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加原重工札幌試験場

――ドォオオオオオオオオン!!


轟音が、建物内に響き渡った。

音による衝撃で、様々な物が吹き飛ばされる。


「皆、大丈夫か?」

「はい、なんとか……」

「的は――木っ端みじんに吹っ飛んでるな」

「えぇ……成功ですね!」

「よっしゃ!あとは自衛隊に売り込むだけだ!」

「いやいや、まだ完成してませんから」


ここは、加原重工札幌試験場。

加原重工最大の施設で、研究設備のほかに工場もある。

そして今日、X-35のテストが行われていたのだ。


「そーだったな!よし、次のテストだ!」

「え~っと、次は……魔法への耐性チェックですか?」

「あぁそうだ。それじゃ、早速始めようぜ」

「はい!」


X-35には、対魔法用バリアが搭載されている。

しかし、本当に魔法を防げるかは試していないため、

今回のテストはその性能を確かめる目的がある。


「本日はよろしくお願いします」

「あっ、はい!」


このテストには、アルケテル王国から派遣された魔法使いが起用されている。

この世界では、科学の代わりに魔法が発達しているため、

こういったテストが必要なのだ。


「じゃあ、やりますね」

「ちょっと待ってくれ。バリアを起動するから」

「あっ、はい」


研究員がスイッチを押し、対魔法用バリアが展開された。

対魔法用バリアの仕組みとしては、電磁装甲とほぼ同じである。


「よし、いいぞ」

「はい、では行きます」


魔法使いが杖を振りかざし、「ファイアボール」と唱えた。

すると、炎でできた球体が出現し、高速で飛来してきた。

――パリンッ! しかし、バリアによって防がれてしまった。


「……これは凄いな。よしもっかいだ!次は威力を上げてくれますか?」

「わかりました」


今度は先ほどよりも大きな「ファイアアロー」が放たれたが、 結果は同じだった。

その後も何度か魔法を撃ち込まれたが、全て無効化される。


「……よし、これくらいで十分でしょう」

「ありがとうございました」

「いえいえー」


その後、X-35は『ER-35「シリウス」』となずけられ、正式に量産が決定した。

また、試験中に判明した問題点も改善され、性能は格段に向上している。

ちなみに、シリウスという名前は『おおいぬ座』の星の名前だ。

こうして、新たな力を手に入れた日本は、ついにツルァに上陸することになった。

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