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桜前線此処にあり  作者: 祀木 楓
第1章 夢現 ―京という街 ―
1/181

プロローグ

こちらも宜しくお願い致します☆


http://book1.adouzi.eu.org/n2096bt☆異説・桜前線此処にあり

http://book1.adouzi.eu.org/n2137bu☆神になったワタシ


 


 桜の花が咲き乱れる今日、私は上級生となった。


 昨年首位をキープし続けたお蔭で、総代として入学式での挨拶という面倒事まで任されて……


 新入生の喜ばし気な笑顔とは裏腹に、私の気分は下降していた。




「総代なんて……そんな器じゃないんだけどなぁ」




 入学式では、用意していた挨拶を読み上げる。


 役目を果たすと、私は足早に席へ向かった。


 

「さっすが桜だね。やっぱり、ギリギリ進級した私とはデキが違うわ」



 席に戻ると、親友の瑞季が私に笑顔で言う。



「そ……そんな事ないよ! 私だって、本当に緊張したんだよ? もう、頭の中なんて真っ白で。私……ちゃんと言えてた?」



 私は、瑞季の反応を伺うようにして尋ねた。



「緊張って……まったまたぁ、よく言うよ。サクってば、うちらの入学式の時も、新入生の挨拶を堂々とやってたじゃない? 頭も顔も良いなんてさぁ……ほんと羨ましいわぁ」



 瑞季は、私をじっと見つめて言った。


 それから……入学式は淡々と進み、あっという間に終わりの時を迎える。


 総代という大役を終えた私は、本当に肩の荷が降りる思いだった。





 その後の授業も終え、下校の時刻。




 私はみんなと別れると、いつもの桜の木の下で本でも読もと思い、重い荷物を抱え裏庭へと向かった。




 バイトまでの時間潰しによく利用しているこの場所。


 この桜の大木は、樹齢200年だかと言われていて、江戸時代あたりからあるらしい。


 何故だろうか……


 この木の傍らに座ると、不思議と心地良く……安心する。




 満開に咲き誇る大樹から鞄へと視線を移した私は、読みかけの歴史小説を取り出そうと、鞄に手を入れた。



 その時



 一際大きな風に巻き上がる桜の花びらに、私は目を奪われる。




「……綺麗」




 天を仰いだその瞬間




 日差しのせいだろうか?




 突然の強い目眩に襲われる。




 その強さに耐える事は叶わず……急激に視界が暗転して行く。




「私……どうし……ちゃった……の?」




 薄れゆく意識の中、最後に目に映ったものは……




 視界一杯に咲き乱れる、薄紅色の桜の花々だった。




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