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街中ダンジョン  作者: フィノ


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107話 チャイナと文殊の知恵 挿絵あり

風邪引いて体調が悪くて短いです

 会議も終わって料亭で餌付けされるように結構な量を飲み食いして一服。旨いけど肉が少なめなので、もっとガッツリと肉が食べたいと思いつつ、しかし、面子を見るとそれなりの歳なので胃が追いつかないのだろう。それに質より量タイプなので高級と言われても肉数枚ではやはり物足りない。まぁ、奢りで食べているのだ文句は言えないか。


 そんな事を考えつつ、糸が欲しいと頼まれたのでストックしていた糸玉を何個か渡して、帰ろうとしていたら千代田が迎えに来てくれたので、彼の運転する車に乗って帰る。彼の方も企業との接触は上手く行ったようで、車内でその話をするが要約するとキャラクターの服のデザインをする人を探していると話を聞いた芽衣さんが『クロエさんっぽい主人公なら、遥どう?』と声をかけ、そのままデザインからの採用と言う運びになったらしい。


 逆に今回千代田が応援メッセージを届けるまでは、企業側は遥の事をただのフリーランスのデザイナーだとしか認識していなかったので、たいそう驚かれたそうな・・・。まぁ、紹介配信でも遥の名前はインナー制作者としか出していないし顔出しもしていない。名前自体もそこまで珍しい名前ではないので、遥=インナー制作者の遥とは結び付かなかったのだろう。


「今回の応援メッセージを特設サイトで流したいそうなのですがどうしますか?」


「ん?好きにしていいですよ?送ったメッセージの取り扱いなんて余程変な事をしない限り相手に任せます。」


「分かりました、そう伝えましょう。しかし、企業側の驚きは中々でした。キャラクターデザインは既にあったらしいのですが、どうしてもキャラクターに合う衣装のデザインがないと探している時に芽衣さんから持ち込まれたらしいです。原作のない完全オリジナルアニメーションらしいので、現場はかなり忙しそうでしたね。」


 似せたビジュアルだけでよくもまぁそこまでお金を積んだものだ。アニメ作るのも安くないだろうし、原作がないなら売れるかも分からない。まぁ、シナリオライターの腕とプロデューサーに後はかかっているだろう。確かコードな人の仮面主人公アニメとかそんな感じで作ってたし。


「コケないように祈っていますよ。まぁ、私が直接関わる事もないでしょうけどね。さて、千代田さんは今回の会談の話を誰から聞きますか?」


「一応、松田さんから聞く予定です。大きな話の流れは決まったのでしょう?」


「ええ、場所は武道館。放映権のみ販売予定で公営ギャンブルとして投票権を買う仕組みで運転資金の調達。これは松田さんの方も大丈夫と言っていましたね。ギルド運転資金を賄える所はギルドで賄って欲しいと言っていましたから。後は、私が実況席に座ってある程度の解説・・・と、きせかえ人形。あっ!司会進行は別の人間を立てないと手が回らないか・・・。誰か講習会メンバーにお願いしよう・・・。一応、ギルドが胴元なので他から引っ張って来ても職についての解説しづらいだろうし・・・。」


「着せ替え人形?」


「何でも各方面が私を着せ替え人形にしたいらしいのです・・・。」


 警視庁からも色々服は貰ったし、そんな事はないと突っぱねたいけど、あの3人がやれと言うし各方面からも要望が多いらしい。それでやる気が出るなら着飾らん事もないけど、見て欲しいのは俺ではなくて選手何だが・・・。講習会以外のギルマスだよ?その県のスィーパーを連携しながら管理するトップだよ?


「ふむ、私に交渉依頼がありましたが、会談で承諾したなら構いませんね。」


 真顔で千代田を見る。ブルータスお前もか・・・。お前も変な依頼を受けて交渉しようとしてたのか・・・。えっ?前に魔法少女スキーの称号をあげたけど、魔法少女服を着せる交渉をするつもりだったの?いや、着せ替え人形依頼を飲んだから他にも着せられるのか・・・。先に千代田と交渉しておけば、あそこで丸め込まれなかったのかも知れない。よそう、終わった話だ。


「子供に夢と希望と愛しさと切なさと心強さを届けてきます・・・。」


「大きなお友達も歓喜するでしょうね。クロエはメディア露出が殆どありませんから。」


「芸能人じゃないので、露出なんかしなくていいです。そもそも、ギルマスにはなりますが政治家ではないんですからね!」


 色々引っ張り回されているが本質はあくまでスィーパーであり、ゲートの奥を目指す者。スタンピードの件で戦力アップは必要と助言役なんて事もしているけど、それももう終わりが見えている。終わってしまえばようやく妻の元に戻れるし、地元に帰れる。ギルドが始動しだせば、まだ慌ただしい日々だろうがそれでも、愛する人と一緒にいられるというのはいい事だ。


