05 カウントダウン:30……ん?
帝国との取引は、ひとまず穏便に終わった。
去っていく船を映像越しに見送って、数日―――。
ボクは空から大海原を見渡している。
いつもゴロゴロしてたり、魔力電池になってるだけじゃない。
気が向けば、鍛錬だってする。
いくつか、新しいスキルを開拓したりもしている。
《行為経験値が一定に達しました。『重圧の魔眼』スキルが上昇しました》
《条件が満たされました。『重壊の魔眼』スキルが解放されます》
そんな訳で、新しい魔眼も手に入れました。
怖いです。
狭い場所で使っちゃいけないスキル、第何弾か、もう分かりません。
「人類への宣戦布告は何時に致しましょう?」
『しないよ! なんで決定事項みたいに言っちゃってるの!?』
今日は一号さんじゃなくて、四号さんが側仕えをしてくれてる。
表情は他の子と同じく平然としたまま。
短めの黒髪と、腐った豚の死体を見下ろしているような眼差しがチャーム?ポイント。
いつでも言動がサツバツとしてる子だ。
そんな子と並んで空に浮かんで、眺める海には大穴が空いてる。
大型船が十隻は沈みそうな黒々とした穴だ。
滝みたいに水が流れ落ちていってる。底は見えない。
晴れ渡った青空の下なのに、その穴の周囲だけ暗闇が停滞している。
『重壊の魔眼』の使った結果、こうなった。
以前だと、重力を強化するだけの魔眼だったんだよね。
いや、”だけ”って言えるほど優しい威力じゃなかったかな。
そこそこ魔力を込めただけでも、人間なんて圧殺できる威力だった。
それでも、あくまで重力は下に向かうまま。頑丈な相手に対しては地面に押しつける程度。
動きを鈍らせるくらいにしか使えなかった。
だけど『重壊の魔眼』は違う。
睨んだ場所に、凄まじい重力の塊を生み出せる。
簡単に言うと、ブラックホール生成?
しかも少し時間が経つと、大爆発も起こす極悪仕様だ。
重力崩壊ってやつかな?
たしか天文学的な専門用語だと意味合いが違ってきたはずだけど、詳しくは知らない。
ともあれ、その魔眼を使った結果が、この海の大穴だ。
「未だに周囲の重力場に乱れを確認できます。長期の損害を与えるのにも適しているものと判断します」
『後片付けも大変、と』
戦略級魔眼だ。取り扱い超注意だ。
とりあえず、島にいる時は使わないようにしよう。
だけどまったく使わないでいるのも、逆に危ないんだよね。
いざっていう時に発動できないのも困る。
最大威力で何処までの破壊になるのか―――っていうのは怖いから後回し。
むしろ最小威力で連発できた方がよさそうだ。
設置型のブラックホール爆弾。
空中に無数に設置、って感じで。
それに、破壊以外の使い道も見つけたい。
核爆弾だって発電技術に応用できるんだから。
ブラックホール爆弾に他の用途が見つからないはずがない。
うん。この理屈はおかしい。
『よし。みんなに考えてもらおう』
「……? 何をでしょう?」
『この新しい魔眼の、平和的な使い道を』
ところで、今更だけど、最近のボクはかなり流暢に言葉を扱えるようになってきた。
肉体的な問題で、相変わらず声は出せない。
『変異』を使えば別だけど、それだと魔力消費が激しい。
だから文字を描いているのも変わらないまま。
でも、大陸から戻ってきた辺りから、皆には普通に喋ってもらってる。
メイドさんとも念話を使わずに意思疎通が出来るようになった。
確実に、ボクの言語能力は向上してきている。
その点は疑いようがない。
なのに、どうしてだろう?
「平和的に、人類を絶滅へと追いやりましょう」
まったく言葉が通じていない気がする。
うん。待って。落ち着こう。
ある程度は、こっちの意志は伝わってる。
問題があるのは、過激な意見が出る部分だけだ。
「子供だけは残すべきでしょうか。教育を徹底し、ご主人様への服従を絶対とさせれば―――」
『却下。論外。計画もしないように』
厳しい言葉で否定する。
ちょっとだけ首を傾げた四号さんは、不思議に思ってるみたいだった。
やっぱり冗談では言ってないよねえ。
もしかしたら、これって意外と深刻な問題なのかも。
以前の、ファイヤーバードとの交渉での擦れ違いなんかも、こういった部分が原因かも知れない。
『平和って言葉の意味、分かってる?』
「敵や脅威の存在しない状況を示すものだと、そう理解しております」
『だったら、その敵や脅威が、仲良くしようって言ってきたらどうする?』
「排除を最優先とします。敵に対し、話し合いでの解決など有り得ません」
四号さんは大真面目に答える。
他にも幾つか質問すると、やっぱり物騒な答えが返ってきた。
なるほど。これが文化の違いってやつだね。
言葉は同じでも、微妙に意味が食い違っていたみたいだ。
屍の上に築くのも平和。
虐殺をしてる最中でも、一方的で、反撃の恐れが皆無なら平和なんだ。
そして平和が崩れないよう、油断なく敵は殲滅すべし、と。
って、どんだけ殺伐としてるの!?
