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街中ダンジョン  作者: フィノ


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184話 それの価値 挿絵あり

 実際、急かされる様に中層へ行けば猶予はもらえるし、倒しまくれば溢れないのだろう。少ない手数を技術でカバーし、後続が育てば大勢は盤石になっていく。少なくとも溢れる以外でモンスターは外に出て来ないので、それが住みわけでありこちらが安全に対処する策を講じる場となる。前回は中層までしか出なかった。今回は中層以降も出たし、規模も上がっている。なら、少なくとも猶予は前回以上だろう。


「俺からも一点。ゲート内自衛隊基地の運用だが、正式に自衛官含めた駐留施設として稼働させ、それに伴って電波塔も増設予定だ。海外からも来れるのかは分からないが・・・。」


「来れますよ。朝方エマからこちらに来たと連絡を受けたました。詳しくは千代田さんからお願いします。」


「今朝ここに来る時に、ゲート周辺に駐留する公安から連絡を貰いました。内容としては米国から馬に乗って来てたどり着いた証明が欲しいと言う事です。証明品は料理人の半田氏の料理として、その味もしくは内容品で符号するとしました。行き来の時間は分かりませんが、帰還後に連絡を貰えれば概ねの時間はわかるでしょう。」


 地続き案件の最後の検証が完了したと思っていいかな?徒歩でどれくらいかかるかは分からない。話だけでは無理で、写真と話を合わせても詳細なイメージがないと迷う。中間で入ってある程度のイメージがないと中々来れない場所。駐屯地は次へ行くゲートの近くにラボと一緒にあるが、セーフスペースに入っても一旦探す所から始めないといけない。


 稀に人には出会えるけど、場所の秘匿性を考えると公にさえしなければ守りは強固かな。まぁ、偶然を未然に防ぐ方法はない。警衛は必要だし駐留施設にするなら、米軍はそこで訓練ないし仮拠点を作って合同中継基地にしてもいい。ただ、これは俺の案件ではなく大井や松田の案件だろう。いくら俺がそうすれば?と言っても、そこで問題が起これば責任を取るのは自衛隊であり国同士になる。


「来賓スペースと訓練施設を増設するか。国外でのスタンピード発生は確認された。訓練をさせろという要望も多ければ、中位の派遣要請も多い。表・・・、ゲート外で来日者を規制するならやっぱりそこになる。松田さんと黒岩さんはどう思う?」


「政府としてはその案が濃厚になるでしょう。国内で何かしら問題を起こされるよりはゲート内の方が対処はしやすい。上がった検証データでは入ったゲートに戻るとあるので、中で問題が発生したとしてもその国に即座に連絡すればゲート周辺、4km圏内に規制線を張れば捕縛も不可能ではないでしょうし、ゲート内は全て自己責任。勝手に奥に行って死亡したとしても我が国としては責任を負う必要がない。」


「警察側も同意見だろうな。国内は公安含めてピリ付きながら来日者を見ているが、政府が増員してくれた鑑定師がどうにかこうにか空港に配置できた。まぁ、そこで鑑定拒否した時点で国外退去になる。高官をどうする問題がまだあるが、そこは追跡者を張り付け警備させて対応するしか無い。実際、今度来る国連大使もその方法で警備すると通達した。中々面白かったぞ?その警備体制を蹴るなら国外で下っ端議員と会談になるって話だったからな。」


「仕方がないでしょう。如何に国連大使と言えど、今の状況で国内を荒らされては困りますからね。政府側の見解として、日本としては国際社会の一員として対話するとしましたが、クロエさんは一個人なので発言の撤回がない以上、公に会う理由がないと突っぱねました。いやぁ、増長する訳ではないですがモノが言えるのは素晴らしい。クロエさんも会いたくないでしょう?国連大使。」


