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なんで僕が!?  作者: へたれ度100%
28/79

謝罪

※卯月視点の物語です

今日もいつも通りに鐘がなる。

学校開始の鐘だ。


鐘がなると、外にいる小鳥たちが飛び立つ。

風が吹き、木々が揺れる。

今日も平和である。


昨日、絆同盟という・・・

まぁ、とりあえず同盟が完成した。


今日はその同盟が行う最初の出来事。

川中と時津風に話をつけなければならない。



授業は今日は1時間目は国語、2時間目は数学Ⅰ、3時間目は理科、4時間目は地理ということになっていた。

4時間目の地理が終わり、次は弁当の時間である。



さて・・・

あの馬鹿を誘いにでもいくか。


え~と・・・あの馬鹿は・・・

探すと意外といないものである。


わかったぞ!

さてはまた非常階段でのんきに空でも見上げているな・・・


ということで、非常階段まで脚をはこんだ。


ドアをあけると会話がきこえた。


「僕たちの勘だと、「引き裂き」の継続は、川口が継続させたんじゃないかと疑ってる。」

「ほぅ?」


この声は・・・

あいつと・・・時津風?


この会話からすると時津風と「引き裂き」について話しているようだ・・・

だが、時津風説得は明日か月曜日の予定である。

今日は金曜日なので、今日のうちに時津風に「明日きてくれ」と頼んでもこない可能性だってある。

だから、明日(土曜日)か、月曜日なのである。


にしても・・・

今日に話をするとはきいていない。

早すぎる。



「それで、それを川口にさせたのが、お前と川中だと考えてる。」

「へぇ・・・なかなか面白い発想だね・・・けど、なんで俺と川中なのさ?」



彼らは並んで空を見ながら話をしている。

本来は仲がいいのだろう。



「お前らは仲がいいから頼めば川口はいい奴だから答えてくれるだろう?それに・・・」

「ちょいちょい、坊や、慌てなさんな・・・」


時津風はよく「マイペース」だという話をきく。

たしかにそのようだ。

十六夜が真面目に話しているのに、彼は真面目・・・

というか、面白半分できいているようにみえる。



「で?仮に俺たちが川口に継続させるように命令させたとして・・・俺たちに何の得がある?」

「お前らはあまり卯月のことをよくは思ってないだろう?」

「まぁ、図星だな。」


・・・そのとおりだ。

彼らは私のことを良くなんて思っていない・・・


「けどな・・・良く思っていないってのは、「嫌い」ってのとは違うんだぜ?」

「え?」



彼は驚いていた。

もちろん私も驚いた。

彼らは私を嫌っているのではないのだろうか・・・




「たしかに俺も川中も共通のことで、卯月のことを良いとは見ていない。そこは認めてやる。」

「・・・」

「前にもいったろ?俺たちは中学のとき、あいつに振り回されて崩壊した男子を何人もみてきたって・・・」



中学のときの話か・・・


ん?待てよ・・・

「前にもいった」ということは、彼は私の中学のころのことを知っていたのだろうか・・・

だとしたら・・・

普通、そんなやつには付き合いたくない、と思うのが普通である。

だけど・・・

彼は何の変化も見せなかった。

やはり・・・彼は私の性格を理解してくれていたのだろうか・・・



「というか・・・俺は、もういいと思ってる。」


そして、さらに意外な言葉・・・

これを驚かなかったら、私は何をみて驚くのだろうか・・・



「見てるとあいつも、今までとは違う感じがある。・・・多分、マジでお前に惚れてんじゃねぇのか?」



・・・惚れてるよ。

だって、この間、彼に宣言までしたもの・・・

「絶対に惚れさせる!」って。

この私がそんなことを宣言するなんて・・・

それほど・・・好きなんだよ。



「あいつがお前にマジで惚れてて、お前は別に迷惑してねぇってのなら、俺は別にお前らを引き裂こうなんて考えたりしねぇさ。利益がない。」



彼のいっていることは本当だろう。

もし、嘘ならば、彼は相当嘘をつくのがうまいということになる。



「恋する乙女の恋を邪魔するなんて、悪役だからな・・・」

「じゃぁ・・・お前は何も関係してねぇのか?」

「あぁ。」

「川中は?」

「そこまで知らん。あいつの考えてることは俺にもわからないときがある。難しいやつだぜ・・・意外とな。」



これは本当なのだろうか?

