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101話

 俺がトーマス兄貴やシェリア、馬車の中で待機していたクォン、オズワルドも加わり、話し合いをしていた。


 ちなみに、防音や侵入者阻害の結界を再び張り直したが。兄貴とはクォン、オズワルドは面識がある。シェリアもそうではあるが。改めて、二人に挨拶をしていた。

 二人は恐縮しきりだった。


「……改めて、わたくしはエリック王子殿下の婚約者で名をシェリア・フィーラと申します。以後、お見知り置きを」


「……はい、僕はエリック様の護衛兼側近候補のオズワルド・ウィリアムズと申します。よろしくお願いします」


「俺も護衛兼側近のクォン・チェインと申します。シェリア様に、お会いできて光栄です」


「あ、以前に会った事がありましたわね。オズワルド様やクォン様とは稽古の際にご一緒したのは覚えています」


「あ、覚えていましたか。なら、堅苦しくする必要はねえかな」


 クォンが口調を崩すと、オズワルドと兄貴が固まった。俺もやれやれと肩を落とす。


「あ、あの。クォン様?」


「シェリアちゃん、俺さ。君の事をずっと見守ってきたんだ。それこそ、エリック王子の頼みでな」


「……まあ、リック様が?」


「そ、俺にしてみたら。さっさと告ればいいのに、なかなかしねえから。歯がゆいったらなかったぜ!」


「はあ」


 クォンが喋れば喋る程、シェリアの顔が赤くなる。しまいには真っ赤になっていた。


「……クォン、何をぺらぺらと喋ってんだ。後でジュリアスにチクるぞ」


「えー、いいじゃねえかよ。この機会にお嬢に告白しちまえ!」


「あのな、俺はとっくの昔にシェリアを振ってんだ。告白どころじゃねえよ」


 はっきり言うと、兄貴とクォンの顔が般若の形相に変わる。オズワルドは顔色が真っ青だ。


「……エリック君、妹を振っただと?」


「あんた、こんな九歳の女の子相手に何してんだ」


「い、いや。俺はリアの事を大人になるまでは守るつもりではいるぞ。けど、妹みたいにしか見れないというか。このままにしていても、リアには申し訳が立たないからさ。だから、はっきり言ったんだ」


「「……エリック、後で締め上げるから。そのつもりでいろよ?」」


「わ、分かった」


 仕方なく、頷くと。兄貴やクォンの表情は通常に戻る。あー、マジで怖かった。まあ、後で地獄を見るだろうが。ブルリと震え上がったのだった。


 シェリアやクォンに挟まれながらも、今後について話し合った。それにより、夏季休暇に入ったら、王宮の地下に行く事が決まる。もう、魔王復活にまで一刻の猶予もない。俺が言うと、兄貴やクォンが難しい顔になった。


「確かに、父上や母上の言う通りだ。魔王の封印は解けて、復活するまでそんなに掛からないだろうな」


「成程、トーマスさんはそう捉えるか。俺も一度、調査をしに行くのには賛成だな。いいか、王子、お嬢。それにオズ君も」


「はい、わたくしも覚悟はできていますわ」


「ああ、俺は前もって聞いていたし」


「僕もそのつもりです」


 クォンは満足げに笑う。兄貴もニヤッと笑った。


「いい顔してんじゃねーか、皆」


「ああ、俺も思ったぜ」


 二人はそう言って、目線を合わせた。不思議と気が合うらしい。


「クォン、俺の事は呼び捨てで構わん」


「わーった、これからはトーマスと呼ばせてもらう」


「おうよ、よろしく。クォン」


 そう言って、ガシッと握手し合う。目を見開き、驚く俺やシェリア、オズワルドだった。


 話し合いが終わると俺は庭園の一角に連れて行かれた。兄貴とクォンにだ。


「……よし、エリック君。これから、クォンと一緒に俺が放つ雷撃や氷の剣を避けてみせろ」


「は、はあ」


「んじゃ、始めるぜ!」


 兄貴はいきなり、雷属性の上級魔法を無詠唱で繰り出した。俺は必死に無詠唱で身体強化の魔法を足に掛ける。素早く、逃げ出した。クォンも上手くかわしながら、兄貴に攻撃魔法を仕掛けた。これには正直、驚きを隠せない。


「……クォン、俺に攻撃を仕掛けるとはな。いい根性をしているぜ!」


「うっさい、あんたさ。王子は俺らより、四歳は下だぞ!ちょっとは手加減をしてやれ!」


「ふん、甘いな。こいつは可愛い妹を振った奴だぞ、簡単には許せん!」


 クォンが割と、真っ当な事を言ったが。余計に兄貴は怒りのボルテージを上げる。俺への雷撃がより激しくなった。仕方なく、攻撃魔法として氷の剣を繰り出す。兄貴は雷撃をやめて、防御壁を作る。


「……へえ、やるじゃねえか。エリック!」


「兄貴、リアを振ったのは謝るよ。けど、なるべくはラウルを応援してやってくれ!」


「なーんで、あいつが出てくるんだよ!今の婚約者はエリック、あんただろーが!」


「いや、ラウルはリアを好きみたいだし。将来、俺はあの子と婚約を解消するつもりだ」


「……え?」


 兄貴は目を見開き、攻撃魔法がやんだ。俺はふうとため息をつく。言いたくなかったのに。


「兄貴、俺を弟分にしてくれたのは嬉しかったよ。けど、リアはこのままでいたらさ。不幸になる可能性が高い。だから、ラウルに託すと決めているんだ」


「ラウルにか、そうなったら。あんたはどうすんだよ?」


「俺は前世が同郷の奴を探すよ」


 前から決めていた事を告げると、兄貴は戸惑いの表情を浮かべた。クォンが呆れた表情をしている。俺は深い深いため息をついた。

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