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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第9章 リアルの家族たち

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#260 9月20日

 私は柚子ちゃんと連絡をとりあって今後の計画を立てた。


 ⋯⋯まあ結論から言うと柚子ちゃんはあんまり役に立たなかった。

 その代わりに柚子ちゃんのお母さんである井口みかんさんが力になってくれた。


「そう、紫音ちゃんがね。 いいわ、このみかんさんに任せなさい」


 頼もしかった。

 私はあんまり仲間の虹幻ズとも慣れ合わなかったからこういう時にどうすればいいのかわかんなかったけど。


 いつか恩返しをしよう、そのためにもVチューバーは辞めない。

 そう決心はしたのだった。




 さて今後のスケジュールを立てるためにカレンダーを見ていたら⋯⋯。


「⋯⋯あ! 今度の週末はお父さんとお母さんの命日だ」


 さてどうするか?

 両親のお墓は山奥なので電車じゃ無理なんだよなあ⋯⋯。


「⋯⋯あっ君に相談してみるか」


 このあっ君と相談した結果、栗林家の皆さんが一緒にお墓参りに来てくれることになってちょっとした日帰りの旅行みたいな感じで行く事になったのだった。


 どうしてそこまでして今回に限ってお墓参りする気になったのか?

 ⋯⋯両親に今の自分を見せたかったのだろうか?

 それとも⋯⋯今後の決意を見せたかったのだろうか?

 よくわかんなかった。




 そして週末⋯⋯あっ君の実家の両親と一緒にお墓参りに行く。

 行くのは私とあっ君と真樹奈さんとあっ君のお父さんとお母さんだけ。


「すごい山奥にあるのね、その龍傑寺(りゅうけつじ)とかいうお寺は⋯⋯なんかお尻がムズムズしそうな名前だけど」


「真樹奈、そういうことは言うんじゃない。 ⋯⋯大変なんだぞ歳をとると」


 そう真樹奈さんをたしなめるおじさんだった。


「え? お父さんってもしかして?」


 そうあっ君も訊ねる。


「⋯⋯痔は長時間座る仕事でもなりやすい。 有介たちも気をつけるんだぞ」


 そう聞いて私たちVチューバー組の顔色が変わる。


「まさか⋯⋯Vチューバーにそんな職業病が!?」

「あっ君のお尻に爆弾があるなんて!」

「私は美少女だから関係ありません!」


 そう必死に喚きたてていた。


「真樹奈⋯⋯お前もう24だろ? それで美少女とか笑わせるな」


「23です! まだ23歳で~す! 来月までは!」

「誤差みたいなもんだろ」


「ちがいます! 大きい差があるんです! 23歳と24歳には! デリカシーないな父さんは!」


 そう真樹奈さんをフルボッコにするお父さんとキレ散らかす真樹奈さんだった。


「ふふっ」


 なんだか私は笑ってしまった。


「ごめんね紫音ちゃん。 お墓参りなのにこんなに騒いじゃって」


 そう運転しているあっ君のお母さんが話しかけてくる。


「いいんです。 こうして賑やかな方がきっといいんです」

「そう?」


 ⋯⋯本心はこのお墓への道を車で行くのはちょっとだけ抵抗があった。

 なぜならこの道が私の家族が事故にあった道だからだ。


 でもバカ騒ぎをしていたおかげで私はいつの間にかその場所を通り過ぎていたんだ。

 そして私達は安全無事にお墓のあるお寺に着いたのだった。




 お墓について見て見ると雑草1本無い綺麗に清掃ずみだった!

 しかも⋯⋯。


「あっ君あそこ! 虹が見える」

「ほんとだ⋯⋯綺麗だな」


「SSR寺だ⋯⋯ここは」

「それはちょっとゲーム脳じゃないかシオン?」


 そんなやり取りをあっ君としていたらお坊さんがやってきてお経をあげてくれた。


 ⋯⋯よかった。

 お父さんとお母さんはこんな良いところで安らかに眠ってたんだね。

 それから今まで来なくてごめんなさい。


 こうして私は感謝の気持ちのこもったお布施を奮発することにしたのだった。

 あとで⋯⋯。


「なあシオン? お布施っていくらくらいなんだ?」


 とかあっ君が聞いてきたので400万と答えたら驚いていた。

 これでもネットで調べたんだけどなあ⋯⋯。


「ここは神運営だからね、お布施ははずんどかないと」

「なんかずごい間違ってると言いたいけど正しい気もする⋯⋯」


 そうあっ君はボヤいていた。




 そして住職さんが話があると言ってきた、なんだろう?


