表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

164/878

127話 千代田さんに会おう 挿絵あり

「体内で燃える・・・。いや、対象を人体とせずに基本的に戦うのはモンスターですから・・・、一度バラせばイメージが出来やすい?」


 どうなのだろう?馬や魚はバラしたりするがモンスターは中身というかバラした記憶はない。仮にバラしているとすれば高槻か。エマから渡されたほぼ丸ごとのモンスターは高槻に卸ろして研究に回している。なので、高槻に話を聞くのが一番早いかな?でも、これで中身が空洞だったらどうしよう?動力というか、エネルギー源はクリスタルだから、そこからエネルギーを抽出する機構がある?


 前に橘はクリスタルを高エネルギー結晶体とか言ってたし、装備庁が作ったバイクのエネルギーもクリスタル。圧力をかければ発熱して回転させれば発電する不思議物質。しかし、発熱するなら火はそこにある?


「宮藤さんはクリスタルの事を学びましたか?」


「アレを集めればスタンピードの抑止になるとは聞いています。後は高エネルギー体とも・・・。それ以外はあまり詳しくはないですね。強いて言うなら電力会社が欲しがってるとか?小遣い稼ぎにはいいですよ。」


 宮藤はモンスター倒しまくってるし、大きさもいいサイズの物を持ってるだろうから、小遣い所か一財産あるんじゃなかろうか?そう言えば、武器はあげたりしたし設計もあげたりしたけど、クリスタルは指輪の肥やしになりっぱなしだった。箱の開封同様クリスタルの整理もしないとなぁ・・・。


「買取額は知りませんが、クリスタルの特性と高槻先生に話を聞ければ何かしらのイメージが湧くかもしれませんよ?」


「高槻先生ですか・・・、会う機会は少ないですが今度コンタクトを取ってみましょう。」


 高槻は多分セーフスペースにいるのだろうが、フットワークが軽すぎてすぐに捕まえられるかと言われると首を傾げる。電話してアポを取れば無碍にはされないだろうが、何かしらの手土産くらいはあった方がいいかもしれないし、何よりラボに行くなら半田の店に顔を出して飯を食うといい。


「36階層のセーフスペースでなにか素材を取るか、モンスターを原型留めて持っていくのがアポ取るなら手っ取り早いですね。ラボに行くなら半田さんの店でなにか食べるといいですよ。リーズナブルで美味しかったですから。」


「原型を留めたモンスターは難易度が高いですね。見てると消し炭にしたくなりますから、大人しく素材の方でアプローチかけてみますよ。」


「それなら繭や魚がいいですね。ラボのある所の物は既に採取して研究材料としては物足りないでしょうから。」


「分かりました、遊牧民の様に馬で走り回って集めてみましょう。まぁ、それも一度連絡してからですけどね。」


 宮藤は隻腕だけど意外と馬に乗るのは上手いんだよなぁ。車の運転とかでも灰で腕作ったりして卒なくこなしてもいたし。苦手な事と言えば泳ぐ事だろうか?海でも36階層でも水中に入るとどうもダメらしい。まぁ、灰で作ったものなら水に溶けるし、水中で火をイメージするのはやはり難しい。あるとすれば海底火山とか?あれも火が出ているとは言いづらいが・・・。


「会ったら休むよう適当に言っておいてください。どうせ研究でろくすっぽ休んでないでしょうし。」


 あそこの住人はちゃんと外の生活もしているのだろうか?最近余り上がらないセス氏の動画では本当に移住計画に移行していきそうだし、海外ではスラムの人達もどんどん移住しているとニュースになっていた。そう考えると日光浴びなくても大丈夫?ゲートベイビーとかは太陽知らずに育つのだろうか?いや、その前に職に就けるかどうか・・・、多分無理そうな気がする。戦えないし知性という面でも未熟過ぎる。子育ては太陽の下、ゲートに入るのはある程度の年齢からだろう。


 そんな話をしつつギャラリーを見ると、俺と赤峰との戦いに触発されたのか装置を持ってゲートに向かう組多数。映像を後から貰って配信出来るなら配信しようかな。戦闘訓練動画は松田達があまりいい顔しないが、大会後ならそこまで文句も言われないと思うし、動画の配信もそれなりに良い資金源なんだよな、何はともあれ千代田に連絡取ってみるか。ネゴシエーター一本で暇してるだろうし。スマホを出して数コール。


