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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第4章 あらたなる伝説へ⋯⋯

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#076 アリスの冒険世界 2日目その2 ゴブリンバスターズ

「次のクエストはコレ!」


 ボクが選んだのは、新人冒険者の定番『ゴブリン退治』だった。


「ゴブリンか?」


 ノリがいいなあ、みどりんは。


「おお、いいねえ」


 シオンも賛成っと。


「ゴブリンってどんな魔物なの?」


 ルーミアはあんまりRPGの常識を知らないからなあ。


「ゴブリンは大抵のRPGでは最初に登場する雑魚だよ」

「でも数が多かったりして大変になる⋯⋯という設定のときもある、かな?」


 そうボクとシオンとでルーミアに教えた。


「まあこのゲームは全年齢だからヘーキよね!」


 余計な事言うな、みどりん!


「え? 全年齢だったらって何?」

「あああっ! ルーミアは知らなくていいから!」


 ボクの純粋なルーミアに余計な事教えんな!


 その後、何とかゴマかしてボクらはゴブリン退治に向かうのだった。

 ⋯⋯この後ルーミアがネットで余計な事調べませんように。




 ボクらは小さな村の近くにある洞窟にやって来た。


「これが洞窟か!」

「あんまり遠くが見えないね?」

「フフフ! 任せて頂戴。 『ライト』」


 みどりんが照明の魔法を唱えた。


「おおっ! かなり明るくなった!」

「どんなもんよ!」

「さすがサポート魔法のエキスパートの吟遊詩人だね」


 このゲームの魔法を大雑把に分類すると⋯⋯、


 白系の回復魔法。

 白系の補助魔法。

 黒系の攻撃魔法。

 黒系の補助魔法。

 の4つに分類される。


 例えばルーミアの黒魔法師なら黒系の攻撃と補助の魔法を習得できるのだ。


 そして今ドヤ顔のみどりんの職業である吟遊詩人は、白と黒両方の補助魔法を習得できる職業なのだ。


 例えば敵の防御力を低下させる白の補助魔法と、味方の攻撃力を上昇させる黒の補助魔法があるとする。

 どっちを使っても有利だけど、どっちも使える吟遊詩人はバフ・デバフ系のエキスパートなのだ。


 ⋯⋯まあ序盤だとあんまり恩恵が無いけど。


「みどりさん、その魔法は私も使えるようになるのかな?」

「『ライト』は白系の補助魔法ね」

「⋯⋯そっか」


「でもその代わり黒系には『ダークヴィジョン』があるわ」

「それどんな魔法?」

「周りを明るくするんじゃなくて暗くてもよく見えるようになる魔法だね」

「へー」


「対象は1人だけだけど、その分『ライト』よりも遠くまで見えるわよ」

「なるほどケースバイケースね」


「夜目が利くなんて、猫のルーミアらしくていいじゃん」

「そっか」


 そんな話をしていると小さな人影が現れた!


「ゴブリンだ!」


 こうして戦闘に突入した!


 ここでこのゲームの戦闘システムを紹介する。

 モンスターとの戦闘はシンボルエンカウント制である。

 そのモンスターアイコンと接触や発見されたら戦闘モードに移行し、BGMもフィールド曲からシームレスにバトル曲に切り替わる。


 そしてボク達は戦闘開始した場所から一定範囲外には出れなくなる。

 それでも出ようと見えない壁を押し続ければ、逃走成功になるのだ。


 戦闘自体はコマンドRPGである。


 しかし自分のターンが来るまではプレイヤーは自由に移動できるのだ。

 これによってモンスターに対して有利な位置取りをする事が出来る。


 敵に近づくほど攻撃されやすくなるし、離れれば攻撃がミスしやすい。

 やり方次第では意図的にターゲットを誘導することも可能だ。


 そしてゲージが溜まったプレイヤーから行動できるリアルタイムバトルである。


 ゲージが溜まりターンが来たプレイヤーは行動を選択すると、後はオートで動く。

 剣で斬りかかったり、魔法で攻撃したり自由だ。


 例えば10の攻撃力のある剣士が、10の攻撃力の魔法も撃てたとしよう。

 普通のRPGならこの攻撃力10の魔法を使う事はおそらく無い。

 しかしこのゲームだとポジショニングの関係で相手との距離で命中率が変動するから、たとえ剣士であっても遠距離火力は重要だったりする。


「フォーメーション! ネーベルのワントップ!」


 そう戦闘指揮を取るのは、吟遊詩人のみどりんだ。

 一応このゲームには陣形システムはないみたいだけど、ゲーマーならわかりやすい指示ではある。


 一番素早いみどりんのゲージが最初に溜まった。

 みどりんのターン!


