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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第9章 リアルの家族たち

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#232 桜田智花バズる!?

 私は桜田智花、青海高校バスケット部に所属する1年生である。


 この夏わが女子バスケット部は初の全国大会まで勝ち進んだのだが⋯⋯まあ結果は初戦敗退だった。

 しかしながら全国へ行きたいという先輩の希望は叶い満足して引退していったのであった。


 そんな残された私たち部員はというと⋯⋯まったりとバスケを楽しむエンジョイバスケ部に戻っていったのだった。

 確かに全国を目指すという厳しさの中にも満足な手ごたえはあったが⋯⋯残ったメンバーにはそこまでの闘争心が無かったのである、というか燃え尽き症候群かもしれない。


 まあ3年生が抜けて部員が4人になったからというのが一番大きい理由だったのだが⋯⋯。

 もしも来年新入部員が入らなければ廃部かもしれない、わが女子バスケ部は。


 まあそんな宙ぶらりんな状態のままでこの夏休み中は休部扱いみたいなのが私達の現状だったのだ。

 そしてそんな夏休みを満喫している私はというと──。


『ご覧ください! これがボクが今回のミニ四君イベントでタニヤさんに作ってもらったルーミアのフィギアです! いいでしょ~!』


 そう満面の笑顔な声ではしゃぎまわるアリスを堪能していた。


「アリスちゃんかわいい~!」


 ⋯⋯だがこいつは男かもしれんのだ。


 私はまあいろいろあってこのアリスのリアルと思わしき少年を知っているのだが⋯⋯まだ確信は無い。

 あくまでも疑惑に過ぎなかった。


『ちょっとアリス! その私のフィギア! ぱぱぱ⋯⋯パンツ見えてるんだけど!?』


『そりゃ見えますよルーミア。 フィギアは立体なんだから見えない方がおかしいです。 それとも履いてない方がよかったんですか?』


『ルーミアはノーパンの変態じゃないにゃあ!』

『ボクのフィギアに首輪付けるくせに』


『猫柄のチョーカーという指示がなんか間違ってこうなっただけなんだ~!』


 ⋯⋯もしもアリスが本当に男だとしたらこのルーミアの正体は私の親友という事になってしまう。


 うん留美はこんなこと言わない。

 留美は好きな男の子に首輪つけて飼ったりするような子ではないはずだ。


「うん⋯⋯だからこれは私の勘違い。 あははっ」


 そうだよね! 私のクラスメイトにこんなVチューバーが2人も居るはずないもんね!


 だがしかし⋯⋯このフィギア欲しい。

 ⋯⋯欲しすぎる。

 私もルーミアのパンツが見たいし。


 そう私と同じように思ったリスナーが多く、コメント欄にはたくさんの一般販売を願うコメントで溢れかえっていた。


『え? みんなも欲しいのですか? う~ん? ボクに言われてもどうにもできないので、タニヤさんに頼めばもしかしたら売ってくれるかもしれませんよ?』


『そうねみんなもタニヤさんに頼みましょう!』


『だからルーミアのパンツは買ってから自分の目で確認してくれ!』


『やめろ~! そんな宣伝するにゃあ~!? だったらこのご奉仕メイドのアリスもみんなに買われるといいにゃあ!』


【買います】

【お願いしますタニヤさん!】

【ワイもアリスのご主人様になりたいんや】


 このアリスの言葉によって製作元のタニヤ模型にリスナー達からの注文が殺到したのだった。




 そしてリスナーの願いが届き、ついに一般販売の決定がタニヤのホームページで発表されたのだが⋯⋯。


「1個1万円!? 2個セットで1万5千円!?」


 高い⋯⋯あまりにも高すぎるお値段設定であった。


 しかも完全受注生産ということで今を逃せばもう手に入らない!

 こうなったら!


「父さん! 母さん! お小遣いちょうだい!」


「ダメだ」

「今月の分はもうあげたでしょ」


 ⋯⋯っく、駄目か!

 ならば!


