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15 死滅の魔眼

 弾ける。吹き飛ぶ。砕け散る。

 地面が。兵士が。人の命が。


 狂戦士化(バーサーク)した巨人の戦闘力は圧倒的だった。

 もう戦いにすらなっていない。

 一方的な虐殺だ。

 陣地は跡形もなく破壊されたし、兵士たちの統率は失われている。

 懲罰結界も消え失せてる。

 きっと結界を張ってた人か装置が潰されたんだろうね。

 指揮官っぽい人もいつの間にか消えていた。

 吹き飛ばされたのか、逃げたのか、どっちにしても立て直しは無理でしょ。


 最初に逃げた冒険者が正解だったね。

 まだそう遠くには行っていないので様子は窺える。

 戦闘が始まってしばらくは、距離を置いて立ち止まっていた。

 たぶん、状況次第では援軍として戻るつもりだったんだろうね。

 だけど巨人の狂戦士化が始まると、ほどなくして完全に逃げ出した。


 無理もないね。

 見た感じ、狂戦士化した巨人は、巨大魚竜と同じくらいの強さだ。

 水流ブレスと、殴りつけと、先に当たった方が勝ちみたいな。

 まともな人間なら戦おうとも思わないでしょ。


 巨人一体なら、暴れさせた後に攻撃すれば仕留められたかも知れない。

 以前に、ボクもそうした。

 きっと魔獣に詳しい冒険者には、対処法として知られてるんだろうね。

 だけど今回の巨人は一体だけじゃなくて、群れで行動してる。

 力尽きた後も、仲間が守る形を取ってる。

 兵士を追撃してる巨人も何体かいるね。

 こうなるともう手出しするのは自殺行為だ。

 狂戦士化が第二段、第三段と続くことになるからね。


 なにこの無敵戦法。

 実は巨人たちって最強種族じゃないの?

 よく人類が全滅されずに済んでたね。

 でも、もしかしたら普段は群れで行動してないのかも。

 ボクが最初に見た時は一体のみだったし。


 ラミアの知恵なのかもね。

 協力関係なのか、操ってるのかは知らないけど。

 ほら、ラミアって魅了攻撃とか使いそうだから。

 巨人の肩に乗ってるラミアも魅力抜群って感じだし。

 美人さんでスタイルもいい。長い黒髪も綺麗な艶を放ってるね。

 まあボクの毛並みも、ふわふわ感じゃ負けてないけど。


 そのラミアなんだけど、ボス巨人の肩にいる一体のみじゃなかった。

 安全な後方、森の中に数十体が控えてたよ。

 戦いが終わってから、ぞろぞろと出てきたけどね。


 さて、ボクはどうしようかな。

 ひとまず人間の陣地が消えてくれたのは喜べる。

 でも、巨人が引っ越してくるのはどうだろう?


 言うなれば、ヤクザの事務所が隣にできるのを受け入れられるかどうか。

 いくら姐さんが美人だからって怖いものは怖い。

 魔獣同士、仲良くする?

 無理でしょ。

 あんなゴツイお隣さんはいらないよ。

 話が通じればいいんだけど、前に会った時もいきなり暴れ出したんだよね。

 見た目は怖いけど実は優しい、なんてのは期待できそうもない。

 今もほら、こっちを睨んで……?


 え? ちょっと待って。気づかれたよ。

 巨人が手近にあった木を掴んで、投げた。


《行為経験値が一定に達しました。『回避』スキルが上昇しました》


 あぶなっ!