「無言でコーヒーでも飲んですぐ退席するならいいですよ?それ以外に開く口はないですね。変に話しこめば言質を取られる可能性もありますから。そう言えば、講習会メンバーはいいとして、他に中位へ至れそうな人はいないんですか?」


 中位はよ!メンバー使い回しも限界があるぞ?今回の件で各国ともかなり騒がしい。テレビで見る限りではモンスター狩りを義務化しようという国もあるし、そこまでしなくても職に就く事を義務化しようと動く国もある。


 人が増えればそれだけ可能性増えてくるが、しかしそれに伴ってリスクも増える。人命問題は言わずもがな、設計図問題が深刻化する可能性が高い。これと言った対策方法がないので今の所は見守るしかない。


「警察側は聞かんな。そもそも職に就くのは推奨するが、ゲート内での内勤はない。」


「自衛隊側もまだ報告はない。ただ、面白そうな事は色々としてるみたいだな。」


「面白そうな事?」


「あぁ、そいつは空自の戦闘機パイロットなんだが、ガンナーの職に就いてる。で、そいつのイメージなんだが、自身は弾丸であり銃なんだと。それで、武器を腕に治癒師に結合して貰って、今は空挺降下しながら戦闘機出して操縦席に自分を撃ち込んで操縦したり、指先から霊丸だったか?そんな事を言いながら玉出したりしてる。これって中位に至る布石か?」


「いやぁ・・・、会ってないのでなんとも・・・。」


 早着替えの応用かな?まぁ、それはいいとして武器結合とかなにそれ怖い。確かに手に持っても指から玉は出るし、前にロケットパンチも動画で見た。しかし、結合まで行くと暴発とか大丈夫?埋め込みくらいなら指輪で引っ剥がせそうだけど・・・、本当のサイボーグはそこにいた?ま、まぁ、俺もコード吸い込んでるから人の事は言えないか・・・。キセルを取り出してプカリプカリ・・・。


「政府側としても報告はないですが、探す手立てはないですか?何かしらの指標でもいいのですが。」


「あぁ、それはエマと話して結論が出ました。『アナタの職はなんですか?』これを挨拶のように使ってください。意味は後で書面で渡します。黒岩さんと大井さんがスィーパーでないなら意味は知らない方がいいですね。」


 千代田は対等を得る為に職には就かないとしているし、話す分には問題ないだろう。残り2人はしらん。ただ、自衛を考えると偉くなるほど職に就いた方が安全かもしれない。最初の5階層を降りるのは絶対だとしても、日本の様に補助者を連れて潜れば絶対ではないがリスクは少ない。


 テロリストがいたとして、相手が全員スィーパーで警護対象が一般人だとすると逃げるにしても隠れるとしても、手札が少なすぎて逃げ切れない。逆に要人全員盾師なら仁王立ちで正面から来る銃弾をはたき落としている姿も見られるかも・・・。ジョージがアメリカンな笑い声を上げながら、グレネードを裏拳で殴り払う。シュールだが、可能ではあるんだよな・・・、何の職かそもそもスィーパーかは知らないけどさ。


「ありがたいですね。大会の合言葉として遅いですが、今からでも定着させましょう。一応、国内とスタンピードの報告はこれくらいとして、大会の話に移りましょうか。千代田君。」


「では私から。会場設営はほぼ終了。会場と言っても武道館は点検整備のみなので特に問題はありません。東京ドームの物販会場が設営終了したと認識してください。販売ブースについては当初、素材と写真集と賭け及び出土品等の販売としていましたが、松田さん・・・、政府から企業ブースを提案され協賛企業の開発品を販売及び展示します。


 ただ、大きさや収容人数の問題があるのでドーム周辺も含めて会場としました。また、販売品については地方との不平等感をなくす為、オンライン販売も視野に入れて政府特設サイトに写真集による一覧と各企業へのアクセスアドレス。素材についても同じ様に写真とナンバーを記載。払下げの出土品や武器も現地並びにHP対応としています。」


「千代田さん、それってサーバーダウンまっしぐらなんじゃ・・・。アクセス数は分かりませんが、企業まで巻き込むと相当な数でしょう?絶対繋がらなかったって言う批判が飛んできますよ?」


 コンサートのチケット取るだけでも人気歌手ならサーバーダウンするし、昔から電話が繋がらないなんて言うのもザラ。今回の大会規模と言うか、販売品を考えるとかなりアクセスはあるだろうし、そうなるとマシンパワーは相当必要。ただ、やると言うからには多分目処は立っているんだよな?


