開始
「ヤコ・テンジョウインは私と、イージスはそちらの女性と。で、いいわね?」
全く構わない、むしろ望むところだ。
ペニバーンが今回出てくるなんて私からすれば全くの予想外である。
視線を向けた時、既にペニバーンはイージスさんへと迷うことなく抱き着いていた。
彼女が敗れるビジョンなんて見えないし、私は目の前のフリジディ王女に集中すればいい。
「ふふ。私を調教してくれるんでしょ?」
相変わらず人を小ばかにしたような笑みで、私を見上げるフリジディ王女。
「それとも、お仲間がいないと不安かしら?」
「冗談」
いいだろう、そうやって余裕でいればいい、すぐに突き崩してやる。
私はフリジディ王女の髪へと躊躇なく手を伸ばし、そのまま頭を押さえて自分の胸へと抱き寄せた。
真正面から付き合ってくれるのか、全く抵抗されずに引き寄せられるフリジディ王女。
表情一つ変えずに余裕面をするかと思ったが、意外にも目を細めて心地良さそうにする。
「やっぱり、顔は完璧ね」
「じゃあ次はテクニックもお楽しみ頂こうかな」
テクニックだなんだと言った手前アレだが、正直そんな小手先の技でこの人が崩れると思えない。
そして何より、私は今まで自らの欲望に従い、自分がしたいと思ったことだけを嫌がられる範囲を見極めながら女の子にしてきたのだ。
それこそが自分の愛情を本当に理解してもらえる術だと思っているし、今更これを曲げて半端な方へ行く方が愚策。
私がフリジディ王女にしたいこと。それはまず、その美しい銀の髪を撫でることだった。
これも彼女の力なのか、それとも優秀な手入れをしているのかは分からないが、初めて見た時からこの髪に触れてみたいと感じた。
指を通せば引っ掛かることも無く、溶けるようにして落ちていく。
色んな女の子の髪の毛を触れてきたが、まさにフリジディ王女のそれは完璧としか形容が出来なかった。
普通、何かしらの特徴があるものだ。
柔らかかったり、逆に癖の強い固さだったり。
しかしフリジディ王女の髪の毛は、それらのどれとも合わない。
誰にも傷付けられることなく、髪の毛としての形を保ち続けたというべきか。
髪の毛を撫でると、香水だったり石鹸だったり、様々な香りがするものだが、それすらもフリジディ王女からは感じられなかった。
何度か撫でつつ、フリジディ王女の反応を伺うが、静かに目を閉じて微笑むばかりだ。
ポーカーフェイスなのか、それとも本当にただ心地良いのか。
そんなものは聞いても真実かは分からないし、仮に「良かった」と返答されても、結局は自分のエゴだ。
だからこそ私は自分の行動を信じて、次へと行動を移した。




