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街中ダンジョン  作者: フィノ


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228話 検索エンジンを頼もう

 手本と言うかアイツ等は作る事が意味だからブレないんだよな。そして、そこにいい悪いの区別も無ければ、廃棄した後の物に興味はない。俺達がこうして身体をいじられているのも結果としてみれば、掃除の不具合をなくす為ととれる。まぁ、その方向性の先を進化と取るか実験体と取るかは自由だが。神志那達はビーコンを見ながらまた熱い議論を初め、それに宮藤と藤も巻き込まれでいる。


 ちゃんと感じ取れる人は重要だな。中層まで入れば下位でも改造されるんだろうか?ん〜、相当厳しいな。45階層を超えて51階層を目指すとするなら下位のままだとかなり厳しい。絶対とは言わないが何が出るか分からないし、出入りをするのも命がけなんだよなぁ。あの辺り待ち伏せ多いし。


「そう言えばクロエはもう他国で中位が出現した事を知っていますね?」


「当然ですよ高槻先生。流石にコレを事前情報なしにテレビで知る羽目になったら、ハブられてるんじゃないかと思います。」


「そうですか・・・、また世界が騒がしくなりますな・・・。」


「そう気を揉まなくても大丈夫ですよ多分。どの道中位の独占なんて無理な話でしょうし、どの国も戦力が欲しいなら模索はする。なら、スィーパーが全員中位に至れるとは限らないにしても歩みは止まらないでしょう。」


「こう言ってはなんですが、人同士の戦はこれからあると思いますかな?」


「小競り合いなら日常茶飯事じゃないですか?情報戦に実戦にスパイと、次は何が出るか分からないスーパービックリ大戦が発令されるので、やるとすれば相当な覚悟を前提とした絶滅戦争でしょう?その次が棍棒と石での殴り合いでないのは確かですが。」


 残念な事にアインシュタイン先生の推論は外れてしまった。何故ならゲートが残るから。そう、ゲートがある限り前提は職や出土品、掃除道具を使った戦いになる。まぁ、分解ロッドを棍棒と言われればその限りではないのだが・・・。


「考えたくもない未来ですが・・・、回復薬を作る関係上、それもまた想定しない訳にも行かないですからな。ただ、そこに正義はあると思いますかな?」


「ん〜、そもそも正義って1人で叫んでも成立しないものですからね。株と一緒で人気投票ですし。」


 1人で叫ぶのは正義ではなく主張である。2人いて相手に向かって叫ぶのは対話である。そして、対話をして相手が納得した時に初めて正義かもしれないものが生まれ、更には数を増やせれば多数の信じた正義が出来る。ただ、ここの段階になると最初に叫んだ人の正義はない。肥大化して人が集まった時点で解釈の違いが出て同じ事を叫びながら反対の方向を向く。世に言う一枚岩ではない状態で正義を叫ぼうとも、その中では金儲けしたい人や上に取り入って偉くなる・・・、指揮官になりたい人もいる。


 要は多数を納得させて人を集める為の装置が正義というキレイな言葉であり、正義の反対は正義ではなく他の主張。なので、意見が合わなければ話し合って解決すればいい。正義という言葉に踊らされるから相手を叩き潰さなければならないと思ってしまう。まぁ、叩き潰そうと思った時点で闘争心マシマシなのだが。


「でも、平和はコストがかかりますからな。みんな欲しがりますが維持するシステムは未だにない。戦争をやるならゲート内でどれだけモンスターを倒したかとか、どれだけ奥に行ったか。或いは、戦争したいならゲートに入って勝手に首を括ってもらいますかね。」


「それがいいですね。国連辺りが仕事をしてくれるのを祈りますよ。」


「そう言えば国連からのオファーが私にもありますが大株主殿はどう考えます?内容的には優先的な回復薬の販売や工場拡大の援助。技術提供等も盛り込まれていましたが。」


 名前貸すからガッツリと利権に絡ませろと言うオファーかな?確かにフラットな目で見ると工場拡大にしろ生産技術者の育成にしろ、物と人を提供してくれてその見返りにいくらかの権利を寄越せと言うのは当然の話だ。ただ、嫌なのは販売価格に口を出されたりする事。確かに国連に任せて人材を入れて各国に生産拠点を作ってしまえばスタンピードの備えにもなるし、腐っても国連と言う名前には国が加盟する以上、トップがあそこだとしても一定の信用がある。


