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【第22話】王子のポンコツ恋愛

学園の昼休み。嵐のように駆け抜けたアディシアとの一幕が終わり、ようやく静けさが戻った中庭。

しかしその静寂も束の間、今回は完璧な王子が、恋愛だけぽんこつぶりを発揮するお話です。

――王子の天然ぶりを、どうぞお楽しみください。



アディシアが去ってしばし、学園の中庭には静かな空気が戻った。最初に口を開いたのはクリスだった。


「……ふぅ、嵐みたいだったね」


アデルはベンチに座り直し、深く息を吐く。


「ランドルフ様も大変ですね……政略とはいえ、将来を共にする方があのようでは…」


王子は真顔で答えた。


「いや、この婚約は私が望んだものだ。私はアディシアを好きだ。むしろ愛している」


その真剣な宣言に、アデルとクリスはぽかんと口を開ける。クリスは眉をひそめ、アデルも頭をかしげた。


王子は続ける。


「私は、そう示しているつもりなのだがな。なかなか伝わらないものだ」


アデルがすぐに突っ込む。


「でもさっきは、あんなに冷たく突き放してたじゃないですか!」


王子は少し首をかしげ、真顔で言う。


「私はただ、事実を正確に伝えただけだが?」


アデルとクリスは同時に溜め息をつく。クリスが小声で呟いた。


「多分、ランドルフ様……その感じだと、色々誤解されてるかも。ちゃんと好意は伝わってますか?」


王子は両手を組み、少し考え込む。


「……確かに、伝わっているだろうと考えるのは甘かったかもしれん。だが、婚約者として選んだのは事実だし、日々の行動にその証は示しているつもりだ。何もやましいことはしていない」


その回答に、アデルとクリスは目を合わせ、さらに大きく溜め息。アデルが苦笑いしながら言った。


「いや……もう少し、こう……女の子にわかる形で示さないと……」


王子は首をかしげて真顔のまま。完璧だと思っていた王子の、恋愛だけが不器用な一面が浮き彫りになる。


クリスは小さく肩をすくめ、アデルも苦笑しながら頭をかく。


「……やれやれ、恋愛だけは本当にポンコツだな、この王子は」とアデル。


完璧な王子が恋愛だけ不器用で、周囲が少し振り回される――そんな昼休みの一幕であった。



---

アディシアへの想いは本物なのに、伝え方が不器用すぎるランドルフ王子。

完璧な彼が恋愛だけポンコツというギャップに、周囲はちょっと振り回されてしまいます。

この昼休みの一幕が、彼と仲間たちの関係をさらに深めるきっかけとなるのか――次回もお楽しみに。

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