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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第8章 過ぎ去りし幻想を求めて

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#211 うなれ! ブルースフィア・セイバー! リネットのスイカ割り!

 王族のバーベキューはいわゆる僕たち庶民のやるような網焼き肉ではない。

 シュラスコというブラジルスタイルで大量の肉を刺した串を炭火で焼いて、それで焼けた肉の表面を削りながら食べるものだった。


「こういうの知ってはいたけど家じゃできないし、そういうお店にも行かないから食べれなかったんだよな」

「そうなんですかアリス? じゃあちょうどよかったですね!」


 そう僕とリネットは隣同士で肉を食っていた⋯⋯美味い!


「べつに貴様のために焼いた肉ではない! リネットの為にこの俺が手ずから焼いたのだ!」


 ⋯⋯めんどくさい兄である。


「ねえアンタ、そんなんじゃ妹に嫌われるわよ? ただでさえリネットは思春期で難しいお年頃なんだから、ここでこじれたらずっと嫌われるわよアンタ」


「貴様ごときニセ姉に何がわかる! 俺とリネットの絆に比べればなあ!」


 珍しく姉が忠告しているがラズリアス王子は聞く気はなさそうだな。


「はー? 私は留美、紫音、アイちゃんと次々妹を増やしているスーパーお姉様なのよ~。 あ、もちろんリネットも私の妹だからね!」


「この節操無しが!」


 ⋯⋯まじで恐いもの知らずな姉でこっちが怖い。

 姉は王族を怒らせてギロチンが怖くないのだろうか?


「リネットは兄様の方が好きだよな?」

「リネットはお姉様を尊敬してるよな!」


「え?」


 肉くわえながら間抜けな声を出すリネットだった。

 そして静かに肉を飲み込んでから答える。


「⋯⋯どちらもめんどくさいですね」


「「がーん!?」」


 リネットに一刀両断されて姉と王子は一緒にうなだれるのだった。


「リネットの為に肉を焼いた俺がなぜ?」

「私の事尊敬してるんじゃなかったのかー、リネットぉ?」


 なんか切ないな、こういうのは⋯⋯。


「ところでなんで王子様が肉を焼いてるんだろう?」


「それはだな、王とは民に肉を焼いて食わせる者なのだよ」


 そんなどうでもいい僕の質問に答えてくれたのはなんと王様だった。


「うーん? 大昔の族長みたいな感じ、ですかね?」


「はははっ! 王の起源などどんな文化でもそう変わらんさ、民が安心して暮らせるように環境を整える者、それが王だ。 だからいずれこの国の王となるラズリアスの仕事なのだこの肉焼きは。 ⋯⋯おいラズリアス! 肉の追加はまだか!?」


「父上も焼いてくれ! 俺はいま傷ついているんだ!」


 なんだこの王室コントは⋯⋯。


「おーよしよし! お兄ちゃんはがんばってる、偉いですねー」

「貴様に言われたくないわ! この腐れ漫画家め!」


 オシロン先生まで死体蹴りを⋯⋯やっぱ第一印象最悪だったからかな?

 そんな時にまったく空気を読まずに王妃様がやって来て。


「デザートのスイカを持ってきましたよ! さあスイカ割りしましょう!」

「はいはい! 私がやりたいです!」


 そうリネットがスイカ割りをすることになったのだった。


「スイカ割りとか、そんな風習がこの国にもあるの?」


「いえ無いです、 だからやりたかったんです私が。 なのでわざわざこのスイカも日本から取り寄せたんです」


 ⋯⋯なぜこんな地球の裏の北大西洋の島国で日本のスイカを割るのか?


「日本のスイカなのか、これ?」

「甘幸ね、これは」


 そう映子さんが教えてくれる。


「それ、どこのスイカですか?」

「千葉県だったかしら?」


 わりとご近所である、そんな身近なスイカをなぜこんな遠くの国でスイカ割りにするのか⋯⋯。


「まったく豪快ね、リネットちゃんは」

「なんでですか?」


「あのスイカ⋯⋯高いのだと1玉で5万くらいかしら?」

「5万円⋯⋯」


 そんな高級品をスイカ割りに使っていいのだろうか?

 そう僕が思っていると王様がなんと剣を持ってきた!


「さあリネットよ、この剣を其方が使う時が来たのだ!」


「ははっ! 父上! このリネットがブルースフィア・セイバーを使わせていただきます!」


 まだ王室コントは続いていた⋯⋯。


 てかなに? ブルースフィア・セイバーって?

