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街中ダンジョン  作者: フィノ


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158話 焼き鳥屋 挿絵有り

 夕方過ぎに始めた開封作業は21時頃に終了となり解散となった。そのまま帰ろうかなぁとも思ったが、久々に缶詰刑事が日向を歩いているので、たまには飲もうかと言う話になり千代田と神志那、橘と言う接点があるのかないのかよくわからないメンバーで飲む事となった。望田とエマは着いて来たそうにしていたが、明日の事や遥の講義予定を考えると先に戻ってもらった方がいいだろうと、送って行ってもらう事となった。


「それで、飲むのはいいですがどこにします?懐は激アツなので奢りでいいですよ?」


「あれだけ開ければそうなるでしょう?金貨だけで数十万枚、ピトー金貨が数百枚、その他にも設計図数枚に出土品。そのうち玉の輿狙いで後釜争いが勃発しますよ?」


「参戦するにゃ!養って?」


「神志那さん、あまり手足をバタつかせないでいただきたい。ハンドルは大丈夫ですが、車が揺れます。事故の確率を減らす為にも大人しく座ってください。今この車に乗っている人間は私を除き国の要人ですよ?」


 考えてみればそうだが、Sは要人として国が保護している。そして、橘にしても神志那にしても貴重な鑑定師。気軽に飲もうやと言ったが、乗員を見れば卒倒する人もいるのではなかろうか?例えば今の公安室長とか。まぁ、顔も知らんヤツの事を気遣っても仕方ない。


「要人はまぁ今更なのでいいですが、飲むのはどこでもいいんですか?要望が無ければ食べ放題の焼肉屋とかがいいですけど。」


 前に食べに行った焼肉屋に久々に顔を出して肉が食べたい。食べたいが、問題は神志那か。今日1日固形物食べてないので胃がびっくりしないか心配である。


「焼き鳥程度の軽いものにしませんか?今日の開封作業や選手達の相手で連日精神と胃を痛めています。今更言うのもなんですが、よくクロエはあのメンバーをまとめましたね。少なくとも様々な組織からアプローチないし、誘いはあったでしょう?」


 ハンドルを握った千代田が、店を提案しながらバックミラー越しにこちらを見る。まとめたと言うよりまとまらないと死ぬと言った方が正しい。腕っぷしで集めたからと、ガンガンゲートに放り込んで訓練場を目指したもんな。その過程で夏目は腕を待っていかれたし、そうでなくとも傷は深いぞ諦めろ!と言いたくなるような怪我をしたメンバーもいる。


 アプローチと言われれば夏目達のスキンシップが激しかったが、それ以外も一緒に買い物行こうと誘われたり、飲み行こうと誘われたり変わった所ではサングラスして俺の歌を聞けー!とカラオケで熱唱するヤツもいた。うん、そのセリフを言ってロックじゃなくて演歌を歌うなよ。妙にこぶしが効いて上手かったのは認めるが。姿を隠せるようになってから出歩く事が増えたが、それでも色々行ったな。


 特に他に提案もなかったので店は焼き鳥屋に決まり、千代田がハンドルを回す。耳に手を当てる仕草が見えたので、多分先に人払いをするか、中の客は偽装した警察官とかになるのだろう。まぁ、誰がいようと飲み食いするのには変わりない。今更護衛だらけの飲み屋は嫌だとは言わないしね。


「色々有りはしましたよ?でもまぁ、背中を預けて命を守りあった仲ですからね。私は助言役だったので後方から見る方が多かったですが、それでもゲート内でメンバー同士が戦う事もありましたし、それを仲裁する事もあった。


 でも、多分それでまとまったんでしょう。思惑があろうともスタートは一緒。なら、現代風に言えば、皆で手を繋いでゴールしても文句は言われない。」


 少し感傷的な気分になるが、冬のせいだろう。吸う事は了承されているので、キセルをプカリと吸うと吐いた煙は今度は白。何時もの煙より濃い白なので、まだ化粧はしているようだ。そのうちキセルの中身が虹色とかならないよな?伸ばせるし虹色になれば本当に魔法少女扱いされかねない。


