絶対王
「無事だったのね!」
外に出ると、フィスト達が安心したような表情で出迎えてくれた。
いつでも中に入れるように、扉の傍で待機してくれていたようだ。
フリジディ王女と身武一体をしたという話をしたところ、キハーノさんやビッケさんは驚いたが、フィストは少し心辺りがあったのか、なるほどという表情を見せるだけで、パンサさんに至っては全くの無反応だった。
ヴィエラさんに関しては「浮気ですか?」と問い詰められたので、必死に愛の証明だと誤魔化した。
「これでゼロにも対抗出来るはずです。早速戦場へ戻りましょう」
『その必要は無いみたいよ』
すぐにでも反撃しようと提案するパンサさんの声の後、大きな爆撃音が聞こえた。
今までよりも遥かに強い一撃、少し崩れた天井がパラパラと足元に落ちた。
とにかく砦に籠っていても仕方がない、そう思った私達は来た場所を戻り、アイディールさんと合流することにした。
「……何故、貴様らがここに。いやそれよりも」
アイディールさんのいた場所へと急ぐと、そこには何度もみた巨体が立っていた。
周りで砦を守っていた兵士は地面に倒れ伏せており、誰一人息をしているようには見えない。
その傍で天秤を片手に片膝を付く半裸の女性。
「何故生きているんだ、ヤコ・テンジョウイン?」
襲い掛かって来たゼロの攻撃を、受け止めようとするが、恐ろしい力で吹き飛ばされた。
そのままゼロは銃撃で私を追撃してくるものの、ここに辿り着く前に身武一体を果たしたヴィエラさんの力によってそれを防ぐ。
しかし、ヴィエラさんとペニバーン、フリジディ王女にイージスという4人で身武一体をしているにも関わらず押し切られるとは。
「ほっほっほ……しくじったようだな、ゼロ」
そして、この場にいたのはゼロだけでは無かったようだ。
聞き覚えのある声と共に姿を現した初老の男性。
「なに、今ここで処分するのだ。大したミスではない」
「その通りだな」
エクスト王。
自国の兵士が周りで倒れているのに、目もくれないどころかその顔には笑顔さえ浮かべている。
「計画はとても順調だ、今すぐに導き手を処分しても問題ないだろう」
「そのつもりだったのだがな、何故か逃げられてしまったようだ」
エクスト王がゆっくりと私に近付き、手に持つ杖の先端を私へと近付けた。
「……ヤコから離れろ!」
フィストがエクスト王に向かってナイフを構えて飛びかかる。
しかし振り返ったエクスト王がゆっくりとその目でフィストを見ると、彼女は固まったように動けなくなってしまった。
『頭が高いぞ、跪け』




