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狂戦士さんの息子

大分人を選ぶ文章になってまいりました。投稿するのが怖い。

長くなりすぎちゃいました。設定って難しい。もう面倒だわって方は最後に軽くまとめときます。ただしまとめを呼んでも理解できるとは限りません。

※書き忘れを少しだけ追加

 そもそも、何故迷宮を制圧する必要がある? 

 神様の亡骸だという話は分かったが、その贄だのなんだのが捧げられなければ蘇ったりはしないのだろう?


「まず、贄というのは極端な表現であると思ってください。何故なら、人類は日常的に迷宮に贄を捧げているからです」


 ……日常的に? 流石にそんなカルトな習慣が人類規模であるならば知られていると思うが……。

 いや、まて、一つあったぞ、何一つ疑わずに冒険者が日常的に行う行動が。


「はい、それは迷宮に入り、迷宮で戦闘をし、そして迷宮内で死ぬことです。そもそも迷宮内の怪物はいうなれば贄の運搬役。入ってきた獲物を殺して食らうための装置のようなものです。迷宮から出てくるお宝は撒き餌ですね。……正確にいうと無駄なものを捨てているだけなんですが」


 ……迷宮内で死んだ遺体はいつの間にか土へとかえる。

 そう言われているし、そういうものかと疑問にはあまり思わなかった。


 というのも、それは怪物の遺体も同じであったからだ。

 怪物は死ぬと身体の最も巨大な部位を瘴石へと変化させる。

 それ以外の肉片などは残るが、これもいつのまにやら消滅する。

 迷宮外では一部残るらしく、偶に売りに出されて話題になっていたが。


 冒険者の中では当たり前の話だ。

 それが人間にも変わった形で適用されているのかと思っていた。

 ゲームの様な世界だな、などと。異世界だから仕方ない、と思考を停止させてはいなかったか。

 だが、それはこの世界がゲームの様な特殊性を持ってるわけでも何でも無く、贄として捧げられていた結果だということか。


 「迷宮内で何度も怪物が一定のペースで生まれてくるのは、死んだ怪物を何度も同じように生み出しているからですね。そういうシステムが構築されているというわけです。瘴石に関しては、神魔がいるだけで瘴気を常時生み出していますので、迷宮から持ちだされても何一つ不都合がないわけです……ちなみに魔物に関しては謎です。魔物へと至ると基本好き勝手始めますし」


 ん?待て、その理屈だと悪魔が死んだ結果できた迷宮から怪物が現れるのはおかしくないが、神が死んだ迷宮から現れるのはおかしくないだろうか?

 確か、怪物は瘴気が原因で生まれ落ちたり、生物が変化したりしたもののはずだよな? 

 であれば、瘴気を持たない神の死んだ迷宮から怪物が出てくるのは辻褄があわない。


「……気付いてしまいましたか。先ほどは身内の恥を晒すようで口にしなかったのですが、実は神も悪魔も根本は同じ存在なんです。住む世界の違いによって、悪魔は生命力を、神は信仰を求めるようになったというだけに過ぎません。食生活の違いで容姿が変わってくるみたいなものです。そして、限界まで追い詰められれば、後は世界には毒となる高位の精神体がそこにいて、後は本能のままに捕食を続けるだけ、となります」





「さて、贄が必要量を越えた時、神魔は復活します。ですが、大抵は完全に復活するその前に分かるんです」


 ほう、それは一体。


「活性と、あなた方が呼んでいる迷宮の状態がありますね?」


 あぁ、あるらしいな。

 私はついぞ見たことがないが。

 確か見つかると周囲のギルドの冒険者は強制的に徴兵されるとか。


 迷宮には大きく分けて二種類ある。活性迷宮と非活性迷宮。

 この状態の迷宮は怪物を吐き出し、近くの人の集落を襲うため極めて危険で、発見されると即座に制圧するように国やギルドから指令が飛ぶ。


 もう一つが非活性迷宮。そのままだが、基本的に国や都市が管理・保有する迷宮というのはこちらで、要するに攻略せずに置いても危険がないと判断されたものだ。

 資源として活用されるが、稀に前者に移行する迷宮もある。


「あなた方が言う活性迷宮というのは、ある程度神魔が回復していて、周囲の生物を本能的食事をしようとしている状態です。

 目が覚めた。お腹が空いた。外にはたくさんのご飯。ほら、簡単でしょ?」


ん? 神は人の精神からエネルギーを得るのではなかったか?