 そんな俺の思いをよそに隣に座った橘は魂の抜けたような顔で、口を開いた。なんか知らんがコイツも参ってるのか?鑑定課の待遇を前に聞いた時にはそこまで悪くなかったと思ったけど・・・。まぁ、神志那含め面子は濃かったので、対人関係でも胃を痛めたとか?今は何人いるか知らないが、チアで激励した時は橘含めて4人。神志那が紅一点として愛憎劇があったとか?シェアハウスで生活しているようなものだし、昔見たワゴンで旅する番組ではカップルも生まれていた。


 何なら誰かが告白して『ちょっと待ったー!』的な事もありえる。頼めば色々用意してくれていたようだが、流石に警視庁から風俗デリバリーを頼む様な事はしなかっただろうし、違法ではないにしろスキャンダルチックではある。いや、婦警さんのコスプレさせて連れてくれば割と?


「私もそっちが良かった・・・、毎日鑑定して胃を痛めて、薬を飲んで鑑定して薬を飲んで、いつ寝たか忘れた頃に寝て起きて鑑定して・・・、私は拷問を受けていた?」


「その暮らしだと否定できないのがなんとも・・・。千代田さん、鑑定課の待遇ってそんなに悪かったんですか?前にホテルで泳いでた時も愚痴ってましたけど。」


「橘警視正は出世もしましたし部下もいます。必要なモノは基本的に余程無理でない限り用意しましたし、仕事のペースは任せていたと聞いていますね。」


「橘さんは私達のケツ持ちぃ〜。出土品で遊んだ始末は橘さんが取るから末永く居てもらわないと困るにぁ。この前もモザと遊んでたらレーザーが乱反射しまくって部屋が穴だらけになった。あれは正直すまんかったと思ってる。」


 神志那がおどけて言うが、どう考えても彼女達が原因だろう・・・。出土品で遊ぶとかそれこそ鑑定師くらいしかやらないだろうが、鑑定師ならやっていいと言うモノでもない。寧ろ、壁で済んで御の字か?使いこなせているなら、そこまで危険はないと思いたいし、現に体力もなく、多分運動神経も切れているだろう神志那のルンバライディングは上手かった。


 あれを使いこなせていると、そう取るなら下手な事は起きないと思うが、出土品自体が独特過ぎて斜め上に飛んでいかないとも限らない。そんな事を考える俺に出来ることと言えば・・・。


「強く生きてください。」


「肩を叩きながら言うくらいなら私を連れ出してください。今でこそ私の精神も図太くなりましたが、それでも外を羽ばたく小鳥を見て羨ましく思う事もあるんですからね!」


「橘警視正、それぞれの領分です。クロエはゲートに潜る。私は本部長代理として大会運営を行う。神志那さんは鑑定する。なら、橘警視正は責任を持って鑑定課を運営する。実際、橘警視正も本部長となり、他の本部長達が判別できない出土品等を引き受けると共に、警察側の調整役となると通達があったでは有りませんか?」


「なら、その権限で全員警官をゲートにぶち込みましょうかねぇ。鑑識辺りなら鑑定師が出てもおかしくない。確率と適正の問題はありますが、数撃ちゃ当たる。」


「まぁまぁ橘さん。今日は飲みましょう付き合いますから。」


「私はドクペあればいいにゃぁ。橘さんにもついであげる。」


「ドクペがあるかは分かりませんが、店につきましたよ。」


 千代田が車を停めたのは古めかしい焼き鳥屋。外まで香る鶏油の焼けた香りは否応なしにも鼻を刺激して、ないはずの胃が食わせろと叫んでいるような感覚に襲われる。木枯らし舞う中、この香りは拷問だろう。一串目をタレにするか塩にするか?それが命題だ。


「顔は晒しても?」


「大丈夫です。感づいてはいたでしょう?」


「まぁ、地元に帰ってからもこっちに戻ってからも最近人によく見つかりますから一応ね。ささっ、橘さんも降りて入りましょう。何なら手をつなぎましょうか?」


 そう言って手を差し出すと何処か嬉しそうに手を取ってくる。ゲートに入る時もてをつなぐし今更だろう。そもそも、最初にゲートに人を連れて入った時も橘と手を繋いでいたのだし。


