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街中ダンジョン  作者: フィノ


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206話 閉会式 挿絵あり

 昼を挾んで一回戦目で青山がドロップアウト宣言して、ゲートに入って51階層までかっ飛んで武道館に空飛んで帰ってきて今ここ!何でだろう・・・、アイツと関わるとろくな事がない気がしてきた。そもそも、青山がまともに戦っていれば心労もなく、最後に本部長予定者を武道館に招いてお披露目して終了だったのに!映像的には可もなく不可もないものだったと思う。スィーパーとしては中層第一歩がセーフスペースと言うのは朗報だろう。そこに辿り着くまでに待ち伏せ、バックアタック、理不尽攻撃、等々のヤバさはあるが、それでも中層の初めがセーフスペースと言うのは、心のゆとりに繋がる。


「宮藤さんもこっち来ちゃいましたけど良かったんですか?」


「ええ、生徒の顔は見ておかないとですからね。昨日も見ましたけど、正式決定なのでしょう?自分達と違って手探りじゃなくてある程度戦闘スタイルも実力もある方達です。遅れを取る訳にも行きませんから。」


 宮藤の目が細められるが、生徒というより新たなライバルと言う感じなのだろうか?実際、座学面では法律関係含めかなり詰め込む事が多いが戦闘面では手解きと言うよりは助言役2号的な?実力や自己のスタイルがある分、長所を伸ばすのか何かを矯正するのかは腕の見せ所だろう。浦橋とか根は真面目そうだけど姿だけ見るとチンピラか鉄砲玉だし・・・。


 千代田の顔で慣れたけどやっぱり威圧感は凄い。その点、宮藤は元警官だしそう言う相手にも慣れてそうではある。まぁ、職的には盾師なので根性がひん曲がっていたら赤峰先生の筋肉授業でもしてもらおう。一応、政府が選考もしているのでそこまでおかしな経歴ではないと思うが・・・。


「まぁ、こっちにいる間はサポートしますよ。と、千代田さん何で青山に手錠して引き連れてるんですか?」


「51階層では上手く伝わりませんでしたか。会場は大丈夫、選手引率者の赤峰本部長に青山氏の確保を指示し確保成功。放送には雑音が入っていますが、完全版を配信サイトにアップする事で事を収めました。中層セーフスペース素材の確保もお願いしましたが、聞こえていなかったのでしょう?」


 出来る男千代田。こいつの方が奉公する者であって欲しいけど、ゲートに入ってないから間違いなく違う。そして、手錠に繋がれている青山は物凄くニコニコしている。犬なら千切れんばかりに尻尾を振ってそうだが、生憎ウチの飼い犬は鳴き声を上げる事もなければ尻尾なんてメトロノームみたいに一定間隔でしか振らないんだぜ。まぁ、モンスターに可愛げを求めるのが間違っている。やっぱり猫!ウチのにゃん太の方が絶対かわいいし良い子。


「生憎電波2本でしたからね。少しはありますがどうせ要人が欲しがったのでしょう?後日郵送するとでもして下さい、サンプルなので1つくらいですが。それと、50階層の音声は大丈夫でした?」


「そちらは大丈夫です。魔法の解説は思ったよりも反響が大きいようでした。後はお尻関連でもどよめきがありましたね。宮藤教導官は本部長殿のスカートの中を見たのではないか?とね。」


 千代田が苦笑している辺り割とその話も反響があったのだろう。そして、パンツじゃなくてお尻と言ったせいでもしかして俺はノーパンでウロウロしてると思われた?履いてる下着が遥作成のTバックなので覗かれるとパンツじゃなくて確かにお尻が見えるわけだが・・・。


「宮藤さん見ました?後、千代田さん私にノーパン疑惑とか出てないですよね?下着は着けてますからね?」


「なんてここで自分に悪魔の証明を求めてくるんですか・・・。講習会中に空飛んでればたまには・・・。」


「その疑惑は自分で否定して下さい。私には否定する材料がありません。」


 初期は仕方ないよなぁ。出来る限り服を破かないようにしていたが、インナーもなかった頃は破けても仕方ないし、刺又使わずに飛ぶ事もあった。そもそも宮藤は資料として昔の俺を知っているので大丈夫だろう。たまに知っているはずの橘が知らない方がよかったと嘆いているが知ったこっちゃない。


 それよりもノーパン疑惑の方が嫌だなぁ・・・。えっ!俺全世界に向けてパンツ履いてます宣言しなきゃいけないの?言っても信じないならスカート捲くらないといけないとか?イヤイヤ、流石にそれは頭おかしい奴の行動だろう!サラッと流してなかった事にするのが肝要か。


「待ってくれ!俺は見てない!はっ!優遇とはその・・・、スカートの中を見せてもらえる事・・・、なのか?」


「お巡りさんコイツです。」


「お巡りさん退職しています。」


「お巡りさんから専属ネゴシエーターにクラスチェンジしています。」


 ガッデム!こいつを合法的に社会から抹殺出来るところだったのに!いや、私人逮捕ならいける?発言的にはセクハラ発言なのかな?駄目だ!それをすると千代田もスカートの中発言してる!ここで青山だけ突き出してもアイツもしたと水掛け論にしかならない!寧ろ、奉仕刑とかに処しても普通に帰って来る。何ならこれくらいなら見てもいいのでは?とか言い出しかねない!


