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ザ☆旅行記Ⅶ 奇貨おくべし  作者: 小宮登志子
第10章 巨人VS武装盗賊団
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追いつかれた

 ……ぺ……れ……ぎ……よ…… ……ぺ……れ……ぎ……よ……

 ……ぺ……れ……ぺ……れ…… ……ぺ……れ……さ……ぁ……


 見ると、(バケツかゴミ箱のような)円筒型の兜をかぶり、灰色のマントをまとい、灰色の馬に乗った武装盗賊団は、怒涛のように押し寄せ、その先頭は、荷馬車のすぐ横にまで達していた。

「プチドラ、早く、隻眼の黒龍モードに!」

「う~ん、でも、もう遅いかも……」

 その時には、荷馬車は既に武装盗賊団に取り囲まれていた。

 リーダーだろうか、灰色のマントのひとりが、荷馬車に併走しながら、

「そこの荷馬車、停まりなさい。停まらないと、ひどいことになるぞ!」

 これは、最初にして、おそらくは最後の通告だろう。従ったからといって身の安全が保障されるわけではないが、少なくとも逆らわない方がよさそうだ。ホフマンとわたしは顔を見合わせ、うなずきあった。ホフマンも同意見のようだ。

 ホフマンはその灰色マントの方を向き、大声で、

「わかった。今すぐ荷馬車を停める」

 荷馬車はゆっくりとスピードを落とし、程なくして停止した。


 その灰色マントは、馬を荷馬車の横にぴたりとつけ、

「頭は悪くなさそうだな。世間を生き抜くために必要な資質だけは備えているらしい」

「一体、何用かの? どれだけの数がいるのか知らんが、荷馬車一台を取り囲むにしては……」

 と、ホフマンが言いかけると、それを遮るように、

「無駄口は叩かないこと、それも処世術のひとつだ。我々に対して反抗的な態度をとらなければ、君たちの安全は保障されよう。まず、こちらの質問に答えてもらいたい」

「知っていることなら答えよう」

「よろしい。では、ひとつきくが、ブラックシャドウはどこにいる? ヤツはおまえたちの仲間なのだろう」

 すると、ホフマンはムッとした顔で、

「あんなヤツの仲間にされるとは心外じゃな。ヤツなら、先ほど、馬に乗って、どこかに走り去っていったぞ。どこに行ったかなど、知らんわい!」

「ほぉ! その話は本当なのか? 無用なかばいだては、身の破滅を招くぞ」

「かばいだてだと!? 冗談ではない。おまえさんたちがヤツをぶっ殺すというなら、わしも仲間に入れてもらいたいくらいじゃ!!」

 ホフマンはバトルアックスの柄で御者台を激しく突いた。

「ふーむ、ウソではなさそうだな。しかし……」

 その灰色マントは、少し拍子抜けしたように言った。

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