「なら、私が反対を繋いで両手に花の出来上がりだにゃぁ。」


「私はお邪魔虫様なので後はごゆるりと。代金は気にせず好きにやって下さい。」


「なに寂しい事言ってるんですか。何気に千代田さんと飲むのはこれが初めてですよ?あれだけ会議してるんです、今更ドロンはなしです。」


 車は橘が指輪に収納して店の中へ。外まで漂っていた香ばしい香りは扉を開くとより濃厚になり、更にパチリッパチリッと炭に落ちた油の弾ける音が食欲をそそる。辺りを見回すと割と客はいるが、誰もコチラを見ない事を考えると、やはりサラリーマンに扮した警察官なのだろう。焼き鳥は食べているが、飲んでいるのは烏龍茶や日本酒の様に見せかけた水。店内から酒精が感じられないので間違いはないと思う。しかし、旨そうな焼き鳥を目の前に烏龍茶と水では拷問ではなかろうか?


 まぁ、下戸の人もいるし一概にそうとは言えないが、それでも飲める人間からすると、かなりもったいないシュチュエーションだろう。ご苦労な事だが、帰った後にでも存分に楽しんでもらいたい。何処に座ろうかとあたりを見るが、2人掛けや3人掛けはあるが、4人掛けのテーブルは1つしかなく、初めからそこに座るよう仕向けられていたのではなかろうか?


 不自然な自然さとでも言えばいいのか、仮に俺が今の姿にならずにこの店に入ったなら、何も疑問に思わず席について飲み食いしていただろう。まぁ、その場合俺は一般人なので先ほど感じたような事も、先ずありえないと切って捨てて何も考えずに座って飲み食いする。飯食う時まで頭を働かせなくてよろしい。必要なのは味覚と嗅覚と視覚だ。


「らっしゃい、何を焼きましょう?」


「適当な串盛を何皿か。あと、飲み物は決まったら注文します。」


 そう返すと大将は適当に串を焼き出した。さて、飲物と言っても決まってないのは後2人。ドクペがあるかは分からないが、ないなら適当な炭酸でいいだろう。


「私はハンドルキーパーでもあるので烏龍茶で。」


「代行もあるのに飲まないんですか?」


「下戸ではないですが、クロエ達を送るのも仕事のうちですからね。酒は思考も身体も鈍らせる。次は先に言っていただければ飲むようにします。」


 お硬い事だが仕方ない。まさか仕事をするなとも言えないし、本人の意思で飲まないのならそこまで進める事もしない。アルハラだめ、絶対。そんな事を思いながらハイボールと橘のビール。ドクペはなかったのでコーラと烏龍茶を頼んで、最初の串盛りと飲み物が運ばれてきて乾杯。外は寒いが中は暖房も効いているので、冷えたハイボールと焼鳥が旨い。


「それで、選手達はどんな感じなんですか?」


「個性的といえば個性的ですね。人の上に立つ資質があるかは分かりませんが、説明会もほぼ終わり選手達はR・U・Rに慣れようとしている所です。日数的にはもう開催まで一月を切っています。ギリギリに来てぼちぼち慣れるもよし、最初に説明を受けた組のように、目をギラつかせて本部長の座を狙うもよし。まぁ、本部長の椅子に座るにしても、権利を得た後に勉強会は開かれます。庁舎建設完了までの少ない期間ですが、それでも覚える事は多い。」


 烏龍茶で口を湿らせながら千代田が話す。法律に運営にスタンピードの対処打ち合わせ。軽く考えても頭の痛くなる話だ。中間組織なので何かと呼ばれる事は多い。まぁ、毎回本部長が呼ばれるという訳でもないが、それでも責任者なので色々と判断は下さないといけない。当然といえば当然だが、そちらの方面も頑張ってもらい不安が残るなら優秀な副官を置くか、秋葉原の生存者達に頑張ってもらおう。まるっと身請けした彼等は、ゲートに入る入らないは別として事務方にするには十分なほど勉強してくれている。