「ちょっと頭痛がしますが・・・、青山 空。貴方は奉公する者ですか?」


「はい!ファーストさんに尽くし、ファーストさんの為に生き、ファーストさんの為に散る予定の青山です。具体的には・・・。」


「はいストップ!千代田さん、宮藤さん込み入った話になるので個室を貸して下さい。ここからはちょっと高度な話になりますんで2人で話します。」


 一番嫌な奴が一番嫌なポジションにいやがる・・・。いや、どっちだ?人格は乗っ取れないという話だが、こいつの素はどこにある?乗っ取れないが洗脳はどうだ?頭の中で延々と同じ事をリピートされれば嫌でもそうなのかなと思い出す。寧ろ、洗脳されずにこの状態とか怖いを通り越して引く。


「我々では立ち会えないと?」


「そうですね・・・、個人的な問題なので今は拒否させていただきましょう。閉会式の時間は大丈夫ですか?」


 現状把握していない状態で大人数で話せばまた話がややこしくなる。今の所賢者と知って賢者と話したのは夏目だけ。魔女については職さえ明かしていないし、暗示で貫いているので知る由もない。これ以上ややこしくなったら収集がつかなくなるので、ここは断固として断るか閉会式後に何処かで落ち合って話すかな・・・。


「ふむ、割りと話し込んでしまったので更に長話となると厳しいですね。魔法については広範囲ビーム無効1つで要人には手を打ってもらっています。閉会式から握手会、その時実演して受け渡しの流れですが大丈夫ですか?お疲れでしたら後日配送でも大丈夫な様に話をつけますが。」


「いえ、さっさと済ませましょう。実演は放送して下さい。見るだけでもイメージは固めやすくなる。後、暇そうなら藤さんも呼んでください。彼にもこれは必要ですからね。・・・、宮藤さんも手伝えません?手分けすれば早いんですけど。」


「出来ない事はないですが誰も並ばない握手会になるので遠慮します。それに、自分の場合広範囲ビーム無効の精度は低いんですよね。対象1人ならいいですけど広範囲になると埃っぽくなってしまって。」


 灰で光を遮るイメージか。確かにそれだと埃っぽいし範囲を広げれば広げるほど視界も悪くなる。煙はまだいいけど物理的なモノを伴う弊害とでも言えばいいのかな?まぁ、会場に要人がどれくらいいるか知らないし、ジョージの様に物販会場に行って後から映像確認としている人も多いかもしれない。なにせ総当たり戦は1回戦で終わってしまったんだしね。まぁ、いない人の事はどうでもいい。必要なら後から送ればいいし、話を聞いてないなら渡さなくてもいい。


「分かりました。誰も並ばない握手会ほど寂しいものはないので1人でするとしましょう。選手ってもう来てますよね?青山がここにいるんですから。」


「ええ、その辺りは滞りなく。このまま閉会式に突入しても大丈夫ですか?」


「選手名読み上げはなし、挨拶と顔見せだけなら大丈夫ですね。何かを表彰するわけでもなければ何かを送るわけでもない。」


 一応全員名前は頭に入ってるけどうっかりミスは避けたいしな。それに疲れてもいるだろうし、早々に切り上げられるなら切り上げてしまって今後の説明等の時間に割り当てたい。そう言えば、海道さんの件があったな。最年少で住所不定なので身元引受人として宮藤が名乗りを上げた。感覚的には年の離れたお兄ちゃんとか?


 そんな事を考えながら武道館のステージへ。ゲートからそのままの格好だがまぁ、その方が行ってきた感はあるだろう。この3日で何回お色直しさせられたか・・・。当分着せ替え人形は勘弁して欲しい。ステージ上には新たな本部長になる予定の18人。誰も彼も強さや知略を示しここに立っている。最後の試合で消化不良感が選手達にはあるかも知れないが、それを手繰り寄せられる運もあったと笑い話にでもしてもらおう。そんな彼等の並ぶ中央へ。地位関係的には要人達の居るほうが正面なのだろう。マイクはそちらに添えてあるが、スタンドマイクで話すと選手達は俺は背中しか見えない。


