第179話 モフモフからの……
「これが、俺の本当の姿だ」
と、水音達に向かってそう言ったループス。
「本当の姿」と言ったその姿は、どう見ても日本の「豆柴」だった。
そして今、その本当の姿を晒したループスはというと、
『可愛い! 可愛い! 可愛い……!』
女子クラスメイト達にモフモフされていた。
そのあまりの状況に、
(えっとぉ。コレって僕達もモフモフした方が良いのかな……?)
と、水音をはじめとした男子クラスメイト達までもがループスをモフモフしようと1歩前に出たその時、
「わぁー! 待って待って! その方神様ぁ!」
と、春風が大慌てでそう叫んだので、
(あ! そうだったぁ!)
と、水音ら男子クラスメイト達はハッとなってその場に踏みとどまった。
ただ、ループス本人はというと、
「ああ、良いよ良いよ。こういう扱いされるのには慣れてるから」
と、まんざらでもない様子でそう言ったので、
(あ、慣れてるんだ)
と、水音は遠い目をした。
その後、
「お前さん達も良いぞぉ! 勿論、ウィルフレッド殿とヴィンセント殿達もな!」
と、ループスがウィルフレッド達を誘い、それに本人達が従おうとした、まさにその時、
「いけません! いけませんぞ陛下ぁ!」
と、ジェフリーが大慌てで「待った」をかけてきたので、
(あ、そういえばアイツもいたんだった)
と、水音は忌々しいものを見るかのような視線をジェフリーに送った。
そんな水音を他所に、
「ウィルフレッド陛下! コイツに唆されてはいけません! 幾ら見た目が可愛らしくても、コイツは『邪神』の1柱! コイツの言葉を聞き入れてしまったら、それは、ラディウス様達偉大なる5柱の神々に対する裏切りとなってしまいますぞぉ!」
と、ジェフリーはウィルフレッドに向かってそう言ったが、
「いやぁ、お前さんその状態で言っても、説得力が……いや、あるか? コレ……」
と、ヴィンセントが「何だかなぁ」と言わんばかりの表情でそう言ってきたので、その言葉にジェフリーが「え?」と首を傾げると、
「おお。アンタも中々気持ち良くモフモフするじゃねぇか」
と、今度はループスが気持ちよさそうな笑みを浮かべながらそう言ったので、
「何だと……って、ハッ!」
と、ハッとなったジェフリーが自身の今の状態を見ると、
(アンタもモフモフしてるじゃないかー!)
と、水音が心の中でそうツッコミを入れたように、ジェフリーも女子クラスメイト達と一緒になってループスをモフモフしていたのだ。
その事に気付いたジェフリーは、大慌てでループスから離れると、
「お、お、おのれ邪神め! よくも、五神教会の教主であるこの私を!」
と、顔を真っ赤にしながらそう怒鳴ったので、その場にいる者達全員が「あっはっは」と笑った。
その後、
「さて、春風」
と、ループスが真面目な表情で春風に声をかけてきたので、
「は、はい! 何ですかループス様!?」
と、春風はビクッとしながらそう返事すると、
「さっきも言ったと思うが、あの『化身顕現』の一撃、素晴らしいものだったぞ」
と、ループスはニヤリと笑いながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「ほ、本当のですか!?」
と、春風は目を大きく見開きながらそう尋ねると、
「ああ。威力だけじゃない。攻撃を受けた時、それに込められたお前の『想い』や『覚悟』、そして、この世界で芽生えた『迷い』や『悩み』も一緒に俺に伝わってきた。それらを全て含んで、良い一撃だったぞ」
と、ループスはそう答えたので、その答えに春風は少し泣きそうになりながらも、
「あ、ありがとう……ございます」
と言って、ループスに向かって頭を下げた。
それを見て、
(うう。良かったね、春風)
と、水音も感動で少し泣きそうになると、
「ん? という事は、アンタ的には……?」
と、アマテラスが「おや?」と言わんばかりの表情でループスに向かってそう尋ねたので、
「ああ、文句なしの『合格』だ。この世界だけじゃなく、アマテラス殿達の世界を本当の意味で救う為には、春風が必要だ」
と、ループスが真剣な表情でそう言ったので、
「え? それじゃあ……」
と、今度は春風がそう尋ねると、
「ああ、認めるよ。お前の『力』と『覚悟』をな」
と、ループスはニヤリと笑いながらそう答えたので、それを聞いた春風が「よっしゃあ……」と叫ぼうとしてガッツポーズを取ろうとした、まさにその時……。
ーーブオン!
「わぁ!」
(な、何!?)
突然、春風の目の前にウインドウ画面が現れたので、春風だけでなく水音や他の人達までもが驚いた。
「お、オイ、何だよいきなり……」
と、春風がドキドキする胸を押さえながら、そのウインドウ画面を見ると、
「……え? 何コレ!?」
と、春風が大きく目を見開きながら驚いたので、
(ん? 何だ? どうしたんだ春風?)
と、水音が首を傾げていると、
「は、春風、どうしたの?」
と、春風の傍にいたレナが、恐る恐る春風に向かってそう尋ねてきたので、それにハッとなった春風は、ゆっくりとレナに視線を向けながら答える。
「いや、なんか俺の職能が『ランクアップ』っていうのが出来るようになったみたい」
その答えを聞いて、
(……は?)
と、水音は再び首を傾げた。




