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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第3章 流星の想い人

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#058 幕間:栗林有護「誇るべき子供たち」

 私の名前は栗林有護(ありもり)

 子供たちはVチューバーという仕事をやっている。


 私は仕事に貴賤は無いと思っているがVチューバーという仕事にはそれほど見識が無かった。

 だから娘の真樹奈がするのはまあいいが、息子の有介までVチューバーをする事にはやや疑問だった。


 しかしようやく有介が外に出る気持ちを持ってくれたことは喜ばしい。

 この件を頭ごなしに否定するようなことはしたくなかった。

 こうして私は息子のVチューバー活動を見守ることにしたのだ。


 まあしょせんは学生の間のバイトだし有介の人生がどうこうなる事もないだろう。

 その時はそう考えていた。




「これがVチューバーの活動なのか?」


 その動画にはメイド服姿で麻雀を打つ息子の手だけが映っていた⋯⋯。


「⋯⋯やっぱり反対した方がよかったのかな?」


 一応罰ゲームという事だしもう少しだけ見守ることにした、その時は⋯⋯。




 そんなある日の事、息子の有介がニュースで大きく取り扱われることになった。

 べつに犯罪を犯したわけじゃない。

 その活動は『骨髄バンク勧誘のキャンペーン』だった。


 友人の母を救いたい。

 その気持ちだけでこんな活動を起こした有介を私は⋯⋯誇らしかった。

 そして嬉しくもなったのだ。


 Vチューバーという女装までする仕事⋯⋯芸人と思えばやはり思うところはある。

 しかし引きこもるよりはマシ⋯⋯なのだろう。

 最悪あのままなら20歳を超えても自宅でニートになっていたかもしれない未来を考えれば。


 私はそんな息子の活動に対して何ができるだろうか?




「骨髄バンク登録所⋯⋯あんがい近所にあったんだな」


 スマホで検索したら職場のすぐ近くにあった。

 まさかこの歳で骨髄バンク登録をしようと思うなんてな⋯⋯。

 今まで自分がこういったものにまるで無関心だったと言わざるを得ん。


 私は番号札を受け取り待合所で待つことしばし⋯⋯。

 すると。


「栗林君じゃないか!」

「え? ⋯⋯社長?」


 まさかの社長と出会ってしまった。

 私の勤める会社はそう大きくはない、社長とも毎日顔を合わせるような規模のところだ。


「まさか栗林君、きみはVチューバーのファンだったのかい?」


 ⋯⋯え?

 たしかに今こうして骨髄バンク登録に並んでいるとそう見えるのかもしれん。


「いえ⋯⋯前からこういう社会問題に貢献したいと感じていただけですが⋯⋯」


 とりあえず無難に返事をしておく。


「そうなのか? なら頼みたいのだが⋯⋯このアリスのグッズを渡してもらえんだろうか?」


 ⋯⋯はあ?

 なんだ? 社長が有介(アリス)のグッズを欲しがっている⋯⋯だと?


 そもそも私はVチューバーにはまるで興味はない、しかも自分の子供のグッズなどほんとにどうでもよかった。


「ええ構いませんよ」

「そうか! ありがとう栗林君!」


 おそらく社長は年齢制限で自分では登録出来なかったんだろう。

 しかし⋯⋯こんな社長の喜ぶ顔はまるで大口の取引をまとめた時のようだな。



 こうして私は骨髄バンク登録を済ませて会社に戻った。

 そしてその日の帰りに社長と飲みに行くことになったのである。


 社長とサシで飲みに行くのは初めてだった。

 少し緊張する⋯⋯。


「あの社長これを⋯⋯」


 私はVチューバーアリスの絵の入ったよくわからんグッズを手渡した。


「おお、ありがとう」


 それを大事そうに仕舞う社長だった。


「あの社長、()()のファンなんですか?」


 私は思い切って聞いてみた。


「孫がねファンなんだ」

「そうですか⋯⋯」


 孫か⋯⋯。


「栗林君はゲームをするのかい?」

「まあ多少は」

「私はね⋯⋯さっぱりだったよ」


 そう遠くを見つめながら杯を飲み干す社長だった。


「子供の頃から勉強勉強で社会に出てからも仕事仕事で⋯⋯こうして小さいながらも自分の会社を持てた」

「その⋯⋯ご立派です」

「だからかな。 孫との会話が無くてな⋯⋯」

「そうですか」


「その小学生の孫が最近Vチューバーとやらにハマっていてな、このグッズが欲しいと言い出したんだ」

「そうですか」


 ただ相槌を打つだけの私だった。


「それでこのVチューバーとやらを私も見たんだがな⋯⋯」


 ⋯⋯息子のVチューバー活動を社長が見ている!?