「当日、私も含めて警備する私達も、その辺りは見極めるとしましょう。何かあれば肩を並べて顔を突き合わせる仲になる。誰がいい悪いとは言いませんが、性格の合う合わないはありますからね。神志那君も頼むよ、当日は五十嵐君含めて人員管理は私達の肩にかかっている。」


「橘さん私は体力がないから、こたつでみかんを食べながら観戦したいにゃぁ。それが駄目なら巡回とかはしたくない。」


「しれっと楽をしようとしない。私だって当日は観戦者に回りたいんですからね!政府に届け出のないSを見つけたら登録もさせないといけないし、鑑定師がいればこちらに引きずり込む、新しい鑑定師が来れば君を教育係に任命する。」


「おうぼー!横暴だにゃ!私は猫みたいに気分転換に鑑定するような生活がしたいにゃ!」


 橘と神志那がわーきゃー言い合っている。所属したいかは別として中々楽しそうな職場だ。ついでに言えば部下の立場なら好き放題出来る。まぁ、今を放り出す気はないが、隠居する歳になったらそのあたりも考えよう。働いて余生を妻や子供達と過ごす。姿は変わらないが、それくらいの幸せは許されるだろう。


「人に聞くばかりですが、クロエはどうなんです?何かしらの面白い話はないんですか?私もどうにかこうにか40階層付近までは足を運びましたけど。」


「面白い話・・・、ゲートを色々と検証はしてますけどねぇ。モンスターを倒して死にかけるとか、ドジって死にかけるとかそんな話ばかりですよ。危うくこの前は首なしライダーになるところでした。」


「それは、面白いんじゃなくて背筋が凍る話です。私より自由に飛び回ってるんですから、なにかあるでしょう?インタビューも受けてたみたいですし。」


 ビールを飲んで焼き鳥を食べた橘がコチラに話を振ってくる。神志那は串から焼き鳥を外してチマチマと箸で食べているが、胃の方は大丈夫な様だ。しかし、面白い話ねぇ。最近で言えば風変わりな人形師に出会ったくらいか?神志那達と波長は合いそうだが、結局彼が何者かはわからない。まぁ、あれだけ綺麗な人形を作れるなら、そっち方面では有名かもしれないな。


「ゲート関連は後でまとめて書類で質問事項を飛ばすとして。風変わりな人形師に会った事や、ストーカー被害をそろそろ訴えようかと考えたりしてる事。後は・・・、地元に戻って本部庁舎内を見学したくらいですね。橘さん、地元はかなり発展しましたよ。」


 そう言うと、橘は静かに目を閉じる。多分、昔と言わずとも離れてから久しい町並みを夢想しているのだろう。なんだかんだで缶詰にされた橘は地元に帰れていない。どこかで一旦帰れればいいが、そこはもう組織の話になるので、俺からは言い出しづらい。


「クロエ、地元はいいとしてストーカーですか?必要なら対処しますが。相手は分かりますか?」


 千代田の目がスッと細められるが、お願いした所でまともに対処出来るとも思えないんだよなぁ・・・。面倒なヤツだが、実力もあるし俺からは別として人望がないわけでもない。寧ろ、このまま本部長になってくれたら合法的に遠くへ行ってもらえる。


「気持ちだけ受け取りましょう。千代田さん達が対処したら下手すると再起不能者が続出するかもしれません。青山 空、聞き覚えはありませんか?」


「確か・・・、選手でしたね。彼がストーカーであると?」


「ええ、あれがストーカーでなければ、私はストーカーと言うモノを知らないと言う事になるくらいストーカーです。実害は私の精神がすり減るくらいなので放っています。寧ろ、本部長になったら合法的に遠くへ送れるので手出しは無用ですよ?」


 悪い人ではないよ?多分、きっと。ただ、人の妻を取ろうとしたり、俺に毎度付き合おう、結婚しようと言ってくるのはいただけない。残念な事にお前の入る隙間は1ミリたりともない。なので、参加すれば合法的に飛ばせるのだよ!ただ、やり手のスィーパーが人員整理状態で配置換えになると、混乱が起こるとも予想されるので、その辺りも何かしらの対策をしないとな・・・。