「もしもし千代田さん?明けましておめでとうございます。」


「明けましておめでとうございますクロエ。新年早々どうしました?」


「大会運営で話したい事が。時間があるなら会えますか?」


「大丈夫ですが今どちらですか?」


「武道館です。R・U・Rの最終調整+大会オープニングで流す動画を撮影してました。」


「新年早々精力的ですね。話というのは動画の件ですか?」


「それも含めてという所ですね。」


「分かりました、場所はどうします?そのまま武道館でもいいですが。」


「いえ、昼も近いので近くの店にしましょう。LINEかSMSで指定して下さい。その店の奥にいるとしましょう。」



 電話を切って外へ。そう言えば着替えていないが魔法で隠れるので大丈夫だろう。見つかったなら、サインでも渡して黙っていてもらおう。少ししてスマホが震え確認すると近くの喫茶店を指定していた。ご丁寧に店には話を通しているらしく、名前を出せばそのまま奥の個室へ案内してくれるらしい。


 人混みの中を進み、時折勘のいい人なのか視線で追うような人がいる。まぁ、話しかけてこないならどうでもいいか。騒がれても大事になるだけだ。程なくして店に着き、姿を現して名乗り店の奥へ。千代田はまだ来ていないようなので、先に注文を済ませて食べておくとしよう。


  挿絵(By みてみん)


 程なくしてアイスコーヒーが届き一息。落ち着いた店内だからこの服でも違和感はないはず。それから少ししてサンドイッチ等の軽食が運ばれてきて食べようかというタイミングで千代田が店の人に案内されて来た。ただ、見た瞬間に明らかに顔が強張るのはなして?そんなにひどい格好とは思わないが・・・。


「改めて、明けましておめでとうございます。どうかしました?」


「いえ・・・、その格好でいると思わなかったのでスタンピードの頃を思い出して身が引き締まりました。明けましておめでとうございます。ここまでその格好で?」


「魔法で隠蔽しているので多分気付かれてはないですね。さて、本題の前になにか頼みますか?」


「いえ、コーヒーは注文したので食事はいいです。お節を少し食べすぎましたから。」


 新年早々いいことだ。食べたいかと言われたら肉が少ないので、そこまで食べたいものではないけど、季節を味わうという意味では外せないな。まぁ、出されても唐揚げと鴨の燻製くらいしかオカズにはならないが・・・。


「では本題から。朝から赤峰さんと模擬戦してその動画を大会当日のオープニングで流します。動画データは佐沼さんが持っているので、連絡すれば編集済みとノーカット両方貰えます。」


「それは・・・、クロエと赤峰さんが戦ったと?勝敗はクロエの勝利でいいのですよね?」


 模擬戦なんでどちらが勝とうと余り関係ないように思うが、なにかこだわる所があるのだろうか?別に俺とて常勝無敗を心情にしている訳ではないし、負ける時は負けるだろう。


「勝ちましたよ?ただ、そこはそんなに大事ではないのでは?」


「いえ、負けでは流せません。少なくとも貴女は国外から最強だと思われているし、ゲートや職について誰よりも詳しい。そんな人物が膝を突いたとあらば、色々と国同士の関係も崩れる。各国が大人しいのは貴女が負けたと言う知らせがないからであって、仮に模擬戦で負けようものならその職に就いた人物を使い拉致まで考えられる。」


 どうやら武道館には負けられない戦いがあったらしい。確かにこれまで外国人に、ちょっかいかけられた記憶はなかったけど、中位が出た今でもそれは継続中らしい。簡単には負けるつもりはないが、常に背水の陣と言うのも居心地は悪いんだが・・・。


「仮に負けたと知られたらどの程度ヤバいですか?」


「そうですね・・・、国外拉致からのそのまま身柄拘束程度はありますね。まぁ、そうなれば貴女は自力で帰ってくるでしょうが、その事件が起きた事を発端に様々な要求は国レベルであるでしょう。例えば、エマ少佐の後釜を狙うとかね。」


「あ〜、海外からの教育派遣ですか・・・。エマが優秀だったので短期間でこの成果ですが、後はどうなるか分かりませんよ?そもそも次を受け入れる気はないですし。」


「それは承知していますが、国としての単位で見た時に貴女への配慮が落ちると思って下さい。無敗で最強、名前を出すだけで今の所相手も引いてくれます。両国とも下手に暴れられて国を滅ぼされても困りますからね。」


