表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毛玉転生 ~ユニークモンスターには敵ばかり~ Reboot  作者: すてるすねこ
第4章 大陸動乱編&魔境争乱編
180/185

13 四羽目


 大陸へ行っていたサガラくんが戻ってきた。

 黄色い鳥を連れて。

 肩に乗るくらいの大きさで、縞模様が岩を想わせる。


「我は、岩故に多くを語らぬ……食事は乾物を主体に頼むでござる」


 顔立ちは厳しいのに、なんか残念な性格をしていた。

 むしろ、逆にロック?

 そんな黄鳥は、サガラくんに倒されたそうだ。


 大型だった時は、正しく岩山のようでなかなかの強敵だったらしい。

 それなりに話も出来たけれど、勇者だと聞くと襲い掛かってきた。


 そうサガラくんは聞かせてくれた。

 とりあえず四羽が揃ったので、他の鳥とも会わせてみた。


「我らは、千年以上も生きていたという話でござるな?」


「うむ。やはり我らは偉大な存在だったのだ。もっと敬われるべきだ」


「…………覚えてない」


「どうでもいいにゃ。どうせみんな負けちゃったのにゃ」


 騒がしさが増した。

 それだけで、他には何も起こりそうもない。


 いやまあ不死鳥が四羽もいるのだから、それはそれで珍しい事態とも言える。

 だけど有り難味はまったくない。

 喧しい鳥たちを眺めながら、サガラくんは頬をヒクつかせて呟く。


「あと三匹見つけたら、何か起こらねえかな?」


『全部で七体? なんで?』


「アレだよ、七つ集めるとどんな願いも叶うっていう……」


『神竜っぽいのは、サガラくんが倒してたよね?』


 軽い冗談のつもりだった。

 だけどサガラくんは渋い顔をする。誤魔化すみたいに溜め息も零した。


「好きで戦ったワケじゃねえよ」


 その声は苦々しげだった。

 思い返したくもない、とでも言うみたいに。

 映像で見た限りでは、戦っている時は楽しげでもあったのに。


 だけど内心は違ったようだ。

 血を流すのが好きな人間なんていない、ってことかな。

 こんな世界だから仕方ないとも思うけど―――。


 マリナさんが言っていたのは、こういう部分も含めてなのかも知れない。

 元の平和な世界の考えから、サガラくんは抜け出せていないのだろう。


 まあその点は、ボクだって大差ない気もする。

 平和主義者だし。良識的な毛玉だし。


『ところでこれ、元の世界へ近づく材料くらいにはなるのかな?』


 騒がしい鳥たちを横目に、話題を移す。

 サガラくんは腕組みをして首を傾げた。


「分からねえ。だが……コイツを倒した時に、なんか変な感じがしたぜ?」


『変な感じ?』


「ああ、なんかこう……前に呪いを受けた時と似てたな。体の中になにかが入ってくる感覚だ。今度のは妙なことは起こらなかったが……」


 そう言って、サガラくんは部屋の窓へ目を向けた。

 銀髪の影が見え隠れしている。

 そういえば、サガラくんに呪いを掛けたのって大貫さんだったっけ。

 正確には、部下にやらせたって話だったけど―――。


『恨んでる?』


「こうして生きてるし、実感としては寝てただけだからな。恨みはねえんだよ。でも落とし前はつけさせてえと思ってたんだが……どうすっかなぁ」


 許せない相手には、どれだけ時間が経っても報いを受けさせる。

 サガラくんはそういう性格だ。

 聖教国に対しても、きっちりと“落とし前”をつけさせていた。

 だからボクも警戒を解けないのかも知れない。


 落とし前って言えば―――、

 竜人幼女をサガラくんに会わせたら、どんな反応をするんだろう?

 顔は知っているはずだ。肉親の仇なのは間違いない。

 襲い掛かる可能性は高そうだから、避けておいた方が無難かな。


「っていうか、殺し殺されは珍しくもねえからな。この世界で、勇者なんてやってると特にそうだ」


『ちなみに、大貫さんを襲うと、ボクも迎撃に出てくるかも』


「かも、か。それでも怖えな」


 不敵な笑みを浮かべたサガラくんだけど、手を振って話を打ち切った。

 獰猛な気配もすぐに消える。


 やっぱりサガラくんは油断できない。

 だけど、こうやって話をするのは、なんていうか……いつになく楽しかった。







 四羽の鳥が揃ってからも、数日は何事もなく過ぎていった。

 その間、ボクはちょっとした調査を行っていた。

 サガラくんの台詞から思いついたことだ。


 体の中になにかが入ってくるような感覚―――。

 ファイヤーバードを倒した時は、ギリギリの戦いだったからよく覚えていない。

 サンダーバード戦は余裕があったけど、二羽目では違うとも考えられる。

 そもそもボクが鈍い可能性もある。

 サガラくんの気のせいかも知れない。


 結論は出ない。だから、単なる思いつきだ。

 不死鳥だけでなく、それを倒したボクとセットで調べたら何か分かるのでは、と。


「微弱な魔力のラインを発見致しました」


 困った時のメイドさん。

 ボクと鳥たちをセットで調べてもらった。

 その結果を、一号さんは淡々と報告してくれる。


「大気の魔力に隠れているため、発見は困難でした。申し訳ございません」


『謝ることじゃないよ。実害は? それと、詳細も』


「現状では、とりたてて害は無いと推察できます。むしろ益があるかと。簡潔に申しますと、ご主人様へ魔力を供給するためのラインのようです」


『赤鳥や青鳥から、ボクへ?』


 はい、と一号さんが頷く。

 その言葉を疑うつもりはない。メイドさんたちへの信頼度は高い。


 だけど、いくらボクでも、外部から魔力を送られたら気づく。

 いまだって自身の内を巡っている魔力を感じられる。


「いまも微弱な魔力が送られているはずです。まだ未確定ですが、何かしらの条件が満たされた際に、『循環点』が役目を果たすと推測できます」


『“何かしら”が起こった時に、大量の魔力が使えるようになるってこと?』


「はい。条件というよりは、こちらから働きかけられる合言葉のようなものかも知れません」


 ザイラスくんが言っていた。

 世界を巡るほどの膨大な魔力。それを支える『循環点』の魔獣。

 眉唾物だと思っていたけど、あながち間違ってはいなかったということだ。


 だけどいまの赤鳥たちからは、そんな力はまったく感じない。

 ちっこいし。喧しいだけだし。

 まだ疑問は残るかな。


「あの鳥たちは、ただの中継点として、転移のような手法で魔力を送っている可能性もあります。明確な断言はできません。引き続き調査を行います」


『うん。お願い』


 そう答えるしかなかった。

 曖昧なまま、話を打ち切る。


 なんだか世界のシステムに近づいた気はするけれど、それで何が変わるでもない。

 使い道も、いまのところは思いつかないな。

 っていうか、魔力に困っている状況でもないし。

 他の誰か―――例えば委員長あたりなら、上手く利用するんだろうか?




 そんな疑問は、思いの外に早く解消される。


「例のタンクローリー、また見せてもらってもいいかな?」


 やけに爽やかな笑顔で頼まれた。

 さして考えもせずに、ボクは了承を伝えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