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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第9章 リアルの家族たち

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#237 リネット・ブルースフィア王女殿下の高校デビュー!

 それは朝のホームルームの時間だった。

 予想されていたリネットの転校イベントが終わり、僕たち生徒は全員体育館へ移動し2学期の始業式を行った。


 まあ退屈な式である⋯⋯しかし。


「それでは今年度よりわが校で共に学ぶ事となった、リネット・ブルースフィアさんにご挨拶をお願いします」


 そう校長が壇上で言った後に僕の近くからリネットが元気に「ハイ!」と返事してから壇上へと歩いて行った。


 その急ぐわけでもなく遅すぎもしない歩調⋯⋯僕たち生徒一同は注目した。

 そんな僕たちの視線を軽く受けてリネットは壇上に立った。


「この青海高校の生徒ならびに教師の皆さま方こんにちは。 私はリネット・ブルースフィアと申します」


 凛としたたたずまいとハッキリした言葉の響き⋯⋯まさに上に立つ選ばれた存在だと思わせるだけのカリスマを感じさせた、この時のリネットは。


「本日はお日柄もよく、こうして良き日に私はこの学び舎に来られた幸運をかみしめています」


 そうリネットの言葉は続いた。


「私はここ日本から遠く離れたブルースフィア王国という小さな島からやってきました。 そしてその国の王家の末席に連なる身分ではありますが⋯⋯ここ日本の高校では私もまたあなた達と同じただの学生にすぎません。 私はこの日本という国に憧れ、この日本で学ぶことを夢見てやってきました。 私とあなた達はこの青海高校の同じ生徒ですのでお気軽に話しかけていただけると嬉しいです!」


 それはリネットから僕たちへのメッセージだった。

 友達になってくださいという。

 ⋯⋯しかし。


「ですが⋯⋯1つ注意点を」


 うん? 流れが変わったな。


「私は姫という特殊な身分なのは変えようがない事実なので気を付けて頂きたいこともあります。

 ⋯⋯それは私の写真をスマホ等の機器での撮影を控えていただきたいのです。 まあ写真を撮ってもらうこと自体はいいのですが、インターネットやSNSなどにアップロードされると困るのです。 私も困りますが皆さんにもご迷惑をおかけするかもしれません。 アップロードされた写真の内容によってはデータの削除のみならず皆様のスマホなどの機器の完全消去や投稿者を一定期間の拘束などの対応をせざるを得ない場合が起こりうります」


 ⋯⋯ざわついていた体育館は水をうったかのように静かになった。


「ですが! そのようなことは私も望んでいないので、ルールを守ってお互い楽しい学校生活を送りましょう!

 それではよろしくお願いいたします。 リネット・ブルースフィアでした!」


 ⋯⋯。

 パチパチパチ⋯⋯。


 なだらかに拍手が起こり始める。

 まるで祝福しなければいけない、というそういう雰囲気に流されて⋯⋯。

 こうして始業式は終わった。




 そして僕たちは教室に戻るのだが⋯⋯リネットの周りにはぽっかりとした間があった。

 そりゃ近づくの怖いだろ⋯⋯。


 そして教室に戻って先生からの遠回しだがちょっと長めのリネット姫の取り扱い注意のお言葉をみんなが聞いた後に今日の授業はお開きになった。




 そしてこの時のリネットは!


