#078 アリスの冒険世界 2日目その4 王都陥落!? お姫様を救え!
「さーて、今回のゴブリンの報酬はなんだろう?」
「前回のポーションは美味かったね」
「よくあんな裏技見つけたわね、アリスは」
「でも転売は悪い事よ?」
このゲームのクエストには報酬がある。
お金や道具などだ。
繰り返し何度もクエストは受注できるので、そういう稼ぎ方も可能だ。
⋯⋯というか、そうしないとモンスターからのGだけだと全然お金が溜まらない仕様だった。
前回の『スライム倒してポーションの値下げ』というイベントは、やはりボクたちの予想通りだった。
クリアした時に──。
[ありがとうございます。これでこれからは元の値段でポーションを販売できます!]
さらにイベントクリアの初回ボーナスとして。
[初回ボーナス:ポーションを5個もらった]
と、なった。
次回以降は1個だけみたいだけど。
そんな事を思い出しながらボクはニマニマ笑い、意気揚々と街に帰って来た。
すると──!
ムービーが始まった!
なんと、お城が燃えている⋯⋯だと!?
「⋯⋯え? なにこれ!」
「お城が燃えてる!」
「どうなってるの?」
「モンスターに襲撃されたのかしら?」
オート操作でボク達は街中を進んでいく。
するとそこには倒れた騎士が居た。
「やられたのか、この人?」
そうあまり関心なくボクが言っていると──。
「ガランさま!」
「ガラン君!」
⋯⋯ん? なぜかルーミアとみどりんの女性陣が激しく反応したのだった。
「知ってるのルーミア、その人?」
ボクはなんだか知らないイケメンを心配するルーミアに、イラっとする。
「え? アリス知らないの? ガラン様よ! 私たちが最初に王の間に呼ばれたときに傍にいたでしょ?」
「⋯⋯居たっけ?」
「⋯⋯覚えていない」
ボクとシオンの記憶には残っていなかった。
「この人は騎士団長のガラン様で、実はミランダ姫様の恋人なの!」
「しかも王様には秘密の禁じられた恋! くー燃えるわ!」
そうルーミアとみどりさんが熱く語っている。
「そんな話あったっけ?」
「そういやあったような?」
やばい⋯⋯ボクとシオンはその辺のフレーバーテキストは流し読みしてて、全然覚えていなかった。
[くっ⋯⋯君たちか? すまない。 俺の力が足りないばかりに姫が⋯⋯ミランダ姫が、さらわれてしまった⋯⋯]
「うそ! ミランダ姫が!」
「なにしてくれてんの!」
こんどはボクとシオンも名前を憶えていた、だって姫様は可愛いし。
「そんな! ミランダ姫が!」
「ガラン君にまとわりつくあの女か⋯⋯いい気味ね!」
なお今度のルーミアとみどりんの反応は分かれたようだった。
てか、みどりさんさあ⋯⋯。
[あなたは『ヒール』が使えます。 ガランに使いますか? はい/いいえ]
なんだこれ?
「なんかこのイケメンを治すか? って聞かれているんだけど?」
「え? アリスにはそんなの出てるの?」
「こっちには出ないわね」
「ボクだけがヒールできるから、みたいだな」
するとルーミアが⋯⋯。
「お願いアリス、治してあげて」
「⋯⋯えー、このイケメンを?」
なんかヤダ。
しかしルーミアの頼みだ、仕方ない!
