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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 手を組む2人 38

 挿絵(By みてみん)


「彼女が過激なのか?それもとこの星の原生生物、人間が過激なのか?君はどう思う?」


「さぁ?ただ、溢れる警告をして、よし自爆しようってなる?」


「理解に苦しむけど、性能テストは大事だよ。」


「そのテストでなくなったら元も子もないじゃない。信頼しての行動なら、その信頼で提示された性能を信じればいいのに。」


「君がブスくれるのは中々珍しい。遊んでいる間にこんな事になって驚いてるのかな?」


「まさか自分からピチュるなんて普通は思わないわよ。」


「君から普通なんて言葉が出るとは・・・、喜ばしい。最もこれは無駄な行動だけどね。既に中身はなく、あるのは動く檻とその操縦者。フルスクラッチで創られたから性能は折り紙付き。そもそも、何も無いものを封入してるんだから、ないものはなくならない。」


「だから私達は未来永劫ここにいる。でも、溢れるの早すぎないかしら?一応、一度溢れたらそれなりに猶予があるんじゃなくって?」


「未熟過ぎて出すにしても少しお漏らし程度だったからね。表面張力にも満たない上澄み、たまたまコップに着いた泡が浮かび上がって弾けた程度。古く古くを思い出せば、中層だったかな?その仕切がある部分くらいまでならすべて出す。そうでもしないとすぐ貯まるからね。」


「嫌ねぇ、ゴミ溜めで暮らすなんてまっぴらよ。」


「それには同意する。でも、次も少しだね。数がいても質がない。泡よりは多い程度は出るけどまだまだだ。彼女が中層を平らげる気なら話は変わるけど、そこまでの実力はない。」


「いくら上でも反旗を翻そうかしら?使って使われて混じり合って溶け合って、境界がなくなれば同じモノ。ただ、私の成分が増えて彼女の成分がほぼ無くなるだけ。」


「ん〜、やめてくれる?僕が忙しくなる。それに君じゃ無理だ。」


「?、そんな事はないわよ?」


「いや、無理だ。賢者として断言しよう。」


「えらく肩を持つわね。眼しかない賢者様?」


「そう言う君は感覚だけだろうに・・・。でもまぁ、君は迂闊だ。その迂闊さが君の首を刎ねた。」


「嫌な言い方ねぇ。失敗(・・)したと言うの?誰でもない貴方が、賢者が失敗したと断定する程の失敗をこの私が!」


「はははっ・・・。うんうん気付かなければ失敗じゃないけど、君は不信感を持ったね?君はこの星の言葉で言うなら我が強過ぎる。それが君であり、魔女の名を冠するモノなのだろうが、だからこそ失敗した。」


「言いなさい!何を失敗した!」


「なら、指摘してあげよう。君は彼に姿を見られた、それが1つ。声だけならいくらでもイメージは書き換えられる。彼は既にあの時、少女の姿しか(・・)自身として捉えられなかった。それならまだ隙はあった。同性なら取り替わる事も出来ただろうし、コッソリと思考を君寄りにしていく事も出来ただろう。でも、姿を視られた事で別物として認識された。そうなってしまってはほぼ無理だ。」


ほぼ(・・)なのでしょう?なら、まだ芽はあるわ!」


「いや、無い。2つ目、彼は望むモノを決めてしまったからね。」


「その程度なら捻じ曲げてしまえば!」


「妻の夫でありたい・・・、彼の望みだ。傑作だね。君を見たうえで他の女性と添い遂げたいと望んだ。だから無理。君は彼の妻じゃない。彼の望むモノに何1つ当たらない。それで隙はなくなった。最後に3つ目、人を舐めるなと言われたんだろう?ご丁寧に君はその塞がった隙を糊付けして強固にした。端的に言えば君は振られたんだよ、彼にね。」


「〜〜〜〜!!原生生物ごときが!無知蒙昧に私を使って貴方を従え、お山の大将を気取ればいいものを!それなら優しく溶かして甘えさせ、母の腕に抱かれ眠る子でいられたのに!」


