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街中ダンジョン  作者: フィノ


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165話 ペンタゴン侵入ナウ 挿絵あり

 ワシントン・ダレス空港到着。いや、うん。便にもよるけど今回は政府専用機と言う事で約15時間のフライトです・・・。米国は、と言うかワシントンは、と言った方がいいのだろうが、日本が冬ならワシントンも冬。ブラジルやオーストラリア辺りなら季節が真反対の可能性があるが、米国は同じ北半球の国なので、基本の季節は変わらない。もちろん、地域による変化はあるし今回の決戦の地モハーヴェ砂漠は暑い事は暑いが、冬なら雪が降る可能性もある。


 一昔前の戦なら天気は大切な要素だったが、さてはて今回はどうなのかな?基本的にスィーパーはゲート内という変化の乏しい場所でモンスターを倒している訳だが、格闘家とかは砂に足を取られないかという点も心配だ。まぁ、本当に広いので砂地でない所もあれば、多数のゴーストタウンもあるので、わざわざキャンプを作らずともそこを利用すれば簡易前線基地は作れる。まぁ、スマホのネット調べなので、行って実際に目で見るまではなんとも言えないか。


「米国到着後は私がエスコートするとしテ、日本からの指示はあるのカ?トランクと書類を渡されたようだったガ。」


「そうですね。手紙の内容的には日本からの正式な発表までは適当に遊んでいて良いそうです。発表については今回の2カ国首脳会談で決定される流れなので、概ね今日か明日には正式発表となるでしょう。その後、私の所在が暴露されて合流という流れです。総理は取り敢えず国賓待遇でザ・キタノ・ニューヨークに泊まるそうですが、私は特に指定がないので米国に任せるそうです。まぁ、総理と同じホテルに泊まるとマスコミがうるさいので、遊びに来たという話ならエマの家とかですかね?」


「アー、うン。私は国を出る時にアパートを解約していル。至るのはもっと時間がかかるものと考えいたのでナ。なのデ、家はなイ。宿泊先はウィルソンだよりだナ。まァ、打ち合わせがあるにしてモ、観光するくらいの時間が取れるなら米国を案内しよウ。」


 何も決まって無ければ適当なホテルとかに泊まるかな。いつか見たトレーラーハウスは多分実家とかだろうし。何はともあれウィルソンと合流してから話を進めないといけないが、空港に詰めている訳ではないだろう。政府専用機で飛んできたが、このタイミングで来たという事は、スタンピード関連の話し合いで総理が来たと思われているだろうし、その流れならマスコミが押し寄せている。飛行機から降りるの自体は魔法で姿を隠せば大丈夫だろうが、妙なリスクも抱えたくないので魔法で隠れていたとしてもメディアが去った後がいい。


「ホテルは分かりました。それで、合流はどこで?空港ではないでしょう?」


「予定としてはダラスからホワイトハウスまで車で約30分。指定駐車場に車があるのデ、それでワシントンに入り合流する予定ダ。」


「つまりは、車まで見つからずに移動できればいいと?」


「そうなル、一応SPも付く予定で発信機で追跡予定ダ。これなら多分、魔法で隠れていても追跡・・・出来るよナ?」


 どうなのだろう?人には、と言うかあくまで妻とウロウロする為に自身に使うようイメージを固めたものだしな。身体がイジれない以上、髪を染めるのも無理なら顔を化粧で変えるのも無理。相当厚塗りすればいけるが、それでも最初の頃に婦警さんにしてもらったメイクはゲート開通時には勝手に落ちていた。


 ん〜、極端な話をするなら、エマは見えていてもいい訳なのだから俺だけ隠れればいい。それなら多分、完全にロストすると言う事はないだろう。まぁ、車そのものを隠すと交通事故の可能性マシマシになるので、どの道車は隠せないしな。


「車は大丈夫でしょう。空港から車まで姿を隠し、その後車から到着連絡を入れればSPの追跡もできる。乗車したならエマだけ姿を現して、私はウィルソンさんと会うまで姿を隠しておくとしましょう。」


 そんな話をしているうちに総理の写真を撮る為に集まったマスコミが飛行機から離れ、総理の乗った車を追跡しだした。タイミング的にはここだろう。搭乗員からも降りるなら今というサインが来たようだし、飛行機のタラップが上がる前に滑走路へ。


 木枯らし舞う滑走路は飛行機しか無いので寒い。ついでに言うなら持ってきた服は冬服なんかもあるが、娘がくれた紅いドレスを着ている。黒は戦闘服と言うイメージが強いが紅は普段着用なのだろうか?仮にホテルでドレスコードを求められてもこれなら大丈夫だと思う。紅いドレスに黒いドレス、最後の一着はアラブ辺りをイメージしたような踊り子・・・。激励で踊って士気を高めろと言う事だろうか?ダンスとか学生時代に踊った以外覚えてない。寧ろ、踊らなくていいなら踊りたくない。


 そんな事を考えながらエマと手と手を繋いで、飛行機の運行状況を見ながら柵を飛び越えて駐車場へ向かう。ありがたい事にパスポートもビザもあるので密入国にはならない。まぁ、パスポートにクロエ=ファーストと、ガッツリ偽名が書かれていたが大丈夫だろうか?それに、観光ビザと卓越能力者ビザの両方が入っていたが、観光だけでも良かったのでは?卓越能力者ビザは芸能人とかが使うものなので、俺には関係ないと思うが・・・。


 その国にはその国の匂いがあると昔テレビで芸能人が話していたが、アメリカの匂いとはなんぞや?多分、今嗅いでいる排ガスの匂いなのかな?空港内なら人がごった返すので様々な国の匂いがすると思うが、現時点で言うなら駐車場なので排ガスの匂いオンリーである。そんな臭いを嗅ぎながら車に乗り込みワシントンへ。ただ、マスコミが集結していたせいか割と渋滞している。


