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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第3章 流星の想い人

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#051 最高の私

 僕の見ている前で最後の第4クォーターが始まり⋯⋯、

 瞬く間に留美さんが連続3Pで点差を詰めた。

 これで後、9点差だ!


 しかし相手もこの決勝リーグに勝ちあがってくるチームだ、すぐに点を取り返す。

 でもすぐさま留美さんが3Pを決めてまた点差を詰めた。


「⋯⋯カッコいいな、留美さんって」

「素敵な彼女だね、アッ君」


「うん⋯⋯って、彼女じゃないよ留美さんは!?」

「あれ? そうなんだ」

「うん、彼女じゃないよ」

「そっか⋯⋯()()、彼女じゃないんだ⋯⋯」


 その時大歓声が起こり最後にシオンが何を言ったのか僕には聞こえなかった。


 ディフェンスリバウンドを取ったウチのチームが反撃に出る。

 そして3点ラインの外で留美さんは待ち構える。


「そこだ! 留美さんにパスしろっ!」


 しかし相手も即座に二人がかりで留美さんの守備についた、ダブルチームというやつだった。

 でもそれで出来た4対3という人数差を上手く使ってウチのチームは点を取った。

 留美さんは今回はオトリになったのだ。


「今の相手⋯⋯アリスケの声に引っかかったわね?」

「あの声で相手チームの守備が留美ちゃんに偏っちゃったね」


 そんな姉と映子さんの分析に⋯⋯、

 そっか、僕の声が役に立ったのか⋯⋯。

 と、嬉しくなった。


 そこからの数分間は互角のシーソーゲームで進んだ。

 時たま留美さんの3Pで点差を詰めるが、その機会は減った。

 さすがに相手の守備も必死だし、仕方ない。


 残り時間1分を切った。

 点差は5点。

 3P2本で逆転できる!


 しかし留美さんはなかなかシュートが撃てないようだった。


 ── ※ ── ※ ──


 私はチラリと時計を見る。

 あと1分を切った。

 点差は5点。


「2点なら構わん! 3点だけは許すな!」


 相手の必死な声に少し苛立つ⋯⋯。


「落ち着いて留美さん!」


 アリスケ君の声が聞こえて私は心を落ち着かせる。


 じっくりとチャンスをモノにする!

 だけどここは時間をかける時だ。

 ただ速攻をかけて相手の反撃チャンスを増やさない。


 でも反対に私のマークに着く相手の7番はイラついているようだった。

 あの応援のせいだな⋯⋯本当によく通る声だった、アリスケ君の声は。

 声優を目指す私には少しだけ嫉妬もあるけど、選手としての私にはまさに守護天使だった。


 今の私に出来ない事なんて無いよ!

 私はスリーを撃たずに中にパスを送った。

 そして逆サイドへと移動する。


 それを察知した味方が即座に私にリターンパス。

 ポイントガードの梅沢さんが私のマークに着こうとした7番にスクリーンをかけてくれる。


 ほんの2秒程度の空白。

 私にはそれで十分!

 相手チームをあざ笑うような3Pシュートの軌道が美しい弧を描く──。


 シュッパッ。


 決まった、残り45秒で2点差。

 もしもここで残り30秒以下だと相手は攻めないで安全策で時間切れを狙える。

 でもこれで一度はシュートを撃たなきゃいけないのだ。


「全力で死守よ!」


 コートの外でキャプテンが立ち上がって叫ぶ!


 敵チームには絶対的な3Pシューターは居ない。

 だけどここで3点だけは絶対ダメ。

 仮にシュートを撃たせても2点で。


 さらにフリーでは絶対に撃たせない。

 ⋯⋯あとは落ちるのを祈るのみだ。


 私はボールを保持する相手の選手を密着マークしつつ、後ろでひかえているゴール下の桜田さんにサインを送った。


 ──抜かせるから、あとは頼むと。


 時間は残り20秒で相手は私を振り切ってドライブに成功する。

 ⋯⋯しかし、そこは罠だ!


 ゾーンを固めたウチの守備に無理をして撃ったシュートをゴール下の桜田さんは止めた!

 私はその弾かれたボールを確保した。


 しかし今回は相手も切り替えが早い。

 シュートを撃った時点で即座に残りの選手は守備に戻ったようだ。


 残り15秒!

 チームの最前線は私だけ、味方が上がってくる時間はもう無い。


 相手はゴール下に2人、外に2人と万全の守備陣形を作っている。

 点差は2点、ここはもう3Pしかない!


 これ以上切れ込めない、そんなギリギリの位置。

 3点ラインよりやや遠いいこの位置からしか撃てないと判断した。


 いつもより高めに撃ったそのシュートは⋯⋯外れる!?

 そう直感した。


「リバウンドッ!」


 思わずそう叫ぶ私!


「任せて留美!」


 その声は私のクラスメートで、このチームに私を誘ってくれた桜田さんだった。


 私のいつもより高く撃った3点シュートは桜田さんの最前線への到着時間を稼いだのだった。

 リングにあたったボールは⋯⋯弾かれた!


