95話
久しぶり?の投稿です。
そして、この回で何と100話目に入りました。
いや〜、嬉し恥ずかしです。
それでは読んで頂けたらと思います(_ _)
俺が学園に入学する日が刻一刻と近づいていた。
4月になったら、初等部に入るのだが。それから、9年間は学生の身分だ。さて、どうしたもんやら。今は3月の中旬になっている。シェリアと婚約解消するにしても、学園を卒業してからになるだろう。ふうとため息をついた。そっと、リアナが紅茶を置いてくれる。やはり、気が利いているなあ。リアナは良きお袋と言った感じだ。まあ、実際に俺の乳母をやっているし。
「……ありがとよ、リアナ」
「いえ、殿下。ため息などついて、どうされましたか?」
「いや、ちょっとな。今後の事を考えていたんだ」
俺が言うと、リアナは首を傾げた。
「今後の事をですか?」
「ああ、シェリアと婚約を解消するにしても学園を卒業してからになるだろうしな。ラウルともっと、話を詰めておいた方がいいとも思うんだが」
「……そうですか、シェリア様と。やはり、婚約解消はなさるんですね」
「……本当はあの子には申し訳ないと思ってはいるんだ、けど。俺はシェリアを異性としては見れそうにないしな」
「異性として、ですか。なかなかに難解そうなお話です」
リアナは眉を下げた。八の字みたいになっていてちょっと、笑ってしまう。けど、俺は表情を引き締めた。
「まあ、そうだろうな。俺はけど、決めたんだ。今のままでは絶対にシェリアを不幸にしてしまう。だから、その。ラウルに託すとアイツと約束もしたし」
「……え、殿下。シェリア様には話したのですか?」
「まだだけどな」
俺が言ったら、リアナは途端に眉を釣り上げる。怒りの形相になった。あ、ヤバい。
「殿下、そんな大事な事を御本人に話さず、勝手に決めるなど。何という事をなさるんですか!!」
「い、いや。ラウルも納得はしてくれたぞ?」
「それでもです、先にシェリア様にだけは話すべきでしょう!」
「……うう、わかったよ。シェリアには今日中にでも説明しておくから」
「……絶対にですよ!約束ですからね?」
俺は頷いた。それこそ、何度もだ。リアナはやっと普通の表情に戻る。機嫌を直してくれたらしい。
「では、殿下。今からシェリア様に説明をしに行きましょう」
「え、今から?」
「はい、さ。行きましょうか」
俺はリアナに手を引っ張られた。そのまま、部屋を出たのだった。
仕方なく、リアナに付いて行く。シェリアはお袋の部屋にいるらしい。途中でメイドを捕まえて訊いたら。そう教えてくれた。なので、王宮の奥にある王妃の宮へ向かう。テクテクと2人で歩く内に人の数がまばらになる。そうして誰もがいなくなり、静寂が漂う頃にお袋の部屋にたどり着く。リアナがドアをノックする。中から女性の声で返答があった。ドアが開けられて俺は中に入る。
「……あら、エリック。どうしたの?」
「母上、いきなりですみません。ちょっと、リアをお借りしても良いですか?」
「シェリアさんと?」
「はい、話したい事があるんです」
「……あら、話したい事ね。大事なお話ならいいわよ。シェリアさん、行きなさいな」
お袋に促されて一人がけのソファーに座っていたリアが立ち上がる。
「わかりましたわ、行ってきます。王妃様」
「ええ、授業は終わったところだし。ゆっくりと話してきなさい」
「はい」
リアは素直に頷く。俺は手を差し出した。リアはそっと自身のそれを重ねる。キュッと握ると一緒に歩き出した。
中庭に出ると、ポカポカ陽気で散策には打って付けの気候だ。俺は深呼吸をしながら、リアに切り出した。
「……リア、前に婚約について言った事。覚えているか?」
「はい、いずれは。婚約を解消しようとおっしゃっていましたね」
「ああ、そうなんだけどな。俺な、あの後に。ラウルにも言ったんだ。もし、俺がヒロインのアリシアーナと出会って。おかしくなったら、シェリアを託すとな。それを君には告げずにいた。事が終わった後でいいだろうと高を括っていたんだ」
「……エリック様、わたくしは。できれば、あなたとはずっと一緒にいたいと思っていますわ。けど、あなたはそう思ってはいない。はっきりとおっしゃってくださいませ。わたくしをどう意識していらっしゃるんですの?」
「……俺は、君を異性として見れそうにないんだ。悪いとは思っている。妹みたいには意識しているんだが」
そう告げると、リアは目を大きく開いた。驚いているらしい。ショックもかなり受けているだろうな。要は俺ってこんなイタイケな女の子をふったんだから。アホというか、何というか。自己嫌悪に陥ってしまう。
しばらくは沈黙が続いたのだった。
20分は経ったろうか。リアはやっと言葉を発した。
「……エリック様、わたくしを異性としては見れそうにないんですね。いえ、少し前からそうかなとは思っていましたの」
「リア、本当に申し訳ないとは思っているんだ」
「良いのです、早めにわかってかえってスッキリしましたわ」
リアはそう言うと晴れやかに笑った。ああ、この子は強いな。俺は素直にそう感じた。せめてもと近づき、頭を軽く撫でる。嫌がられるかと思ったが。リアはくすぐったそうにするだけだ。ごめんなと口だけを動かす。彼女にはわからないだろう。それでいいんだ。代わりに俺が守るから。改めて、意識を新たにしたのだった。