 テロリストではないのにテロリスト並みに警戒されていると。思い当たるフシは多々ある。配信しか知らないエマは会った当初は俺を警戒していたし、言動のせいで常識が通じるかも怪しいと思っていた節がある。国内で普通に暮らしているのでその辺りの認識が甘くなっていたな。


「分かりました、これからは引き締めましょう。そう言えば、放映権の話は片が付きましたか?有識者からの意見待ちでしたが。」


 値段いくら問題は早めに解決したい。もう1月、来月開催なのでここでグダグダするわけにもいかない。今の所、これが最後の問題で、これさえ解決すれば後はどうにかなりそうだが・・・。


「その話ですが・・・、松田さん。と、言うか政府に丸投げしませんか?」


「なんと?」


 していいならしてしまってもいいが、そこにメリットはあるのだろうか?事の発端は俺なので手放しで喜んでいい申し出かは正直悩む。大金が動くし、何割か予算として政府に渡せとか?定期開催は考えていないけど、前にしないのかと聞かれたことはあるしなぁ・・・。ただ、ノウハウがないのも事実なので、投げたいけど話を聞いてからだな。


「政府の狙いは?」


「ギルドを掌握しているという海外へのアピールです。超武力集団を野放しにしていては、流石に各国から抗議の声が上がる。なので、それを掌握しているという立場を明確にする為に協賛日本国政府等のロゴを入れて放送したいとしています。事実、米国以外の国も中位を派遣して欲しいと打診が多数ですからね。」


 ロゴ入れて放送するだけで、面倒事を丸投げできるならありがたい。元々、ギルドの立ち位置は政府等の中間組織なので、アピールしたいならいくらでもしてもらって構わない。構わないが・・・。


「民間からも協賛を募って下さい。流石に政府だけ協賛を入れてしまっては公務員と勘違いされてしまう。あくまで中間組織としてのスタンスは崩してもらっては困るし、株式会社ではないにしろ民間の協力がないと立ち行かなくなる。」


「それはまぁ・・・、放映権を売る過程で協賛を募れば集まるでしょう。その場合、貴女もまた表舞台に立つ事になりますが宜しいですか?」


 うっ・・・、表舞台と言うとテレビ出演とか?うわぁ~、嫌だ嫌だ嫌だ・・・。話さずニコニコしているだけでも・・・、嫌だ。絶対上がって噛む。そもそも配信で映らないのはカメラが苦手と言う所も大きいし、ガチガチに固まって変な事しそう。ちょこっと端っこに映るとかならいいけど、絶対メインとかにされる。けど・・・。


「ひ、ひつ、必要ならば、や、やりましょう!」


「想像だけでそこまで緊張するものなのですか?まぁ、職に就いた方ならそれだけイメージ豊かなのでしょう。分かりました、出来る限りテレビ等に出ない方向で協賛は募りましょう。ちょうど、いいアニメも放映されますしね。」


 そう言って千代田はニヤリとしているがそれ所ではない。遅刻して教室に入れば大勢に見つめられる。何かで壇上に上がれば大勢に見つめられる、カメラの先には人の目があり、下手をすればそれが全てさらされる。出るにしてもドラマとかでない限り生放送とか?生で失敗が全国にさらされる・・・。気絶していいかな。ない心臓がバクバクいっている気がする。タ、タバコ。


 プカリと一息。深く吸い込み中を満たし。流転した煙は口から吐かれる。深く吸い込んだタバコは一気に半分程度まで灰になったが、どうにかこうにか落ち着いてきた。人に見つめられる・・・。その視線がどうも苦手なのだ。親しい人ならいいが、それでも人数が増えるとね・・・。仕事だと割り切れば、暗示でもかけて・・・、いっその事魔女に任せる?人前と言うか、目立つの好きそうだし。言えばやってくれそうではあるな。


「クロエ大丈夫ですか?」


「どうにか、やはり人前は苦手です。」


「再度言いますが、出来る限りテレビ等に出ない方向で動きます。そう言えば、写真集は出来上がったのですか?」


「えぇまぁ。部数は任せたので何部になるかは、分かりませんがありますよ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