 高槻の正義を言うなら今回のオファーは悪くない取引なら受けたいのだろう。確かに金も儲かっている。日本政府とも話せるし、米国にも拠点を作ってそろそろ稼働して生産数が上がる頃。タイミング的には次のステップに行ってもいいのだが、進む先的にどうするか迷っているのだろう。世界に羽ばたいて更に多くの人を救うのか、自身の手で救う範囲を広げながら主張を通すのか。


 多分、オファーを受ければ全くではないが高槻のやりたい事は自由に出来ない。協力体制だけならまだやりようはあるかもしれないが、一度交流すると次の話が持ち上がる。そして、話だけならばいいが個人の会社と国連では規模が違うので更に国連側を優先しろと言う言葉が飛んで来る。今割と自由に出来ているというのは日本スタンピードの功績や、大株主の名前がある所と言うのも考えているのだろうし、下手にオファーを受けると俺を引っ張り出そうとしないかという不安もあるのだろう。


「その辺りは松田さん案件ですね。ただ、どんな会社もそうですが大きくなればなるほど、上の叫ぶ理念は下には届きません。たとえ毎日社訓とか読ませようとも、立場が変われば結果は変わる。結局人は同方向は向けても同じモノなんて見れないんですよ。」


「ふむ・・・、増産を急いで売りつけますかな。薬の国内配備に余念がない。実際逮捕等でまだ大怪我したという話は聞きませんが、スィーパー相手の捕物劇となると大会を見た限りではリスクがね。」


「その辺りは帰ったら目は光らせておきますよ。政府としても警察にスィーパー特殊部隊を作りたいと赤峰さん達を引っ張っていってますからね。」


 と、そう言えば神志那にあれをお願いしなきゃならないんだった。物自体は簡単とは言わないが今の研修生から上がったお願いとしてスィーパー犯罪者を本部長裁量で裁く時に目安になるものが欲しいと言われた。ただ、これには前例がないのでどうしようかという所。本来なら捕まえたら略式にしろ何にしろ裁判などが開かれたりするのだが、裁量権を持つと言う事はそれをすっ飛ばせてそのまま執行出来る。青山はそれを勝手にやって・・・、そもそもあいつ本部長じゃねーし私刑じゃねーか!ま、まぁ?会話を聞こうとしてゲートに入る直前で肩に触れたという線もない訳ではでは・・・。やめよう。あいつを裁こうとして仮に底に置いてきても這い上がってきそうだし・・・。


 奉公する者が頭に来ていたせいであいつ自身のガチ犯罪者部分を忘れる所だった。しっかしどうするかな。結果だけならスパイとっ捕まえてゲートに放り込んでモンスターがそれを殺したと言う事になる。それも、捕まえた相手が犯罪者であると確信して。ん〜、下着泥の件もあるし今回はクローン作られなくてよかったと不問にしておこう。多分相手もスィーパーだったんだろうし。


「単色での点灯なのにそのイメージと言うか情報を流している。そして僕や神志那さんが分からないと言う事はやはり脳の最適化に伴って受信チャンネルが広がったと思いません?」


「私としては発光から消えるまでの時間や光の加減にも情報が含まれてると思うにぁ。単調に光っては消えると言うだけでソレをイメージ投影できるなら情報技術は革新して量子コンピュータも不要になるにゃ。まぁ、受信側の準備が整ってないから昔の地デジみたいにアンテナの更新やらが・・・、やっぱ私も51階層行く!最近腕立てして体力ついたし行く!そんでもって最適化されて情報を汲み取るのだー!藤っち!遥っち!サポート頼んだ!」


「いや、私も今日潜りだして今の到達階層=一番奥だし・・・。」


「拙者も今は36階層までもう少しと言った所でござるからなぁ・・・。その前に至られてはどうか?神志那女史や斉藤博士の見解として至らずに、下位のまま51階層へ行くのはやめた方がよいのでござろう?宮藤殿も見解は一緒でござるか?」


