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毛玉転生 ~ユニークモンスターには敵ばかり~ Reboot  作者: すてるすねこ
第4章 大陸動乱編&魔境争乱編
139/185

17 邪龍軍団vs帝国軍vs毛玉④


 異界門から新たに現れたのは数千体の竜だった。

 勢いよく飛び出し、上空に広がる。

 荒々しく自己主張するように咆哮を響かせた。


『あれは……ミグマースの一族か! 何故、こちらへやって来る!?』


 黒龍の念話が聞こえた。

 どうやら混乱していて、周囲に声を撒き散らしているのも気づかないみたいだ。


『ミグマース、どういうつもりだ!?』


 黒龍が睨む先には、銀色に輝く巨大な龍がいた。

 大きさだけなら黒龍の方が上でも、銀龍には四枚の翼があって、鋭い迫力がある。

 見たところ、戦闘力はだいたい同じくらいかな。


 厄介だね。撤退する?

 いや、ここは出鼻を挫くチャンスだと思おう。

 どうやら完全に黒龍の仲間って感じじゃないけど、ボクにとって敵なのは同じだ。

 まとめて片付けさせてもらうよ。


 銀龍は黒龍を見下ろしながら、口の端を吊り上げた。

 念話は聞こえないけど、なにやら得意気な様子だ。


『見張りを……同胞に牙を剥いたというのか! この慮外者が! 余計な混乱を招いている場合では……っ、まさか、こいつらが門を襲ったのに乗じて!?』


 あ、なんか勘違いしてるっぽい。

 遣り取りの様子から察するに、銀龍は強引に異界門を抜けてきたらしい。

 邪龍軍団が置いてあった見張りを無視して。あるいは、叩き潰して?


 どっちにしても、”向こう側”の異界門でも混乱はあったんだろうね。

 その際に、ボクたちが魔法装置を送り込んだ―――そう勘違いしたみたいだ。

 実際は向こうの事情なんて知らなかったけど、


『ええ。おかげで、実に簡単に入り込むことが出来ました』


 一号さん、ナイス。

 黒龍はもう疑う心の余裕もないらしく、愕然として目を見開いた。


 まあ、あんまり騙す意味もなかったけどね。

 もう充分に準備の時間は取れた。

 援軍ごと殲滅する、そのための準備時間だ。


 この魔眼は、少し特別な効果が入ったおかげか、即座には発動できない。

 即死効果だけなら瞬時に発揮できるんだけどね。


 いやまあ、”だけ”って言うほど優しい効果じゃないのは理解してる。

 だけど即死以上に極悪な効果だから、この魔眼は。

 それじゃあ、銀龍と黒龍が言い争っている内に―――、


『ぐっ……まだだ! まだ、我は、諦める訳にはいかぬ……!』


 ―――『死獄の魔眼』、発動!


 ボクが魔眼を解き放つのと、黒龍が懸命に大地を蹴るのは、ほぼ同時だった。

 溜め込んでおいた魔力が一気に流れ出す。

 異界門の正面、魔眼が睨んだ先へと。

 そして、大地に真っ赤な紋様が浮かび上がった。


 まるで瞳を象ったような、だけど細かな式が入り組んだ複雑な魔法陣だ。

 それは、死を刻み込むもの。

 現実世界に地獄を創り出すもの。


 巨大な魔法陣は、その外円上に黒い半透明の幕を張った。

 異界門も、銀龍や配下の竜たちも、すべてが包み込まれる。

 あとはもう、何者も抗えない。

 死が訪れる。


 魔法陣から照らし出される赤黒い光に触れただけで、無数の竜が堕ちた。

 銀龍は苦しげに咆哮を上げたけれど、その声も死んで消えた。

 次の瞬間には、銀龍の瞳からも光が失せ、死に染まっていた。

 そして生命の無い異界門までも、さらさらと細かな粒子になって消えていく。


 なにもかもが死んで終わる。

 生き物としての形はなにも残らない。

 だけど地獄は、その場に留まり続ける。



《外来種の討伐により、経験値に特別加算があります》

《総合経験値が一定に達しました。魔眼、バアル・ゼムがLV18からLV32になりました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《行為経験値が一定に達しました。『死獄の魔眼』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『法則無視』スキルが上昇しました》