彼はよく川口や川中と一緒にいる。

まぁ、仮に彼に川中の考えていることがわからないとして・・・

川中がかかわっているかどうかぐらいは知っているはずだ。



「ねぇ、ご飯、一緒に食べよう?」

「!?」



目の前にいたのは中島だった。



「非常口?・・・どうかしたの?」

「なんでもない。」

「・・・十六夜くんと待ち合わせ・・・とか?」

「ち・違う!!よし、飯を食いに行こうじゃないか!!」


その後の彼たちとの話はこういうことがあり、きいていない・・・が。

もし、彼のいうことが本当で、もうやめてもいいと思っているのであれば・・・

川中との話は簡単で済むかもしれない。


そう思うと少しだけゆとりができた。




さて、飯を食べ、同盟の皆は集合した。

すでに中島が作戦を実行しているところだ。

予定ではこの場所に彼女がくるはずだ。



それから少しして・・・

中島が彼女をつれてやってきた。



「で?手伝って欲しいってのは?」

「俺たちと話をしてもらいたいんだ。」


桶狭間がいう。


「・・・なるほどな。」



彼女はこのメンツをみて、すぐに理解したらしい。

が・・・

彼女はやはり骨がおれそうだ。

わざわざわかっていることなのに、きいてくるのだから。



「で?話っていうのは?」

「は?わかってんだろ?「引き裂き」のことだよ。」


桶狭間も、おそらく彼女がもうこのことに気づいている事を知っていたのだろう。

あえてしらをきる川中のやり方が気に食わなかったようだった。



「「引き裂き」か・・・」

「あぁ。」

「率直にきくっぺ・・・お前、川口に継続を頼んだか?」



今度は関ヶ原が質問する。

彼ら同盟のメンツは皆、真剣だった。

が・・・



「どうだっただろうな?忘れちまった。」


またもや彼女はしらをきった。

これでは一生話が進まない・・・

そう思った瞬間だった。



「とぼけんじゃねぇ!!」


彼女が2回連続でしらをきったので、頭にきたらしい。

当然といえば当然だ。

なにしろ、こっちは真剣にきいているのだから。



「・・・桶狭間、ここは僕がきく。」


すると今度は十六夜が前にでた。

・・・大丈夫か?