 自分の席に座ってクラスの皆からの質問されるのを期待で瞳を輝かせて待ち受けていたのだった。

 しかしながらそんなアイドルの握手会に並ぶ生徒は居なかった。


「⋯⋯あの、アリスケさん?」


 そんな目でこっち見るなよリネット⋯⋯。

 だがしかし! ここで勇者が現れたのだった。


「あの⋯⋯姫様?」

「ハイ、なんでしょうか! 出席番号2番の井口陽太さん!」


 ⋯⋯あいつ、井口陽太(いぐち ようた)という名前だったのか。

 そのデカい男は今朝、僕と留美さんに話しかけてきた男子生徒だった。


「俺の名前()知ってるの!?」


 そりゃまあ驚くよな⋯⋯僕もだけど。


「はい! 皆さんの顔と名前は事前に予習してきましたから!」


「え⋯⋯? じゃあ私の名前も?」

「はい! 出席番号15番の桜田智花さん!」


 ⋯⋯クラスのみんなが引いていくのがハッキリとわかった。


 そして⋯⋯。

 みんな逃げるように教室から出ていくのであった。


 そして残されたのは僕と留美さんと⋯⋯リネットだけだった。


「あの⋯⋯みなさん?」


 そのリネットの言葉はこのガランとした教室に小さく響くのであった。


「あのリネット⋯⋯僕たちも先に帰るよ」

「そうね⋯⋯まだ校門のところに取材陣が居るし⋯⋯」


「⋯⋯⋯⋯そうですね。 私に巻き込まれると厄介ですものね。 お先に帰っててください」


「うん⋯⋯それじゃあまた後で」

「そのリネット⋯⋯元気出して」


「はい⋯⋯。 うん⋯⋯私は笑顔のお姫様。 私は素敵なお姫様。 私は──」


 なんだか雰囲気のおかしいリネットを残して僕と留美さんも先に帰るのだった。






「そして僕たちは帰りに買い物をしてからここシオンの部屋に戻ってきた訳なんだが⋯⋯」

「こわっ!」


 学校で起こったことを聞いたシオンの第一声がこれである。

 まあそうだよなあ⋯⋯。


「どうしてですか!? 私はこんなにかわいいお姫様なのに~!」


 そうまだ僕を抱きしめて⋯⋯というか「絶対に逃がさんお前だけは」という力のこもったホールド中のリネットが叫ぶ。


 だけどリネットの柔らかさと温もりが伝わってきて僕は微動だにできん。


「まあ朝礼の時の写真アップロード禁止はともかくとして⋯⋯」

「クラス全員の顔と名前覚えてるのは怖いよなあ⋯⋯」


「どうして!? 私はただ礼儀として苦労して全員分の顔と名前を覚えただけなのに、どうして!?」


 礼儀か⋯⋯僕なんかクラスの人の名前、留美さん以外知らなかったんだぜ。


「あのねリネット⋯⋯あなた達の顔と名前は知っています、それでもかまわなければご自由に話しかけてくださいね⋯⋯とか、かなり怖いのよ普通の学生なら」


「そんな~!」


「うーん、リネットはリネットなりに歩み寄ろうとしただけなんだけど⋯⋯普通の学生はそんな予習しないんだよなあ」


「そんな! だって紫雲寺麗華さんだって頑張って全校生徒の名前を憶えていたから私も真似して頑張っただけなのに!」


 紫雲寺麗華ってたしかヒーロー戦隊の紫の人だっけ?

 そっか⋯⋯リネットもあの番組見てたんだ。

 そうだよな⋯⋯僕とリネットは同じ世代だし、ましてやリネットはヒーローオタクだからなあ。


「そっか⋯⋯姫ちゃんは高校デビュー失敗したのか」

「失敗じゃないもん! まだ! ⋯⋯ちょっと誤解があっただけで、まだ挽回は可能なはずです!」


「そのへこたれないメンタルは凄いね⋯⋯」

「だよな。 僕ならもう絶対にあきらめるよ」


「私の友達100人で富士山のてっぺんで鬼斬り計画が!」

「あのねリネット。 オニギリは鬼退治じゃなくておむすびの事で⋯⋯」


 よくわからん慰めをする留美さんだった。


「しくしく⋯⋯もう駄目なんでしょうか⋯⋯」

「うーん? この姫ちゃんが実はこんなにポンコツだと知られれば愛されるんじゃないのかな?」


 そうシオンが提案するのだが。


「⋯⋯ポンコツは嫌です。 その⋯⋯素敵なリネット様だと思われたい」


「理想高いなあ⋯⋯」

「ポンコツのクセに」


「ポンコツじゃないもん! 私はブルースフィアでは文武両道で人望あふれる国民のアイドルなんだから!」


 だがここは日本だった。


「え~ん留美さ~ん!」

「よしよし。 そうねリネットは素敵な女の子よ⋯⋯たぶん」


 あ⋯⋯リネットがようやく僕から離れて今度は留美さんに抱きつく。

 安心したというかちょっとだけ残念なのはナイショだ。


 でもやっぱり留美さんは優しいなあ。

 しかし留美さん⋯⋯リネットに抱きつかれてちょっとだけ迷惑そうな表情だったけど⋯⋯。


 それにリネットはやっぱりこういう困ったときには誰にでも抱きつくタイプなんだな。

 僕が特別だとかそういう自惚れは持たないように気をつけないと。


 しかしこうして高校デビューに失敗したリネットは果たしてどうなるのか?

 正直僕にはもうここからの起死回生のアイデアはない。


 うん⋯⋯僕はクラスと馴染もうなんて考えは皆無だったからなあ。

 こんなにも前向きなリネットの姿勢には尊敬すら感じる⋯⋯今はダメダメだが。


「⋯⋯リネット。 私に考えがある」

「留美さん!」


「本当に留美さん!」

「ここから入れる保険があるの!?」


 はたして留美さんの頭の中にはどんなリネット大人気作戦のシナリオが練られているのか?


「⋯⋯るーちゃんのシナリオって、いつものとんでも昔話レベルなんじゃ?」

「心配だな、それは⋯⋯」


「うるさい! 明日は協力してよねアリスケ君も!」

「うん⋯⋯」


 こうして僕は留美さんの作戦に力を貸すことになったのだった。

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