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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第2章 出会いし5人目のVチューバー

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#040 秘密の誓い

「そろそろ離れたら?」

「あ⋯⋯」


 僕は留美さんのツッコミでようやく現実に戻ってきた。

 ⋯⋯なんか放心してたな、僕は。


 それまで抱きしめていた紫音⋯⋯さんの柔らかさを思い出して、今更ドキドキしてきた。

 プニっとやわらかくて、女の子なんだって実感した。


 ⋯⋯あの紫音君が女の子だったのか。


「ごめんなさい私、抱きついちゃったりして」


 ⋯⋯そういう紫音さんはちっとも動揺している様子は無いな。

 もしかして僕の事を男だと思っていないのだろうか?

 それはそれで悲しいものがある。


 そんな事考えていたら向こうから木下さんがやってきた。

 どうやら警備の人に呼ばれたのだろう。


「有介君に留美さん、何かあったの!?」


 なんか慌てているな⋯⋯まあしょうがないけど。

 そんな木下さんは紫音さんに気がつくと⋯⋯。


「あなた部外者ね、こんなところで何をしているのかしら?」


 結構威圧的に尋ねるのだった。

 まあ僕らの安全を守るために必死なのだろうが⋯⋯それで紫音さんはすっかり萎縮してしまった。


「私⋯⋯その⋯⋯」

「その! 僕の友達なんです!」


 僕は紫音さんに最後まで言わせずゴマかすことにした。


「⋯⋯友達をここへ連れてくる? そんなはずないでしょう!」


 う⋯⋯やっぱりゴマかせないか?

 木下さんには僕に友達いないこと知られているし⋯⋯。


 そんな僕を制して紫音さんは前に出た。


「私、ネーベル・ラ・グリム・紫音です。 今日はアリスに会いに来たんです」


 そう淡々と説明した。


「あなたがネーベルさん?」

「はい」


「⋯⋯たしかコラボの打診があったけど、それは断ったハズよ?」

「⋯⋯はい。 だから直接会いに来たんです」

「このことは事務所は知っているのかしら?」

「私の独断です」


「⋯⋯はあ。 報告し抗議させてもらいますからね、覚悟してネーベルさん」

「⋯⋯はい」


 このままだとマズイ⋯⋯。


「待ってください木下さん!」

「何かしら⋯⋯栗林君?」


 どうも木下さんは僕がアリスだとバレないよう配慮してくれていたらしい。


「こちらのネーベルさんは僕の小学校時代の親友だったんです!」

「え?」

「この前の麻雀配信の時にどうもバレたみたいで、それで会いたかったそうなんです!」


 さて⋯⋯どうなる?