「十六夜・・・」

「まかせとけって。」


「まかせとけ」といわれても、心配である。

何しろ彼は「嘘」がつけない。

逆に質問されてしまったら、彼らの情報収集の助っ人ということになってしまう。



「答えは中途半端だな。強いて言うなら?」

「う~ん・・・どっちだったっけかなぁ・・・」


さらにしらをきる。

やはりラチがあかない。


「ということは・・・川口が自ら十六夜と卯月を引き裂こうとしたってか?最低な野郎だな、川口ってのは。」

「な!?貴様・・・何をいう!?」


すると、将軍は戦法をかえた。

そう・・・昨日に考えておいた作戦。

彼女がなかなかおれないときに使う予定だったが・・・

将軍はここで使うと決めたらしい。



「お前・・・川口の気も知らないで!!」

「どうだかなぁ・・・実際、あいつに報告されて桶狭間は見事校長室いきだ・・・最低な野郎だよな?」

「くっ・・・」



しかし・・・

なかなか川中は口をひらかない。


「実際、あいつは「アルファー」を継続させるように報告したんだろ?といったら否定しなかったしな。」


将軍はその皮肉を重ねて続けて言う。


「しかも、なんでも気に食わないと「機密事項」だ。あいつが一番怪しいっちゃ怪しい。」

「・・・」



・・・やはりおれない。


しかし・・・

あることに気づく。

それは、川中の手に・・・

強い力がかかっていた。

手に力をいれていた。

それは血がにじむほどに・・・


やはり、川口は悪い人ではない、そう私は思った。

だけど・・・

それを知っておいてなぜ、川中は言わないのだろうか・・・



「・・・どこが気に入らないんだ?卯月ちゃんの・・・」


桶狭間が静かにきいた。

今まで私たちは皆、ストレート・直球ボールをなげてきた。

しかし・・・

今回はど真ん中・ストレート・直球ボールである。

バッターからすれば、打つためのボールだ。


川中としても、この質問なら答えやすいだろう。

しかし、これをいうと、川中は冷静じゃなくなってしまうかもしれない。

そうなったら、私たちは彼女の説得に失敗したも同然となる。

それが怖かったから言わなかったのだが・・・


ここにきて、少し早めだが、発動させた。



「お前らはその女のことをよく知らないだろうからそういうことがいえるんだ。この女は最低だ。」


彼女はのってきた。

やはり先ほどより答えやすい質問だったのだろう。



「なに?」

「中学のころ、多くの男性と付き合って、カップルで付き合っている男子をも横取りして、すぐに切り捨てた。こいつのせいで・・・崩壊したカップルはたくさんある。」



・・・そのとおりだ。

中学のころ、私は最初の恋がトラウマとなり、遊びで付き合っていた。

私は男性をえらぶとき、なんとなく目に入った男を選んでいたため・・・

もしかしたら、カップルだったところを崩してしまっていたのかもしれない。

いや、実際に川中は「たくさんある」といっているのだから、たくさんあったのだろう。



「・・・」

「私も・・・時津風もその女と同じ中学だ。・・・これ以上苦しむものを見たくない。」



やはり彼女は今の私も前の私と同じだと見ている。

前の私は今の私からみれば最低極まりない。

最初の恋のトラウマがあったから・・・

なんて言葉だけじゃ、許させないこと。


そしてそれを見てきた元同じ中学の人なら、誰しもまた警戒するのが当たり前である。



「・・・たしかに中学の私は最低だった。だからあなたたちに何を言われようと、仕方のないこと。」



けど・・・

今は違う。

今は、本気。

それをわかってもらわないといけない。


「けど・・・今回だけは・・・絶対に譲れない。」

「そういってまた十六夜を陥れるつもりか!?」

「そうじゃない!!」



彼を陥れるなんて・・・

そんなことはしないし、する予定もない。

最初はその予定だったけど・・・

いつしか、こんなに変な人なのに・・・

好きになってしまっていた。


好きになってしまった相手を、陥れられるほど私は心が強くない。



「今回は・・・今回は本物の恋なの!!」

「そういままでいってきて、何人の男性とカップルをつぶしてきた!?もう私はだまされんぞ!!」


彼女も彼女で、これ以上、被害をだしたくないのかもしれない。

けど・・・

今回は何があっても譲れないのである。


「違うの!」

「お前らうるせぇぞ!!!」



すると大きな声がした。

その声で我にかえる。

おそらく川中もそうだろう。


声の主は・・・

時津風だった。


時津風は川中のほうの立場の人間だ。

つまり・・・より厄介になるかもしれない。



「てめぇら熱くなるのは勝手だが・・・きいてるこっちの身にもなれよ・・・うるさくて昼寝もできねぇぜ・・・」

「時津風・・・貴様、どういうつもりだ?」


しかし・・・

彼は攻めてこなかった。


そのことに不服を感じたのだろう・・・

川中は彼をにらむ。



「はぁ・・・ったくよ、川中。お前もお前だぜ・・・ホントは気づいてるんだろ?卯月が本気なのを・・・」

「!」


もしかして・・・

彼は味方?


そういえば先ほど非常階段で、十六夜と「もういいと思っている」と話していた。



「いつまでも中学の親友のことのトラウマを引きずってるなんて、格好悪いぜ?」

「貴様も同じだろう?」

「そう・・・だな。けど・・・俺はもう十分だと思うぜ。」

「なに?」


やはり・・・

彼は敵の援軍なんかじゃない。

むしろ味方である。


「前に十六夜に確認した。迷惑はしてないといった。卯月は本気。・・・なら俺らの仕事はねぇじゃねぇかよ。」

「くっ・・・時津風・・・この期におよんで、同盟を裏切るつもりか?」



同盟?

