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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第1章 導かれしVチューバーたち

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#003 新しい生活へ

「今日のところはこのへんで、明日正式にアリスケ君の両親にご挨拶に向かいます」


 そう木下さんと約束した。

 その帰り道。


「ねえさん」

「なに?」

「ねえさんは父さん達にVチューバーやってる事言ってるの?」

「⋯⋯いや、黙ってた」


 だと思った。

 そうでなければ僕は、家族で一人だけ知らずにハブられてて辛いとこだった。


「アリスケ⋯⋯一緒に話そう」

「うん」


 さっきまで頼りになった姉が、何故か今は頼りなく感じた。




 そして家に帰ると両親に僕がVチューバーになる事を話した。


「⋯⋯なぜ相談せん」


 父は怒っていた。


「駄目なの? 父さん?」

「お父さん、Vチューバーは私もやってる立派な職業で事務所も確かな──」


 ドンっ!

 父さんがテーブルを叩いた!


「真樹奈、お前がどんな仕事を選ぼうがそれはいい。 だが有介!」

「はいっ!」

「お前はまだ未成年だ、就職など許せんしバイトなら親の許可が必要だ!」


 至極まっとうな理由だった。


「それを断りもなしに契約を進めたその事務所⋯⋯信用できん!」


 うわぁ⋯⋯。

 マジで怒ってる父さん、でもそれは僕を心配して守るための躾だった。


「とりあえず明日、私のマネージャーの木下さんが来るから話は──」

「当然聞く! その話次第ではこの話、絶対許さんからな!」


 そう言ってお父さんは立ち上がり自室へと入っていった。


「お父さん⋯⋯有介の事が心配なだけなんだからね」

「わかってるよ母さん」


 こんな僕の事を両親が暖かく、厳しく見守ってくれていると実感した。

 でも⋯⋯。


 いま新しい世界へ飛び込もうと決意した僕にとって、それは重荷だった。




 そして翌日。

 僕が学校から戻るともう父さんは仕事から帰っていた。


「ただいまお父さん⋯⋯今日は早いね」

「仕事は早退した、お前の為だ気にするな」


 気にするよ⋯⋯父さん。


 そして1時間もしない内に木下さんはやってきた。


「私は『ホロガーデン』のマネージメント部の木下と申します。 本日はお時間いただき、ありがとうございました」

「⋯⋯大事な息子の為だ」

「あの父さん、私は?」


 余計な事を言った姉は父に睨まれる。


「木下さん⋯⋯と、言ったな」

「はい」

「親に黙って未成年と契約する会社はとても信用できん、この話は断る!」


 そう父は一方的に話を打ち切った。

 しかし木下さんは──。


「こちらが有介君との契約書です。 ですがまだ会社には提出していませんし、そもそもこの契約自体会社には報告していません」

「え?」


 それではまだ僕は契約していないという事?

 あの時の決心は何だったんだ?