「死んでしまえばそう変わりません、結局は悪魔も神も両者とも人の魂を必要としているのです。命も精神も魂から由来するものですので」


 なんか便利だよな魂って言葉。まぁ人間の私には視認できないからそう思うだけでそうなのかもしれないが。


「まぁ、その御蔭で復活する前に予兆が分かるのですが。今の世の中では活性迷宮が見つかればすぐさま制圧されますし」


まぁそんな危険なものを残しておくわけもないからな。


「はい、ですので、ここまでしっかりとした迷宮対策がなされている今神魔が復活することは基本的にありえません。人為的に復活させようとしている者たちがいない限り」


 なるほど、ようやく話が見えてきた。


「えぇ、あなたにはこの謎の集団を追いかけ、皆殺しにするか壊滅させて欲しいのです。その傍ら、迷宮を制圧して神魔を二度と蘇らないようにぶち殺してください」


 親指で首をかっきるジェスチャーをしつつ言われた。発言が過激すぎる。だが、言いたいことはわかった。






「本当はもっと早く接触したかったのですが、元の世界では今の私の力ではとても接触できるほどの力は残っていませんし、こちらに来てからあなたが生死の狭間まで落ちた時に、私の所持する神の力……偶像イドラでもって無理矢理繋いでいるのです。私の力は危機を告げること。あなたの身体がよく危険を察知できるのは私の特性も関係しているんですよ」


 あなた、折角強い肉体を手に入れて天狗になるかと思ったら、初めの頃から思ったよりも臆病だったり慎重だったりで、全然死にかけないんですもの、そんなことを言いながら頬を膨らます。


 いや、死にかけないですむならそのほうがいいに決まっているだろう。この女神、結構思考回路がやばくないだろうか。

 そもそも私が運良く、否運悪く死んだからしいが、そうじゃなかったらどうするつもりだったんだ。七十年後とかに寿命で死んだら全て手遅れだろう。


「まぁあんまり遅かったら、トラックの運転手を一人眠気を覚えさせるくらいのことはできますから、最悪タイミング合わせてそれで……」


 前言を撤回する。この女の思考回路はやばい。


「ちなみに私は通常の神魔と違って少々特殊な状態で死んでいるので怪物は作っていません。ほら、ソーヤが初めて制圧した、今も身に着けている装備を拾った迷宮があるでしょう? あれ、私の迷宮なんですよ。怪物、でなかったでしょう?」


 なんと、いきなり地面が開いて飲み込まれたと思ったら、実力も足りないのにいつの間にか迷宮に入って、いつ怪物に会うかとびくびくしながら奥地へ進み、なんかでかいゴーレムが白旗持った後ろに祭壇に通じる道があって、そこに置かれた装備の中身を拾った時の話にそんな裏があったとは!

 ……うん、よく今も身につけてるな私。でも、なんでか悪い感じはしなかったんだよなぁ。


 あれ?

 ここで疑問が出る。彼女はこの装備を自分の迷宮のものといった。つまり、私が制圧した時点で亡骸毎消えているはずである。


「あぁ、私の本体は迷宮ではないからです。むしろ、あなたが今も身に着けていますよ」


 どういうことなんだ?


「あなたが私の宮から得た、三つの装備……神の命の宿った装備……神器と言います。私のように人類に味方した神が死ぬ間際に力の殆どを、人でも使用できるように宿したものですね。そちらに力を割く為、私達のような存在は力の割に迷宮の規模が小さかったりするのですが……代わりに、装備のほうが壊れたりしなければ存在は消えません」


 なるほど、便利だとは思っていたが神様の力を宿した装備だったのか。我が禍々しき愛剣も彼女のデザインなのだろうか。そんなことを考えていると、突如彼女が頬を染めて語り出す。


「私、人間が大好きなんです。だから、当時の神族の方針や、悪魔の勝手な振る舞いには思うところがあったのです」


 ほお、愛と平和を歌うなんて、女神らしいところもあるじゃないか。


「はい、でも皆話を聞いてくれなくて、仕方ないので人類の粛清に向かった同僚をボコボコにして力を奪いつつ、悪魔もたくさん血祭りに」


 更に前言を撤回するぞ! こいつは間違いなくクレイジーだ! ヤバ過ぎる!