「おいイケメン! ルーミアの頼みだから仕方なく治してやる、いいな!」
「アリスあなた、なにかイケメンに恨みでもあるの?」
「イケメンでカッコイイ騎士団長とかムカつかない? それにミランダ姫と交際しているとか、有罪!」
「そうだそうだ!」
ボクとシオンは意気投合した。
そんなこんなでイベントは進んだ。
[ありがとう。 きみのおかげで命拾いしたようだ]
「⋯⋯もしかしてここ、ストーリーの分岐あったのかな?」
「騎士団長の死んだ分岐ルートか、ありそうだなこのゲームなら」
「だとしたらガラン様が無事でよかった、ありがとうアリス」
「⋯⋯まあいいか」
イケメンは有罪だけど、こうしてルーミアに感謝されるのは悪くなかった。
「⋯⋯ガラン君が死んだ未来か⋯⋯リセマラ確定ね」
どんだけ気に入ったんだみどりさんは、このイケメンを⋯⋯。
こうしてボクたちは王様の元まで歩いたのだった。
[おおっ! 何という事じゃ! 街がモンスターに襲われ、しかも我が娘ミランダまで⋯⋯]
どうやらこれはストーリーイベントのようだった。
「これたぶん、ギルドのクエストをいくつかクリアしたから発生したんだよな」
「もしくはキークエ式かな?」
そうボクとシオンはゲームのフラグを推測する。
[騎士団長のガランも今は重傷、だれか姫を救える者はおらぬのか⋯⋯]
「うわー、露骨に期待されているよー」
「だよねー」
「そんな事言わないでアリス、ちゃんと姫様を助けなきゃ!」
うーん、ルーミアは真面目にゲームのシナリオに感情移入しているなあ⋯⋯。
それに引き換えボクたちは、ややふざけすぎか?
「うーん、あの姫は目障りだけどそれでもガラン君の恋人だし⋯⋯仕方ない」
みどりさんはよくわからんファン心理で葛藤しているなあ⋯⋯。
「王様、ボクたちがミランダ姫を救いに行きます!」
[おお! 行ってくれるのか!]
「しかしどこに姫は攫われたのか? 最悪ラストダンジョンという事もあり得るし」
そんな事を言っているとモブ兵士がやって来た。
[王様! モンスターがこの手紙を!]
[なんだと! 早く見せろ!]
そこには姫がさらわれたダンジョンの場所が書かれていたのだった。
[この場所に王家の保管する太陽のオーブを持ってこい⋯⋯か]
「⋯⋯なんでこういうのって、姫をさらわずに直接アイテムを奪わないんだろうな⋯⋯」
「まあゲームのお約束よね」
[太陽のオーブには魔王を封じる結界の効果がある、それを渡すわけにはいかぬ]
「王様、辛そう⋯⋯」
「大丈夫さルーミア、ボクたちで解決するから!」
[行ってくれるかそなたたち! ならばこの城にあるものは自由に使っても構わん、持って行くがよい!]
「よっしゃー、言質いただきました!」
「これ、あの鍵のかかった宝物庫が開くパターンだ!」
「まったく最初っから渡せってのよねー」
「⋯⋯あなた達って」
あくまでゲームを楽しむボクたちと、シナリオを読むルーミアの温度差がヤバかった。
[手紙では明日までに持ってこいとなっておる、今日は十分な休息を取って準備をしっかり整えるんじゃぞ!]
「これ、永遠に明日が来ないやつかも⋯⋯」
「今からどれだけレベリングしても間に合うやつかな?」
「え? すぐ行かないの?」
「えーとルーミア、こういうのはゲームだと行くまで明日にならないことがあってね⋯⋯」
「うーん、ゲームだからか。 それでおかしなことになるのね」
「でも実際ホントに今すぐ行かなきゃいけなかったら、絶対勝てない状況もあり得るからね」
「うーんわかったけど⋯⋯納得できないなあ⋯⋯」
まあルーミアもじきにこういったゲームのお約束に馴染むだろう⋯⋯たぶん。
「それじゃあ準備を整えて、お姫様の救出に行きましょう!」
そうルーミアが力強く言った。
⋯⋯しかし。
「もう23時か⋯⋯今日はここまでにして、明日救出に行こうか?」
「そうだね」
「異議なし。 連日徹夜はさすがに堪えるし⋯⋯」
「ええー! ホントに明日行くの!?」
こうしてボクたちの2日目の冒険はここまでとなった。
明日はミランダ姫救出ミッションである!
「待っててねミランダ姫! ⋯⋯明日まで!」
【ひで―w】
【リアルに明日行くのかwww】
【まあ区切りはいいしな】
この後、ゲームをセーブして、リスナーにお別れの挨拶をしてから、今日はお開きとなったのだった。
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