そりゃあ積極的平和主義とかあるけど、もう積極どころじゃないよ。
超攻撃的? 恐怖政治的? もしくは魔王的?
敵がいなくなっても、即座に内部から新たな敵が現れそうだ。
『一度、意識の刷り合わせをする必要があるかも』
「ご主人様の意志に沿うのが、我々、奉仕人形の務めです。間違っている点などあれば、どうぞお叱りくださいませ」
空中に浮かんだまま、四号さんは恭しく頭を下げる。
ううん。べつに、ボクは怒ってはいない。
むしろ面白い発見があって嬉しいくらいだよ。
それに、この”お叱り”にも別の意味が込められてる気がする。
ボクの意識で言えば、粛清とか、首を物理的に斬っちゃうとか。
異文化交流って難しいね。
それだけボクがぼんやりしてたのかも。
周りを見てなかったってことかなあ。
『明日にでも、みんなを集めて話し合う。予定を入れておいて』
まあ、気づいてよかったとも言える。
明日と言えば、外来襲撃まで残り三十日になるはずだ。
これが三日前とかじゃなくて良かったよ。
大きな事件になるのは間違いないみたいだし。
いざっていう時に擦れ違いが起こるのは大変―――。
《間も無く、外来襲撃が発生します》
え? あれ?
何故か、とんでもないアナウンスが頭に響いてきたような?
外来襲撃が発生? 間も無く?
なんで? まだ三十日以上は先のはずじゃ?
あ。もしかしてこれも文化の違い?
ここは電車が五分遅れるのも許されない世界じゃなくて、
一ヶ月くらいの誤差は当然とか、そういう―――。
《詳細な情報は判明し次第、順次、広域通知によって行います。皆様の奮闘及び、生存を期待します》
頭に直接入ってくる声を聞きながら、ボクは空を見上げた。
さっきまで青々と晴れ渡っていた。
なのに、いまは光が淀んで灰色に染まっている。
雲ひとつ無いのに。
どうやらもう、暴力的にでも平和をもぎ取りに行くしかないらしい。
こっそりステータス更新。
読み飛ばしても問題ないです。間違い探しとかが好きな方は、どうぞ。
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魔眼 バアル・ゼム LV:5 名前:κτμ
戦闘力:72600
社会生活力:-3860
カルマ:-14240
特性:
魔眼皇種 :『神魔針』『絶対吸収』『変異』『空中機動』
万能魔導 :『支配・絶』『懲罰』『魔力超強化』『魔力集束』
『万魔撃』『破魔耐性』『加護』『無属性魔術』『錬金術』
『上級土木系魔術』『生命干渉』『障壁魔術』『深闇術』
『創造魔導』『精密魔導』『全属性大耐性』『重力魔術』
『連続魔』『炎熱無効』『時空干渉』
英傑絶佳・従:『成長加速』
英雄の才・壱:『魅惑』
手芸の才・極:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』『建築』
不動の心 :『極道』『不死』『精神無効』『明鏡止水』
活命の才・弐:『生命力大強化』『不壊』『自己再生』『自動回復』『悪食』
『痛覚制御』『毒無効』『上位物理無効』『闇大耐性』
『立体機動』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』
知謀の才・弐:『解析』『精密記憶』『高速演算』『罠師』『多重思考』
闘争の才・弐:『破戒撃』『超速』『剛力撃』『疾風撃』『天撃』『獄門』
魂源の才 :『成長大加速』『支配無効』『状態異常大耐性』
共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』
覇者の才・弐:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則無視』『即死無効』
隠者の才・弐:『隠密』『無音』『暗殺』
魔眼覇皇 :『再生の魔眼』『死獄の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』
『闇裂の魔眼』『凍晶の魔眼』『轟雷の魔眼』『重壊の魔眼』
『静止の魔眼』『破滅の魔眼』『波動』
閲覧許可 :『魔術知識』『鑑定知識』『共通言語』
称号:
『使い魔候補』『仲間殺し』『極悪』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』
『悪業を極めし者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』
『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』『職人見習い』『魔獣の友』
『人殺し』『君主』『不死鳥殺し』『英雄』
カスタマイズポイント:50
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