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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第7章 銀河の星々

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#178 夏のコミュニティ・マーケット その5『明日菜・那奈編』「Vチューバーカップリング論争」

 ウチと那奈の2人は午前中は夏コミに向かった。


「あれ? 池袋とアキバじゃねーのか?」

「いや、夏コミに働きに行く人らの前で遊びに行くとは言いにくいやろ?」

「だよなー」


 そう笑う那奈だった。


「んじゃ夏コミで同人誌買うのか?」

「うーん、買うというよりは市場調査が目的やね」

「市場調査?」


 ウチは那奈に説明する。


「いいか那奈。 夏コミの同人誌なんていうのはやな、ファンの願望駄々洩れやん。 つまりリスナーのニーズがそこにはある!」


「おまえそういうのマメだな⋯⋯」

「アンタが気にせんだけや」


 こうしてウチらは夏コミに覆面取材に向かうのだった。




 Vチューバーとカップリングというのはけっこう根深い問題である。

 どのVチューバー同士がどういう関係なのか?

 そんな相乗効果でチャンネル登録者数にも影響する重要項目や。


 ウチのチャンネルはひたすらゲーム作る過程をリスナーに見せるというマニアックすぎる内容なもんで、初めの頃はあんまり数字も振るわんかった。

 しかしこの那奈⋯⋯ジュエルとのコラボが増えだしてから、ジュエルのリスナーにも見てもらえるようになってウチのチャンネルも軌道に乗った。


 なんで那奈とのコラボが増えたかというと、物理的に京都に住むウチと比較的ご近所だったのが大阪在住の那奈やっただけなんやけど。


 てゆーか、一方的に那奈が飯をたかるようになったからやな。

 ウチも趣味で食べ歩きはするけど大阪の道頓堀とかは詳しい那奈が居てちょうどよかったわ。

 ウチひとりだけやとあの辺歩くの怖すぎるし。

 あの有名なカニ道楽の店とか入るのはちょっとした感動やったな。

 ⋯⋯アホほど食った那奈の分まで払わされてキレたが。


 まあなんやかんやでこの関係はウチも気に入ってるのは事実や。

 ウチも來未ちゃんほどやないけど陰キャよりでリアルだと友達居らんからなあ⋯⋯那奈は貴重なウチの友人や。


 そういう訳でウチと那奈の2人はこの夏コミに来たわけやが⋯⋯。




「これが⋯⋯ファンが求めるウチらなんか⋯⋯?」

「ぎゃはは!」


 そこにあったのはナージャとジュエルのカップリング本やったんやが⋯⋯その内容が⋯⋯。


「なんでウチがかいがいしくヒモに尽くす若奥様やねん!」

「愛してるぜ~明日菜。 見捨てないでくれよ~」


 その本の内容はギャンブル狂いのジュエルを健気に支えるナージャという内容やった。


「なんでナージャ王国の国庫でアンタを養わなきゃいかんのや!? クーデター起るわ!」

「そこは明日菜さまのポケットマネーで」

「もっと嫌や!」


 ⋯⋯いや那奈に毎月たかられてる自覚はあったよ。

 那奈が食事に誘う時はいつも給料日前やったし。

 毎回なんやかんやでウチが奢ってるからな⋯⋯。


「そろそろ借金返せ」

「無い袖は振れぬ! アタイが金持ってるときに言いな!」


 なぜこの借金王はこんなに偉そうなんやろな?

 こうしてウチはその辺にあったVチューバーの同人誌を片っ端ら全部買って夏コミ会場を後にするのだった。




 そしてアキバのメイド喫茶で買ってきた同人誌を読む⋯⋯。


「やっぱマロン関連のカップリングが多いな」

「でもアリスも多いのは意外だったぜ」


 マロンはわかる、アイツはやたらと女口説く女やからな。

 でもアリスの方は⋯⋯。


「く⋯⋯くははははっ! アリスの奴『総受け』じゃねえか!」


 そうなのだ。

 アリスのキャラは本体のアリスケ君が男だった真実もあって、何となく『ショタっぽい』という感じが少なからずあった。

 そのせいかここにある同人誌では『いろんなVチューバーに攻められるアリス』という本で溢れかえる事態に。


「⋯⋯あ。 ウチとアリス君の本もあった」

「ほう⋯⋯どれどれ?」


 その内容をウチと那奈とで物色する。


「『アリスのプログラムをいじらせて⋯⋯♡』」

「『ハイ⋯⋯ナージャサマ、アイシテル』」


 ご丁寧に那奈がアリスの声当てまでして大爆笑や!


