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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第4章 あらたなる伝説へ⋯⋯

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#067 戦いに備えて

 それから30分後、ボクは城下町にある店で装備の購入を真剣に検討していた。


「うーん、あと50Gがどうしても足りない⋯⋯」


 おそらくこれは意図的な設計なのだろう。

 ドラファン1での王様からの支度金も最初の装備購入には足りないからだ。


「なるほど⋯⋯足りない金額にあえて設定して、プレイヤーの個性を際立たせるのね」


 そうルーミアが解説する。

 この最初の街の店売りの装備は全種類3段階ある、でも全部良い方を買うには絶対的に所持金が足りないのだ。


 武器にお金をかけるのか? 防具にお金をかけるのか?

 プレイヤーのこだわりや攻略方針が出てくるのだ。


「むむむ⋯⋯いやらしい」

「ほんとね」


 そんなこんなでプレイをしていたら──。


「あの、そろそろ終わってください。 時間が押してますので」


 そう干田さんがストップをかけた。

 ⋯⋯そういやこの生放送の枠は1時間の予定だった。

 それなのにボクらはもう40分近くも遊んでしまったのだ。


「すみませんでした」

「うー、もうちょっとやりたかった⋯⋯」


 ボクはしぶしぶコントローラーをその場に置いたのだった。




「アリスさんもルーミアさんも、時間を忘れて楽しんでいただけたようなので良かったです」


 そう干田さんがフォローしてくれた。


「ほんとうに楽しかったです」

「夢中になってごめんなさい」


「そう言っていただけて嬉しいです。 お二人には今夜から正式にプレイしていただく予定ですので、その時に存分に楽しんでください」


 そうなのだ。

 今夜からボクたちVチューバー組は、このベータ版体験プレイを配信することになっているのだ。


「そうでしたね、それでは宣伝させていただきます!」

「今夜からの私たちのVチューバーチャンネルにて、このゲームの体験をお送りします。 なので皆様どうかお楽しみに!」


 こうして生放送は無事に終了したのだった。


 ── ※ ── ※ ──


「おわったー」

「お疲れ様、有介君」


 僕らは楽屋でいそいそと帰り支度しているところだった。

 ⋯⋯ん? シオンからたくさんラインが来ている?

 見てみると⋯⋯なんかスタッフのサインをいっぱい貰ったと大はしゃぎだった。


「⋯⋯僕も貰えばよかった」


 今からでもイケるか?

 そう思っていると干田さんが見送りに来てくれた。


「今日はありがとう。 なかなかいい反応で手ごたえを感じたよ」

「そう言っていただいて何よりです」


 そう木下さんと挨拶していた⋯⋯言うなら今しかない!


「あの干田プロデューサー!」

「なんだいアリス君?」

「もしよろしければ⋯⋯サイン頂けませんか?」


 僕のこの発言はみんな予想外だったらしく、沈黙が流れる⋯⋯だめか?


「⋯⋯うーん、私は芸能人じゃないしサインは出来ないな」


 無理か⋯⋯?


「でも、これならどうかな?」


 そう言って干田さんが渡してくれたのは⋯⋯名刺だった。


「⋯⋯ありがとうございます! 今日のいい記念です!」

「君は本当に面白いな、私の名刺を貰ってそんなに喜ぶ子供は初めてだよ」


 そう言ってルーミアにも名刺を渡していた。


「私たちのゲームの宣伝をルーミアさんも、よろしくお願いしますね」

「はい、謹んで」


 その後、干田さんが()()()()()()()色紙にボクとルーミアのサインを一緒に書いてお返しした。


 同じ紙に二人でサインするなんて初めてだな、なんか照れ臭い。


「いやー、こちらも頼みやすくて助かったよ。 今日の記念にね」


 干田さん⋯⋯すごく偉い人のはずなのに、なぜか子供みたいだった。

 きっとゲームを作り続けている人ってこういう人達なんだろう。


 こうして僕らはエミックス社を後にするのだった。




 僕らの送り迎えは木下さんの真っ赤なスポーツカーだった。

 いかにも外車という感じの⋯⋯後部座席がやけに狭い車だ。


 狭くて乗り心地は良くない⋯⋯でもそのせいで僕と留美さんがくっついてその体温が伝わってくる。

 なので凄くドキドキする⋯⋯。


「あの木下さんって⋯⋯なんでこの車を選んだんですか?」

「あら有介君、車に興味あるの?」

「まあ男なので」

「そっか、いいわよ車は。 嫌なことを忘れられて一人になれるから」


 なんか木下さんも色々あるみたいだな⋯⋯管理職だし。


「そんな事よりこの車を選んだ理由よね⋯⋯わかるでしょ!」


 そう言って木下さんはシフトを一段下げて、エンジンを吹かせた!

 ⋯⋯わからん?


