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神殿

~エールラフィン山・登山道~

登山隊を、突然の猛吹雪が襲っていた。


「ひどい吹雪だ……」


寒風が吹きつけ、隊員たちの体温を容赦なく奪う。

しばらく歩くと、神殿が見えてきた。


「よし、あそこで休憩するぞ」


神殿の扉を開き、中に入る。

古い建物なので暖房などはないが、外に比べると幾分かましだ。


***

~エールラフィン山・神殿・礼拝堂~

神殿の礼拝堂で一息ついたのち、田中は神殿内を探索することにした。


「神殿というか、教会だな……これ」


ふと、一つの扉が目に入る。

それには、異世界語で『図書室』と書かれてあった。


「行ってみるか」


***

~エールラフィン山・神殿・図書室~


(すごい量の本だな……国立図書館よりもあるんじゃないか? これ)


図書室を見回した田中は、本棚に収まった本の多さに驚いた。

とんでもない量の本が並んでおり、ジャンルもバラバラである。


「これ、全部読むには何日かかるやら……ん?」


本棚を眺めていると、

背表紙に『ソルティウス神話・第一章』と書かれた本を見つけた。


「ソルティウス神話……? 聖書的な物かな」


田中はなんとなくその本を手に取り、中を開いてみた。


***


遥かなる昔、無尽蔵な闇に宇宙が包まれていたころ。

二つの神が生まれた。

その神々の名は『ソルティウス』と『■■■■』。

『ソルティウス』は光と創造をつかさどる神で、

『■■■■』は闇と破壊をつかさどる神であった。

光あるところには闇がある。

これは、神でも覆しようがない摂理であった。

二つの神々は協力し、この宇宙に世界を創造した。

我々の世界が光も闇も存在するいびつな世界なのは、その証である。

世界創造により生まれた人類は、光の神である『ソルティウス』ばかりを崇めた。

『■■■■』は『ソルティウス』に嫉妬し、人類に災いをなした。

『ソルティウス』をあがめる人類は『■■■■』に対して強く反発し、

『■■■■』を封印すべく『■■■■』と戦った。

神にとって『信仰』というのは力の源であり、それが増えるほど神の力は増大する。

信仰のない『■■■■』は力が弱く、人類によって■■■■■■■■に封印された。

これで万事解決かと思われたが、『■■■■』が封印されてしばらくたったころ。

人類は破壊の力を完全に失い、創造もできなくなってしまった。

破壊と創造は表裏一体、破壊が無ければ創造もまた存在しないのである。

人類は『ソルティウス』に助けを求めたが、

光と創造の神である『ソルティウス』は困り果て、

『■■■■』の封印されている■■■■■■■■へ赴き、『■■■■』にこう頼み込んだ。


「『■■■■』よ、我が友よ。

人の子が創造の力を取り戻すために、お前の破壊の力を必要としている。

この世界が再び調和を取り戻すためには、光と闇、創造と破壊が共存しなければならない。お前の力を解放して、世界に再び均衡をもたらそうではないか」


『■■■■』はこう答えたという。


「光の神よ、それはいささか自分勝手ではないか?」


『ソルティウス』は深くため息をつきながら、言葉を重ねた。


「友よ、我が自己満足ではなく、この宇宙全体の調和と平衡のためだ。

破壊と創造は対立するようでありながらも、その裏には密接なつながりがある。

お前の力がなければ、この世界は永遠に不安定なままだろう。」


『■■■■』は少し考え込んだ後、口を開く。


「我は人の子の封印によって■■■■■■■■の中でしかその力を行使できない。

破壊の力を望むなら、人の子が■■■■■■■■へ赴くべきだろう」


『ソルティウス』は深く頷き、その提案に同意した。

そして、彼は人類にそのことを伝え、人類は■■■■■■■■に■■■■を■■した。

かくして、人類は破壊と創造の力を取り戻したのだ。


***


それより先はページが抜けており、読むことができない。

かすれている部分もあるうえ、破壊と闇の神の名前だけインクで塗りつぶされていた。


「なんで塗りつぶされているんだろう……ま、いっか」


田中は本を閉じ、棚に戻す。

彼は本を読むのが好きであるため、その後も図書室を歩き回ることにした。

「面白かった!」


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