《特定行動により、称号『扉の破壊者』を獲得しました》



 静かになった。風に揺れる草の擦れ合う音が聞こえる。

 ひとまず戦いは終わった、と考えていいんだろう。

 システムさんも、それを認めてくれた。



《異界からの扉が破壊されました》

《外来襲撃に対する警戒を、一段階引き下げます》

《世界の危機は継続中と判断。緊急守護システムの稼動は現状を維持》

《引き続き、皆様の生存に期待します》



 とりあえず、これでもう竜軍団が増えることはない。

 ボクが見つめる先には、『死獄の魔眼』が創り出した赤黒い空間がある。


 草原なのに、そこだけまるで異界だ。

 地面の魔法陣は禍々しく脈打っている。

 細かな理屈は分からない。だけどどうやら、その魔法陣は長く残るらしい。

 そこに入っただけで死を齎す極悪な魔法陣だ。

 赤黒い空間の中から、無数の魂が苦しみ続ける声が漏れてきている気もする。


 ボクだって触れたら危ない。

 だから、ちょっと勿体無かったかなぁ、とも思う。

 もしも異界門だけ残しておけば、全自動竜殺装置が出来上がっていた。


 異界からやって来た竜が即座に殺される。

 ボクには経験値がいっぱい。

 そんな可能性もあったんだよねえ。


 だけどまあ、いまは外来襲撃を抑えられただけで良しとしよう。

 黒龍は逃がしちゃったけど。


 魔眼が発動する直前で、異界門へ飛び込んでいったんだよね。

 瀕死の重傷だったはずだけど、元の世界で復活できるのかな?


「ご主人様、周辺にも敵がいないことを確認致しました」

『ん。お疲れ様』


 補佐役をしてくれた一号さんが飛行しながら近寄ってくる。

 安全宣言がされたことで、ボクもほっと息を吐く。


「これが、例の魔眼による効果ですか。凄まじいですね」

『危ないから、近づいちゃダメだよ』

「はい。重々承知しております」


 軽い遣り取りをしてから、ボクは地上に降りた。

 死獄結界の近く、目立つ場所に土を固めた高い壁を作る。

 一号さんは首を傾げていたけれど、ボクは構わずに作業を続けた。


 ここはもう危険な場所だからね。

 見たら誰も近づこうとはしないだろうけど、念の為に注意を促しておこう。


 そのために、立入禁止の旨を書いた看板を立てておく。

 なるべく派手な物にして、真っ先に目に触れるように。

 竜軍団はともかく、無関係な人まで死んじゃったら嬉しくないからね。

 これでよし、と。


『ところで、邪龍と勇者はどうなったの?』

「勇者が勝利しました。辛うじて、ですが。残った竜たちは散り散りに敗走しております」


 そっか、とボクは頷く。

 あとで録画映像を見せてもらおう。

 大きな戦いが終わった、って実感が沸くかも知れない。


『少し、大陸観光でもしながら帰ろうか』

「ご主人様の仰せのままに」


 頭を下げた一号さんに頷いて、ボクはまた空へと舞い上がる。

 しばらく飛んで、ちらりと振り返った。

 禍々しく赤黒い空間を眺める。


 同時に、戦闘の後に確認したステータスをもう一度見つめた。

 気になったのはカルマの値だ。

 『死獄の魔眼』を放った直後に、ごっそりと変化したのが分かった。


 まさか、一発で”これ”とはねえ。

 全力で撃ったのがマズかったのかな。

 この数値からすると、ボクが把握している以上に危険な魔眼なのかも知れない。



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魔眼 バアル・ゼム   LV:32 名前:κτμ


戦闘力:87800

社会生活力:-9840

カルマ:-27490

特性:

 魔眼皇種  :『神魔針』『絶対吸収』『変異』『空中機動』

 万能魔導  :『支配・絶』『懲罰』『魔力超強化』『魔力集束』

        『万魔撃』『破魔耐性』『加護』『無属性魔術』『錬金術』

        『上級土木系魔術』『生命干渉』『障壁魔術』『深闇術』

        『創造魔導』『精密魔導』『全属性大耐性』『重力魔術』

        『連続魔』『炎熱無効』『時空干渉』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 英雄の才・弐:『魅惑』『逆鱗』

 手芸の才・極:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』『建築』

 不動の心  :『唯我独尊』『不死』『精神無効』『明鏡止水』

 活命の才・弐:『生命力大強化』『不壊』『自己再生』『自動回復』『悪食』

        『痛覚制御』『毒無効』『上位物理無効』『闇大耐性』

        『立体機動』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』

 知謀の才・弐:『解析』『精密記憶』『高速演算』『罠師』『多重思考』

 闘争の才・弐:『破戒撃』『超速』『剛力撃』『疾風撃』『天撃』『獄門』

 魂源の才  :『成長大加速』『支配無効』『状態異常大耐性』

 共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』

 覇者の才・弐:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則無視』『即死無効』

 隠者の才・弐:『隠密』『無音』『暗殺』

 魔眼覇皇  :『再生の魔眼』『死獄の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』

        『闇裂の魔眼』『凍晶の魔眼』『轟雷の魔眼』『重壊の魔眼』

        『静止の魔眼』『破滅の魔眼』『波動』

 閲覧許可  :『魔術知識』『鑑定知識』『共通言語』

称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『極悪』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』

『悪業を極めし者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』

『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』『職人見習い』『魔獣の友』

『人殺し』『君主』『不死鳥殺し』『英雄』『竜の殲滅者』『大量殺戮者』

『扉の破壊者』


カスタマイズポイント:320

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