 その攻撃は竪琴から出る音符である。

 遠距離からでも減退しない特性があるけど、基本低火力である。

 しかしレベル差がそれをゴリ押しにする。

 みどりんレベル10は一撃でゴブリンを撃破した!


 次はネーベルのターンだ。

 全身鉄鎧の姿はまさに中世ファンタジーの戦士だった。


「当たれ!」


 ネーベルの種族のヴァンパイアは力と素早さが高くて、器用さが低くい種族だ。

 なので外す可能性が高いが⋯⋯さすがレベルを上げただけの事はある。

 あっさりとゴブリンを余裕のオーバーキルである。


「へへん! 見たか!」


 次はボクの番だ!

 ボクは買ったばかりの店売り最強の銃で攻撃する。


 命中!

 ⋯⋯しかし仕留めきれなかった!?


「任せて、アリス!」


 その直後動いたのはルーミアだ!

 ルーミアの放った火の初級魔法はその仕留めきれなかったゴブリンを撃破した!

 戦闘終了!


「勝った!」

「終わった?」

「⋯⋯勝利ッ!!」

「80点ってところかしら?」


 ルーミアのキョトンとした感じの声と、ネタまみれなシオンとみどりさんの対比が面白かった。


「まあ序盤のダンジョンの雑魚だね」

「よし次々いくわよ!」


 こうしてボクらの快進撃は始まったのだった。

 そして⋯⋯。


 レベルが上がった!


「お、レベルが上がったみたいだね」

「レベルアップですぜ、あんたも成長したもんだ」


 ⋯⋯やっぱりみどりさんって、すごい年上なのでは?


 ボクはお父さんのレトロゲームコレクションで遊んでいたからわかるけど、今の人達()()知っているんだろうか?


 ヘタするとみどりさんって、ボクのお父さんと同世代なんじゃ?

 ボクの中でみどりさんの年齢に対する疑惑が起きた瞬間だった。


「やったー、レベル3!」


 その中で無邪気にはしゃぐルーミアだけがRPG初心者だった。


「さてと、今回のポイントはどう振り分けるか?」


 いちおう今すぐ振る必要はなけど、あとで必要になった時に振っても良いが。


「おそらく無職だと、満遍なく振ったら弱い中途半端なキャラになる」

「だろうね」


 シオンも同感のようだった。


「おそらく機械人形と無職の組み合わせが光るのは、何かしらのピンポイント起用の偏った性能キャラが欲しくなった時に、手っ取り早く育成する手段でしょうね」


 やっぱりみどりさんはこういうのに詳しいんだ。


「どういうこと?」


「例えば何かのボスが強くて今まで育てたキャラの相性が悪いと、レベル上げに時間がかかる。 でも何かの対策が出来るだけのキャラを手っ取り早く育てるには、ボクのこの組み合わせが向いているんだ」


「なるほど」


 ボクはルーミアに簡単に説明した。


「例えばルーミアがソロで戦うと距離を詰められると辛いだろ? だったら壁に出来る機械人形を育てればいいんだよ、セカンドキャラで」


 このゲームではプレイヤーはセカンドキャラ以降も作成が出来る。

 それとパーティーを組むことによってソロでも攻略できるのだ。


「私が『私専用のアリス』を育てるって事?」

「⋯⋯まあそう」


 つまりルーミアが壁役となる『アリス』を量産して戦う事も可能だ。


 なんだろう?

 架空のデータ上だけの存在(アリス)になぜか嫉妬する。

 そんなデータ上だけの存在にルーミアを任せるなんて、なんかヤダ。


 とりあえずボクはヒーラーになった。

 それは、このパーティの場合はボクにしか出来ないからだ。


 でもこの先ずっとこのパーティで固定という訳じゃない。

 他のVチューバーと組む事もあるだろう。

 もしかしたら部員(リスナー)さんとも冒険する事があるかも知れない。


 つまりこのパーティは、このベータ版限定と言っていいのだ。


 だからボクが何かの役目に徹する必要はない。

 自由にキャラを育成していけばいいのだ。


 ⋯⋯でも。


 ルーミアを守るのはボクでありたい。

 ルーミアを守れる『アリス』でありたい。


 これから先もずっとルーミアとパーティーを組んでいたい!


 ボクは無言でポイントをステータスに振った。

 ⋯⋯これでいい。

 後悔はしない。


「アリス、ステータス振ったの?」

「うん」


 信じて進む、この道を。

 ルーミアを守るのは『アリス(ボク)』なんだ!

お読みいただき、ありがとうございます。

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