同盟というのは「第5同盟」のことだろうか・・・

おそらく元同じ中学の同じ学年のなかで続いているのは、これだけのはず・・・



「裏切るんじゃねぇ・・・やめ時だっつってるんだよ。」

「それが・・・お前の意見か?」

「そうだ。実際・・・皆、もうやめ時だって気づいてる。お前もそうだろうが・・・いつまでもやってるとくだらねぇぜ。」



やはり川中は不満そうである。



「・・・くっ・・・時津風、こい!!」

「ったく・・・へいへい。」



そういうと彼らは校内に戻っていった。

時津風はすでに納得してくれているようだった。


川中はまだ不満そうだった。

やはり・・・

川中とはしっかり一対一で話し合う必要がある。



「・・・結局川口のことも聞きそびれたな・・・」

「あぁ・・・」



こうして昼休みの説得作戦は幕をとじた。




が・・・

私はまだ説得作戦を終わらせるわけにはいかなかった。


その日の5時間目が終わったあとの休み時間。

川中は時津風をつれて、またどこかへといった。


私はそれを追う。

どうしても・・・

話さないといけないのだ。



すると、彼女たちは東棟の誰もいない、物置地域で脚をとめた。



「ったく・・・いつまでトラウマを引きずってるつもりだよ?」

「そうじゃない!だが・・・まだ彼女が安心できるといえるレベルでもないだろうが!」


やはり昼間のことを抗議しているようだった。



「昼間もいったが、第5同盟の連中だってもう・・・やめ時だって気づいてる。」

「なぜそうも簡単に彼女を信用できる!?」

「見てりゃぁわかるだろう・・・」

「なに!?」


彼女は時津風をにらむ。



「男視点だとな、女性がかわったことなんてすぐわかるっつってんだ。」

「あいつのどこがかわったというのだ!?」

「まず雰囲気がかわっただろう・・・なんというか、柔らかになった。」

「なに?笑わせるなよ・・・そんな実態のないものを信じろというのか?それは幽霊を信じろ、といってるようなもんだぞ?」



しかし・・・

いつでていこうか・・・

なんだか、完全にでるタイミングを失ってしまった・・・



「それにいつも卯月から十六夜に行ってるじゃないか。前は男から卯月に・・・だったのに。」

「普段動かない卯月が動いている・・・ということか。」

「そうだ。それに、十六夜には2回も確認したが、「このままでいい」って言っていた。」

「・・・」

「つまり・・・俺たちのでる幕はもうないってわけだ。」



時津風は川中を納得させるように、少しずつ少しずつ、ものをいっていく。



「てめぇも女なら、人を好きになる気持ちぐらいわかるだろう?それを邪魔されるってのは相当つらいことなんだぜ?」

「ずいぶんわかったようにいうじゃないか。」

「へっ、俺にかかれば、全部お見通しだっつ~の。」

「・・・だが・・・」

「お前が何度抗議しようと、俺はもう意見をかえる予定はない。・・・もう一度だけいう。やめ時だ。」



彼には彼の意思があるのだろう。

彼の意思は強いようにみえた。



「・・・」

「・・・」



彼らはお互いをにらみ合う。

・・・いまなら、でるタイミングとして大丈夫だろう。


そう思うと、いざ勇気をだして出た。



「!!」

「・・・卯月じゃねぇか・・・」


川中は私をにらみ・・・

時津風は呆れ顔をしていた。



「あの・・・ごめんなさい!!」

「なぜ私に謝る?」



今まで私がしてきたことは最低だ。

そして、もうそれをしてきてしまって、謝る人も皆、バラバラとなり、謝れなくなってしまった。

けど・・・

それでも私は謝っておきたいのだ。

・・・せめて私の過去を知っているこの2人に。



「私が謝っておきたいんです!」

「それで許されるとでも?」

「私の完全な自己満足です。けど・・・謝らずにはいられないんです。」



そう・・・

これは私の勝手な完全なる自己満足で、謝っても別に許してもらえるわけでもない。

それは理解している。



「・・・なぁに、これから償っていきゃいいんだろ?」


時津風はやはり、もう私を安全だと見てくれているようだった。


「・・・」


川中は・・・

どうなのだろうか?