「その件は富岳を使います。それで足りない分はR・U・Rと同型の小型サーバーで補います。佐沼さん達と話し合いましたが、予想ではこれで捌き切れると判断しました。」


 ハイコンが出来てスパコン払い下げとか?その辺りは任せたので動き回ってくれたのだろう。しかし、前よりも規模は大きくなってるし、選出戦よりも物販の方がメインになっているような・・・。まぁ、資金集めの一環なので対応しきれるなら問題はないが、何と言うかコミケとかE3とか東京ゲームショーとかの祭り感覚だな。悪い事ではないが、選手そっちのけではないと思いたい。ただ、海外の人達からすれば日本の本部長よりも技術や素材に目が行っても仕方ない。


「警備体制はスィーパー警官の増員及び自衛官を配置。武器や出土品の支払いと引き渡しは後日、振込式で会場では武器や出土品は基本的に手に持てないようにしました。まぁ、どうしても使い勝手や大きさという面がついて回るので、海外の方が引き渡しを求める際は滞在ホテルで引き渡すか、直接企業に出向く形となります。それ以外は国内ならば宅配出来るでしょう。当然ながら、危険のないものは持って帰っていただきます。」


 確かに預けている武器をその場で渡すと危ないな。やはりカタログで見て決めるしかないか。後からいらないと言われたなら困るが、不用意な流出は防げる。物品が手元にあれば再販という形でギルドで販売してもいいし、損失そのモノは企業は別としてギルドにはない。寧ろ、企業ってなに売るの?出土品の払い下げや研究の認可は降りたから、何かは作ってるんだろうけど・・・。


「そう言えば、写真集第2弾を作りませんか?政府が全面的にバックアップした超豪華特装版的なものを。」


「嫌ですよ。なに考えてるんですか松田さん。あれは今回限りの客寄せ招き猫。そもそも資金が潤沢ならあんなもん作りません。エマに講習会の記念品として渡しましたが、それでもお国柄大丈夫?と、引取を提案したんですからね。」


「既に表紙が流出して各国から問い合わせが多いんですよ・・・。海外で販売しないのか?や、部数が少なすぎるのではないかと言ったね。元データは消去したのでしょう?」


「ええ、靴屋の方も含めて魔法が込められたモノは今の所ありません。仮にあるとすれば、講習会メンバーが持ってるかもしれない元データですが、それはコピーのコピーなので多分大丈夫でしょう。寧ろ、欲しがった人のリスト貰えません?年齢の公表は殆どしていないし、タバコ吸うから成人していたとしても、かなり危ない人の様な気がするんですが・・・。」


 ウィルソンも欲しがったので米国でサポートしてもらったお礼として渡したが、魔法が込められているとしてもそんなに欲しいかねぇ?ん〜、自分で自分の写真だから要らないと思うとか?本能的に美しいと思う物なら手元に置いておきたい的な?まぁ、よっぽどなにかない限り写真集なんてもう作らないし、話を聞く限りではどうにか完売出来そうだ。手元にまだ残りはあるが、わざわざわそれを出さなくてもいいだろう。