「自分としては行くも何も中位じゃないと36階層以降は普通に死ぬと思いますよ?下位の時にスパルタ教育されてると感じた時もありましたが、あれがなければ逆に危なかったとも思いますから。」


「え・・・、宮藤さんクロエから何されたの?ヤバい事しなかった?」


「模擬戦頼んだら殺されかけたとか、モンスター見かけたら必ず始末しろとか、後は・・・、自分は基本的に講師側だったので納得しましたが、退出なしの強行軍サバイバルは疲れましたね・・・。頭上は守ってくれましたが夜襲は日常茶飯事でクリアリングしても集まる時はすぐ集まって来ますから。因みに神志那さん腕立て伏せは何回ですか?」


「それ以外にも先生のデータ見ると下位で行っても最適化されないかな?頭の中身が変わってないと受信側の準備ががが・・・。腕立て伏せは脅威の10回をこの前マークしたにゃ!」


「それって走るところからなんじゃ・・・。私達もインナー作る前に軽く体動かしたり瞑想したりしてるし。結構体力って重要だよ?ないと踏ん張り効かないし。まぁ、忙しいとエナドリとかで済ましちゃう事もあるけどね。」


「物理的な問題が増えたにゃ!藤っちは至る前はぶーちゃんだったけどどうだったの?」


「拙者は割と動き回ってたでござるよ?ヲタ芸の為に踊りますれば、気温40度近い中で数時間立って並ぶ事もあった。人形を作成する為に数日間徹夜する事もござったな。まぁ、神志那女史や斉藤博士も好きならためらいなく出来るでござろう?」


「うっ!確かに好きなので出来ない事はないですけど、サラッと言われて出来るかどうか・・・。いや、スィーパーがイメージなら、そのイメージで出来るものをイメージすれば・・・。藤くん、全身作成って僕も出来ると思う?」


「それはどうでござろうな?拙者の場合何度も作った人形やフィギュアのパーツを変える感覚であったから出来たものの、斉藤博士なら血管がカーボンナノチューブとかになりそうでござるな。実際拙者も生身とは言えない身体のようでござるし。」


「そうなんですか?」


「うむ、自分の身体なのでいいでござるが、パーツ交換しようと思えば簡単に外せるでござる。こう、ポコンと。」


 藤が話していて指を引っこ抜いた。血は流れないし骨も見えないので不思議な感じだが、あれでも元にもどせば血液っぽいモノは流れているのだとか。子供も作ろうと思えば作れるらしいが、嫁達がいるので出産と言うよりは子供型の人形を作る事になりそうだ。


 まぁ、至った本人がそれで幸せならいいと思う。他人に迷惑かける訳でもないし、人形を作る事に問題がある訳でもない。因みに今は嫁達はいない。厳密に言えば指輪を家としてそこに帰っているのだとか。実際の家はワンルームから引っ越し大きな家に移って嫁含めて13人で生活しているのだとか。


 指輪から嫁達が出た時点で感情に同期されるのか、それぞれの嫁達に共有される。造形師の多くはマルチタスクが出来てそれを自分の作成物に割り振って動かせるらしいので、藤は少なくとも13個のタスクを同時進行できる聖徳太子もビックリな人間になり、魔術師:雷と言う事もありその思考は更に強化され、1人の人間でいながら13個の人格も完璧に制御しているとか。まぁ、人格の部分はピグマリオンのおかげだろう。嫁に振り分けた時点でロックして覗けないようにしたらしいし。


「神志那さんお願いが有るんですけどいいですか?プログラムと言うか、検索エンジンを作ってもらえませんか?」


「何の?簡単なものならいいよ〜。」


「スィーパーの犯罪者に対する裁量権、コレを分かりやすくする為の物です。何々したら何階層に送るとかね。」


「データくれたら検索エンジン作るにゃ。後は裁判はないからいいとして、その後の執行歴も貰えたら精度が上がるにゃ。」


「それは黒岩さんに頼みましょう。」


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[一言] 赤い国人達は何故か覇権が好きだから戦争は無くならないんじゃ? 国連機関は利害が異なる国がそれぞれ好き勝手喋ってさらにその背後で企業が自身の利益だけを考えるからろくな事にならんよね、食料系の…
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