とても、苦しい表情をしていた。



「悪いな、卯月。川中は今、川中で悩んでるんだ。ここはそっとしといてやってくれ。」

「・・・わかりました・・・でも、もう少しだけいいですか?」

「じゃぁ、俺がきいてやる。・・・少しここで待ってろよ、川中。」


そういうと彼はさらに奥まで進んだ。



「で?話ってのは?」

「あの・・・もし「引き裂き」を継続させているなら・・・」

「ちょいちょい、俺たちには、もう継続させる目的はない。」

「わかっています。けど・・・これだけはきいてください。」


どうしてもいっておきたかったことの2つめ・・・



「もう・・・無理に「引き裂き」を解除してくれとは頼みません。」

「え?」


時津風は目をまるくした。


しかし・・・

実際、川中が川口を動かして「引き裂き」を継続させているのであれば・・・

川中は「引き裂き」を解除したくないはずだ。


中学のことは私が悪い。

だから許してもらうのが当たり前とか、そういう考えはどこにもない。

むしろ、許せなくて普通である。


もし、彼女が私を許していないのであれば・・・

私は「引き裂き」も1つの償いとして、償っていこうと思う。

中学の皆に悪いことをしてしまった、という自己満足の償いだ。

それでも償っていこうと思う。

だから、もう無理に解除してくれ、なんて頼まない・・・

というか、むしろ彼ら、元同じ中学の人たちが許していないのなら、彼らには頼めない。

彼らに償うのだから。


だけど・・・



「ですが、もしこれから生徒会に目をつけられるのであれば、それは私がすべて悪いのであって、彼は悪くありません。」

「・・・」

「もちろん他の皆も悪くないです。だから・・・私はどうなってもいいですが、彼らは巻き込まないでください。」


私以外のメンツを、私の償いのために巻き込ませるわけにはいかない。



「なるほどね・・・検討してみるよ。」

「お願いします。」


私はそういって頭をさげて、教室に戻った。

どうか・・・彼らを巻き込まないように。



「・・・はぁ・・・検討するとはいっても・・・そんな権限、俺たちにはないんだけどねぇ・・・」


なんて時津風は卯月が去ったあとに、苦笑した。






その日の放課後。

いつものように同盟があるわけだが・・・


彼らにも「もういい」と言おう。

もし、同じ中学だった人達が敵なら、私は彼らと戦う、なんてことはできない。

私が悪いのだから、償っていかなければならないから。



そう・・・言おうとしたときだった。


「よぅ、諸君。元気にやってるか?」

「時津風!?」



時津風が教室に入ってきた。



「お前らいいこと教えてやる。」

「?」

「今日から、俺と川中もお前らの同盟に入ってやることにしたから。」

「はぁ!?」


皆は一同びっくりである。


・・・もしかして、それって・・・

私を許してくれた、ということなのだろうか?



「そういうことだ。これから私たちも時津風の言うとおり、同盟に参加させてもらう。」



すると先ほどまでカンカンだった川中も入ってきた。



「・・・なんだ・・・こりゃぁ、罠か?」

「まぁ、嫌ならいいんだぜ?俺らは断られれば入らない、それだけだしよ。」



実際、同盟のメンツは悩んでいた。

今まで敵対していた者がいきなり入る、といいだしたのだから。



「ちなみに川口は関係ねぇぜ。」

「え?」


つい言葉をだしてしまう。

ということは・・・

川中と時津風が動かしていたわけじゃない?



「ただ・・・生徒会そのものが動いてる。」



生徒会・・・

敵は生徒会というのであれば・・・

戦える!!



「どうする?俺らはお前らに任せるぜ。」

「参加させてもらえるのであれば、可能な限り協力を約束する。」

「・・・」

「・・・いいんじゃない?」


一番最初に賛成したのは十六夜だった。


「な!?十六夜、正気か!?」

「だって、生徒会を相手にするなら、いつかはバレることだし・・・こいつらが情報収集のための川口が送り込んだスパイだったとしても・・・早めにバレる、それだけだろ?」


・・・大丈夫・・・

彼らは信用できる。

そんな心配する必要はない。

そう・・・よくわからない安心感が私のなかにあった。



「簡単にいってくれるぜ・・・」

「私も・・・彼らを信じていいと思う。」



本来なら一番最初に私が賛成するべきだったのではないのか?



「はぁ・・・十六夜と卯月がいうならいいんじゃねぇか?もともとこいつら2人が中心なんだし・・・」

「・・・そうだな。」


結局この案は可決され、時津風と川中はめでたく同盟入りを果たした。



そして・・・

同盟解散後。

私は2人に呼び出された。



「・・・あの・・・話って?」

「・・・今まですまなかった。お前はお前なりに考えていたのに・・・」



それは川中からの謝罪だった。

むしろ、謝罪しないといけないのはこちらなのに・・・



「そんな・・・謝らないといけないのは私のほう・・・」

「いいからいいから。」



そう、時津風に話を区切られてしまった。



「実際、もう卯月を責めてるやつなんていないさ。」

「でも・・・」

「それに、償うなら、十六夜とおまえ自身が幸せになれ。」


時津風は真剣なまなざしでいう。

・・・結構恥ずかしいのだが。



「中学の頃、お前を好きになって付き合った男は皆、お前が幸せになってくれることを願うはずだ。」

「・・・」

「それが罪滅ぼしと考えていいと思うぜ。」

「でも・・・」

「それが・・・モトチュー最後の同盟・・・第5同盟総意の意見だ。」


それが・・・

第5同盟の総意・・・


そうか・・・

それが罪滅ぼしとなるのであれば・・・

なおさら私はこんなところで突っかかるわけにはいかない。


もちろんそれだけで償うつもりはない。

この失敗をしっかりと胸に刻んで、同じ失敗を繰り返さないようにしていきたい。



これから・・・

私は償いばかりの人生になりそうだ。



「これからは我々も全力で支援する。」

「なぁに、生徒会とやりあうんだろ?それほど楽しそうなことはねぇさ。」



この2人が参戦したことにより、さらに同盟は強くなったといえる。


次は月曜日・・・

そして・・・

その月曜日に、ついに絆同盟と生徒会との戦いの幕がきって落とされることとなる。



                           「謝罪」   完

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