「心得ていますよ。米国はお代わりしたそうにコチラを見ていますし、他の国からも色々と話は来ているようですが、全て本人の承諾がないから無理と突っぱねています。ただ、気を付けてください。」


「どこかの国が無理やり何かしようとしているとでも?」


「いえ、国連です。スタンピードの件は世界がかなり重く受け止めています。言ってしまえば何処もかしこも戦力不足。他国でスタンピード発生の際はいの一番に名指しで日本へ要請が来るでしょう。」


 行きたくはないけど、スタンピードが規模で決まる傾向なら多分また中層のモンスターが出てくる。そうなると下位をいくら集めても対処出来ないだろう。と、なると中位を多数抱える日本に救援依頼があるのもまた、当然と言える。他国に興味はないけど、スタンピード対応失敗は避けたいし、対応しなければ溢れたモンスターはどんどん人を殺しながら拡散していく。


 昔WoWというMMOに実装されたモンスターによってばら撒かれた毒が不具合によって拡散され、運営の対応の遅れや愉快犯のやらかしも伴って阿鼻叫喚の地獄絵図となった事件があったけど、あれに当て嵌めると現実ではリセットして元通りにはできないし、殺し尽くしても本当にいなくなったのかという不安は残るし、スィーパーじゃない人はいつか見た蝶の様に溶けてしまう。被害想定は不明だけど、パンデミック状態だよな。モンスターだけじゃなくて、恐怖の伝染と愉快犯が暗躍すれば正常な判断力は消えて、信じたい平和とまだいるかも知れないと言う恐怖からの思い込みで混乱しか産み出さない。


「・・・、駄々を捏ねる時間は終わっています。他のギルマスがどうするかは分かりませんが、少なくとも個人でなら行くだけ行きましょう。他人に死地へ行けと強制は出来ない。」


 国へ帰るだけのつもりが話が大きくなりすぎだ。国連とかキャパオーバー、そこまで行くと個人というよりは既に国の領分。行くなら行くで注文は付けるし無償な訳はない。仮に無償で参戦しそうなのは・・・、卓とか?ヒーロー目指してるなら行きそうだなぁ・・・。はぁ、世の中お金じゃないけれど、先立つモノがなければ動けない。写真集とか作って売れば売れるかなぁ・・・。


「嫌がっても成果を出した以上、それに見合う働きは必要です。対抗できる人は少なく限られている。」


「労働が貴重な事は知っています。必要とされているうちは働きますよ。さて、ホテルに着きましたね。ありがとうとしました。亜沙美ちゃんによろしく伝えておいて下さい。」


「分かりました、娘も喜ぶでしょう。」


 千代田の車から降りでホテルへ入り喫煙所で一服してから部屋へ。狭くない部屋のはずだが、所狭しと糸玉が転がっていてえらく散らかっている。誰の仕業かといえば遥しかいないのだが、こんなに糸を出した記憶もない。知らない間に溜まっていたのだろうか?


「もどったよ〜、これはどうしたんだ?」


「あっ、お帰りなさい。横浜行った帰りに糸のサンプルとして貰ったんだけど、何というか全部精度がバラバラで片っ端から試しに加工してた所。お父さんの糸と違って色は変わらないし、それぞれの職に対応したような色合いだしでね・・・。」


 そう言われて足元に転がっていた糸玉を拾ってみると確かに赤い。安直だが魔術師 火が多分出したんだろうな。他の色も結構あるので、織り合わせれば色鮮やかな布とか模様ができるだろう。しかし、作る人のイメージで精度が変わるなら、もっと凄い布とかできそうだな。


「ほうほう、それで進捗は?」


「試しに一着作ったから着てみて。」


 そう言って渡されたのは・・・、チャイナ?何処をどうとってもチャイナドレス。本当にありがとうございました。いや、なんで父親が娘からチャイナドレス渡されなきゃならんのだ?せめてこう、中華服なら道士っぽいデザインとかあるだろう?何故これをチョイスした。


「中華街というのは中々面白いところだったナ。飯も美味かっタ。」


「中華料理と言う名の日本食ですからね。天津飯は天津にありませんし。あら、おかえりなさいクロエ。それ着るなら髪を結いますね。」


「人が会談している横で中華街巡りとか羨ましいな・・・。」


「クロエは高級料亭でお腹いっぱい食べてきたんでしょう?」


「足りなかったのカ?食いしん坊。」


 確かに食べたけど肉がいい。中華なら今だと北京ダックとか食べたい。そんな事を思っている横でテキパキと望田が髪を結い上げる。頭の左右にお団子が出来て確かシニョンだったかな?そんな髪型にされて着る方向性へ流されて行く・・・。本番前の予行練習かな?


