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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第4章 あらたなる伝説へ⋯⋯

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#063 推しの為なら! 素敵なメイドのデスマーチ(決定)

 素敵なメイドの遊美です。

 何という事でしょう!

 置物のように事態を見守っていたら、とんでもないネタを掴んでしまいました!


 ネットのインフルエンサーの1人として『ネオ・レジェンド・プロジェクト』の事は知っていました。

 しかし! そのテストプレイヤーにVチューバーが選ばれるなんて!?


 このプロジェクトで作られているゲーム『ロールプレイング・アドベンチャーワールド』は、通常のRPGとMMORPGのいいとこどりみたいな作品らしい。

 1人でストーリーを進めることもできるし、ネットや通信を通した仲間と協力も出来るゲームなのだ。


 そのベータ版のテストプレイヤーの一般募集は半年前にあった。

 残念ながら私は当選しなかったけど⋯⋯。

 くそ⋯⋯当選していたら間近でVチューバーの皆さんと冒険できていたのに!


 そんな私の葛藤の事など誰も気づかないまま話は進んでいく。


 どうやらそのテスト2名はアリスとルーミアで決定らしい。

 ルーミアリスですか!?

 この推しカップリングが!


 それを間近で見るチャンスが⋯⋯はっ!?

 私はある事を思い出した。


「皆様、お取込みのようなので私はここでお暇させていただきますね」

「遊美ちゃん帰っちゃうの?」


 映子お嬢様が引き留めてくれるが⋯⋯今はそれどころではない!


「はい、奥様のお休み前の美容マッサージとかもしないといけないので」


 とっさにテキトーな嘘をつく。


「そっか⋯⋯なら仕方ないね」

「またいつでもおいでよ遊美ちゃん」

「はい、真樹奈さまもありがとうございます!」


 ⋯⋯よし! 言質とったどー!

 これでまたここに来れる。


「遊美さん、いろいろ教えてくれてありがとう」

「いえいえ、アリス君は教えがいがありますから!」


 くう──っ! 推しに感謝される、最高!


「その⋯⋯ありがとう遊美さん」

「⋯⋯留美様も、しっかり頑張ってくださいね!」

「⋯⋯ええ?」


 ほんと頑張れよなルーミア! ゲーム廃人のアリスだけじゃ盛り上がらん、ルーミアのアタックが撮れ高には必要なんだよ!


「じゃあうさ⋯⋯木下さんも頑張ってね」

「⋯⋯ええ、遊美さんも」


 あぶねー、名前で呼んでまた怒られるとこだったぜ!

 こうして私はこの栗林家を後にする。


「それでは皆様⋯⋯失礼します!」


 バタンッ!


 素敵なメイドにあるまじき不作法で退場する私。

 向かう先は⋯⋯母の所だ!




「夢美お母様! お願いが!」

「なんだ娘よ⋯⋯って、あ──負けた!?」


 私の突然の訪問に驚き、ゲームの操作をミスったらしい。


「あー、ボートレースに負けたじゃない!」

「そんな『サヨリの名探偵』なんかどうでもいいのよ!」


 ミスった母は無造作に惜しげもなくそのゲームの電源を切った。


「せっかくいい記録だったのに、台無しじゃないか⋯⋯」

「またRTA(リアルタイムアタック)やってたの母さん?」

「レトロなゲームを、楽しく、遊ぶ、だよコレは」


 パソコンに繋いで録画までして?