「いいでしょ、この音⋯⋯もう最高でしょ!」


 木下さんは元ピアニストだ、なんか普通の人とは耳が違うのだろう⋯⋯たぶん。


「とりあえず今頃あなた達の家にエミックスからベータ版のソフトが届いていると思うから、18時からして頂戴ね」

「わかりました」


 夜からか⋯⋯それまでに夕飯とか作り置きしとかないと。

 こうして途中で帰りにスーパーで食料品を買い込んでから帰宅するのだった。


 そして僕と留美さんはマンションの前で木下さんの真っ赤なスポーツカーを見送った。

 ⋯⋯やかましい車だな。


「留美さんはああいうカッコいい車好き?」

「うーん? 私はどっちかっているともっと広いファミリーカーでいいわ、たくさん買い物もできるし」

「そうだね」


 僕たちの車の好みは同じだったようだ。

 そんな事を話しながら僕らは帰宅したのだった。




 家に帰った僕はスピーカーにセットしたスマホでシオンと会話しながらカレーの作り置きをしていた。


「それでそっちはどうだったのシオン?」


 まあ動画のアーカイブは残ってるからそれを見たらいいんだけど、裏話みたいなものもあるしね。


『すっごく楽しかったよ!』

「だよなー」


 わかる、あのワクワク感はくせになる。


 ちなみに今、留美さんはお風呂に入っている。

 最近はいつも家に帰ってくると真っ先にお風呂に入るようになったな?

 ⋯⋯もう夏だし、汗かくからかな?


「シオン、そっちも18時から配信なの?」


 僕は玉ねぎを飴色に焦げないようかき混ぜる手を止めないまま電話している。


『うん、そうだよ。 あとで一緒に遊べるといいね!』


 このゲームは1人でもオンラインでも遊べるのだ。

 1人で遊ぶときは2人目以降のパーティーメンバーは自作してもいいし、オンラインで交換したキャラを使ってもいいのだ。


 しかしオンラインで協力プレイするときはプレイヤー数人でパーティーを組めるのだ。

 こっちならシオンとも一緒に攻略可能だった。


「といっても今夜のうちに一緒に遊べるところまで進めるかな?」

『うーん、どうかな?』


 最初にキャラメイクして、チュートリアルもあって⋯⋯じっくりやったらそれだけで数時間かかりそうだ。


「シオンは徹夜できるけど、僕と留美さんは明日も学校あるしなあ⋯⋯」

『大変だねー、学生は』


 僕の1つ年上のシオンも本来は学生の年齢なんだけどなあ⋯⋯。


「シオンは学校に行きたいとは思わないの?」

『ん⋯⋯ぜんぜん』


 即答だった。


「なんで?」

『だってゲームの方が楽しいし』

「だよなー」


 わかる⋯⋯僕も学校辞めたい。

 しかし学費を出してくれている両親に申し訳が立たないし、将来の事もあるし高校卒業くらいはしないと。


 それにしても将来か⋯⋯。

 僕は5年後10年後、どうなっているのだろう?


『アッ君どうしたの?』

「ん⋯⋯? いや将来僕は何してるんだろうなと思って」


『Vチューバー続けてないの?』

「よくわかんない」


『一緒に続けよーよ』

「そうだね」


 それからシオンとゲームについて話し合った。


「種族の中にバンパイアもあったし、シオンはどの職業にするの?」

『当然ニートで⋯⋯てのは冗談で! うーん、どうしようかな? ネーベルは引きこもりだからとくに職業の設定が無いし⋯⋯』


「僕の機械人形は銃の適性があるからガンナーかな?」

『なるほど⋯⋯そういう方向か。 じゃあバンパイアは『夜型』だから⋯⋯』


 バンパイアという種族は昼間は弱体化して夜は強化されるという種族だった。

 ゲーム内時間は現実時間の3時間くらいで1日という設定だ。


 そんな話をしながら僕はカレーにルーを投入する、そしたら姉が起きてきた。


「いい匂いねー、今夜はカレー?」

「今夜はじゃなくて今夜から3日間カレーだよ」

「なにそれ? 手抜き?」

「時間節約だよ、今日からずっと部屋に籠るし⋯⋯」

「そっか大変ねあんた達」


 他人事だな。


「ねえさんも製品版からはプレイするんでしょ?」

「その予定だけどね」


『マロンさんこんにちはー』

「おー、こんちゃーネーベル」


 この二人も仲良くなったなあ⋯⋯。

 そうしてたら留美さんがやっと部屋から出てきた。


 ⋯⋯スカートか?

 スカートとストッキングの境目、いわゆる絶対領域に目が行く。

 最近まではずっとジャージ姿だったからなんかドキドキするなあ⋯⋯。


 それにしても暑くなってくるとスカートの方が涼しくていいのだろうか? 女の子は。

 じっと見るのは失礼だが、どうしてもつい目線が行ってしまう僕を許してくれ。


「おー、るみるみ。 その服着てくれてるんだ!」

「まあ⋯⋯ね、せっかく買ってもらったし⋯⋯」


 どうやらあのヒラヒラの服は姉のプレゼントの1つのようだ。

 悔しいがいいセンスしている、姉グッジョブ!


「あれ? 留美ってシャンプー変えたの?」

「ええ⋯⋯まあ、気分よ気分!」

「ふーん、まあいいけど」


 ⋯⋯留美さんの匂いを嗅ぐなよ、姉ぇ! 失礼だろ!


 こうして隣から映子さんもやってきて、シオンとの電話も切れて。

 すこし早めの最後の晩餐が始まった。


 きっと明日からは僕らは人間らしい生活をしなくなるだろうから⋯⋯。

 なにせ僕がほとんど家事をしなくなるのだから⋯⋯ね。

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