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毛玉転生 ~ユニークモンスターには敵ばかり~ Reboot  作者: すてるすねこ
第4章 大陸動乱編&魔境争乱編
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11 会議、二回目


 新しい報告があった。

 人間との関係が、なかなかに深刻なものになってきてる。

 脅威、というほどでもないんだけど。

 そこで、ふと思いついた。

 会議をしよう。


 以前にも、メイドさんとクイーンたちを集めて行った。

 部族長会議?

 ん~……分かり易いけど、もうちょっと格好良い名前が欲しい。

 クイーンズ会議?

 いや、それだとボクが含まれないことになっちゃう。

 毛玉会議?

 自己主張が激しすぎるね。何の会議だかも分からないし。


 まあ、名前なんかで悩んでても仕方ない。

 ともかくもメンバーを集めてもらった。

 今回はスキュラも加わって、クイーンが三名。

 あと、赤鳥も参加したいってうるさいから、籠に入れたまま連れてきた。

 みんなには無視していいって言ってあるけどね。

 そこにメイド一号さんが加わって、例によって司会をしてもらう。


『では、第二回、バロール家筆頭会議を始めます』


 名前が勝手に決まってる!?

 って、一号さんが決めたの? いつの間に?

 いやまあ、名前なんてどうでもいいとは思ったけど……。


 だけどバロール家って、それ人間相手に用意した偽名なんですが?

 しかも、元の由来も考えると、けっこう恥ずかしい名前だよ。

 いいのかな?

 いっそ、このまま正式なものとして名乗っちゃう?

 一体感が生まれていいのかも知れないけど―――。


『ご主人様、どうかされましたか?』

『なんでもない。続けて』


 思わず椅子の上で跳ねちゃったけど、平静を装う。

 ここは家長として、どっしりと構えておくべきだよね。


 そう、ボクは君主だ。魔眼覇皇だ。

 種族も魔眼皇種になった。

 どんな種族やねん!、って思わないでもなかったけど。

 まあ、あれだよ、ペンギンだって皇帝になれるくらいだし。

 魔眼に”皇”が付いてもおかしくないよね。


『―――以上が、先日まで人間との接触によって起こった出来事となります』


 ボクが考え事をしてる間に、一号さんが説明をしてくれてた。

 情報の共有は大切だからね。

 とりわけスキュラは、これまでの事情をまったく知らなかった訳だし。


『そして先日、新たな情報を入手しました。大陸からの航路が、海の魔獣によって封鎖され、補給が途絶えたそうです』


 まだ確定情報じゃない。

 実際に、その航路の様子を確かめたりはしてないからね。

 だけどそれなりの地位にいる騎士が話しているのを、潜入したメイドさんが聞いてきた。

 かなり信頼できる情報ってことだ。


 北の街への補給は、二本のルートを設定していたらしい。

 ゼルバルド帝国の港町と、リュンフリート公国首都にある港。

 この二ヶ所から、それぞれ補給船が往復していた。


 念入りな態勢だって言えるね。

 だけど、その両方とも魔獣に襲われた。

 幾度も船は行き来していて、航路の安全は実証されていたのに。

 突然、魔獣が現れるようになったって話だ。

 二~三隻で補給船団を組んでたそうだけど、一隻は魔獣に沈められて、残りもボロボロになって帰還したらしい。


 水竜だとか、大型の蛸だとか、魔獣の正体に関する情報は不確かだった。

 ともかくも、これから先、街の人たちが困った事態に陥る可能性は高い。

 補給が途絶える。

 つまりは、ご飯が届かなくなるってことだからね。


 それにしても物騒な話だ。

 突然、魔獣に襲われるとか、やっぱり大陸でもよくある話なのかな?

 スキュラも水竜に追われたって話だったけど、まさか、今回の話もボクが暴れた影響なんてことは―――ないと思いたい。

 偶然でしょ、偶然。

 地理的には随分と離れてるし。

 魔獣が気まぐれに移動することだってあるし。

 なんでもかんでも自分が関係してると思うのは、自意識過剰だよね。


 それに、少なくともボクが望んだ結果じゃないよ。

 追い詰められた人間がどう動くか、予測も難しいからね。


『先にもお話した通り、我々と人間の関係は険悪と言えます。ですので、食料不足に陥った彼らが、こちらへ侵攻してくる可能性は捨てきれません』


 うん。ボクが懸念してるのもそこだ。

 食い物寄こせー!、って攻めてくることだね。

 その時はガトリング『万魔撃』をお見舞いしてあげるつもりだけど。


『そういった事態を避けるために、こちらから先に攻め込むのを―――』

『ちょっと待ったぁ!』


 椅子から跳び上がって、皆に見えるようにデカデカと文字を描く。

 一号さんが首を傾げてこちらを見つめてくる。

 無表情だけど、やっぱり思考は過激だよね。


『なにか問題がございましたか?』

『ある! なんで、いきなり、戦争仕掛ける流れになってる!?』

『選択肢のひとつとして提示させていただきましたが、それが最適であるとも判断いたしました。対象の戦力は、これまでの調査ですでに判明しています。順当に戦えば、我々が敗北する可能性は極めて低いかと』


 そりゃあまあ、ボクだって敗北するつもりはない。

 先に仕掛けた方がリスクも少ないだろうね。

 下手に待ちを選んで、予想外の策を打たれたら苦戦するかも知れない。

 人間の怖さは、その知恵だろうから。


 あれ? そうすると、一号さんの過激な提案も正しいって言える?

 いやいや、根本的な部分でズレてるんだ。

 そもそも争わないで済む可能性だってあるんだから。


『無論、ご主人様に戦っていただくのが前提となりますが』

『それは構わない。けど、もっと穏当な案で』

『穏当と仰られますと……威圧し、降伏を迫るといったところでしょうか? 確かにそちらの方が、接収できる物資は増えると予測されます』


 それもいいかなあ、と思っちゃう。

 ボクも随分と毒されてきてるね。

 だけどこの魔境だと、弱肉強食が基本だし、メイドさんくらい強気でいってもいいのかもね。


 ちなみに、他の面々の意見は―――、

 アルラウネとラミアは、襲われたら戦う派。

 スキュラは他の意見に従う派だった。

 たぶん、スキュラはまだ新参者ってことで遠慮もあるんだろうね。


 とどのつまり、アレかな。

 またボクが意見を押し通しちゃってもいいのかな?


『人間との取引は、得るものが、大きい。なるべく、成功させたい』


 大切なのは、根本の方針を定めておくこと。

 ボクの意志を固める。しっかりと伝える。

 そうすれば、みんなも後に従ってくれる。


『でも、邪魔になるなら排除する』


 最初はただ、隣で暮らしてても構わないくらいの気持ちだった。

 最低限の警戒は、アルラウネやラミアに対してもなかなか解けなかった。

 だけどもう、一緒にいるのが当り前みたいになってる。

 家族、っていうのは少し違うけど―――。


『このお城の安全は、絶対。それを人間にも知らしめる』


 ここは居心地がいい。

 ボクのお城だ。

 だから、その範囲を、もう少し広げてもいいのかもね。







 バロール家筆頭会議から数日。

 ボクは久しぶりに黒甲冑に身を包んだ。

 怒らせると怖い紳士、バロールさんが城から出立する。

 念の為に、メイドさん一号~三号を従えて。

 向かうのは北、人間の街だ。

 そこにいる帝国総督さんとやらに話をするために。


 話、って言えるんだろうね。

 たとえ喧嘩を売るような内容だったとしても。



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