「おばあちゃん! お小遣いちょうだい!」


 そう私は自室で絵を描いているおばあちゃんのところへとおねだりに来たのだった。


「おや智花? お小遣いだって?」


 そのおばあちゃんはなんかVチューバーの絵を描いていた。

 これは最近デビューしたVチューバー・シルファの水着の絵だった。


 ⋯⋯あいかわらずおばあちゃんが描いてるとは思えない現代的な萌絵である。

 まあおばあちゃんは元アニメーターでどんなタッチの絵でも描ける天才だからね。


「うん、おばあちゃん⋯⋯お願い!」


「駄目」

「え~!」


「かってにお小遣いあげないように言われてるからね。 ⋯⋯それにこの前のコミケの時のバイト代はどうしたんだい?」

「あれは⋯⋯友達と水着を買いに行って無くなった」


 うん留美と水着を買いに行ったときに私も新調したのだ。


「ならあきらめな」

「⋯⋯だめか~」


 無念である⋯⋯しかし無理を言ってる自覚もあるし。


「まあお小遣いはあげないけど⋯⋯これならあげるよ」

「⋯⋯液タブ?」


 それはおばあちゃんが使っていた液晶タブレットだった。

 よく見ると今のおばあちゃんのパソコンにはなんかやけに真新しい液タブが繋いであった。


「あー! おばあちゃん新しいの買ったんだ!」

「仕事道具だからね。 いいねえ⋯⋯新製品ってのは、快適快適」


 こう見えておばあちゃん、新しい物好きでわりと躊躇なく道具を買い替えるから。


「しかし液タブか⋯⋯」


 私も絵は描ける。

 なにせ子供の頃からこのおばあちゃんに絵を習ってきたのだから。


「なんだい要らないのかい? 昔はあんなに欲しがっていたくせに」

「あーいや⋯⋯ありがとう、おばあちゃん」


 そう言ってこの液タブを貰ってしまったのだった。




 そして私は液タブを抱えて自室に戻る。


 私も自分用のパソコンくらいは持っている⋯⋯主にインターネットの動画観賞用だが。

 それに液タブを繋いでセッティングを終える。


「たしかに懐かしいなコレ⋯⋯」


 私がまだ小学生くらいの時にこの液タブをおばあちゃんが仕事用に買ったんだよな。


『おばあちゃんこれすごい! どんな色の絵具も使えてなくならない魔法のパレットだね!』

『そうだね智花』


『おばあちゃんコレちょうだい!』

『駄目だよ! 買ったばかりなんだから!』


 ⋯⋯あったなあそんな事が。

 だがこうしてこの液タブが私の物になる日が来るとは⋯⋯人生とはわからないものである。


「⋯⋯描いてみるか久しぶりに」


 この液タブの使い方は何度もおばあちゃんのところで使ったことがあるので完璧だ。

 だが何を描こうか?


「⋯⋯これか?」


 それは買えなくなったアリスとルーミアのフィギアの販促用のホームページである。

 見れば見るほど出来の良いフィギアだった。


「買えないなら描く⋯⋯うん、やろう」


 まあこの時の私はヒマだったのである。

 だが情熱だけは溢れていたのだった。




 ⋯⋯3日後。


「⋯⋯描けたあ!」


 多少のブランクは感じたが勘を取り戻すのに1日くらいですんだ。

 なかなか上手く描けたんじゃあないかな?