「要人等もいますので平にご容赦を。千代田君、当初の予定通り写真集の記載はHPから外します。ただ、デカデカと写真集は現地販売のみと記載しましょう。」


「それがいいでしょう。娘が毎日暇があれば見ているので、国外に出すのは私も怖い。1人1冊、海外持ち出し不可も一緒に記載して下さい。」


「お二人さん、来た要人が買ったらどうする?一応、完全非公式で仮面付けて来るのは聞いてるが・・・。」


 どこの誰が来るんだろう?各国の在日大使達は秋葉原の件で退去して、新しく来た大使は缶詰らしい。まぁ、らしいというのは警護要員と言う名の監視人が付けば外もうろうろ出来る。流石に大使館内は治外法権なので無理だが、外出の度に誰かに監視されているというのは中々クルものがあるだろう。


 そう言う俺も公安の影がチラホラと見え隠れするのだが・・・。そう考えると東海林は持ってるな。偶然とは言えインタビューに成功して、この前もバッチリ見つけてもらえる様に名刺掲げてたし。多分、今もどこかで張り込みながらチャンスを探しているのだろう。と、千代田と松田が『今それ聞いちゃう?』みたいな顔をしているが、もしかしてそのまますり抜けさせるつもりだった?・・・、はぁ、このワガママだけでいらん労力を強いるのも悪い。


 事の始まりは資金集めに煮詰まったのが始まりで、国連が設計図をアホみたいな金額で買ったのが悪い。国外だと既にエマとウィルソンが所有して米国にある状態で、今更国外不可は通用しないか・・・。まぁ、オンライン販売なしなら通用するだろう。わざわざわそれ目当てで会場に来る人はいないだろうし。


「大人なので我儘をやめます。買った時点で所有権はその人のもの。扱いは好きにさせてください。別に武器でも危険物でもないんですから。ただ、何日間やる予定か聞いていませんが地方から来る応援者の事も考えて全日で売れるようにしてくださいね?在庫が出たら引き取りますから。」


「だ、そうです松田さん。」


「・・・、クロエさん本当に在庫が出ると思いますか?」


「出るでしょう?国内最高販売数の倍はある数字ですよ?完売ならいい額になりますが、私は赤字だと思ってます。」


 そう言うと、千代田を含めた4人からため息が出る。いやいや、なんでため息?売れないという話をしているのであって、自信満々に絶対完売!とは言っていない。普通、ここは『残りを買い取ってもらえるならありがたいですね』辺りが妥当じゃない?


「商売人ではないので仕方ないでしょうが、新しい価値という言葉はどう思います?」


「新しい価値?まぁ、ゲート出土品は今までにない品なので、価格にしても取り扱いにしてもこれからルール構築がなされて行くでしょう。」


 出るモノにしても、作るものにしても用途次第では高額になる。前なら刀いるかと言われても刀剣マニアとかでない限り博物館で見て綺麗だなぁと思うくらいだったが、今なら鍛冶師の鍛えた剣だよ!と言われたら少なくとも剣士の職に就いた人なら少なからず金貨を積んで買うだろう。エアーガンだってそう、薬だって前なら風邪薬やら頭痛薬やら色々飲んでいたが、回復薬なら高額といえど、一本飲めば効果は出る。


 新しい価値はそんな、新しいモノに付随して出てくる新しいルールから生まれるものだろう。ただ、そこに写真集は含まれない。前に魔導書?と考えたが視線誘導だけでそんなに売れる訳がない。


「ええ、それだけではなく学校にしても医大に行く医大生と、治癒師に就いた人では知識が無くともイメージ次第では似たような医療行為が出来る。寧ろ、職の方が有用な場面さえある。そんな中で貴女の写真集ですよ?表にそんなに出ない、ポスター同様、買えば何かしらの魔法にかかったように惹きつけられ。それに、見ていても飽きずに安心感をもたらす。これは写真集としての価値だけではなく、貴女の写真という部分でも価値がある。最初、写真集を見た高官達の間には功労者への贈与品とする案や、最高位の受勲者に渡そうかという案もあったんですからね。」