「まぁそんなことやってたら味方にも裏切り者扱いされて、最終的に彼等の殺されたときの恨みとか色々ついちゃったらしくて神剣から魔剣に」


 なんと物騒な逸話を持つ剣だろうか。というか元神剣だったのだな、この剣。



「ちなみに私にボコられたり殺された神族とか悪魔は私の気配を感じると多分寝てても殺意満々で殺しにかってくるでしょうから気を付けてください」


……一応参考に聞こう、一体どのくらい殺したんだ?


 ええと、いち、に、さん、よん、ご,ろく、なな、はち、きゅう、じゅうと指折り数を数える女神。というか十柱でもいっぱいいっぱいなんだが。


「……いっぱいです!」


 そっちのいっぱいじゃない! というか仮にも女神が指が足りなくなった程度で数えるのを諦めるな!


「神様は力が強ければ神様なんです、数字なんて10まで数えられればそれでいいんです」


 ええー……





「さて、そろそろ時間ですね。例の件、お願いしますよ」


 では、最期に具体的に何をすればいいのか教えてくれ。手がかりくらいは掴んでいるんだろう?


「……さぁ?」


 ……ん?


「いえ、だって、私は自分の力で世界の危機がわかっただけですので。情報収集とか苦手ですし」


 ……何の手がかりもなくやれというのか?


「そうなりますねぇ」


 ぽやーんとした顔で言われた。どうしよう。


「まぁ、最悪あなたの身体を借りて私がやりますから、安心して適当にやっていてくださっても結構ですよ」


 ……ちょっと待て、本日最大級に聞き逃せない発言が聞こえたのだが?


「あれ、言ってませんでしたか? あなたのつけている髪飾りには私の力が込められていまして、使用する度に身体が私に近づいていくんです。正直に言うとあなたを喚んだ最大の理由は、私のスペアボディ的な意味合いもありましたので」


 つまり、最近妙に丸みを帯びてきた身体は女神ボディへと少しずつ変えられている結果だというのか!?


「いえ、それは最初から設計通りなだけです。前回相手した魔物相手の時のように、神様パワー……イデアが髪飾りを通じて発動しなければ大丈夫ですよ。あなたの気持ちが大きく昂ったり、絶体絶命に追い込まれるとオートで発動するようになってますが」


 私も使うかもしれない予定の身体ですし、と続ける。


「ちなみにイデアの発動中としばらくの間は身体が女体化しますけど、そのうちに戻ります。安心してください。私に近づけば近づくほど神様ボディーの効果で細腕になっても力とかはむしろ強くなりますし」


 ぐっ、と全く無い力こぶを見せられても困る。そもそも私が問題としているのは力とかではなく性別である。


「大丈夫です、使用する度にほんのちょっと、気づかない程度に小さくなる程度の変化で済みますから」


 ……なにが?


「ナニが」


 ……。


 これは夢だ、覚めろ私。

こんなあどけない少女が真顔でナニとか言うはずがない。

 前世から続く童貞がしている血迷った妄想に違いない。


「あ、童貞云々ですが、安心してください、この世界の人と子供も残せますよ。亜人種の方とだって大丈夫です。元の身体では同じ人間とはいっても進化の過程から人と獣人以上に離れてますから無理ですが、それ身体は私が自分をベースにあなたの魂に合わせて創りましたので。まぁ、子供が欲しければ最悪産めばいいですよね?」


 いやに決まっているだろう!? 


「そうなんですか? まぁ、身体を借りると言っても、性別が違ったら借りれませんし、ダメそうでしたら髪飾りの力を使いまくって女性になってくださいね、私がお手伝いしますので」


 ニコリと笑って言われる。

 ……つまり、それまでに私が髪飾りの力をできるだけ使わずに、その危険人物集団を活動停止に追い込めばいいんだな?


「そうですね、そうすれば、私があなたの身体を借りる必要もなくなりますね」


 はっ! いいだろう! 私の尊厳が無事なうちに必ずそいつらを潰してやる! 

 だから身体の取り立てとか性転換とかはもうちょっと待ってくださいお願いします。

 私は恥も外聞も無く土下座した。

 精神的なプライドよりも物理的な男の尊厳のほうが大切なのだ。


要約


私があなたをこの世界に転生させた神です。

瘴気って身体に毒らしいよ。でも魔法使えるようになるんだって。

片っ端から迷宮制圧して神魔を殺して下さい。

人類に敵対的な神様とか悪魔とか復活させようとしている集団を止めて!情報とか全く無いけど!

オラァ!息子と身体が大事だったら言うこときかんかい!


こんな感じです。

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