「智花! ごはんの時間だよ! ⋯⋯おや?」

「あ⋯⋯おばあちゃん」


 気がつくともう夕飯の時間だった。

 いやーこれだけ長時間集中して描いてたのか私⋯⋯。


 そのモニターの中の絵をおばあちゃんはじっと見ていた。


「智花⋯⋯あんたけっこう描けるのね」

「あーうん」


「智花ってピクチャ部のアカウント持っているの?」

「持ってないよ」


 ピクチャ部とはイラスト投稿サイトの事である。


「ならツイッターは?」

「それはさすがにある」


 まあ読む専のなにもつぶやいてないアカウントだが。


「じゃあ新しいサブ垢を作って投稿したらどうだい? 絵描きは見てもらってなんぼだからね」

「う~ん? どうしようかな?」


 たしかに力作ではある、誰かに見てもらいたい気持ちもある。


 しかし⋯⋯こんなアリスとルーミアのイラストなど描いてるとリアルの知り合いには知られたくはない。

 だからサブ垢というのは良い提案だった。


「ありがとおばあちゃん。 後で投稿してみるよ」




 こうして私は夕飯を食べてから自室に戻ると⋯⋯。


「サブ垢の名前か⋯⋯」


 私のおばあちゃん桜田鮮花には『西城パステル』というペンネームがある。


 西城はたんにおばあちゃんの旧姓でパステルってのはその頃パステルという画材がおばあちゃんのマイブームだったかららしい。


 そして歳をとったおばあちゃんはこんなキラキラなペンネームにするんじゃなかったなどと言っているが『彩仗ぱすてる』という名前で個人Vチューバーを始めたりと、まだまだお若いお人だ。


 そんなおばあちゃんの名前を思い出しながら私のアカウント名を考える。


『──どんな色の絵具も使えてなくならない魔法のパレットだね!』


 それはまだ絵を描き始めたころの私の原点の記憶。


「⋯⋯パレットか。 うんいいね。 これでいこう」


 アカウント名『桜色ぱれっと』⋯⋯と。

 そして描いた絵には『ルーミアート』のタグもつけて⋯⋯完了!


 これをポチっとするだけで私の絵が世界中に⋯⋯まあないな、こんな素人の絵なんて。


「ん⋯⋯発信! よし!」


 いやーなんかドキドキするね、こういうのって!

 いったいどのくらいの人に見てもらえるんだろう?


 ⋯⋯その時だった。


 ピロン♪


 ⋯⋯え? もうアカウントがフォローされた?

 まあそういう事もあるだろう、そのためのタグだし。


「⋯⋯んな!?」


 その最初のフォロワーのアカウントを見た瞬間、私は凍り付いた。


 [アリス:新たなルーミアート絵師様を発見! フォローさせていただきました!]


 ⋯⋯アリスだと?

 その10秒くらい経ってから⋯⋯。


 [アイ・ラプラス:アイです。 フォローさせてもらいました! っく⋯⋯アリスに後れをとるとは!]


 ⋯⋯⋯⋯何やってんのアンタたち!?

 とくにアリス⋯⋯AIのアイちゃんより早く見つけるとかストーカーですか?


 ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪ ピロン♪


 ⋯⋯⋯⋯フォローの通知音が止まないんですけど!?


「どうなってるの!? ⋯⋯⋯⋯こいつの仕業か!」


 [アリス:新しいルーミアの絵師様を発見しました! とっても可愛くボクのルーミアのフィギアの絵を描いていただきました!]


 そう私のサブ垢を宣伝してやがった!


「余計な事すんなよな~!」


 それからもずっと私のスマホにはサブ垢のフォローの着信が途切れることはなかったのである。




 ⋯⋯1週間後。


「⋯⋯フォロワー数⋯⋯⋯⋯52万人?」


 あははは⋯⋯私の表のアカウントなんかフォロワー数5人だよ!

 どうしてこうなった!


「どうしよう⋯⋯おばあちゃん」

「よかったじゃないか智花」


 さすがツイッターフォロワー数100万人を超えてらっしゃる西城パステル大先生様は言うことが違いますね!

 こうして私は新人絵師『桜色ぱれっと』としてネットの世界にデビューしてしまうのだった。






 そしてこれはもう少し先の話になるのだが⋯⋯。


「⋯⋯タニヤ模型からメールが来た!?」


 どうしよう⋯⋯怒られるのだろうか?

 しかしそのメールの内容はというと。


 [二代目ミニ四君ウォーリア (タニヤ模型広報担当):桜色ぱれっと様、この度は当社のフィギアの宣伝に貢献していただき誠にありがとうございます。 つきましては何かお礼をさせていただきたいのですが連絡していただけると嬉しいです]


 ⋯⋯罠か?

 そう思いもしたがバックレるとむしろ怖かったので素直に連絡した。


 ⋯⋯すると。


「えへ⋯⋯えへへ。 アリスちゃんとルーミアちゃん! 私のお家へようこそ~!」


 なんと宣伝に貢献したお礼にと例のフィギアをプレゼントしてもらっちゃいました!

 やったね!


 こうして推しのペアフィギアをお迎えして私はさらにこのVチューバー沼にはまっていくことになるのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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