 功労したら写真集貰えるよ?いる?いや、いらんだろ。ただ、松田が真剣に話し、他の面子も異議を唱えない辺りガチなの?えっ、前に松田が独り占めしたとか千代田が言ってたけど、取り返せなかったらそんなトロフィー的なモノになっていた・・・?それって既に黒歴史通り越して日本の汚点になるんじゃ・・・。


「いやいや、止めましょうそれは。流石にそんなモン渡したら日本人が変な目で見られる。」


「これを目にしても?」


 テーブルに出されたのは数枚の英字新聞。スタンピード後の日付から昨日までのもので、一社だけではなく複数社の物だが全部の1面は俺の写真・・・。パーティーの時のモノもあれば、ホテルでダラダラ泳いでいた時のものもある。いやさ、帰ってまだすぐだけど、帰ってきてファーストや、ホテルで泳いだ時間とかを書き漁ってどうするよ?


  挿絵(By みてみん)


「取り敢えず、写真は別にいいですがもっとこう・・・、1面にする記事はなかったんですかね・・・?」


「米国の国民が貴女の写真を欲しがっているという事です。我々と言うか、日本が貴女を外国に出したくなかった事の1つに毎回貴女を要請するのを辞めさせたかったと言うのもあれば、DNAを採取されてクローンを作られたくなかったというものもあります・・・。いいですか、これからの時代モノにも当然価値付随しますがそれと同じ様に、人にも明確に価値が付随します。それは権力等ではなく、本当にその人物が何が出来るのか?そういったモノに対する価値です。」


 知らん間に時代がレボリューションしてやがる。俺に価値を求めても、出せるものは何もない。強いて挙げるとするならば、私は糸を出して蚕になりたい。・・・、無理なんだろうな。


「自覚はないですが、自衛はしましょう。それで、物販はいいとして選手はどんな感じですか?」


「説明は全員終わりました。今は最終調整と言うかR・U・Rに慣れたり、他の選手を観察したりとしている所ですね。これと言った混乱もなくスムーズですよ。」


 松田達も頷くので問題はないのだろう。全員で150名。そこから足りない本部長を選出し各都道府県に配置すれば、晴れて俺は帰郷出来る。長かったがようやく終わりである。そう、終わりであり一区切り。奥へ行かないといけないので、道のりは長いが単身赴任生活が終わる目処が立つ。息子の卒業式はどうにか行けそうだな。まぁ、混乱を呼ばない為にもお忍びでと言う事になるが・・・。と、そう言えば既に情報は回っていると思うが一応出しておくか。


「本部長についてですが、井口さんがご懐妊した為任を解き副官としました。情報は回っているでしょう?グラマスとして決定事項としますのであしからず。」


「・・・、黒岩さんよ・・・。後でやっぱり面かせ。」


「待て大井さん!俺のせいじゃない!そもそも男女のそれを止めるわけにもいかんだろう!」


「分かってるがな、分かっちゃいるが送り出した娘が妊娠して帰ってきたら、祝いながら相手の父親殴るのが筋だろう!」


「俺は赤峰の父親じゃない!そして、お前も井口の親父じゃない!組織として仲良く出来たアピールに使うって決まっただろう。」


 仲がいいんだが悪いんだか・・・。まぁ、最初はパイの取り合いしてたしなぁ。まぁ、決定事項にちゃちゃ入れるわけでもないし仲良く喧嘩すればいいと思うよ?俺の知ったこっちゃないし。ただ、結婚式では上司(?)として挨拶とか頼まれてるんだよなぁ・・・。俺もそんな歳か。噛まないように気をつけよう。


「まぁまぁ、政府としてはそのベイビーに注目が集まってるんですよ?中位2人の子供と言うだけでも未知数なのに加えて、潤沢な回復薬使用。母子ともに健康とは連絡を受けていますが、DNAレベルでの変化はあるのかないのか・・・。」