「ウチこんなマッドサイエンティストやないわ!」

「いーややりそう、お前は!」


 ⋯⋯まあたしかにアリス君みたいなメイドさんがおったらウチの生活潤うやろうとは思うが。


「こっちにはアンタとアリスの本もあるで!」

「ほう⋯⋯どれどれ?」


 その本の内容はアリスにスロットの目押しをさせるジュエルの内容やった。


「うーん解釈違い。 スロットは自分で当ててこそなんだよなー」

「すっごいお似合いのシチュやと思うよ」


 しかしそんなウチらの本は少数派やった。

 アリス本の最大派閥はやっぱり『ルーミアリス』やった。

 この2人は配信でもしょっちゅうコラボするラブラブさんやからなあ。


「アリスっちの本は⋯⋯ルーミアに押し倒されるのばっかだなあ」

「ウチやアンタとの絡みの本はその他もええとこやなあ⋯⋯」


 たしか配信ではアリス達は「近所に住んでるからコラボしやすい」みたいな事言うとった。

 しかし事実はルーミアの留美ちゃんとまさかの同棲生活だったとは⋯⋯。

 まあ真樹奈とかいうお邪魔虫も居るけどな。


「よーし次はマロンの本の傾向を調べるか」

「せやね」


 しかし当然というか⋯⋯『マロン×エイミィ』の本が圧倒的シェアに対して他のカップリングはいろいろあっても少数派ばっかりやった。


「でもこれ⋯⋯ほとんど全員のVチューバー毒牙にかけとるんやないか? マロンの本は」

「あ⋯⋯アタイとの本もあった」


 そのマロンとジュエルの本の内容は⋯⋯『ギャンブルクルージングに居合わせたマロンとジュエルが借金背負ってカジノで働かされる内容』やった。


「くそー、マロンの奴が厄病神だったせいで」

「どっちもどっちや」


 1冊だけだけどウチとマロンの本もあった。


「どれどれ? ⋯⋯⋯⋯ウチの作った不思議なダンジョンに挑戦するトレジャーハンターなマロンの本か」

「うわー、罠だらけのダンジョンだな。 これ作ったやつの性格悪すぎ」


 その本のオチはゴキブリホイホイみたいな粘着床に捕まるマロンと高笑いするナージャ姫やった。


「⋯⋯こんなんウチやない」

「でもやりそう」


 そして⋯⋯。


「これ⋯⋯ルシファの絵師(ママ)の本か?」

「ほんまや西城先生の本や」


 その本は漫画ではないイラスト集やった。

 ウチらホロガーデンのメンバー全員の絵が乗ってて、その中でもルシファだけは何枚もいろんな絵が乗っていた。


「ええ人やな西城先生は」

「また揚羽の絵師やってくれねえかな?」


 この本を見る限り西城先生はまたルシファの絵を描いてくれそうやけど⋯⋯。


「かんじんのルシファ復活がなあ⋯⋯」

「どうすりゃいいのかねえ?」


 大元の原因の炎上騒ぎは収まったというか燃え尽きたから問題はないと思いたい。

 せやけど復活となったらまた再燃するのが目に見えるし。


「ウチの作ったゲームを揚羽にやってもらう。 そんな夢もあったのになあ⋯⋯」


 ウチがホロガーデンのVチューバーになった時の目標がそれやった。

 ⋯⋯その時の創りかけのゲームはあの時から止まったままで。


「なんとかしてリスナーにルシファの復活についてどう思うのか? という調査をしてみたいんだけどな⋯⋯」

「直接そんな事聞けんしなあ⋯⋯」


 炎上後のルシファは円満な引退の卒業ではなくて、クビ扱いやから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 だからそういったアンケートみたいな調査ができんのや。

 これが円満に引退したVチューバーやったら名前くらいなんぼでも配信でしゃべっても問題ないんやけどな。


 この西城先生なんかはフリーの絵描きの先生やから、こうやって同人誌だしても文句言われんのかな?


 この時からウチは真剣に揚羽の復活を考えるようになった。

 なんとかして規約違反にならん、規約のバグがないか考える。

 しかしそんないいアイデアはすぐには浮かばんかった。




「さて、そろそろ帰るか」

「明日菜、この同人誌どうするんだ?」


「ウチはもうええわ。 欲しかったらやるわ」

「お! サンキュー!」


 こうしてウチらは真樹奈のマンションに帰る前に郵便局からダンボールいっぱいの同人誌を那奈のマンションへと送るのやった。

 とうぜんその費用もウチが払った⋯⋯げせぬ。


「明日菜、アタイら親友だよな!」

「せやろか?」


 でもなんだかんだで、こんな関係でもウチは那奈の事が大好きや。

 ⋯⋯ぜったい本人には言わんけどな。

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