「もうすぐハイウェイに乗ル。それなら120km/h出せるから窮屈はなイ。」


「了解です、2度目の海外が米国かぁ。修学旅行で中国行った以来だなぁ。やっぱり米国のハンバーガーは大きいんですか?前にネットで見た時は、ハンバーガーとコーラの缶が1BOXになったお弁当とかありましたけど。」


「あるにはあるガ、そんなものが食べたいのカ?必要ならハンバーガーくらいいくらでも準備させル。」


「それは観光のお楽しみです。そういえば吸っても?」


「どうせ借り物ダ。駄目とは言わんだろウ。」


 車の周りにいつの間にか四方を囲むように黒塗りゼダンが4台。これがSPなんだろう。発信機で位置は分かっているので、もしもの時の保険か。加速する車の窓を開けてプカリ。さっきエマが言った速度はとうの昔に過ぎた速度で突っ走りワシントンへ。結局待ち合わせはどこになるのだろう?ホワイトハウスかな?総理が会談していたら面倒なんだが。


「結局ウィルソンさんは何処にいるんですか?」


「ペンタゴンダ。ホワイトハウスよりはここから近イ。」


 そして到頭到着し、エマと車を降りて待つ。早う迎えこい。冬場で寒いんだよ。そんな事を思っているとエマのスマホが鳴り、姿を隠したままでいいので10分後に中に入ってくれとエマからのお達しが・・・。センサー類で俺が映るか調べたいのかな?寒いし待たされるし、やっと着いたと思えばこの仕打ち・・・。いいさ、ガチに隠れて前々から知りたかったモンスターの持ち出し方の情報でも調べよう。部屋も知らされていないのだから、見つけられるまでは好きにしていいんだろ?ペンタゴン探検ツアーとかやりたくてもなかなかできないし、楽しませてもらおう。


「さてと。時間はきたけど、どうせここもカメラで監視されてるよなぁ・・・。服は派手だし機械の目だし・・・。目隠し鬼に神隠し、現世の世界に彼岸の岸辺。肉体あろうとズレれば見えぬ。」


  挿絵(By みてみん)


 煙が立ち込め姿は隠れて、目隠しされればもう見えないだろう。カメラ?そこにないモノをどうやって映す?今の状態で言えば普通に触れる幽霊と言った所か。堂々と正面から誰かの出入りに乗じて入り込む。しかし、欧米人でかいな。日本でも人を見上げて話していたが、こちらは更に身長が高くなるので首が痛くなるな。まぁ、俺の方に手土産はないがアチラは情報をくれるらしい。分析して次に活かす為だろうし、本当に必要な機密情報は隠されているのでどれだけ取れるかは分からないけどね。


 人を避けぶつからないように歩いて色々な部屋を見て回る。英語は苦手。喋るの苦手、ヒアリングは出来るがそれも日常会話程度。でもまぁ、それをどうにかしてくれるのが賢者である。人の記憶を漁って読んで理解して、俺よりも俺の記憶を知っている賢者。そして、それは聞けば答えてくれるし、今もなお人の目を通して世界を見ている。


(賢者、行けるか?)


(君のいた所じゃない所の文字?大小で52個のパズル程度ならどうとでも。君の記憶で法則は分かるから、後は知らない単語?とかなければ読める・・・。いや、パズルなんだし組み立てればいいかな。君のいた所のパズルよりは簡単だけど、前提の知識量が足りない。まぁ、後で仕上げるとするよ。)


 コツコツと廊下を歩き適当に部屋の扉を片っ端からロック解除。入ろうが入るまいが関係ない。電気を扱えるなら家電を操作するくらい造作もないし、そもそも0と1の信号の羅列。賢者様々どんどんパズルを組み立ててもらおう。人は電気信号で動き脳もニューロンとシナプスの組み合わせである。なら、R・U・Rを体験した賢者が理解できない訳がない。


________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


ーside エマ ー


 前にウィルソンに私よりバカな奴が権力を持つ事があると言われて笑ったが、それは事実だったらしい。中に入りウィルソンの所に行けば、アライル局長も雁首揃え駐車場の映像を見ている。真紅のドレスに白い髪の少女は紛うことなきクロエで、キセルをプカリプカリと吸いながらスマホの時計を見ているようだ。


「どういう了見だ?彼女は気長な性格だが、不当な扱いには断固として対処するぞ?」


「あぁ、お帰りエマ大佐。怒りはしないだろう気軽な取引だよ。隠れて入れるなら書類を見放題。捕まえられればおしまいの鬼ごっこ。大佐、君は彼女がどこまで来ると思う?」


 穏やかな老人が目を輝かせて話す。馬鹿な事をする。書類程度で済めばいいが下手をすると、何をされるか分からない。流石に最高機密は移動してあるとしても、それ以外の情報を抜かれていいわけではない。クロエを信用しているが彼女は時に悪ふざけをする事があるのでひっそりと投了してくれるかは・・・。


「個人の私見としては丸裸だ。全部抜かれても言い訳はできない。それに客人だ。礼を尽くさないと何をされるか分からんぞ?彼女は中々面白おかしい性格をしているからな。」


「今の防衛が抜かれるなら、どの道新しい防衛方法を構築するしかないよ。我々は情報を。彼女は実技を。この機を逃せば何時本人から手酷くとも手解きを受けられるか分からないからね。」






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[一言] >大小で52個のパズル程度ならどうとでも 賢者なら未解読文字からでも一定のパターンが見いだせるのかな ヴォイニッチ手稿を見せてみたい
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