 思わず私もゴール下へと走りそうになった。


「仲間を信じて、留美さん!」


 その私の天使の声にハッとしてアウトサイドに留まる!

 リングに当たり勢いよく跳ね返ったボールは、まだゴール下に入り切れていない桜田さんの手の中に吸い込まれた!


「お願い、留美!」


 桜田さんの最後のパスが私に通った──。

 ──あ⋯⋯これあの時と同じだ。


 私の中学の時の最後の試合で決まらなかったラストシュートの時と同じ⋯⋯。

 今度も外したら⋯⋯。


「撃って!」


 最後に私に届いた声はアリスケ君じゃない。

 チームメイトの声だった。

 私の手からボールが放たれた──。


「あたっ!?」


 その直後私は⋯⋯思いっきり突き飛ばされてコートに転んだ。


 シュパッ!


「⋯⋯入った」


 私は試合終了のブザーをコートに寝転がったまま聞いたのだった。


「留美! ありがとう!」

「そっちこそ桜田さん」


 桜田さんが私を起こす⋯⋯痛っ!?

 どうやら突き飛ばされたときに手を捻挫したらしい⋯⋯。


 でもいいか、試合はもう終わったし。


 その後、一応ルールにのっとってバスケットカウントのフリースローを怪我した私に代わってベンチに居たキャプテンに撃ってもらった。

 もちろん決めたキャプテンは⋯⋯まあ勝敗には関係ないけどね。

 いい記念だってキャプテンは喜んでたけど。


 こうして試合は2点差で私たち青海高校の勝利で終わった。




「⋯⋯疲れた」

「お疲れ様、留美⋯⋯あ、芹沢さん⋯⋯」

「別にいいよ留美で⋯⋯智香」


 そう嬉しそうな顔の智香と私はまた握手した。


「これで地区大会は突破した! 全国までには私の怪我も治るから間に合う! ありがとう芹沢さん!」

「あははは⋯⋯どうも」


 キャプテンも泣きながら抱き着いてくる⋯⋯困ったな。

 私⋯⋯バスケ続けたくなっちゃうじゃない、これじゃあ⋯⋯。

 ⋯⋯でも。


「ねえ留美⋯⋯私たちとバスケット続けない?」


 やっぱり言われたか⋯⋯。


「ごめん無理」

「なんで、もったいないよ!」

「私には夢があって⋯⋯それに向かって今はいそがしいから」

「夢って?」

「それは、ナイショ⋯⋯今は」


 そんな私たちの前に真樹奈さん達が来た。


「おつかれ! 留美、凄かったじゃん!」

「留美ちゃんカッコよかったよ!」

「留美ちゃんってすごいんだね⋯⋯ほらアッ君も何か言ってあげなよ」

「⋯⋯お疲れさま」


 ⋯⋯ふふ。

 会場ではあんなに大きな声で応援してくれたのに、近くで人前だと声が小さいなあ⋯⋯私の天使様は。


「あれ? 留美、怪我したの?」

「ああ、ちょっとね」

「うわ⋯⋯凄いハレてる⋯⋯」

「痛そう⋯⋯」


 うう⋯⋯そう言われると痛みが⋯⋯。


「あの先生、よかったら私たちが留美を病院へ連れていきますが⋯⋯どうでしょう?」


 私たちの引率の先生はその真樹奈さんの提案を検討して⋯⋯、


「それではお願いしてもいいですか? この後表彰式があって時間がかかるので⋯⋯」


 こうして私はチームメイトたちより一足先にこの会場を後にするのだった。




 私は映子さんが運転する車に乗ってそのまま病院へと向かう。


「この近くだと⋯⋯ここの総合病院かな?」

「あ⋯⋯お母さんが入院しているとこだ」


 カーナビが示す場所は私がよく知った病院だった。


「そうなの? ならついでに会ってきなさいよ」


 そう言って真樹奈さんがスポーツドリンクのペットボトルを渡してくれた。

 急いでいたから喉がカラカラだった、私は飲もうとしたけど⋯⋯。


「はい、開けてあげるよ留美さん」

「⋯⋯ありがと、アリスケ君」


「このくらい大したことじゃないよ」

「コレのことだけじゃなんだけどね⋯⋯今日は応援ありがとって言ったのよ」


「そっか⋯⋯でも今日の留美さんはホントに凄くてカッコよかったからさ、感動したよ!」

「感動したんだ⋯⋯カッコよかったんだ、私って」

「うん」


 なんか報われた。

 1週間も仕事休んでまでしたバスケだったけど⋯⋯目的は達成できた。

 今日⋯⋯アリスケ君は私だけを見てくれているのだから──。


 アリスケ君の前で()()は最高の私で居たいな。

 その自分の心が何なのか私は⋯⋯ぼんやりと自覚しつつあった。


 そして車は母が入院している総合病院へと着くのだった。

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