敵防衛陣地破壊
~「やまと」CIC~
「敵ミサイル、数3!急速に近づく!以下、この目標をα、β、γとする!」
「撃ってきたか。シースパロー発射はじめ!サルヴォー!」
「ってー!」
艦のVLSから、ESSMが発射された。
それらは敵ミサイルの迎撃に当たる。
「インターセプトまで10秒。3、2、1……マークインターセプト!」
「やまと」直上で大爆発が起こったかと思うと、CICの電力が落ちた。
「CICより機関室!何があった!」
『ザー……』
「くそっ、艦内通信がつながらん!」
艦長が通信機をたたきつけ、伝声管に叫ぶ。
「機関室! 何があった!」
『こちら機関室! 発電機が故障、機関停止!
復旧までしばらくかかります!』
「緊急電源は!」
『動きません!』
「くそっ!」
その時、艦橋とつながる伝声管から、叫び声が鳴り響いた。
『敵ミサイル視認!来ます!』
「総員対ショック姿勢!」
CICにいた全員が、対ショック姿勢をとる。
その約10秒後、艦橋とつながる伝声管から、爆発音が響き渡った。
「被害状況!」
『か、艦橋に被弾!操舵不能!重傷者4名、軽症者8名!』
「けが人を医務室へ!軽症者を優先しろ!」
『了解!……あっ!』
「どうした!?」
『て、敵ミサイル視認!』
「またかよおい!対ショック姿勢!」
直後、艦が大きく揺れた。
「被害報告!状況は!?」
『右舷で火災発生!消火作業が追い付きません!』
「くそっ!」
その時、艦橋から報告がはいった。
『「しなの」航空隊を視認!』
***
『スペード01、FOX2!』
『スペード02、FOX2!』
F-35戦闘機から多数のミサイルが発射され、敵誘導弾陣地へと飛んでいった。
『スペード01、スプラッシュツー!』
『スペード02、スプラッシュツー!』
ミサイルは敵誘導弾陣地に着弾し、大爆発を起こす。
敵兵や魔導誘導弾を吹き飛ばし、陣地は壊滅した。
敵は残った陣地から高射砲を撃ってきているが、当たるはずもない。
***
「伏せろ! 味方の対空砲火にあたるぞ!」
「え!? どういうことでありますか!?」
「いいから伏せるんだ!」
人民陸軍の兵士が、自分の部下にそう叫び、伏せさせる。
直後、空中で爆発した砲弾の破片が銃弾のように降り注ぎ、
兵士や避難中の民間人を殺傷した。
「て、敵の機銃掃射だー!」
誰かがそう叫ぶと、兵士や民間人は一斉に物陰に隠れた。
少しすると、市内にサイレンが鳴り響く。
「今頃、空襲警報か。遅すぎんだよ」
「まったくです」
「さて、ここから離れるぞ」
「え!? 隊長、ここにいた方が安全じゃないですか?
敵の機銃掃射もありますし……」
「バカ、あれは味方の対空砲だ。ここにいた方が危ない。
味方の対空射撃が収まっている間に、街へ逃げるんだ。
敵は軍事基地を重点的に狙っている。街の方がずっと安全だぞ」
「た、確かに。では、そうしましょう」
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