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街中ダンジョン  作者: フィノ


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142話 任せて大丈夫かな?

 叫ぶ声はドップラー効果で間延びしていく。そして、間延びした声は尾を引き後ろの望田やエマに聞こえ、それを頼りに追ってくる。訓練がてら道中は任せたから、出来るだけ無傷で回したい。回したいけど、この駄馬!モンスター見えてないの!?下手したら接触してお互いミンチ案件だぞ!極細レーザーカッターが首を刎ねようと半ばまで進む。ふざけんな!痛いのは痛いんだよバカ!先に馬の首を刎ねるなら分かるけど、ピンポイントで狙ってくるなよ!


 危ないので!出したモンスターをさっさと串刺しにして処分する。・・・、刻印も巻き戻りで消去されるのでこういう対処しかないのだが、普通なら首なしライダーよろしく死んでいる。煙で屈折率をいじって無効化するか。2人に先に死なれても事だ。イメージとしては木漏れ日、これなら暖かい程度で済むし木漏れ日の原理は葉と葉の隙間が天然のレンズになって光を集め、太陽の形を反転させて地面に映し出す自然現象なので煙でいじりやすい。まぁ、レンズではなく単純に屈折させて透過率をいじるだけだが。


 他の人が馬を使わないのはこれが理由か。車より速度は出てるし目的地には連れて行ってくれるけど、攻撃を察知できないと死ぬ。盾師先行ならいいけどそうでないなら、探知出来ても躱せないし死は限りなく近くなる。首は半分近く斬られたしな。まぁ、それで思考停止しなくて良かった。


「このまま前の守りは任せて!」


「いいですけど大丈夫ですか!?」


「雑魚の攻撃が厳しいゾー!」


「突破です!止まるんじゃねぇーぞですよー!」


 普通に移動すればそこまでないけど、徒歩だと絶対に迷うから仕方ない。ビームにカッター、打撃に斬撃と攻撃のオンパレードに宮藤が言っていた霧が纏わりついて更にウザい!いや、普通ならウザと思う前に死んでいるのだ。駄賃だと思って受け入れよう。速度と状況にさえ慣れれば、容易とは言わないが対処はできるのだし。


 通り過ぎる背後で望田とエマはどんどん爆破しているようだが、今は前に集中して進んでいく。そして、どれ程かわからない程進んだ頃にようやく墜落機に到着した。周囲は前と変わらず残骸がころがっているが荒らされた様子はない。まぁ、元々ボロボロなので形跡もなにもないのだが。


「これが目標なのカ?巨大だが何もないように見えるガ?」


「元は周りに箱が散乱してこの光る箱があったんですよ。前は箱とこのフライトレコーダー的なモノを回収しましたが、今回は根こそぎ持っていきます。」


 人が作るモノならある程度、規格やら形やらと見慣れたものが出てくるのだろうが、ソーツのモノは作りたいから作ると言う感じで似てはいても同じモノはほぼない。例外と言えば薬や初期の武器くらいだろうか?それでも、大なり小なりの違いはある。例えば武芸の玉は、橘が出したものは本当に球体だったが、他の鑑定師は箱型だったり、鑑定に特化したのかそもそも玉ではなくモノクルだったりとバリエーション豊かだ。因みに、モノクルからはレーザーが撃てるらしい。


「これが入る指輪は凄いですね。本当にこの指輪が最大級の成功作品なんじゃないですか?」


「私もそう思う。人の歴史に輸送は切っても切り離せないからね。シルクを運ぶ為にシルクロードは出来たし、スパイスを求めて海路は発展した。それを考えるとねぇ。」


 確かに荷物持ち運ぶ物くれと言って貰った指輪は実害もなく、容量も指定はないし、大きさも残骸の輸送機が丸々1機、それ以外を言うなら戦闘ヘリとかも入る。寧ろ、整理できてないので更に中には色々入っている。それでも容量の限界が来ないのは空間をイジっているからだろう。そのうちこの技術も扱えるようになるのだろうか?


「シルクもスパイスもいいとして回収が済んだなら先を急ごウ。宮藤達とは3階層分の差があル。いくら急ごうとも中々埋まらないだろウ。」


 エマが急かすので近くにあったゲートから次の階層へ。平地が目立つようになってきているので進みやすいが、発見もされやすい。ゲートを潜ってからの襲撃は定番となり、ゲートの周りにはモンスターが多い。そして、駄々を捏ねる魔女も定番か。コイツが教えてくれたから、スタンピード対策の為に奥へ向かいながら望田とエマのイメージを鍛えているのに、その魔女がモンスターを倒させろと煩い。手本となるようなモノがあるならいいが、ないなら少し大人しくして欲しいものだ。


(やらせてあげなよ。檻にしても爆破にしてもイメージがない訳でもないし。)


(対応する用意があると?悪いがスタンピードは人にとって遊びでもなければ、余裕ぶっこいて片手間で対処できるものでもない。何かしらの手本と成れるなら任せるのも吝かじゃないが、あまりかけ離れたモノでは困る。)


(大丈夫よ?要は閉じ込めてモンスターを倒せばいいのでしょう?なら、いくらでもあるわぁ。)


 さっき失敗したばかりなのでやらせたくないが・・・、あの失敗は魔女や賢者ではなく俺の失敗。なら、俺の方のイメージ作りの為にも任せてみるか。足りないならこちらから要請して変更すればいいし。 


(分かった。ただし、イメージが悪いと言うか、こちらが思っているモノと違うならすぐに辞めさせる。)


(ええ、退屈よりはマシね。)


 魔女に身体を明け渡して見る方に務める。さてはて、何を出してくれるかな?閉じ込めて倒すと言うならアイアン・メイデンとか?倒すと言うよりは血抜きの拷問具だが、確かに包みこんで倒してくれる。罠という分類かは悩む所だがゲームでも割とメジャーに出てくるし、叩き込んで閉まると言う観点なら、ベアトラップと変わりない。しかし、それだと範囲がなぁ・・・。


「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい?コレから少し大きなモノを見せてあげる。2人共?空の鍋を炊きましょう?」


「それはありがたいですけど、前の柏手の時みたいに1回きりですか?それも今考えれば複合イメージですよね?」


「カオリ、見せてくれると言うなら見よウ。モノを知りモノを見ればイメージは作りやすくなル。まぁ、それが応用できるかは別としてだガ・・・。」


 柏手か。魔を祓うためにやってみせたが、2回目は見せていなかったな。まぁ、望田なら歌人よろしく歌を歌いながら歩いた方が早い気がする。歌というものはそもそも願いや信仰を載せて人が奏でるモノ。元々思いのイメージが乗りやすいので、周囲に聞かせる事が出来れば守りにも攻撃にも使いやすいだろう。檻をイメージ出来る歌があるかは知らないが、探せばなにかあるだろう。なにせ防人の歌と言う歌があるくらいだし。


「大丈夫よ?どのイメージをベースにして拡張するかで出来る事が変わるだけだから、見て考えれば済む話。さぁ、イメージしましょうか!虚ろに有りて今ここに、楯突く罪人一歩前、あぁ!チリ1つ逃さない!」

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