 私は嫌な汗が背中に流れるのを感じた。


「楽しそうなんだよな、ゲームってさ」

「⋯⋯社長」


「私にもこんな少年時代があったのかもしれん⋯⋯そんな風に思ってしまった」

「⋯⋯そうですか」


「最初は孫の好きなものを知りたいだけだったのに、まさか自分がこんなゲームに今更興味を持つようになるとはな! ははは⋯⋯」


「あの社長⋯⋯今では大人がゲームをするなんてまったく珍しくもない時代です、したいならすればいいのでは? そのくらいの時間ならあるのでは?」


 今の会社では社長の息子が副社長として活躍している、そのため最近の社長は半ば引退という感じである。


「そっか⋯⋯自分でゲームをするか。 考えても見なかったな」


 こうしてすぐに私と社長はその飲み屋を出て⋯⋯近くのゲームショップへと行った。

 そして社長はファミステ・スイッチをその場で購入した。


「なにかお勧めはあるかい栗林君?」

「そうですね⋯⋯これなんか初心者にはお勧めかな?」


 私は無難なマリオンを勧めた、なんだかんだで日天堂のゲームなら問題はないだろう。

 ここはファミリー層向けだしな。


「なるほど⋯⋯これなら孫とも遊べそうだな」


 こうして私はその日は社長と別れたのだった。



 そして後日。


「栗林君! ちょっと練習に付き合ってくれ!」


 それから会社の昼休みに社長室に呼ばれてゲームの相手をすることが私の日課となった。


「なるほど⋯⋯ここはこうするといいのか!」


 最近の社長は楽しそうだった。

 お孫さんとも毎日ゲームで遊んでいるらしい。


 私もいつかは孫とこうしてゲームを楽しむのだろうか?


 娘の真樹奈が結婚する事は想像できん⋯⋯有介はどうだろう?

 あいつもあの声のせいでまともな恋愛が出来るとは思えんし⋯⋯もしかして孫は出来ないのだろうか私には?


 こうやって楽しそうに孫とのゲームの事を話す社長を見ていると、なんだか羨ましくなってくる。

 私もいつかこうやって孫とゲームでもして遊びたいものだと。


「お? 栗林君さすがに上手いな!」

「手は抜きませんよ社長」

「当たり前だ! 仕事も遊びも真剣にやってこそだからな!」


 これ以降私は今まであいさつ程度だった社長となんだか仲良くなってしまった。


「栗林さん、その⋯⋯父の相手をありがとうございます」

「ははは、私もゲームは大好きですから構いませんよ」


 副社長とも最近円滑になった気がする。

 こうやって社長親子と仲良くなってくるとだんだん積極的に仕事でも提案しやすくなってくる。


「⋯⋯なるほど、提案ありがとう栗林さん」

「いえ、会社に貢献できたならそれが一番ですから」


 最近になって私はようやくVチューバーという仕事が何なのかわかるようになって来た。

 遊びという共通の話題で人と人とを繋ぐ仕事なのだ。


 真樹奈は昔から調子よくやって来たから大して不思議でもない。

 だが有介が⋯⋯あの引きこもっていた有介がこんな仕事をするようになったのだと思うと胸が熱くなる。


「あとは彼女でも出来てたら安心だったんだがなあ⋯⋯」


 はたしてあの有介を理解してくれる女が居るのだろうか?

 私の老後の楽しみに孫と遊ぶ事は出来るのだろうか?


「⋯⋯あのグッズ、社長にやったのが今更惜しくなったな」


 いまさら私は息子(アリス)のVチューバー動画を見ながらそんな事を思うようになっていた。

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銀色の魔法はやさしい世界でできている~このやさしい世界で最後の魔女と素敵な仲間たちの夢見る物語~
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― 新着の感想 ―
[一言] この人、さも常識人のようなモノローグだけど、子供たちにイカサマ麻雀仕込んでなかったっけ? なんならイカサマのダメ出ししてたし…
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