【第13話】館に戻ったアデルと、リリアンヌとの甘い時間
魔法適性試験で全属性を扱えることが判明したアデル。
館に戻ると、家族や使用人たち、そしてリリアンヌとの再会が待っていた。
館に戻ると、父である公爵は上機嫌でアデルを褒める。
「ハハハッ!さすが私の息子だ!王族を超え歴代最高とは!これで第1王子の側近にも決まったようなものだ!よくやったぞ、アデル!」
館中がお祝いモードに包まれる中、母親や姉妹、使用人らも皆喜んでくれている。
そんな中、館で待っていたアリスはアデルに抱きつく。
「アデル様!さすがです!」
3歳年上のアリスの身体は少し女性らしくなっており、柔らかな感触と香りにアデルはドキリとする。しかし、真面目なアデルは少し押し返した。
「アリス、ありがとう。」
(僕は婚約者がいる身。みだりに女性と触れ合うべきではない)
少し不満そうな表情を見せたアリスだったが、静かに身を引いた。
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そこに、執事からリリアンヌがお祝いに訪れたと知らせが届く。アデルはすぐに応接間へ向かう。
応接間にはリリアンヌがソワソワして待っていた。アデルと目が合うと、二人は自然と微笑み合う。
「アデル。おめでとう!全属性だなんて凄い!」
リリアンヌの笑顔にアデルも嬉しくなる。
「リリアンヌ、ありがとう。君に褒められるのが一番嬉しいよ」
アデルの言葉に、リリアンヌはポッと赤くなる。
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リリアンヌは少し心配そうに続ける。
「でも、アデルに魔力があるということは、これから魔法王立学園に入学するのよね?あそこは全寮制だし、今みたいに会うことは難しくなるわ」
※この国では、魔力のある子どもは身分や性別に関係なく王立学園へ入学が許可され、魔力のない子どもは家庭教師を雇って館で教育を受け、社交デビューまで学ぶことになっている。
アデルは少し考え込むが、すぐに笑顔を取り戻す。
「不安にならないで、リリアンヌ。週末や長期休みの時は必ず帰ってくるから。その時は君に会いに行くよ」
「ええ!そうね!絶対よ!」
二人の間に優しい甘い空気が漂った。
すると脳内でまた声が響く。
(あ〜ん♡めっちゃ良い感じじゃない、アデルぅ笑)
げんなりするアデル。せっかくの良い雰囲気が台無しになった気分だ。
女神とは暇な生き物なのだろうか、と頭を抱える。
「大丈夫?アデル?」
心配そうに声をかけるリリアンヌ。
「ああ、大丈夫だよ!少し考え事をしていただけさ」
王立学園には魔力があるとわかった2年後には入学しなければならない。
それまでの時間を、リリアンヌと大切に過ごそうと決めたアデルであった。
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アデルは魔法適性試験で全属性を扱えることが判明し、館では家族や使用人たちに祝福され、リリアンヌとの甘いひとときも過ごした一日となった。
次回は魔法王立学園編――アデルと新しい仲間たちの物語が始まります。




