなったのをガラス越しに確認して上がり、身体と頭を拭いて昨日買った服に袖を通す。妻と選んだし多分文句は言われないはず。一応ポーズっぽいものを取ってみるが自分の顔なのでこれと言って言葉は出ない。強いて言うなら白いなぁ〜とか?
その後朝食を取って千代田を待つ。本人が家まで迎えに来てくれるというのでいいのだが、家の場所も教えてないのでどうやって調べた?と聞きたいが、これまで様々なやり取りをしていたので今更だろう。袋麺も箱で買ったし、後からお取り寄せしなければならない物もなさそうなので大丈夫かな?
今回は実験として鳥刺しも指輪に収納してみた。馬肉は腐らないのだが外から持ち込んだ生物も腐らないかは分からない。今更のような気もするがゲート内に刺し身とか持ち込まないしね。案外主婦なら出し忘れた食材とかで何日くらい大丈夫か知ってるかも。
「ハンカチ持った?ティッシュは?お土産は足りる?」
「前半は小学生、後半の大人の対応だけど言葉を受け取ろう。ハンカチもティッシュも指輪に新品がいくらでも入ってるよ。土産はカボスサブレより乾物とかがいいと思うんだけどなぁ・・・。カボスそんなに美味い?」
「司、今貴方県民全員を敵に回したわよ?不用意な発言は血の代価を持って支払う事を余儀なくされるけどいいかしら?」
「しかし、味噌汁にカボス、刺し身にカボス、唐揚げにカボス、ハイボールにもカボスと来たら飽きない?」
「そう言うなら貴方の出身だってカステラ、チャンポン、皿うどんで推してくるじゃない!」
「いや、普通に美味いし。」
「一緒!それと一緒!そう言えば、遥から頼まれてたこれ渡してね。」
手渡されたのはカボスの絞り汁が入ったペットボトル。遥も県民らしく、あればサラダやら肉やらと掛けて使う。俺はこちらに戻る目処がついているが、遥は後どれくらいかかるやら。忙しくてきつそうだが、楽しそうでもあるので多分大丈夫だろう。
「あいよ〜、前は気圧の変化でペットボトルの持ち込み怖かったけど最近は指輪があるから大丈夫だね。」
「いつの話よそれ?アルコールとか開封済み以外は大丈夫よ?」
「豊胸用のパックが破裂したときとか?確かそんな事故が15年くらい前にあった。」
「そんな前の全く関係ない事件よく覚えてるわね、なんか記憶力上がった?元々変な雑学とか興味ある事は集中するとすぐ覚えてたけど。」
「そりゃあ、興味あって調べてるんだから覚えないほうがおかしいよ。記憶力はゲートの奥へ行くと上がるっぽいよ。」
「へ〜、私も奥に行ったら言い間違いとか聞き間違い減るかしら?この前もビームをヒールと聞き間違って『それが撃てるなら回復マシーンじゃない!』って喜んで恥をかいたわ・・・。」
「君の場合前後を聞かずに話を推測する前にコレと思った結論を言うからなぁ・・・。取り敢えずもちつけ。」
「分かった落ち着く。・・・、もちつけっていった?」
「言った。」
「サラっと言わないでよ!貴方ってばたまに大切な事をサラッと言ったり、びっくりする事の後にしれっと更にびっくりすること言うんだから!もう少し私の心を労りなさい。」
「はぁ〜い。まぁ今回帰って来るのは本当だよ。これと言って急を要する事はないだろうからね。」
「いよいよね。そう言えば望田さんに離れ使うなら使っていいって言ったけど良かったかしら?」
「構わないよ。どうせ書庫兼物置だし。」
そんな話をしていると千代田が迎えに来て行ってきますのキスを交わし車に乗り込む。短かったが地元は地元でそれなりに変わっていたな。家の周りがすっかり住宅地になって、しかも既に入居者が住んでいるとは思わなかった。まぁ交通の便自体はそこまで悪くなかったが、農業用地と言う事で売らないじゃなく売れない土地だったしな。
「ゆっくりできましたか?」
「ええ、充分リフレッシュ出来ました。千代田さんの方はどうでした?」
「必要事項は確認できました。金庫の登録等は終わっているので何時でも使えます。ただ、あれだけのセキュリティの金庫を見ようと破られてしまうのでは?と言う不安を今更ながらに感じますね。」
「元々開く様に出来た箱が閉まってるだけですからね、金庫って。なら、当然開くべく時に開いて障害たり得る時に障害となってくれるでしょう。」
「確認しますが物理的な鍵の解錠は苦手なんですよね?」
「南京錠の開く仕組みをご存じない?」
「はぁ〜、その解答だとおおよそ物理的な鍵も開放可能ではないですか。」
「苦手なだけですからね。」
鍵穴があるなら煙を流し混んで中での具現化してピストンを均一化すればいい。ダイヤル錠から旋盤の溝を揃えてやればいい。鍵というのはおおよそ解錠した状態で完成して、大切なものを守る為にバラバラになる。余りやりたくないがダミーやらを多めに詰め込んで大切なものは指輪にしまっておくかな。