「こらこら松田さん。モルモットの様に言わない。そもそも、子は親を選べないんです。変に期待しすぎて歪んでも悪いし、第一にその子は赤峰夫妻の子。私達は頼まれた時に抱っこするくらいしかしちゃいけないんです。千代田さんもこの人が変な事しようとしたら殴ってくださいね?」


「ええ、私も子を持つ父親です。前も殴りましたがおかしな事を目論んだら念入りに殴りましょう。」


 そんなこんなで会談も終わり、外に出ればもう夕方。途中で昼食を挟んだが割と話し込んだな。会談後は何時もの流れで高級料亭で飯食ってホテルへ。そう言えば、PCがないので意味を書いた書面を作るから貸してと頼んだらスマホのメールでいいと言われた。


 まぁ、普通に文書作るだけだし別に構わないか。ポチポチと入力しSMSで千代田に送り完了。今回は千代田とも酒を酌み交わしたので運転は黒服。ホテルに帰り着き、望田や遥と軽く飲んでいるとエマからLINEがあり内容は明日には日本に来るというものだった。


 ただ、同時にアライルが職に就いたらしいので、向こうは向こうで一悶着あったらしい。まぁ、日本まで馬で行って来いと言われたら流石に面倒だもんなぁ・・・。


「お父さん、魔法ってもらえる?」


「ん?なんの魔法?と、いうか何に使うの?」


「内容はなんでもいいけど実験かな?固定処理してアクセサリーに出来ればインナーとかと掛け合わせて防御力アップ出来ると思わない?刻印の防御力も加算出来ればさらにアップ。今回米国では服が全損する程のモンスターが出たんだし、やれる事はやっておきたい。」


 到頭魔法のアイテムか。昼間に新しい価値を話したが、確かに魔法やら素材やらを加工出来る人は外でも価値がついて回るよな。まぁ、前線の人間が無価値とは言わないし、寧ろ前線がなければ素材もないので宝の持ち腐れコースだ。


「分かった、ならビーム無効とかでいいだろう。取り敢えず6つ渡すから足りなかったら言いなさい。カオリ、デザインはどんなのがいい?」


「あら、私が貰っていいんですか?」


「私は後からでいいし最初は妻やカオリ、遥かエマにかなぁ。莉菜にも後でデザイン聞こ。そう言えば、色の希望は?」


「色が変えられるの?ん〜、最初は無難に白とか?望田さんは要望ある?試作品からだからそれなりに、時間かかるかもだけど。」


「そうですねぇ・・・、カフスタイプより思い切ってピアスの方が戦闘中外れない。或いはネックレスとか?と、言うか他の魔術師ってそれ出来るんですかね?」


「宮藤さんは出来る。炎の精霊っぽい兵士が出るやつを作れる。卓は苦手っぽいけど、兵藤さんは形に出来てるよ。」


 話す横で望田が悩んでいる。女性なのでやはりアクセサリーにはうるさいのだろう。似合う似合わないと言うのもあるし、色や形の好みもある。まぁ、俺の精神は勝手にキャンバスにされて綺麗な絵を描かれているが・・・。


「ん〜、私もそれできますかね?」


「イメージ次第とか?なにか込めたいものがあるの?」


「・・・、檻を・・・。今回の檻を込められれば私も一緒に前線に立てます。」


「そうか・・・、うん。一緒に考えよう。」


 そんな話をしながら飲み終わって床に就き、今晩も修復作業。完全回復迄にはもう少しかかりそうだが大丈夫だろう。


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[一言] ダンジョンを出入りするだけの蟻になってしまうと意味も答えも得られなくなる、ゆえに継続的な掃除には個体ごとの多様性を維持する必要があるのか? 物心ついた時からリングがあり、ゴミ箱へ入っていくの…
[一言] 謙虚も過ぎれば傲慢になるというやつですなぁ
[気になる点] >息子の卒業式はどうな上に行けそうだな。 誤字報告です
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