 充分に距離を取っておいて助かったよ。

 上空にいるっていうのは、それだけで有利だね。

 だけどやっぱり巨人は危険だ。

 あんなのがご近所さんになるのは遠慮したい。

 是非、お引取り願おう。


 ってことで反撃開始。

 巨人はまた岩とか木とか投げてくるけど、回避しながら直上へ移動。

 一体へ向けて、『万魔撃』を叩き落す。

 しっかりと溜めての一撃必殺だ。

 頑丈な巨人も、頭を焼き消されたらさすがに終わりだ。

 首無しの凄惨な死体になって倒れ伏す。

 唖然として立ち尽くす巨人たちへ向けて、さらに雷撃&凍結の魔眼を発動。

 ついでに、食べ終えたバナナの皮も落としてあげよう。


《行為経験値が一定に達しました。『魔力集中』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『凍結の魔眼』スキルが上昇しました》


 痛々しい雄叫びが上がる。

 ラミアも慌てふためいて悲鳴を上げた。

 でもさすがに、雷撃とかだと一撃必殺とはいかないね。

 巨人はタフだ。

 中には倒れて動かなくなったのもいるけど、無事な方が多い。

 ほとんどがボクの攻撃に注意を引かれて、こちらを見上げた。

 ボス巨人も。


 ここまでは計画通り。

 大きな単眼がボクを睨んで、殺意を向けてきた。

 その眼を狙い撃つ。

 『死滅の魔眼』、全力発動!

 直後、ボス巨人は断末摩の悲鳴を上げた。


《総合経験値が一定に達しました。魔眼、ジ・ワンがLV2からLV3になりました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《行為経験値が一定に達しました。『死滅の魔眼』スキルが上昇しました》


 巨人の中でも一際大きな体が、瞬く間に黒く染まっていく。

 『死滅の魔眼』の効果は、もはや毒と言える範囲じゃない。

 文字通りに、”死”だ。

 即死効果。

 うん。えげつない。酷い。

 さらに加えて、”死んで”、”滅びない”から性質が悪い。


 真っ黒に染まったボス巨人の肩から、ラミアが慌てて逃げ出す。

 地面に降りたところで血を吐いた。

 仲間のラミアに抱えられて下がっていくけど、かなりの重傷だろうね。

 だって死毒を受けたはずだから。


 そう、『死滅の魔眼』は対象を死毒の塊にする。

 しかも、そのまま滅ぼさない。

 言うなれば動く死体。屍体。ゾンビにする。

 魔法効果なので時間制限はあるみたいだけど―――。


 ゾンビ化したボス巨人は、近くにいた別の巨人に襲い掛かった。

 掴み掛かって齧りつく。

 そこからまた”死滅”効果が感染する。

 食いつかれた巨人は暴れるけど、ボス巨人の方が強い。

 ゾンビ化すると単純な腕力は上がるのかも知れない。

 おまけに全身から死毒を撒き散らしてる状態だからね。

 ほんと、えげつないねえ。


 混乱する巨人たちへ向けて、ボクはもう二発ほど『死滅の魔眼』を撃ち込む。

 猛々しい悲鳴が上がって、また黒く染まった巨人ゾンビが出来上がった。

 その巨人ゾンビも、すぐに元仲間へと襲い掛かる。

 あ、今度は巨人も対抗しようとバーサークした。

 こうなるともう収集がつかない。


 大乱戦になる。

 赤と黒の壮絶な殺し合いだ。

 そんな様子を、ボクは高みの見物させてもらう。

 ふはははは。殺し合えーって感じで。

 いやまあ、そんなに楽しい気分でもないけどね。

 こっちにも、いつ攻撃が来るか警戒しないといけないし。


 だけど巨人たちは、目の前の脅威に立ち向かうだけで精一杯みたいだ。

 ボクに構ってる余裕はない。

 ここらへんの短慮っぷりは、やっぱり魔獣だ。


 相手が人間だったら違っただろうね。

 冷静な指揮官がいれば、ゾンビ化した仲間は見捨てて、ボクだけに攻撃を集中させてきたはずだ。

 敵を生み出してるのはボクだからね。

 でも巨人たちは、そこまで考えが及ばない。

 おまけに狂戦士化して暴力を振るうだけの獣となってる。

 これは、決まったかな。


 単純な戦闘力なら、狂戦士化した巨人の方が上だ。

 ゾンビ化した巨人も力負けして叩き潰される。

 だけどゾンビ巨人はしつこい。

 正しく動く死体だからね。

 頭が吹き飛んでも動いて、近くにいる相手に襲い掛かる。

 狂戦士化が解けると、次はその巨人が死体の仲間入りだ。

 さらに加えて、ボクがまた上空から『死滅の魔眼』を振り撒いていく。


《総合経験値が一定に達しました。魔眼、ジ・ワンがLV3からLV4になりました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《行為経験値が一定に達しました。『精密魔導』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『極道』スキルが上昇しました》