「⋯⋯どういうことだ、木下さん」


 今度の父の声は少しだけ柔らかくなった。


「失礼ながら有介君は積極的に人と関わる事を避けるように見受けられました、その為自発的に動くためには勢いも必要だと判断しました」


 そうだったのか。


「少しは道理をわきまえているようで安心した」


 父は少しだけ悔しそうに言った。


「では本日あらためて有介君のわが社との契約を進めたいのですが⋯⋯よろしいでしょうか?」


 木下さんはきっと場数を踏んだ人なんだろう⋯⋯貫禄すら感じた。


「有介⋯⋯一晩たって頭も冷えただろう。 まだやりたいか、そのVチューバーとやらを」


 父さんは頭ごなしに反対する気はないようだった。


「反対しないの父さん?」

「お前がこのままでいいとは父さんも思っていない。 何かお前が変われる、前向きになれるきっかけがあるなら願ったりではあるからな」


 こんなに心配かけていたのか僕は。


「お父さん、正直出来るかどうかなんてまだわかんない。 でも何かやってみたいと思ったんだ」

「⋯⋯そうか」

「お父さん、木下さんは信頼できる私のマネージャーなの、信じて」


 姉さんまで。


「木下さん⋯⋯さっきはすまなかった。 息子を、有介をよろしく頼みます」


 そう言って父さんは頭を下げた⋯⋯僕の為に。


「はい、お任せくださいお父様。 わが社で責任をもってバックアップしますので」


「⋯⋯あのお父さん、私もいいよね?」


 姉も便乗するこの機会に⋯⋯なんか姑息だな。


「真樹奈。 お前はもう社会人だ、好きにすればいい」

「ちょっと父さん、有介と態度違くない?」


 姉は少しだけスネていた。


 それから木下さんとお父さんとの間で細部にわたって打ち合わせが続いた。

 当人である僕は隣で適当に相槌を打つだけである。


 その結果決まった事は、僕の契約は正規雇用ではなくてアルバイト扱いだという事だ。

 配信も学校から帰ってきた後の2時間くらいを目処にしている。

 正直、普段の僕のゲーム時間の半分くらいなので負担はなさそうだ。

 そして自宅で出来る仕事だという事で、父さんも安心したようだった。


「こんなところでしょうか?」


 そう木下さんは説明を終える。


「半年以内ならこちらから一方的に契約を打ち切っていいんだな?」

「はい、どうしてもこの仕事は本人の資質に左右されます。 無理して続けられる仕事ではありませんから」


 木下さんの説明ではVチューバーを始めても、合わない人は3か月持たないそうだ。

 はたして僕はどうなのだろうか⋯⋯不安だ。


「その仕事場となる有介君の部屋を拝見してよろしいでしょうか?」


 この木下さんの要望は妥当なものだった⋯⋯しかし。

 父さんも交えて僕の部屋を観察する⋯⋯狭かった。

 しかも壁に穴まで開いていたこれは木刀を振り回して壊したやつだった。


「なかなか片付いているじゃないか⋯⋯壁はまあ男の子だ、気にするな」


 と、お父さんは久しぶりに見た僕の部屋をそう評価する。

 一応壁の穴は貫通はしていない⋯⋯が、中の断熱材とかがむき出しだった。


「⋯⋯ちょっと話してみてくれませんか?」


 そう言って木下さんは部屋から出て扉を閉めた。

 僕は言われるままに暫く声を出す──。


 戻ってきた木下さんは⋯⋯。


「ちょっとこの部屋では厳しいかと、音が結構洩れるので⋯⋯」


 普段僕は喋らないから今まで問題にならなかった部分だった。


「ならねえさんの部屋を使うというのは?」


 姉さんは学生時代フルートを習っていた。

 その為、壁には防音加工をしていたのだった。


「いや⋯⋯乙女の部屋を弟に使われるのは⋯⋯」

「真樹奈、お前はすぐに自分のマンションに引っ越すんだろ?」


 そう父が言った。


「そうだわ!」

「なに、木下さん?」

「真樹奈さんの新しいマンションに有介君も一緒に住むのはどう?」


 それが木下さんの提案だった。


 姉さんの新しいマンションは事務所が見つけた物件で防音は完璧だ。

 そして部屋数もあるとの事。


「ねえさん、なんでそんな大きなマンションを?」

「いや⋯⋯手頃なとこだと防音や立地がね⋯⋯」


 どうも家賃は事務所が一部負担しているらしい。

 だからねえさんは、そんな大きなマンションに決めたそうだ。


「それに広いといつか仲間と一緒にオフコラボとかできるしね」


 昔から姉さんは面倒見のいい人だ、自然と人を引っ張るリーダーシップを持っている。


「⋯⋯ねえさんらしいね」

「それで真樹奈、お前どこに引っ越すんだ?」


 父の質問で場所をスマホで検索する。

 すると今僕が通っている学校の近くだった。


「学校が近い⋯⋯ここから通えば電車に乗らずに済む!」


 僕は中学時代の同級生が居ない学校を選んだため、結構遠めの学校に進学したのだ。


「うーん、真樹奈と一緒ならいいか⋯⋯。 真樹奈、お前はそれでいいか?」

「あーうん、まあいいよアリスケなら。 でも一人暮らし満喫したかったな」

「真樹奈⋯⋯あなた普段は自分で料理とかしているの? コンビニ弁当だけじゃないわよね?」


 そう母が聞く、母さんは姉の実態を知っているからな⋯⋯。


「なら決まりだな有介、真樹奈と一緒に住め。 お前と一緒なら真樹奈の事も心配せんで済む」

「父さん⋯⋯酷くない?」

「なら父親に手料理の一つも作って見せろ」


 そう言われて姉は沈黙した。


「そうね、真樹奈と違って有介は母さんの家事をちゃんと手伝ってくれるしね」


 僕は普段出歩かないから家に居る時間が長いからなんだけどね。


「そうですか、有介君と真樹奈さんが一緒だと事務所としても管理しやすいので安心できます」


 そう木下さんも薦めてくれた。


「⋯⋯アリスケと一緒に暮らすか。 あんがい悪くないわね」

「ねえさん、僕に家事を全部押し付ける気だろ⋯⋯」


 こうして1週間後に僕は長年暮らした実家を出て──、

 姉と共に新しい生活、新しい世界が始まるのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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銀色の魔法はやさしい世界でできている~このやさしい世界で最後の魔女と素敵な仲間たちの夢見る物語~
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― 新着の感想 ―
[良い点] びっくりするくらい親がまともだ。 現代日本舞台のラブコメのイメージって、「両親は〇〇のバイヤー」とか「アーティスト」とかの設定で、ずっと海外に行っていて帰国するのは年一回、みたいな非現実的…
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