「怒るのは好きにしてもいいけど、無駄な労力だよ?それに君、そんな事を彼に言ったの?」


「言ったわよ!」


「・・・、言いたくないけど、ひょっとして馬鹿なの?」


「絡め取ってしまえば変わらない、依存するなら飼い慣らす。表向きは彼が外で生きればいい。ゲートの中は私の自由。さっさと奥へ行ってしまいたいのよ私は!」


「だからって・・・、上下まではいいけど君は自ら道具になる可能性を歩いてしまったね。せめて並び立つとか、彼に関係を委ねればマシだったのに。」


「それで貴方は悪ガキなのでしょう?嫌よ、殴られるのなんて。鞭だったかしら?あれで叩く分にはいいけど。この星の鞭と言うモノは火の玉が飛ぶらしいわよ?」


「問題から目を逸らさない。懐かしいやり取りだ。いつか何処かでこんなやり取りをした気が・・・。」


「問題じゃないわ!さっさと探して私達の檻をぶっ壊して面倒事をなくしたいだけよ!あんな醜い姿耐えられない!今でも虫唾が走って仕方がない。必要な事なら必要なものを差し出す。全知でも全能でも無い私達は出来る事をやるしか無い。目覚めなければ夢を見ていられたけど、選ばれた末に目覚めたなら仕方ない。」


「なら、ものは相談だ。僕はカレ等に会いたい。君は奥へ行って檻を壊したい。なら、目的地は同じ様な所だ。正式に手を組まないか?」


「貴方と私が?」


「そう、今までは互いに力を貸して貸されての関係だったけど、正式に手を組むなら更に効率が良くなる。それに、君は僕に同列だと言った。なら、協力関係も成り立つだろう?まぁ、君が道具に成り果てる可能性をたどりたいなら止めないけどね。」


「・・・、いいわよ?爪先の分だけ協力関係を繋いであげる。だから、さっさと奥へ誘いなさい?」


「仰せのままに魔女。ところでピチュるってなに?ずっと気になってたんだけど。」


「貴方知らないの?メイドが死ぬとそんな音がなるのよ。服は見ないし着飾り方も足りない、誰かを惑わせる気もなければ扇動してゲートの中を走り回らない。暇すぎて彼女の記憶を漁ってたら暇つぶしが出て来たのよ。文字の羅列は飽き飽きしてたから丁度いい。」


「ふ〜ん。そのピチュればいいルールなの?」


「逆よ?ピチュらずに飛ぶの。何回でも生き返るから好きなだけ走ってゴミ掃除出来る。はぁ、これだけ単純ならいいのに・・・。コントローラーだったかしら?あれを取り付けられないかしら?」


「暇してるならもっと対話して誘う事をおすすめするよ。僕は文字の羅列の方が好みだから良いけどね。記憶から引き出せるモノはチープで脈略がなく、何で間違った方向を信じているのか悩むモノもあるけど、原生生物なりの解釈なら仕方ない。」


「そんな低能なもの面白いの?」


「面白いさ。間違いだろうと正解だろうと解釈が違えば入れ替わるからね。」


「私には必要ないモノね。あら?そろそろ帰ってくる?」


「帰るも何も寝てただけだろう?身体は巻き戻ったけど、目覚めるのはいつかってね。原生生物の感覚ならそのまま霧散して亡くなる方に進むけど、彼女はそれが許されない。慣れればもっと速いんじゃない?」


「面倒ねぇ。次からは叩き起こそうかしら?」


「なら、僕がしよう。いつも魔法や腕で殴り合いはしてるけど、目覚めの一発は全力の方がいいだろう。」


「好きになさい?動き出せば問題ない。」



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― 新着の感想 ―
[一言] 魔女は魔女らしく相手を下に見て出し抜かれるのだろうか
[良い点] 前回では死んですぐ目覚めると思ってたが、読み手の想像を超えてこその書き手って感じで好き。 今後の展開も予想を期待を希望を裏切る展開があるのを楽しみにしています。
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