04 またしばしの別れ
エルフと獣人たちが忙しなく働いている。
竜軍団の脅威は去ったけど、被害の爪跡はあちこちに残っていた。
森の焼け跡は酷いし、家だって数えるのが嫌になるくらい壊されいる。
手足を失うような大怪我をした人も多かった。
これから大変なんだろうけど、是非頑張ってもらいたい。
一応、知り合った仲だし、ボクだって気に掛けるくらいはするよ。
なので、いまも怪我人の治療に当たっている。
昨日も『再生の魔眼』を広範囲に使ったけど、それだと欠損とかは治せなかった。
そういった人たちを中心に治していってる。
エルフの魔術でも治せるらしいけど、高度な魔術で、使える人も限られるそうだ。
そんな訳で―――、
「次の方、どうぞ」
祠の前にちょっとした行列が出来上がっていた。
目や耳、腕や足を失っていたり、酷い火傷痕が出来てしまった人たちだ。
祠に鎮座したまま、ボクは作業的に魔眼による治療を行っていく。
一号さんも機械的に列を整理している。
「感謝いたします、お毛玉様」
「どうか我らに怒りを向けないでくださいませ、祟り毛玉様」
「すごいニャ! わっちの尻尾も元通りだニャ! さすが邪毛玉様ニャ!」
散々な呼ばれ方なのはともかくも。
一応、感謝はされているみたいだ。
べつに祟るだとか邪悪だとか言われても、ボクは気にしてない。
でもまあ、それが原因で銀子に変な目を向けられても楽しくない。
その銀子も、巫女だとか選ばれし者だとか言われてるし。
一歩間違えたら生贄扱い?
仲間意識は強いみたいだし、あんまり酷い話にはならないとは思う。
本人も巫女衣装を着せられて喜んでる。
「けーちゃん、似合う?」
『うん。似合ってる。それっぽい杖とか持ってもいいかも』
なんていうか、アイヌとかそっち系の民族衣装っぽい。
布の多い服をひらひらと舞わせながら、銀子はくるりと回ってみせた。
長老たちや、他のエルフや獣人にも幾名か、儀式用っぽい衣装を着た人がいる。
どうやら鎮魂の儀式とか、それっぽいことを行うらしい。
大勢死んだみたいだし、当然か。
ボクがもうちょっと早く駆けつけられていれば違ったんだけど。
そうすれば、そんな面倒くさそうなのに付き合わずに済んだのに。
ん? べつに付き合う必要はないのか。
ちょうど治療の手伝いも、さっきの喧しいネコ娘で終わったし。
『帰るよー』
祠から出て、そう魔力文字で告げる。
一号さんと、あとは銀子にも。
「え……けーちゃん、帰るって何処に?」
『島に』
まあ、ここも島だけど。もちろんボクの拠点って意味でね。
簡素な返答が伝わり難かったのか、銀子がぱちくりと瞬きを繰り返す。
ぼんやりと首を傾げる銀子。
そして、いきなり大声を上げた。
「やぁだぁーーーーーーーーーーーー!!」
銀子タックル。
いい頭突きが眼球に入りました。
うん。ちょっと油断してた。
今更だけど、ボクのこの大きな目玉って分かり易い弱点だね。
涙目になりながら銀子を見つめ返す。
銀子も、涙目になっていた。顔もくしゃくしゃに歪めている。
え? なに? 泣いてる?
これって、もしかして……。
「やだやだやだやだやだぁ! ずっと一緒にいるの!」
うわぁ。マジ泣きだ。
アレだ、子供の帰りたくないモードってやつだ。
いや、帰るのはボクの方なんだけど。
どっちにしても、こうなると言い聞かせるのは難しそう。
こういう時は保護者に任せるのが一番かな。
助けを求めようと周りを見てみる。まず、一号さんが目に留まった。
うん。彼女はダメだ。
いつもは頼りになるけど、いまは頼っちゃいけない。
首筋にチョップとかして大人しくさせそうだし。
やっぱり両親に連れて行ってもらうべきでしょ。
あれ? そういえば、銀子の親ってまだ会ってないね。
「やれやれ、本当に懐いておるのじゃのう」
ボクが戸惑っていると、エルフ長老が歩み出てきた。
ぽんぽんと銀子の背中を撫でて、優しくなだめる。
「すまんのう。シルヴィは一年ほど前に親を亡くしておってな。甘えられる相手が嬉しかったのじゃろう」
『長老が、親代わり?』
「まあ、そんなようなものじゃ。部族の子供は、皆の子供じゃよ」
むぅ。面倒くさい事情がありそうだね。
でもだからって、ボクがずっと留まる訳にもいかない。
銀子は物分りのいい子だし。
いまはぐすぐすと泣いているけど、落ち着いてから話せば納得してくれるでしょ。
「……もう、離ればなれはイヤなのぅ……」
けっこう長く掛かりそう?
