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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第7章 「邪神」との対決

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第180話 ランクアップ


 「いや、なんか俺の職能が『ランクアップ』っていうのが出来るようになったみたい」


 (……は?)


 春風が言ったその言葉を、水音は理解出来ないでいた。


 (な、何だよ、『ランクアップ』って……?)


 と、水音が心の中でそう疑問に思っていると、


 「「なぁにぃいいいいいいい!?」」


 と、驚いた表情のウィルフレッドとヴィンセントが、もの凄い勢いで春風に詰め寄ってきたので、水音は思わず


 「うわぁ!」


 と、小さく驚きの声をあげた。


 その後も「今のはどういう意味だ!?」と言わんばかりに春風に詰め寄る大国の主2人。そのあまりの興奮ぶりに、


 (え、えぇ? ちょっと2人共どうしたんだ?)


 と、水音がドン引きしていると、


 「あ、あのぉ、一体どうしたのですか? 雪村の身に起きた事は、そんなに珍しい事なのですか?」


 と、爽子が恐る恐るそう尋ねてきたので、


 「当然だ! 何せ進化する職能など聞いた事がないからな!」


 「おうよ! 帝国(うち)も長い事職能について研究していたが、『ランクアップ』なんて初めて聞いたからな! これが興奮せずにいられるかってんだ!」


 と、ウィルフレッドとヴィンセントは興奮した様子のまま……というか、寧ろ更に興奮した様子でそう答えたので、その答えに水音や春風達が戸惑っていると、


 「2人共、落ち着いて」


 「「ぎゃあああああ!」」


 と、キャロラインに背後からガシッと頭部を掴まれたので、2人は同時に悲鳴をあげた。


 その後、キャロラインは2人が大人しくなったのを確認すると、未だ困惑している様子の水音達に向かって口を開く。


 「あのね、みんなが持ってる『職能』って、レベルが上がると色んな『恩恵』が与えられるって話は知ってるわよねぇ?」


 (うん、それは知ってる)


 「まぁ、『色んな恩恵』って言っても、ようはレベルアップする事で身体能力が強化されたり、持っている『職能』にちなんだスキルが与えられるってだけで、『職能』そのものが進化するなんて、聞いた事がないのよぉ」


 と、そう説明したキャロラインに、


 (え、そうなんですか!?)


 と、水音が大きく目を見開くと、


 「……その通りです。私も教主になってからも、何人もの人が『職能』を与えられるところを見た事があります。しかし、その誰もがキャロライン様が言うように、レベルが上がると身体が強化されるか、新たなスキルを覚えるくらいで、『職能』自体が『ランクアップ』するなどというものは聞いた事がないのです」


 と、暗い表情をしたジェフリーもそう説明したので、


 (え? それってつまり、この世界の人間でも知らなかったって事? 春風、大丈夫なのか?)


 と、それを聞いた水音は不安に満ちた視線を春風に送った。


 すると、


 「さて、春風ちゃん」


 と、キャロラインがいきなり春風に声をかけたので、それに春風が「は、はい!」と返事すると、


 「春風ちゃんは、どうしたいのかな?」


 と、キャロラインが真剣な表情でそう尋ねてきたので、それに水音が「う……」となる中、春風は自身の目の前に出てきたウインドウ画面をジッと見つめて、


 「そんなの……決まってるじゃないですか」


 と、ニヤリとしながら返事すると、


 「勿論、2つの世界を……俺の大切なものを守る為に! 俺は、ランクアップします!」


 と言って、ウインドウ画面に記された「はい」の部分に手を触れた。


 それを見て、


 (は、春風……一体、どうなってしまうんだ!?)


 と、水音がゴクリと唾を飲んだ、次の瞬間、ブワッとその「はい」の部分……否、正確にはウインドウ画面そのものから黒いエネルギーようなものが噴き出てきて、春風の全身を包み始めたので、それを見た水音は、


 (い、いけない!)


 「春風ぁ!」


 と、すぐに春風のもとへと駆け出そうとしたが、


 (え? な、何で動けないんだ!?)


 と、何か強い力が働いているのか、その場から動く事が出来ずにいた。よく見ると、それはレナや歩夢達も同様で、彼女達も水音と同じように、その場から動けずにいたので、それを見た水音が、


 (ど、どうしよう、このままじゃ春風が!)


 と、焦り募らせていたまさにその時、


 「私が行きます!」


 (え、グラシアさん!?)


 と、ループスとの戦いの前に外に出されていたグラシアが、春風のもとへと飛び立った。


 その後、あと少しで春風が黒いエネルギーに完全に包まれるところで、


 「春風様!」


 と、グラシアも一緒に黒いエネルギーに包まれてしまった。


 そして全てが終わった後で残されたのは、


 「は、春風! グラシアさん!」


 漸く動けるようになった水音達と、春風とグラシアを包み込んで、まるで()()()()のような形になった、黒いエネルギーだけだった。


 


 


 

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