《特定行動により、称号『極悪』を獲得しました》

《『悪逆』は『極悪』へと書き換えられます》

《称号『極悪』により、『獄門』スキルが覚醒しました》


 げっ。

 思わず、そんな声が漏れちゃったよ。

 『悪逆』を越えて『極悪』って……。

 うん。まあ、ゾンビを量産したからね。

 地獄絵図を作り出したし。

 そこだけ見ると、確かに極悪って言われるのも納得できる。


 だけどボクは最適な攻撃手段を選んだだけだよ。

 巨人って、下手に追い詰めると暴れて危ないからね。

 即死させるのが一番。

 だからこれは必要な処置だったんだよ。

 必要最低限度の武力行使ってやつだね。

 だからこの称号には、断固として抗議させてもらうよ。


 あ、でも貰えたスキルはこのままで。

 なんだか強力そうだし。

 あとでウサギでも見つけて試してみよう。


 いや、その前に試し撃ちできる相手がいるかもね。

 巨人の方はあらかた片付いてきた。

 真っ赤な光を放ちながら暴れてる巨人がまだ数体いるけど、どれも黒い塊に襲われて絡みつかれてる。

 亡者に群がられるバーサーカーの絵図だね。

 うん。やっぱり酷い。

 子供には見せちゃいけない光景だ。

 この場に幼ラウネとかがいなくてよかったよ。

 あとは放っておいても片付くでしょ。


 十分も経てば、”死滅”の毒は勝手に消えるからね。

 対岸の拠点まで汚染が広がる心配もない。

 だから、残ったラミアたちの対処に向かおう。


 巨人の肩に乗ってたラミアクイーン?は、仲間に連れられて後退したはず。

 数十体のラミアがいたのも確認してある。

 で、そのラミアの群れも捉えてるよ。

 森の奥へいそいそと撤退しようとしてる。


 残念だけど逃がすワケにはいかないね。

 また新たな手下を連れて襲撃に来られても困るし。

 追撃戦といこう。



今夜はここまで。



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魔眼 ジ・ワン   LV:4 名前:κτμ


戦闘力:7720

社会生活力:-3150

カルマ:-7040

特性:

 魔獣種   :『八万針』『完全吸収』『変身』『空中機動』

 万能魔導  :『支配』『魔力大強化』『魔力集中』『破魔耐性』『懲罰』

        『万魔撃』『加護』『無属性魔術』『錬金術』『生命干渉』

        『土木系魔術』『闇術』『高速魔』『魔術開発』『精密魔導』

        『全属性耐性』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 手芸の才・極:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』『建築』

 不動の心  :『極道』『不屈』『精神無効』

 活命の才・壱:『生命力大強化』『頑健』『自己再生』『自動回復』

        『激痛耐性』『猛毒耐性』『下位物理無効』『闇大耐性』

        『立体機動』『悪食』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』

 知謀の才・弐:『鑑定』『沈思速考』『記憶』『演算』『罠師』

 闘争の才・弐:『破戒撃』『回避』『強力撃』『高速撃』『天撃』『獄門』

 魂源の才  :『成長大加速』『支配無効』『状態異常耐性』

 共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』

 覇者の才・壱:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則改変』

 隠者の才・壱:『隠密』『無音』

 魔眼覇王  :『大治の魔眼』『死滅の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』

        『闇裂の魔眼』『凍結の魔眼』『雷撃の魔眼』『破滅の魔眼』

 閲覧許可  :『魔術知識』『鑑定知識』

称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『極悪』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』

『悪業を積み重ねる者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』

『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』


カスタマイズポイント:340

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