「分かった・・・、着せ替え人形になる予定もある。試しに着るよ・・・。自分で着るから貸してくれ。」


「分かった、はいコレ。」


 赤いヒラヒラした服に黒いチャイナドレス。多分重ね着なのだろうな。バスルームに行ってゴソゴソ着替えるが、難なく女性物の服の着方が分かる辺り、成長したと喜べばいいのかどうか悩む。取り敢えず着て鏡でおかしい所がないか見てみるが大丈夫だと思う。


「写真取るからその靴履いて座って。」


「はいはい。これでいいか?」


  挿絵(By みてみん)


 言われるがままに座り、パシャッパシャッと写真を取られる。多分妻に送るんだろう。電話していてもなにか着て写真を寄越せと言っていたし。しかし、もっとこう。冬着でモコモコの服でいいんじゃなかろうか?室内は暖房で温かいとはいえ、外はかなり寒いからこれを着てうろつく事はないだろうな。


「珍しく今日は白なんですね。」


「何時もハ・・・、確かに黒ばかりだナ。」


「何の話?」


「下着、丈が短いから見えてるよ。」


 指摘されてバッと股を抑える。一応いつも気を付けているけど油断した!なんだろう、風のイタズラでスカートが捲れたら男の時ならラッキーくらいにしか思っていなかったけど、いざ自分がその立場になると思ったより恥ずかしい!


「〜〜〜!!」


「珍しい反応ですね。お風呂とかならされるがままなんですけど・・・。」


「羞恥心はあったのだナ。」


「ある!1人だけ下着が見えてる状況が恥ずかしいの!海で水着着て恥ずかしがる人はいないでしょ!遥、そのデータ消して!」


「ごめん、もう送った。何なら下着を指摘した後は動画撮って送った。色白いから本当にタコみたいに紅くなるんだね。」


 やっぱり娘が反抗期です。かなり遅れてきたけど、父親の恥ずかしい写真と動画を妻に送っています・・・。顔が暑い。


「・・・、どっと疲れた着替えてくる。」


 そんな事があって数日。外遊組も全員呼び集めて大会の事について話す。まぁ、話すと言っても大きな流れくらいしかまだ決まっていないので、そこから元締めとして各員をどう配置するか。或いは、他に要望がないかなどを整理していく。選考は150名。しかし、全員が全員タイマンで戦っても長引くだけなのがネックな所。


「バトルロイヤル方式で一気に減らしたらどうかねぇ?今5組あるなら15名は一気に選出出来る。」


「それに敗者復活を3名くらい入れて18名。望田さんみたいなケースを考えると、人員に余裕がある方がいいな。」


「それだと、バトルロイヤルだけで本部長決が決まってしまいませんか?実力はまぁ、推薦される程度はあるのでしょうが、問題はモンスターとちゃんと戦えるか?と言う点です。例えば、バトルロイヤルならサバイバーなら逃げ隠れして最後に暗殺なんて事も出来るでしょうし・・・。」


「各都道府県に1名は本部長立てるとして、他の参加者の扱いはどうなりますか?」


「それは職員扱いを考えています。フリーランスを貫くならそれもいいでしょうが、戦える人員は貴重ですから。」


「着任地が被ったらどうします?現時点で行きたい県を希望した人はどれくらいいますか?」


「割と地元思考が強い人が多いですが。兵藤さんの石川希望を筆頭に今は10名程度希望が上がっています。一応、参加者には任地不問の条件を出して再度参加の意志を確認する予定です。」


「タイマンでも1回で10人戦うとして15回。装置を一組予備にするにしてもそれ相応の時間か。宮藤さんと兵藤さんが装置で戦ってどれくらいかかった?」


「自分と兵藤さんで概ね15分程度。ただ、これは正面からやり合った場合なので、逃げ隠れが得意な人は更に時間を掛けるでしょうね。」


「それは卑怯と切って捨ててしまえばいいのではないカ?」


「戦闘スタイルを考えると駄目っすね。それだと支援系や生産職で来た人が割りを食うっす。」


「はーい、当日クロエさんは何してるんですか?選手の激励とか視察とかですか?一応、要人は来ないと聞いていますけど。」


「実況席にいます。あぁ、司会進行は誰かしたい人がいればお願いします。政府からの要望もあるので、私もずっと座りっぱなしではないんですよ・・・。」


「政府からの要望?ゲートの外だから・・・、要人はいない予定だから警護ではないですよね?」


「黙秘します。それより運営側なんですから三人寄れば文殊の知恵、それの10倍なら更にいい運営方法が出るはずです。賭けに宣伝にと資金集めを頑張らないと後で皆さん泣きを見るんですよ?ギルドの共有資金として、今回のお金は使う予定ですが、それでも財源は有限。急に設計図出たから大金が必要と言われてもない袖は振れません。今回の大会でどれだけ初期資金を稼げるかが、割とギルドの今後を左右するんですからね!皆さん、本気でやりますよ?」


「「はーい」」


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[一言] 本気写真集はマジで財源になるのでは?w
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