「クロニャンストーカー多そうだもんね。世界中に多分いるのだ。写真集のボツは世界を駆け巡りまくり〜。」


「その美貌に強さを加味すれば誰でも夢中になる。言動も実際会えば普通で、割と義理堅い。変な言い方をすれば、女性の嫌う女性の部分と、男性の嫌う女性の部分がほぼない。まぁ、何も知らずに会いたかったですけど、知らなかったら会える訳もないので、おちょくって遊ぶくらいにします。」


「それじゃアニマ・アニムス。理想を抱いて溺死するにゃ。」


 ビールをどんどん飲んでいるが、顔色が変わらないので酔っているのかどうなのか判断がつかない。お酌をするがまぁ、同じ九州男児だしあの程度で酔うとも思えない。酔うなら焼酎かウイスキーを飲みだしてからだろう。横の神志那はアニマと言っていたが、ここでもユング先生。まだまぁ、昔のおっさんの俺を知りたくなかったと嘆く橘には面白い話がある。


「橘さん面白い話を今思いつきました。過去の私は写真含めてほぼ抹消されているので、これから会う人の真は今の私ですよ?良かったですね、記憶をいじれば何も知らずに白痴無垢で私に会えますよスクリプター。そうなのでしょう?千代田さん。」


「クロエの過去は念入りに改変され、虚構と現実が入り混じってそれこそ一流の作家が書いたミステリー物の様になっています。写真もほぼ過去の物はなく、あるのはディープフェイクを更に突き詰めたようなもの。いい機会です、目で見ただけで偽物とわかりますか?」


 そう言うと写真を取り出し机に置くが、何時もこれ持ち歩いてるの?千代田はスィーパーじゃないので指輪は持っていない。仕事の資料と取ればいいのだが、知らない奥さんからすれば夫がやべぇ奴になったと思っても仕方ないような・・・。


  挿絵(By みてみん)


「見た感じでは似ていますね、でもそこまでとしか感じない。」


「よくできた偽物にゃ。技術の進歩は認めるけどまだまだにゃ。」


 幼少から大人?までの4枚の写真。何やら反抗期があったんだなぁ。と思うようなものもある。基本的に1人での立ち姿だが、よくもまあ作ったものだ。一時期ディープフェイクはニュースも騒がせていたがよくもまぁ作る。ただ、確かに鏡で見る顔と何が違う気がするし、ポスターや写真集の写真でも違う。


「ふむ・・・、クロエ。これを魔法で加工や本人の様に見せる事は可能ですか?」


「ん〜、不可能ではないと思いますけど、成功の確証もないです。単純明快にこのままネットに流せばいいじゃないですか。架空の古い友人とか名乗って。そうすれば誤情報流し放題ですよ?何なら、ちょうどいい事に専属の記者もいます。彼女に私が昔の写真とでも言って手渡せばいい。」


「よくもまぁ思いつく。後で数枚渡すのでその様に取り計らってもらえますか?」


「いいですよ。ただ、東海林さんには私を発見できたらインタビューしていいと言ってあるので、渡すのはその時ですね。逆に行きつけのコンビニに行けば見つけてくれそうですが・・・。」


 ただ、あのコンビニトンコツラーメンが最近売り切れてるんだよなぁ〜。どこから生まれたジンクスか知らんけど、トンコツラーメンを手に取る時、誰もいないのに手が触れたなら、それはファーストかもしれないという妙なジンクス。心当たりしかないが、当たった所でそこに俺がいなければ意味はない。


「誤情報としてはいいですね。完全にノーマークの所から流れるなら精査に時間はかかり、探った先も貴女なら疑念は拭えませんが否定もできない。」


 そんな話をしながら夜は過ぎ、宴もたけなわで飲み会も終了。千代田は宣言通り酒を飲まなかったので、ハンドルキーパーとして車を運転して送ってくれた。ただ、割と橘が飲みまくっていたが、明日は大丈夫だろうか?合流する所まで歩みを進めると言っていたが。


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[気になる点] 橘と言う【接面】があるのかないのかよくわからないメンバーで飲む事となった。 接点or面識?
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