 いい歳してまだやりますか⋯⋯そんな苦行を⋯⋯。


「そんな事よりお母さま、お話が!」

「私の世界記録より大事な話なんだろうね」


「もちろん! ⋯⋯お母さま、確か『ロールプレイング・アドベンチャーワールド』のベータ版当選してたよね! それ私に頂戴!」

「だめ」


「なんでよ! ケチ!」

「私が遊びたいからに決まっているだろ、このバカ娘が!」


「ほら、お母さまにはレトロゲームのRTA動画を作ってファンに届けるお仕事があるじゃない!」

「それはもう引退した」


「嘘つき! バリバリ現役の癖に!」


 母さんのニコチューブの本垢の方は垢バンにリーチかかってて、それでビビってサブ垢の別名義で未だに隠語まみれのRTA動画を上げ続けていることを、私は知っている。


 母曰く。


「もしも次運営に怒られたらアカウント削除で上げた動画が消える、そして再生回数の記録や視聴者のコメントも一緒に⋯⋯もったいない」


 だそうだ。


「とにかくあげないよ。 遊美は製品版まで待ちな」

「この美異夢(びいむ)の若白髪ババア──!」


 交渉は決裂した。

 こうして私はとぼとぼとお屋敷までの家路につくのでした⋯⋯トホホ。


 あー、やりたかったなー、見たかったなー、あの子たちとの冒険を⋯⋯。

 そんな無念さで相川家のドアを開く。


「ただいま帰りましたー」

「あらおかえり、遊美ちゃん!」


 ニヤニヤと笑って楽しそうですねー、奥様は。

 このフワフワの頭空っぽみたいのを見ていると映子さまのお母さまだなと思う。


「それでどうだった映子ちゃんは?」

「映子さま? ⋯⋯ああ、ちゃんとやってましたよ」

「そうなの!?」


 驚くんだソコ⋯⋯母親なのに⋯⋯。


「そうか⋯⋯それだと映子ちゃんを連れ戻す口実には出来ないか⋯⋯」


 はよ子離れしろ⋯⋯。

 私はどっと疲れて⋯⋯。


「それでは奥様、私はそろそろ休ませて頂きますね」


 もう時間は22時を過ぎていた。


「あ! 遊美ちゃん! あなたに渡したいものがあるの!」

「なんですか奥様?」


 もう今日は疲れているんだけど⋯⋯勘弁して。


「実はね、パパがこれ貰ってきたんだけど⋯⋯私にはチンプンカンプンだし、遊美ちゃんこういうの好きでしょ?」


 私は奥様から渡された物を、食い入るように見た!


「まさか⋯⋯コレは⋯⋯『ロールプレイング・アドベンチャーワールド』ベータ版の参加証!?」

「パパお仕事で貰ったらしいけど忙しいから私にってくれたんだけど、私もゲームはさっぱりだし──」


 心臓がバクバク音がする──!


「うおっしゃ──!!」

「あらあら遊美ちゃんそんなに喜んで」

「奥様、ありがとうございます!」


 私はその場で土下座で感謝する!

 やった、やったよ──! これでルーミアリスをはじめっからストーキングできる!

 よっしゃあぁ!


「それでね遊美ちゃん」

「なんでしょうか、奥様」


 ああ⋯⋯今日の奥様はいつにもまして美しい、惚れ惚れしますわ。


「来月友達と海外旅行するんだけどー、遊美ちゃんも一緒に来てね!」


 ⋯⋯⋯⋯え?


「来月⋯⋯海外旅行⋯⋯ですか?」

「心配しなくてもお盆には行かないからね、遊美ちゃんお盆はなんかのイベントに行くんでしょ?」


 とりあえず最低限の配慮はあったみたいだ。


 でも海外旅行かー。

 奥様と、そのお友達との⋯⋯キツイ。


 セレブ奥様ズの浮世を忘れたショッピングツアーである、当然私は荷物持ち。

 とても観光を楽しむような旅行ではない!

 ⋯⋯過去の経験上。


「⋯⋯お供させていただきます」

「そう、嬉しいわー遊美ちゃんとお旅行!」


 そうスキップしながら頭の中お花畑の奥様は去っていった。


 私の手に残ったのは一枚のチケットのみ。

 天国と地獄⋯⋯両方の。


「ちくしょ──! こうなったらめいっぱい楽しんでやるから覚悟してろよ──!」


 こうして素敵なメイドの私、岩瀬遊美の⋯⋯天国と地獄めぐりの夏休みが決定したのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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銀色の魔法はやさしい世界でできている~このやさしい世界で最後の魔女と素敵な仲間たちの夢見る物語~
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