「これより閉会式を行います。本大会開催委員長を務めたクロエ=ファースト本部長よりの言葉です。」


 さて、出てきたものの何を話そう?適当な激励は薄っぺらい。だって俺は観戦者側で戦っていないから。夢を語るには遅すぎる。既に彼等はゲートを旅するスィーパーでそれなりに奥に行っている。責任を話すには自由がない。仕事とプライベートは分けないとただただ要らぬ足の引っ張り合いになる。なら、何を話すのが妥当か?・・・、よし!別にカメラに向かって話すのは無事に終了しましたでいい。ならこれからその席に付く人達に話そう。スタンドからマイクを抜き取り選手達の方を向く。


  挿絵(By みてみん)


「Welcome to this crazy time!ようこそイカれた本部長の席へ。新たな本部長を私は歓迎します。ええ!歓迎しますとも!これから先、書類の山に埋もれ政府関係者を張り倒そうと思うくらい胃を痛め!犯罪者を見かけたら射殺さばかりに弾劾し糾弾し正式な罪ならゲート奉仕刑の為に奥へ放り込んで、自身のギルド所在地の安全と安心を守りながら、奥を目指して至る道を探す。そんな多忙極まりなく頭の痛くなる席へようこそ!


 貴方達はそれに成ろうと努力した。そして今、敗者の上に立ち明確にそれを掴み取った。綺麗事を話す時間は終わっています。ゲートに入るスィーパーなら死を覚悟するのは当然です。ただ、1つ言えるのは貴方達は長となる方達です。・・・、簡単には折れてくれるなよ?その死者の数に潰されてくれるなよ?そして、同じ本部長達を遠慮なく頼って欲しい。それが先輩としての勤めであり、後輩としての義務。」


 選手達は話を聞くうちに段々と顔色が悪くなってきたが、楽して稼げる仕事なんて早々ない。寧ろ、本部長よりも一般職員の方が現場レベルでは楽に走り回れる。それでも、本部長と言うモノに魅力を出すというのなら、文字通り一番未来を作れて死者の数を減らす事の出来る立場だと言う所だろうか?スィーパー達を束ねる長。それの持つ戦力と言うモノは計り知れない。さて選手達に話すのは終わったのでさっさと幕を引こう。


「3日間という長い間、関係者の方々には多大なるご尽力をいただき誠にありがとうございました。今大会が無事に終了できたのも皆様の助けがあってからだと考えています。これを持ちまして本部長選出戦を閉会とさせていただきます。本当にありがとうございました!」


 武道館は撮影スタッフと要人しかいないので拍手はない。チラリと脇を見ると千代田が両腕で◯を作っているのでこれで大丈夫だったのだろう。そう考えていると望田のアナウンスが入り選手は退場していくが魔術師もいるのでどうせなら見て行ってもらおう。


「選手の皆さんすいませんが、これから魔法の受け渡しを実演します。興味のある方は残られて下さい。無理強いはしません。」


 そう声をかけると魔術師達は残り・・・、全員残らなくてもいいんだが・・・。疲れているだろうし、何より魔術師じゃなければ貰うしか出来ないようなモノなのだが・・・。まぁ、見たいなら見てもらっていいか。別に邪魔でもないし。


「本部長殿!ささ!こちらへお掛けくだされ。宮藤殿の笑顔が怖いのでござるが?」


「藤君は取り敢えず画面の外にいようか?奥さん達を指輪に収納するならいいけど、したくないんでしょう?絵面が倒錯的過ぎてちょっと放送できない。」


 走ってきたイケメン藤は電力の無線供給がまだ出来ないせいか、奥さん達と手錠やら鎖やらで繋がっている。特に宮藤がアウトとしたのはリモコンの先のコードが奥さんに続いている所とか?まぁ、そういうプレイに見えなくもない。


「元デブ・・・、藤よぉ!俺にも作れよぉ!」


「おう・・・、本部長になったぞ。」


 取り敢えず持って来てくれた椅子に座りキセルを出してプカリ。藤の周りには嫁達がいるのだが、それに御堂と浦橋と宮藤が加わってなんとも言えないカオス。多分3次元でもイケる人は好きだと思う。チラリと鬼塚を見るが興味無さそうな顔をしているが・・・、目だけはチラチラ見ているよな?


「本部長殿、どうするのがいいのでござろうか?」


「一度見ているので邪魔にならない範囲にいるのがいいのでは?まぁ、藤さんはこの後の本部長研修会の方にも参加して下さい。どの道受ける事にはなるんですから。」


「その件は了解しておるよ。一般職員枠であると同時に生産者交流会にも呼ばれておるし、何より51階層がセーフスペースと言う事で高槻氏が叫んでおったよ・・・。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 兵藤なんかはモンスターの出す光線は全部レーザーという認識をすれば水蒸気で大幅減衰出来るな >少しはありますがどうせ要人が欲しがったのでしょう 中層に至る映像は見せたのだから後は自分達で、で…
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