「⋯⋯え? もうお墓がいっぱい?」


 どうやらお父さんとお母さんを埋葬したときにお墓のキャパがいっぱいになったらしい。

 それでこのままだと私の入る分のスペースがないそうだ。


「その⋯⋯お墓を作る相場は?」

「だいたい100万から200万くらいですね」


 うーん? 私がお墓に入っても誰もお参りには来なだろうし、お墓⋯⋯意味あるのだろうか?


「もう私専用だし、十字架のかっこいいお墓とか建てれませんかね?」

「うちは仏教なんじゃが⋯⋯」


「シオンってキリスト教だったのか?」

「いや仏教徒だけどさあ⋯⋯」


 まあこの時はお墓のことは保留という事になったのだ。

 私が死ぬのは100歳くらいだろうし、まだまだ時間はあるからね。


 ⋯⋯それに。


「紫音ちゃんは女の子だからお嫁に行けば、その家の墓に入ることになるからな」


 とかあっ君のお父さんが言った。


「じゃあ紫音は私と一緒の墓に入りましょうね!」


 そう真樹奈さんが言う⋯⋯まあ冗談なんだろうけど。


「あら! じゃあやっぱり紫音ちゃんが有介のお嫁さんに!」

「真樹奈お前⋯⋯嫁に行く気は無いのか?」


 そうおじさんとおばさんが大騒ぎになって焦った。


 ⋯⋯私とあっ君が結婚!?

 その可能性は考えなかったなあ⋯⋯。


「私は結婚しませ~ん! 私は生涯独身なんです~!」


 そう両親を悲しませる真樹奈さんだった⋯⋯。

 ⋯⋯結婚か⋯⋯したら両親は安心するのだろうか?


「ねえあっ君? 私と同じ墓に入ってくれる?」

「え!? それはどうなのかな! いやシオンと一緒が嫌と言う訳じゃないけどさあ!」


 あっ君は嫌がってるわけじゃない、ただ突然で混乱しているだけだ。


 ⋯⋯アリなのかな?

 私はあっ君と同じ墓に入る想像をした。


 ⋯⋯悪くない人生プランだ、そう思った。




 そして私達はこのお寺を後にする。

 最後に住職のお爺さんが。


「あの小っちゃかった紫音ちゃんがこんなに大きくなって、天国のご両親も安心されてますよ」


 そう言われた。


「お坊さん⋯⋯私の事覚えてるんですか?」


「もちろん。 ご両親と一緒に法事に来たときに裏の柿の木によじ登って落ちた事も覚えてますよ」

「⋯⋯そんな事あったっけ?」


 私は記憶喪失だからなあ⋯⋯。


「うわー、シオンならやりそう」


 そうあっ君に言われた。


「もうやらないよ。 だって私は⋯⋯女の子なんだし」


 隣に立つあっ君を見つめる。

 昔は私の方が身長高かったのにいつの間にか抜けれてしまった。


 今日のあっ君は法事だから学生服姿でなんか凛々しい気がする。

 そういやこうして学生服のあっ君と歩くのは初めてだな⋯⋯。


 もしも私が学校に通っていたのならこんな事は当たり前の日常だったのかな?


「紫音さん。 これからの貴方の人生が良いものでありますように」

「ありがとうお坊さん。 ⋯⋯私を、そしてお父さんとお母さんを覚えててくれて」


 そしてお坊さんは明るく微笑んで。


「なに、もうワシも歳じゃからな。 昔の事ばっかり覚えてるもんなんじゃよ!」


 そう朗らかに笑うのだった。


「ありがとうございます」


 嬉しかった。

 1人でも両親の事を覚えててくれる人がこの世に居て。


 きっとそれは両親がいっぱい一生懸命に人との繋がりを大切にしてきたからなんだろう。


「じゃあ行こうか紫音ちゃん」

「行きましょうか紫音ちゃん」


 このあっ君のお父さんとお母さんも未だに両親の事を覚えててくれている。


「はい」


 私はあらためて決意する。

 私のひそかな野望を叶えるために⋯⋯。

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