「それは本当なのかしら? ネーベルさん?」

「はい、私はアーちゃんの親友の霧島紫音なんです!」


 それを聞いて木下さんは考え込んでしまった。


「マジなの⋯⋯」

「はい、そうだったんです」

「⋯⋯とりあえずそちらの責任者を呼んで、それから話し合いましょうか」


 こうして僕の午後からのレッスンは中止になった。




「私はレッスンに戻るから」

「うん、監督によろしく言っといて留美さん」

「わかったわ、しっかりやりなさい後悔しないようにね、アリスケ君」

「うん」


 こうして留美さんだけレッスンに戻っていった。




 そして僕と紫音さんと木下さんは会議室で待つことしばし──。

 30分ほどで男の人がやって来た。


「遅れて申し訳ありません。 ネーベルのマネージャの坂上と申します」


 そう丁寧にお辞儀していた。

 その坂上さんの印象は、仕事のできるビジネスマンといった印象だった。


「『ヴィアラッテア』の木下です。 とりあえず座ってください坂上さん」

「はい、失礼します」


 こうして僕は木下さんの隣に、紫音さんと坂上さんは机の対面に並んで座ったのだ。


「この度は我が社のタレントのご無礼、申し訳ありませんでした」


 そう深々と頭を下げる坂上さん。

 それに倣って紫音さんも頭を下げた。


「こちらのアリスとのコラボはお断りしたはずですが?」

「そちらがアリスさん? ⋯⋯アリスさん? え? 男???」


 まあバレるか⋯⋯この至近距離だと。


「これがコラボをお断りした本当の理由です。 アリスの正体は我が社のトップシークレットなので」


 そんな大層な立場だったのか僕は⋯⋯。


「なるほど⋯⋯確かに。 これではオフコラボを断られて当然ですね」


 向こうも納得したようだ。


「でも木下さん、コラボの話なんて来てたんですね。 どうして言ってくれなかったの?」


 そうすれば紫音さんが訪ねてくることも無かったのに。


「まさかしたかったの、オフコラボを?」


 うんそうだよね、木下さんは僕が断ると思い込んでいたんだ。

 ただ僕を守ろうとしてくれただけで⋯⋯。


「確かに断ったでしょうね⋯⋯ネーベルが紫音さんだと知らなかったら」

「どういう事ですか?」


「あのねマネージャー、アリスは私の友達だったの⋯⋯」

「⋯⋯ホントに?」

「本当」

「はい、その通りです」


 僕と紫音さんがそろって認める。

 すると木下さんも坂上さんも困惑する。


「ネーベル⋯⋯きみに友達が居たなんてありえないんじゃ⋯⋯」


 どうやら坂上さんは紫音さんの記憶の事を知っているようだ。


「思い出したのアーちゃんの事は⋯⋯だから会いたくて」

「それがコラボを持ち掛けた本当の理由だったのか? そういう事はもっと早く言ってくれ」

「ごめんマネージャー、会ってみるまで確信が持てなかったから」


「⋯⋯それで直接会って確信できたのね、貴方たちが友達だったって」

「そうなんです」


 はあ⋯⋯と木下さんも坂上さんもため息をついていた。

 そして暫くして木下さんは2枚の紙を取り出した。


「こちらの念書にサインをお願いします」

「なんですかそれは?」

「あなた方がアリスの正体をバラさないという念書よ」


 そこまでするのか⋯⋯。


「なるほど、アリスの正体が男だとバレると会社に損害が出るから⋯⋯という訳ですか」

「最悪、営業妨害として訴える可能性もありますのでその前に穏便に済ませたいのです、ご理解を」

「わかりました」


 そう言って坂上さんはさっさとサインした、まるでこの問題を早く終わらせたいと言わんばかりに。

 しかし⋯⋯。


「これにサインしたら私⋯⋯アーちゃんに会えなくなる?」


 その念書には接近禁止も項目に入っていた。


「あの木下さん⋯⋯バラさないだけでいいんじゃ?」

「ケジメよ、これは」


 その木下さんの言葉は厳しかった。


 結局しぶしぶと紫音さんはサインしたのだった。

 その『Vチューバー・アリス』とは今後近づかないという念書にサインを。




「本日は誠に申し訳ありませんでした」

「ご迷惑おかけしました⋯⋯」


 そう頭を下げて二人は帰ろうとした。


「待って、紫音さん!」

「なに?」

「連絡先交換して!」

「ちょっと有介君!」

「栗林有介としてならいいでしょ、木下さん?」

「⋯⋯勝手にしなさい」


 木下さんは折れてくれた。


「ありがとう木下さん」

「どうなっても知らないわよ」


 そして僕と紫音さんはスマホの連絡先を交換した。

 紫音さんはスマホを1つしか持っていなかったけど、僕は私物の方のスマホでだけ交換した。


「⋯⋯なるほど、業務用のスマホか」


 坂上さんはそんなところを感心していた。


「トラブル対策ですよ」

「たしかラインの誤爆でそちらのタレントが引退しましたよね?」

「アレがあってからの対策ですよ」


 なんか木下さんと坂上さんはバチバチにらみ合っている⋯⋯ライバル意識かな?

 そして木下さんは紫音さんに近づく。


「ネーベルさん、秘密を守れなかったら貴方の友達の有介君に迷惑がかかるわ」

「わかっている、絶対に秘密にする」

「それさえ守ってくれれば私生活までは干渉しません、私から言えることはそれだけです」


 そういって最後はやさしく笑って見送った、木下さんは。


「電話するから! アーちゃん⋯⋯いやアっ君!」

「うん、僕も電話するよ紫音さん!」


 こうして僕らは別れたのだ。

 お互いの今を知って。


 その後、僕は木下さんにいっぱい叱られてからレッスンの終わった留美さんと一緒に帰ったのだった。




 その日の夜──、

 紫音さんから大量のラインが着ていたことに気づいた⋯⋯。


 [紫音:返事してよ⋯⋯]


 20件目くらいには涙目になっていた。

 僕は慌てて返信するのだった。


 そして──。


 [紫音:コラボしたかったな]

 [有介:そうだね]


 でもそれは念書のせいで出来ない。

 ⋯⋯でも。


 [有介:今度の週末、僕は『シム・ワールド』をする予定なんだ]

 [紫音:それって?]

 [有介:同じゲーム系Vチューバーなんだし、偶然同じ日に同じゲームをすることはあり得るんじゃないかな?]


 それから暫く返信が来なかった。


 そして10分ほどたって返信が来た。

 そこにはこう書かれていた。


 [紫音:受けて立つ!]


 僕はにやりと笑って返信した。


 [有介:そっちこそ覚悟しろ!]


 この時きっと僕らは同じ顔だったに違いない。

 きっとあの頃のように。

 遠く離れていてもなぜか僕らは、それを確信できたのだ。

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