少なくとも、ボクの毛並みは涙と鼻水まみれになりそうだ。
「ご主人様、よろしければ……」
『暴力はダメ』
「……承知いたしました」
一号さん、手刀を振り上げようとしてました。
この人はホントに容赦無しだ。
さて、そろそろ泣きじゃくるのも一段落したかな?
小毛玉で、銀子の頭を撫でてやる。
「けぇちゃんぅ……もう、会えないの?」
『そんなことないよ。偶には、来ると思う』
「ほんと? また来てくれる? 明日? 明後日?」
『半年後くらい?』
「やぁーーーーー!!」
また頭突き。今度は眼球直撃は避けた。
でも涙と鼻水はどうしようもなくて、またしばらく泣き止むのを待つ。
「もっと遊びに来て!」
泣く子には勝てない。
とりあえず一ヵ月後にはまた来ると約束して、納得してもらえた。
長老や、他のエルフや獣人も苦笑いしている。
「巫女殿は泣き虫じゃのう」
「ほれ、涙を拭くさね。毛玉殿が戻ってくるまで、あたしらが親代わりだよ」
いや、あんたらの子供だからね? ちゃんと責任を持ってほしい。
ともあれ、無事に出立できそうだ。
この後も復興やらなんやらで忙しそうだし、部外者はとっとと去るよ。
『それじゃ、また』
毛先を丸めて振って、空へと舞い上がる。
一号さんも続く。
大勢のエルフや獣人、銀子も、手を振って見送ってくれた。
そういえば、以前は色々と不安な別れだったね。
だけど今度は違う。
またいつでも会えるし。すっきりとした気分だ。
空を進むと、眼下にあった里はあっという間に小さくなっていく。
あとは海を進んで、屋敷へ帰るだけ―――、
でもほんのちょっぴり、別れが惜しい気持ちもあった。
次回から本拠へ戻って、あらためて話が動きます。
更新は週明けから。
平日のみの更新になる予定です。
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魔眼 バアル・ゼム LV:34 名前:κτμ
戦闘力:88500
社会生活力:-9840
カルマ:-27220
特性:
魔眼皇種 :『神魔針』『絶対吸収』『変異』『空中機動』
万能魔導 :『支配・絶』『懲罰』『魔力超強化』『魔力集束』
『万魔撃』『破魔耐性』『加護』『無属性魔術』『錬金術』
『上級土木系魔術』『生命干渉』『障壁魔術』『深闇術』
『創造魔導』『精密魔導』『全属性大耐性』『重力魔術』
『連続魔』『炎熱無効』『時空干渉』
英傑絶佳・従:『成長加速』
英雄の才・弐:『魅惑』『逆鱗』
手芸の才・極:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』『建築』
不動の心 :『唯我独尊』『不死』『精神無効』『明鏡止水』
活命の才・弐:『生命力大強化』『不壊』『自己再生』『自動回復』『悪食』
『痛覚制御』『毒無効』『上位物理無効』『闇大耐性』
『立体機動』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』
知謀の才・弐:『解析』『精密記憶』『高速演算』『罠師』『多重思考』
闘争の才・弐:『破戒撃』『超速』『剛力撃』『疾風撃』『天撃』『獄門』
魂源の才 :『成長大加速』『支配無効』『状態異常大耐性』
共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』
覇者の才・弐:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則無視』『即死無効』
隠者の才・弐:『隠密』『無音』『暗殺』
魔眼覇皇 :『再生の魔眼』『死獄の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』
『闇裂の魔眼』『凍晶の魔眼』『轟雷の魔眼』『重壊の魔眼』
『静止の魔眼』『破滅の魔眼』『波動』
閲覧許可 :『魔術知識』『鑑定知識』『共通言語』
称号:
『使い魔候補』『仲間殺し』『極悪』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』
『悪業を極めし者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』
『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』『職人見習い』『魔獣の友』
『人殺し』『君主』『不死鳥殺し』『英雄』『竜の殲滅者』『大量殺戮者』
『扉の破壊者』
カスタマイズポイント:340
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