第182話 「賢者」、誕生?
「皆さん、心配かけてすみませんでした!」
(全く、本当に心配したんだからな)
と、春風が水音達に向かってそう謝罪し、それを聞いて水音が呆れ顔になった、次の瞬間……。
ーーブオン!
「わ! 今度は何……って、あ」
(あ! アレは……!)
と、春風の目の前に新たなウインドウ画面が現れたので、
(そうだ、春風はランクアップしたんだった!)
と、水音はすぐに仲間達と共に、そのウインドウ画面を見ようと春風の後ろに移動した。
(ら、ランクアップ……か)
(それってついに……!)
(『見習い賢者』から……!)
(真の『賢者』に!?)
と、水音をはじめとした多くの人達が、ドキドキしながら春風と共にそのウインドウ画面を見ると、そこにはこう記されていた。
ーー職能のランクアップが完了しました。
ーー固有職能「見習い賢者」は……。
ーー固有職能「半熟賢者」へとランクアップしました。
その文章を見た瞬間、
『……は?』
と、春風は勿論、水音達までもが一斉に首を傾げながらそう声をもらした。
(……え? は、はん……半熟……賢者?)
と、水音が文章の内容を理解出来ないでいると、
「……え、ちょっと待って。半熟? 『半熟賢者』って何!?」
と、ハッと我に返った春風が、すぐにその職能について調べ始めた。
そして、その職能の説明が記された別のウインドウ画面が現れたので、
(……は! いけない! ボーッとしてる場合じゃないぞ!)
と、水音はそこで漸くハッとなったので、すぐに春風と共にその別のウインドウ画面を見ると、そこにはこう記されていた。
半熟賢者(固有職能)……ある程度「能力」を使いこなせるようになった半人前の賢者。「見習い賢者」以上の魔力を誇り、より強い魔術と魔力を用いた秘術・技術を駆使した更なる活躍を行う事が出来る。
ランクアップ条件……①レベルが50に達している。②スキルを一定数取得している。③この世界の「神」に認められる。
その文章を見た瞬間、
(ええ、何それ? は、『半人前の賢者』って……)
と、水音が遠い目をしていると、
「ふっざけんなぁあああああああ!」
と、春風が空を見上げながらそう叫んだので、それを聞い水音が、
(うわぁ! え、何!?)
と、驚きのあまり思わず後ろに飛び退いたが、春風はそれに構う事なく、
「何だよ『半人前』って!? 『神様』に認められて漸く『半人前』ってどういう事だよ!? じゃあ俺はどうすれば一人前の『賢者』になれるんだよぉおおおおお!?」
と、空に向かって更にそう叫んだので、周囲がどうしたもんかとオロオロし出す中、
(う、うわぁ。春風、すんごい怒ってるぅ。でもまぁそうだよね、真の賢者になれたかと思ったらまさかの『半人前』だもんなぁ)
と、水音は若干引きつつも、納得の表情を浮かべた。
すると、
「ま、いっか。続き見よっと」
と、春風は何事もなかったかのようにしれっとした表情で再びウインドウ画面を見始めたので、
『ズコーッ!』
と、水音を含めた周囲の人達は思いっきりその場にズッコケた。
その後、
「は、春風君。受け入れるの早すぎない?」
と、美羽が春風に向かってそう尋ねると、
「え? だって、なっちゃったんだから、今更どうこう言っても仕方ないでしょ?」
と、春風にそう尋ね返されたので、
『は、はぁ。そうですか』
と、美羽だけでなく周囲の人達全員が「はは……」と頬を引き攣らせた。
当然、
(は、春風。流石にちょっと軽すぎるんじゃないか?)
と、水音も「はは……」と盛大に頬を引き攣らせていたが、
(でも……)
と、すぐに真面目な表情になると、
「おお、なんか新しいスキルを手に入れたぞ」
と、ウインドウ画面に記されていた文章を読み終えた春風をジッと見つめて、
(……凄い『力』を感じる。確かに、『見習い拳』の時と比べると、凄く強くなったのがわかるよ。コレで『半人前』っていうのなら、真の『賢者』になった時、一体どれくらい強くなるんだろう?)
と、タラリと汗を流しながら、
(果たして僕は……春風に勝てるのかな?)
と、不安そうな表情でゴクリと唾を飲んだ。