 やたら豪華な装飾の剣だった、とても実用的には思えん。


「父上! それは代々国王のみに所持が許されるこの国の宝剣! なぜリネットに!?」


「やーいラズ兄、王位継承権リネットにとられてやんの」

「だまれ、レジェイド!」


 いいのかそんな剣をリネットに使わせても?


「ラズリアス兄様! この剣をこの私、リネット・ブルースフィアにお貸しください!」

「許す!」


「ありがとー! ラズリアス兄様、大好き!」


「⋯⋯大好き⋯⋯大好き。 ⋯⋯あのリネットが俺を大好きだと」

「⋯⋯」


 そんな兄を見ないリネットはなんだか顔を赤くして恥ずかしがっていた。


「さー斬りますよ! スイカを! あー! はやくスイカ食べたいなー」


 そう必死でごまかすリネットだった。

 まあ素直になれない年頃なだけでリネットはラズリアス王子の事は大好きなんだろう⋯⋯たぶん。


 そんなラズリアス王子の事をオシロン先生はず~と見つめていて。


「⋯⋯私、あの王子⋯⋯好きかも」


 そうボソッとつぶやくのだった。

 これ絶対に恋愛的な意味じゃないな、僕でもわかる。


 ほんとラズリアス王子様はリネットの事さえなければ完璧な王子様だと僕でも思うからな。

 ああいう完璧なんだけどどこか狂ってる男をオシロン先生が好きなのは、先生の作品を見ればよくわかるし。


「は~いリネットちゃん、目隠ししましょうね!」

「はい!」


 そうしゃしゃり出てきた姉がリネットに目隠ししている⋯⋯なんかいかがわしいな絵面が。

 そして目隠ししたリネットを姉と映子さんが左右から囲んだ。


「いくぞ~映子~!」

「よしきた~真樹奈~!」


 そして2人かかりでリネットを回し始めた!


「そ~れ! ぐるぐるぐる!」

「ぐるぐるぐる~!」


「あ~れ~、お戯れを~!」


 どうやらリネットは時代劇も好きらしい、まあ生き様がすでに上様だからな。


「貴様ら! リネットに何をする!」

「あはははは! ラズリアスお兄様! 世界が私を中心に回っています!」

「その通りだリネットよ! ⋯⋯じゃなくて!」


 そしていいかげん回しきったところで平衡感覚が無くなったリネットを解き放つ。


「さーていきますよ! スイカはどこですか~?」


「前前!」

「行き過ぎ! 戻って戻って!」

「左へ! ⋯⋯ちょい右!」

「やっぱり左! うそ右でした!」


「もうどっちなんですか!?」


 みんなが面白がってテキトーに誘導する。


「びみょ~うにそっち! そこだリネット!」

「ここですね! えい!」


 僕の指示でリネットの剣は見事にスイカを叩き割った!


「やりましたこの手ごたえ! びくとり~!」


 大喜びで目隠しを取るリネットだった。


「あの剣⋯⋯全然斬れないんだね」

「まあね。 しょせんは儀式用の儀礼剣だし、昔の謎金属で作られたとにかく丈夫なんだけど」


 そう説明してくれるレジェイドだった。

 いいんだろうかそんなたいそうな剣でスイカなんぞ叩き割っても?


「さあさあ! 皆さん食べてください! この私リネットの仕留めたスイカをご賞味あれ!」


 ⋯⋯まあいいか、リネットが楽しそうだし。


 そして配られたスイカを食べてみたが⋯⋯美味い!? というかめっちゃ甘くて違和感がすごい? これホントにスイカなのか!?


「留美さん、このスイカめっちゃ美味いね」

「ホントね! いつものスイカと同じスイカとは思えないわ」


 こうしてこの後は無言でスイカを食べつくすのだった。

 ⋯⋯これ一口で千円くらいなのか? とか考えながら。




 食事が終わりまた遊び始める僕たちだった。


「じゃあみんなでビーチバレーでもしましょう! これもやってみたかったんです!」


 そうリネットの提案で始めたビーチバレーだったが⋯⋯意外なほどリネットは下手くそだった。

 どうやら球技全般の経験が皆無だったらしい、あれだけ身体能力は高いのにな。


 でも誰よりも楽しそうだったのはリネットだった。


「ここでみんなで遊べる日が来るなんて!」


 きっと今日はリネットの色んな夢が叶った日なのだろう。

 もちろん僕たち全員も楽しんだのは言うまでもない。


 そして楽しい時間はあっという間に過ぎ去り⋯⋯だんだんと暗くなってきた頃に終了となったのだった。

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